ZEHはどんな住宅?メリット・デメリットと補助金制度についてわかりやすく解説!

この記事では、ZEHの特徴やメリットとデメリットを紹介し、補助金交付の要件を解説します。補助金申請時の注意点や、併用できる制度も紹介するので、これからマイホームの新築や購入を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
ZEH(ゼッチ)とは?

「ZEH(ゼッチ)」とはnet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、太陽光発電などによって生み出されたエネルギーが年間のエネルギー消費量を上回る(ゼロ以下となる)住宅です。
家の断熱性能を向上させて、高効率の設備を採用することで使用するエネルギーを大幅に削減。太陽光発電や高断熱素材によりエネルギーを生み出すことで、家庭で使用するエネルギー収支をゼロ以下にします。
出典:国土交通省 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について
ZEHに必要な3つの要素

ZEHは、「断熱性能」・「省エネ性能」・「創エネ性能」の3つの要素が特徴です。それぞれ詳しく説明していきましょう。
断熱性能
断熱性能が高い家は、外気温に影響されにくくなります。冬は冷たい外気をシャットアウトし、暖房により暖めた空気を外へ逃がしません。また夏は外の熱気を遮断することで、室温を一定に保ちやすくなります。住宅の断熱性能を向上させることで、結果として光熱費を抑えることができます。
熱の出入りがもっとも大きいのは、ドアや窓などの開口部です。冬に暖められた空気の半分以上は窓から失われるといわれています。ZEHの基準を満たすためには、高断熱の複層ガラスや断熱性能の高い玄関ドアを採用する必要があります。
また、床や壁、天井の断熱をしっかりすることも重要。断熱性能がより優れた断熱材を使用し、基本構造の性能をアップさせることが効果的です。
省エネ性能
家電製品の省エネ性能を向上させることで、消費エネルギーを抑えられます。例えば高効率給湯器や、省エネ基準の高いエアコンなどを採用します。
さらに省エネを実現するシステムが、家庭で使うエネルギーのプラスマイナスを可視化する「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」です。
HEMSは電気やガスの使用量をモニター画面で把握でき、家電を自動制御することでエネルギーを節約できます。また太陽光発電で生み出したエネルギー量を、1つの画面で確認することも可能です。
ZEHの補助金制度にはいくつか種類がありますが、HEMSの設置が義務付けられているものもあります。詳細は記事の後半で説明します。
創エネ性能
断熱性能を高めて高効率な設備を使用しても、消費エネルギーをゼロにはできません。消費するエネルギーを自宅で創り出すために、太陽光発電を導入する必要があります。
生み出したエネルギーは家庭用燃料電池や蓄電池によって蓄えられますが、余った電力は売電することも可能です。
太陽光発電によって創り出されたエネルギーは二酸化炭素を排出しないため、環境への負担が少ないこともメリットです。
ZEHのメリット

ZEHにはどのようなメリットがあるのでしょうか。おもなメリットを5つ紹介します。
光熱費を抑えることができる
断熱性能をアップして高効率な設備を採用することによって、光熱費を抑えられます。天気がいい日には太陽光発電によりエネルギーを生み出せて、使いきれない分は売電することも可能です。
室温を一定に保ちやすい
ZEHは断熱性能を高めているため外気温の影響を受けにくく、室温を一定に保ちやすいのが特徴です。夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるでしょう。
さらに断熱性能が高い家は、家の中の温度差を小さくできます。したがって、急激な温度変化によって血圧が上下し起きる、心筋梗塞や脳梗塞などのヒートショックの軽減にも効果的です。
非常時でも電力を確保できる
太陽光発電は「自立運転機能」を使うことで、太陽光が出ている日中であれば、停電時でも電気を使えます。非常時に備えて、切り替え方法を確認しておきましょう。
参考:太陽光発電協会 「停電時でも電気が使えます」
補助金を受けられる
国は2050年までにカーボンニュートラルを実現(温室効果ガスの排出を全体としてゼロに)することを目指しており、ZEHに対する補助金制度を設けています。
一定の要件を満たす必要がありますが、ZEH住宅にすることで補助金を受けることができます。ZEHは55万円/戸、ZEH+の場合は100万円/戸です。追加で導入した設備に対しても補助金が交付されます。
ZEH+については後ほど「ZEHの種類」の章で解説いたします。
高く売却できる可能性がある
