【新制度】こどもエコすまい支援事業とは?知っておきたい省エネ住宅への補助金制度
記事の目次
こどもエコすまい支援事業とは?
※国土交通省「こどもエコすまい支援事業」専用サイトより
こどもエコすまい支援事業の目的
こどもエコすまい支援事業には2つの目的があります。まず政府が目標として掲げる2050年のカーボンニュートラルを実現するために住宅の省エネ化を促進することです。そして、そのために子育て世帯・若者夫婦世帯が省エネ住宅の購入・新築や既存住宅の省エネ改修(リフォーム)をおこなうことを経済的に支援するために、本事業が制定されました。
新築分譲住宅の購入・注文住宅の新築に対して1住戸につき100万円、リフォームは要件に応じて5万円~60万円の補助が受けられます。
こどもエコすまい支援事業の対象
こどもエコすまい支援事業の対象は一定の省エネ性能を有する住宅の「購入」、「新築」、「リフォーム」です。それぞれの対象世帯や補助金額(最大)は下図のとおりです。
対象世帯 | 要件 | 補助金額 (最大) |
|
---|---|---|---|
1 | 2004(平成16)年4月2日以降に生まれた子どもがいる世帯(子育て世帯) もしくは 夫婦のいずれかが1982(昭和57)年4月2日以降に生まれた世帯(若者夫婦世帯) |
新築分譲住宅を購入する場合 | 100万円/戸 |
2 | 新たに注文住宅を建築する場合 | 100万円/戸 | |
3 | 子育て世帯、若者夫婦世帯以外も対象 | リフォーム工事を実施する場合 | 60万円/戸 ※子育て世帯、若者夫婦世帯に該当しない場合は最大45万円/戸 |
こどもエコすまい支援事業を利用するメリット
高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する住宅を購入・新築する場合、上記の子育て世帯か若者夫婦世帯に該当すれば、1住戸あたり100万円の補助が受けられます。リフォーム工事の場合は子育て世帯・若者夫婦世帯以外も対象です。補助金額の上限は、原則として1戸あたり30万円ですが、子育て世帯や若者夫婦世帯であれば最大60万円に引き上げられます。
申請にあたり年齢や省エネ性能の条件が設けられています。
マイホーム取得やリフォームを検討中の人は、要件を事前に確認したうえで制度の活用を検討することをおすすめします。
参照:国土交通省「こどもエコすまい支援事業」専用サイト
新築分譲住宅の補助対象と要件
それでは新築分譲住宅の補助対象と要件を詳しく確認してみましょう。
対象となる新築分譲住宅
補助対象者は上記子育て世帯か若者夫婦世帯に該当し、かつこどもエコすまい支援事業者と不動産売買契約を締結して新築分譲住宅を購入する方です。一戸建ても集合住宅(マンションなど)も対象になりますが、以下の要件を満たす必要があります。
- ① 所有者(購入者)自らが居住する
- ② 住戸の床面積が50平方メートル以上である
- ③ 土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
- ④ 都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていない
- ⑤ 不動産売買契約締結時点において、未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことがない
- ⑥ 証明書等により、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有することが確認できる
- ⑦ 交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる
参照:新築分譲住宅の購入|こどもエコすまい支援事業 (国土交通省)
なお、補助対象となるのは「基礎工事より後の工程」(地上階の柱、壁、梁、屋根)への着手が2022年11月8日以降のものに限られます。2022年11月7日時点でそれらの工事に着手済みの場合は対象外です。
新築分譲住宅 補助金の上限額
補助額は1戸あたり100万円で、子育て世帯も若者夫婦世帯も同額です。注意が必要なのは手続き期限と予算上限があることです。交付申請の予約期間は「2023年3月下旬~予算上限に達するまで」とされており、遅くとも2023年11月30日には予約期間が締め切られます。また交付申請期間は同じく「2023年3月下旬~予算上限に達するまで」ですが、遅くとも2023年12月31日までとなっています。なるべく早めにこどもエコすまい支援事業者と制度の利用を相談しておいた方がいいでしょう。