国が住宅の省エネ性能を評価するために設けた制度として「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)があります。
BELSにより高い性能を証明できれば資産価値の高さがアピールでき、将来高く売却できる可能性があるでしょう。
ZEHのデメリット

メリットが多いZEHですが、一方でデメリットもあります。おもなデメリット4つをみてみましょう。
初期費用が比較的高い
ZEHは断熱性能を高め、高効率な設備を導入する必要があります。また太陽光発電も搭載しなければなりません。ZEHではない住宅と比べて、建築費用は比較的高くなるでしょう。
メンテナンス費用がかかる
太陽光発電は、定期的な点検やメンテナンスが義務付けられています。メーカーによっては無料点検を実施しているケースもありますが、定期点検に10万円/回ほどかかることも。太陽光発電を選ぶ際は、メーカーごとのアフターサービスも確認しておきましょう。
また太陽光パネルやパワーコンディショナーには耐用年数があります。例えばパワーコンディショナーの寿命は10~15年ともいわれています。設置費用だけでなく、修理や交換費用がかかることも想定しておきましょう。
発電量が天候に影響される
太陽光発電がエネルギーを創り出すためには、太陽光が必要です。曇りや雨の日は日射が弱くなるため、その分発電量も減ります。つまり太陽光発電は天候の影響を受けやすく、発電量が安定しないことがデメリットです。
日射の強さや日照時間によって発電量は異なるため、同じ容量を設置しても、地域によって生み出すエネルギー量は異なります。さらに季節や時間帯、屋根の向きや角度によっても、発電量は異なるので注意が必要です。
デザインや間取りが制限される可能性がある
断熱性能を高めるために、吹き抜けや大きな窓を諦めなくてはならない可能性があります。そのため建築の際に、希望するデザインや間取りを実現できないかもしれません。
また、より多くの発電量を得るには、太陽の当たる時間が長くなる南向きに、太陽光パネルを設置する必要があります。また屋根の形や角度も、発電量を重視したデザインになるでしょう。
ZEHの種類
ZEHには2つの種類があります。一戸建て向きの「ZEH」、より高性能で省エネ基準の高い「ZEH+」です。集合住宅の場合は、「Net Zero Energy House Mansion(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)」の略で、「ZEH-M」と呼ばれます。
この記事では、一戸建てに焦点をあて、ZEHとZEH+の要件を説明します。
①ZEH
性能と省エネ基準により、ZEHは大きくZEHとZEH+の2種類に分類されます。そして気象条件やその土地特有の制約を考慮し、さらに3つに分類してそれぞれ要件を設けています。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>(PDF) 」
種類 | 「断熱」+「省エネ」による 消費エネルギーの削減率 |
「創エネ」を含む 消費エネルギーの削減率 |
---|---|---|
ZEH | 20%以上 | 100%以上 |
Nearly ZEH |
20%以上 | 75%以上100%未満 |
ZEH Oriented |
20%以上 | 太陽光発電など 再生可能エネルギー未導入も可 |
参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「令和4年度・令和5年度ZEH支援事業(二次公募)公募要項<個人申請編> 」
ZEHは断熱・省エネ・創エネにより、年間のエネルギー消費量実質ゼロ以下を目指す家です。そのため創エネを含むエネルギー消費量の削減率を100%としていますが、寒冷地や低日射地域、多雪地域(Nearly ZEH)では太陽光発電による発電量が少なくなるため、削減率を75%としています。
また都市部の狭小地域や土地の面積が85平方メートル未満の土地(ZEH Oriented)では、太陽光発電の設置自体が難しい場合があるため、断熱と省エネにより20%以上エネルギー削減できれば、創エネの未導入も認められています。
②ZEH+(ゼッチ プラス)
ZEH+(ゼッチ プラス)は ZEHをさらに高性能にして消費エネルギーの削減率を高めた、上位モデルです。断熱と省エネにより、消費エネルギーを25%以上削減しなければなりません。
種類 | 「断熱」+「省エネ」による 消費エネルギーの削減率 |
「創エネ」を含む 消費エネルギーの削減率 |
---|---|---|
ZEH+ | 25%以上 | 100%以上 |
Nearly ZEH+ |
25%以上 | 75%以上100%未満 |
次世代 ZEH+ |
20%以上 | 75%以上100%未満 |
ZEH+をさらに再生可能エネルギーの自家消費の拡大を目指し、蓄電システムやV2H充電設備、燃料電池、太陽熱利用温水システム、太陽光発電システム(10Kw以上)のいずれか1つ以上を導入する |
参考:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「令和4年度・令和5年度ZEH支援事業(二次公募)公募要項<個人申請編> 」
ZEH+は上記条件に加えてさらに、以下のうち2項目以上をクリアすることが条件です。
- 断熱性能のさらなる強化
- HEMSにより太陽光発電などの発電量を把握し、住宅内の冷暖房、給湯器などを制御可能にすること
- 太陽光発電などの再生可能エネルギーにより電気自動車などに充電可能にすること
ZEHにはZEH Orientedの区分がありました。しかしZEH+には、都市部の狭小地域や土地の面積が85平方メートル未満の土地などに対する基準はありません。
ZEHの補助金の種類
一戸建てのZEHに対する国の補助事業にはいくつか種類があり、それぞれ補助額が異なります。また管轄する省も異なるため一見複雑ですが、順番にわかりやすく紹介するのでぜひ参考にしてください。
ZEH支援事業(環境省)
ZEH | ZEH+ | |
---|---|---|
申請対象者 |
・新築住宅を建築・購入する個人
・新築住宅の販売者となる法人
|
・新築住宅を建築・購入する個人
・新築住宅の販売者となる法人
|
対象となる住宅 |
・ZEH ・Nearly ZEH
(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る) ・ZEH Oriented
(都市部狭小地の二階建以上及び多雪地域に限る) |
・ZEH+ ・Nearly ZEH
(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る) |
交付要件 |
①戸建て住宅における「ZEH」の定義を満たしていること
②SII(※1)に登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(建設、設計又は販売)する住宅であること
|
①戸建住宅における「ZEH」の定義を見たしつつかつ、以下のⅠとⅡを満たすこと
Ⅰ.更なる省エネルギーの実現
(省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量削減) Ⅱ.以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上導入すること
1.外皮性能の更なる強化
2.高度エネルギーマネジメント(HEMSなど)
3.電気自動車(PHV車を含む)を活用した自家消費の拡大措置のための充電設備又は充放電設備
②SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(建設、設計又は販売)する住宅であること
|
補助額 | 55万円/戸 | 100万円/戸 |
・補助対象住宅に蓄電システム(定置型)を導入する場合は2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額を加算
・直交集成板(CLT)、地中熱ヒートポンプ・システム、PVTシステム、液体集熱式太陽熱利用システム等を導入する場合、補助額を加算(※2)
|
||
公募方法 | 先着方式 一般公募及び新規取り組みZEHビルダー/プランナー向け公募にて分けて実施する |
※1 一般社団法人 環境共創イニシアチブ
※2 その他の追加補助額
・直交集成板(CLT):90万円/戸
・地中熱ヒートポンプ・システム:90万円/戸
・PVTシステム:
【液体式】65万円/戸もしくは80万円/戸
【空気式】90万円/戸
・液体集熱式太陽熱利用システム:
12万円/戸もしくは15万円/戸
引用:経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業「2023年の経済産業省と環境省のZEH補助金について(PDF)」
ZEHと比べて、ZEH+の要件を満たすためには建築費が高くなりますが、その分補助金も増えます。また追加設備を備えることで補助額もアップするため、よく考えたうえでプランを立てましょう。
次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業(経済産業省)
申請対象者 |
※2023年度の公募期間は終了しています 新築住宅を建設・購入する個人 |
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対象となる 住宅 |
・ZEH+
・Nearly ZEH+
(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る) |