注文住宅の補助対象と要件
次に注文住宅の補助対象と要件を確認します。
対象となる注文住宅
注文住宅の場合も補助対象となるのは子育て世帯と若者夫婦世帯で、かつこどもエコすまい支援事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する方です。
そのうえで以下の要件を満たす必要があります。
- ① 所有者(購入者)自らが居住する
- ② 住戸の床面積が50平方メートル以上である
- ③ 土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
- ④ 都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていない
- ⑤ 未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことがない
- ⑥ 証明書等により、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有することが確認できる
- ⑦ 交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる
参照:注文住宅の新築|こどもエコすまい支援事業(国土交通省)
なお、補助対象となるのは「基礎工事より後の工程」(地上階の柱、壁、梁、屋根)への着手が2022年11月8日以降のものに限られます。2022年11月7日時点でそれらの工事に着手済みの場合は対象外です。また建築着工までに工事請負契約が締結されている必要があります。
注文住宅 補助金の上限額
補助額は新築分譲住宅と同じく1戸あたり100万円で、子育て世帯も若者夫婦世帯も同額です。交付申請の予約期間は2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年11月30日まで)、交付申請期間は2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)と手続きの期限も新築分譲住宅と同じです。
ZEH住宅のメリット
ところで、ZEH住宅とは何かご存じでしょうか。聞き慣れない言葉かもしれませんが、「ZEH」とは“net Zero Energy House”の略語で、「エネルギー収支がゼロ以下の家」の意味があります。つまり太陽光や化石燃料、水力などによって消費エネルギー以上のエネルギーを創出する省エネ性能の高い住宅のことです。
ZEH住宅は太陽光発電システムやその他の省エネ機器の設置が必要になるため、初期の建築コストは一般的な住宅よりも多くかかります。しかし、住みはじめてからは光熱費が削減できることや、夏は涼しく冬は暖かい快適な環境で暮らせるメリットがあります。
また住宅ローン控除の対象となる借入限度額が一般住宅よりも優遇されることや、こどもエコすまい支援事業の補助対象にもなることなどもZEH住宅のメリットです。
リフォームの補助対象と要件
リフォームの補助対象と要件も確認しておきましょう。
対象となるリフォーム工事
リフォームはどのような工事でも補助対象になるわけではなく、対象となるリフォーム工事は下記1~8と定められています。太陽光発電設備の設置工事などは補助の対象にならないため注意が必要です。
<A>
- 1. 開口部の断熱改修
- 2. 壁、屋根・天井又は床の断熱改修
- 3. エコ住宅設備の設置
以下は、A(1~3)と同時におこなう場合のみに補助対象となります。
<B>
- 4. 子育て対応改修
- 5. 防災性向上改修
- 6. バリアフリー改修
- 7. 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- 8. リフォーム瑕疵保険等への加入
参照:リフォーム|こどもエコすまい支援事業(国土交通省)
その他の注意点として、申請する補助額の合計が5万円未満の工事は補助の対象にならないことが挙げられます。また申請する際には対象工事に関する証明書などが必要になります。
リフォーム工事 補助金の上限額
補助額は対象工事内容ごとの補助額の合計となります。上記「1.開口部の断熱改修」を例に見てみましょう。補助額は「1箇所あたりの補助額×施工箇所数」で求められます。1箇所あたりの補助額は「ガラス交換」、「内窓設置・外窓交換」、「ドア交換」など工事の種類や工事する箇所の面積によって細かく定められています。そのうえで、原則として1戸あたり30万円が補助額の上限です。