交付要件 | 「ZEH+の要件」を満たし、かつ、以下のいずれか1つ以上を導入すること 1.蓄電システム 2.V2H充電設備(充放電設備) 3.燃料電池 4.太陽熱利用温水システム 5.太陽光発電システム10kW以上 |
補助額 | 100万円/戸 |
・蓄電システム(定置型):2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額を加算
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2又は75万円のいずれか低い金額を加算
・燃料電池:2万円/台
・太陽熱利用温水システム:【液体式】17万円/戸、【空気式】60万円/戸
|
|
公募方法 | 先着方式 ※2023年度の公募期間は終了しています |
引用:経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業「2023年の経済産業省と環境省のZEH補助金について(PDF)」
ZEH+と次世代ZEH+の補助額は、同じ100万円/戸ですが、要件と追加する設備に対する補助額が異なります。また申請期間や公募期間も異なります。どちらを選択すべきか確認し、申請するようにしましょう。
ZEH+は、新築住宅を建築・購入する個人と、販売者となる法人が申請対象者になります。しかし次世代ZEH+の申請対象者は、新築住宅を建築・購入する個人のみで、法人は対象にならないため注意しましょう。
次世代HEMS実証事業(経済産業省)
申請対象者 |
※2023年度の公募期間は終了しています 新築住宅を購入する個人 |
---|---|
対象となる 住宅 |
・ZEH+
・Nearly ZEH+
(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る) |
交付要件 |
①「ZEH+の要件」を満たしたうえで、高度エネルギーマネジメント(HEMS)を選択し、かつ蓄電システムまたはV2H充電設備(充放電設備)を導入すること
②さらに燃料電池、太陽熱利用温水システムの導入することも可
③太陽光発電システムによる創エネルギーを最大活用し、自家消費量を更に拡大することを目的に、AI・IoT技術等による最適制御を行う仕組みを備えていること
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補助額 | 112万円/戸 |
・蓄電システム(定置型):2万円/kWh、補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額を加算
・V2H充電設備(充放電設備):補助対象経費の1/2又は75万円のいずれか低い金額を加算
・燃料電池:2万円/台
・太陽熱利用温水システム:【液体式】17万円/戸、【空気式】60万円/戸
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公募方法 | 先着方式 ※2023年度の公募期間は終了しています |
引用:経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業「2023年の経済産業省と環境省のZEH補助金について(PDF)」
次世代HEMS実証事業の要件を満たすことで補助額が、112万円/戸になります。この補助金はHEMSを採用し、蓄電システムまたはV2H充電設備(充放電設備)を導入することで対象になります。次世代HEMS実証事業は、新築住宅を購入する個人が対象になり、法人は対象になりません。
こどもエコ住まい支援事業(国土交通省)
申請対象者 |
※上限に達したため申請受付は2023年9月に終了しています 以下の①②を満たす方 ①子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれか
子育て世帯:申請時点において、2004年4月2日以降(※1)に出生した子を有する世帯
若者夫婦世帯:申請時点において夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降(※2)に生まれた世帯
②こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約を締結し、住宅(※3)を新築する方
|
---|---|
交付要件 |
以下の①~⑦を満たす住宅 ①所有者(建築主)が自ら居住する
②住戸の床面積が50平方メートル以上である
③土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
④都市再生特別措置法第88条第5項の規定(※4)により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの
⑤ 未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの(※5)
⑥ 証明書等により、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有することが確認できる
⑦ 交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる
(1)基礎工事(杭基礎の場合は杭工事)の完了
(2)住戸あたりの補助額(100万円/戸)に総戸数を乗じた金額以上の出来高の工事完了
建設工事の契約金額(税込み)×出来高(%)≧ 補助額(100万円/戸)×総戸数 |
補助額 | 100万円/戸 |
交付申請 期間 |
2023年3月31日~予算上限に達するまで ※2023年9月29日に申請受付を終了しました。 |
※1:令和5年3月31日までに建築着工するものについては、2003年4月2日以降
※2:令和5年3月31日までに建築着工するものについては、1981年4月2日以降
※3:令和4年11月8日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手した住宅が補助対象です。
※4:「立地適正化計画区域内の居住誘導区域外の区域」かつ「災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域)内」で建設されたもののうち、一定の規模以上(3戸以上または1戸もしくは2戸で規模が1,000平方メートル以上)の開発によるもので、都市再生特別措置法第88条第3項に基づき立地を適正なものとするために行われる市町村長の勧告に従わなかった場合、その旨が市町村長により公表できることとされています。
※5:品確法第2条2項で定める新築住宅。「品確法」とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律。
出典:こどもエコ住まい支援事業
子育て世帯や若者夫婦世帯を支援する目的で開始された補助金制度である、こどもエコ住まい支援事業は、ZEH支援事業や「先進的窓リノベ事業」、「給湯省エネ事業」など他の補助金との併用はできません。
ですが、新築分譲住宅の購入・注文住宅の新築に対して1住戸につき100万円を受け取ることができます。
こどもエコ住まい支援事業は、2023年9月29日に補助金申請額が予算上限に達したため、受付を終了しました。
ZEHに関する補助金申請時の注意点
ZEHの補助金申請手続きは複雑なうえ、申請期間が定められています。ZEHの条件を満たしているのにも関わらず、補助金を受けられないことがないように注意しましょう。この章では、特に注意すべきポイントを4つ紹介します。
最新の申請スケジュールを確認する
各補助事業には、公募期間や事業期間、完了実績報告期限などが定められており、スケジュールに沿っておこなう必要があります。
毎年予算が決まっており、予算に到達して締め切られた場合は、補助金を受けられません。各サイトなどで、最新の申請スケジュールや、予算額の進捗を確認するようにしましょう。
ZEHビルダー/ZEHプランナー登録されている建築会社に依頼する
ZEHの補助金を受けるためには、ZEHビルダーやZEHプランナーに登録されている建築会社に施工を依頼する必要があります。依頼を検討している先が、登録事業者なのか確認しましょう。
以下のページより検索できます。
▼ZEHビルダー/プランナー(フェーズ2)一覧検索 (一般社団法人 環境共創イニシアチブ)
補助金交付決定後は間取りや設備を変更できない

補助金の交付決定後に、間取りの変更や設備の変更はできません。提出した書類に記載した内容と実際の設備などに相違がある場合、虚偽の申請をしたと判断される可能性があります。
審査中に変更を希望する場合は、一般社団法人環境共創イニシアチブのコールセンター経由で相談することも可能ですが、かならずしも変更が認められるわけではありません。間取りや設備をよく検討したうえで申請するようにしましょう。
補助金交付決定前に着手・購入をしない
ZEHの補助金交付決定が通知される前に、工事を発注または工事を着手した場合は、補助金を受けられなくなります。完成を急ぐ場合でも、交付決定前に着手・購入することがないように注意しましょう。
土砂災害特別警戒区域は補助対象外
土砂災害特別警戒区域に家を建てる場合、ZEHの補助金は対象外となります。あらかじめ土地を調査しておきましょう。自治体の該当窓口の他、ホームページなどで、土砂災害特別警戒区域かどうかを確認できます。
東京都の場合は、以下のページから検索できます。
▼土砂災害警戒区域等マップ (東京都)
ZEH住宅の補助金制度と併用できるもの
ZEHの補助金と併用できるのは、自治体の補助金と住宅ローン控除です。
ZEHの補助金を受け取る場合、財源が同じである他の国の補助金と併用できません。しかし財源が異なる自治体の補助金は、同じZEHに対する補助金であっても併用可能です。
また住宅ローン控除は、金利負担の軽減が目的のため、ZEHに対する補助金と目的が異なり、併用することができます。
神奈川県ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金(神奈川県)
参考:神奈川県ホームページ「令和5年度神奈川県ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入費補助金」
中小工務店(※1)が施工する次の(1)~(3)の事業
(2)県内にZEH(※2)を新築する事業
(3)県内に既存住宅をZEH(※2)に改修する事業
※1 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者に該当する住宅の施工事業者
※2 ZEH+、ZEH、ZEH Orientedに限りNearly ZEHは対象外
【補助金額】
ZEH+ | 100万円/戸 |
---|---|
ZEH | 55万円/戸 |
ZEH Oriented | 50万円/戸 |
※経費が上記の金額を下回る場合には、補助額は経費の1,000円未満を切り捨てた金額
【申請期間】
2023年4月27日~2023年12月28日
申請額が予算に達し次第終了
堺市ZEH支援事業(大阪府堺市)
具体的な申請方法や必要書類、最新の情報に関しては堺市のホームページをご確認ください。
参考:堺市ホームページ「堺市ZEH支援事業」
【対象事業者】
次の全ての要件を満たす個人
【補助金額】
補助対象設備の 種類 |
補助対象経費 | 補助金の額 | |
---|---|---|---|
工事請負契約先又は販売購入契約先が中小事業者※1 | 工事請負契約先又は販売購入契約先が中小事業者以外 | ||
太陽光発電 システム |
左記のいずれか1種類の購入費用及び設置費用 | 一律20万円 | 一律15万円 |
燃料電池 システム |
|||
HEMS及び 高効率給湯設備 ※2 ※3 |
※1 中小事業者とは、資本金の額又は出資の総額が3億円以下の事業者をいいます。
※2 HEMS及び高効率給湯設備については、両方の導入が必要です。
※3 高効率給湯設備の例は以下のとおりです。
設備の種類 | 使用環境 |
---|---|
エコキュート (ヒートポンプ給湯器) |
オール電化の場合 |
エコジョーズ (潜熱回収型ガス給湯器) |
電気・ガス併用の場合 |
【申請期間】
2023年6月23日~2023年11月30日
ZEHについてよくある質問
ここではZEHのよくある質問を紹介します。
ZEHとはどんな住宅?
「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、「断熱性能」・「省エネ性能」・「創エネ性能」・の3要素を持つ住宅です。家の断熱性能を高め、高効率な設備を採用することで年間のエネルギー消費量を削減します。
なぜZEHが注目されている?
国は脱炭素社会の実現のためにZEHに対し補助金制度を設けています。
また、ハウスメーカーや工務店も独自にZEHに対する取り組みや実績などを公表していることもあり、不動産情報サービス アットホームの「省エネに関する意識調査 」では、ZEHの一般認知度は6割以上とのデータもあります。省エネに興味がある人だけでなく、広く一般に認知されていることがわかるでしょう。
光熱費の削減だけではなく、環境への負荷も軽減できる、環境とお財布に優しいZEHは、義務化されることが予定されています。今後さらに認知度と注目度が高まるでしょう。
ZEHは義務化される?
国は2050年までにカーボンニュートラルを目指しており、2025年には新築住宅の省エネ基準に適合することが義務化される予定です。
さらに2030年には、その基準をZEH基準とすることが予定されています。現在は義務化されていませんが、近い将来義務化されるでしょう。
着工後に補助金の申請はできる?
ZEHの補助金は、交付決定通知を受け取ってから着工する必要があります。すでに着工した住宅は、補助金を申請できません。
まとめ

環境に配慮したZEHに対する補助金の要件を満たすことで、国や自治体から補助金を受けられます。
しかし施工会社が登録事業者でない場合や、予算に到達した場合は補助金を申請できません。最新の情報を得るようにし、予算額に対する進捗やスケジュールには注意深く確認しておきましょう。
またZEHの補助金申請手続きは複雑なうえ、書類の準備や作成にも時間がかかります。施工会社に事前に相談し、余裕のある計画で進めることをおすすめします。
環境に優しい住まいで、光熱費も抑えられる経済的な暮らしをするならZEHを検討されてみてはいかがでしょうか。
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