ただし、子育て世帯または若者夫婦世帯がリフォーム工事をする場合やその他の世帯が安心R住宅を購入してリフォーム工事をする場合は次のとおり補助上限額が引き上げられます。
子育て世帯/若者夫婦世帯
- 既存住宅を購入してリフォーム工事をする場合 60万円/戸
- 上記以外のリフォーム工事をする場合 45万円/戸
その他の世帯
- 安心R住宅を購入してリフォーム工事をする場合 45万円/戸
- 上記以外のリフォーム工事をする場合 30万円/戸
こどもエコすまい支援事業の申請方法
こどもエコすまい支援事業の補助金は、登録を受けた「こどもエコすまい支援事業者」(登録事業者)が申請手続きをおこないます。補助対象者である一般消費者は直接申請できません。登録事業者とは新築分譲住宅であれば販売事業者(販売代理を含む)、注文住宅の新築であれば建築事業者(工事請負業者)、リフォームであれば工事施工業者を指します。
交付申請予約期間は「2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年11月30日まで)」、交付申請期間は「2023年3月下旬~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)」とされています。新築分譲住宅および注文住宅の新築の場合は交付申請時で一定以上の出来高の工事完了を確認するために建築士による証明書が必要です。
リフォームでは工事請負契約日を問われません。ただし2022年11月8日以降に着工した工事が対象になります。
こどもエコすまい支援事業を受ける際に注意すること
こどもエコすまい支援事業の補助金を受けるにあたって、注意が必要なポイントもあります。
着工前に事業者登録を済ませている事業者を利用する
上述のとおり、こどもエコすまい支援事業は登録を受けた「こどもエコすまい支援事業者」(登録事業者)が申請手続きをおこないます。新築分譲住宅、注文住宅、リフォームのすべてのハウスメーカーや工務店が申請できるわけではありません。これは着工前に登録を済ませている事業者を利用する必要があることを意味します。事前に確認をせずに契約をしたら、登録を受けていない事業者だったことも考えられるため、必ず確認をしておきましょう。
登録事業者は「住宅省エネ2023キャンペーン」のホームページ上で検索できます(公表を希望した事業者のみ)。
参照:住宅省エネ2023キャンペーン (こどもエコすまい支援事業事務局)
交付申請期間が早まる可能性がある
交付申請期間は「2023年3月下旬から予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)」とされており、予算の執行状況に応じて期限が早まることも考えられます。交付申請には一定以上の出来高の工事完了が必要ですが、交付申請の予約をおこなえます。予約をすれば3カ月間は予算が確保されるため、確実に補助を受けるためには交付申請のタイミングから逆算して早めに登録事業者を通して交付申請予約をしておいたほうがよいでしょう。
こどもみらい住宅支援事業との違い
似たような制度として「こどもみらい住宅支援事業」のを聞いたことがあるかもしれません。こどもみらい住宅支援事業は2022年に開設された制度で、子育て世帯や若者夫婦世帯による省エネ住宅の新築・購入や省エネリフォームを補助する制度です。こどもエコすまい支援事業と同じく補助上限額も100万円です。ただし、こどもエコすまい支援事業とは違い、補助対象となる住宅の省エネ性能に関して「ZEHレベル」の条件はありませんでした。
こどもみらい住宅支援事業は2022年11月28日の申請をもって予算上限に達し、交付申請および交付申請の予約は終了しています。申請期間自体も2023年3月で終了しているため、新たな利用はできません。
こどもエコすまい支援事業についてよくある質問
ここからはこどもエコすまい支援事業のよくある質問を紹介します。
何回まで申請できる?
新築分譲住宅の購入および注文住宅の新築の補助金を受けられるのは1回限りです。1度補助金を受けたら別の住宅であっても再度補助金を受けられません。ただし、別の住宅であればリフォームの補助金を受けることは可能です(補助上限の引き上げは不可)。
なおリフォームの場合、1戸の住宅のリフォームを複数回に分けておこなった場合は、1戸あたりの上限補助金額の範囲内であれば複数回、交付申請ができます。
他の補助金と併用できる?
原則として、こどもエコすまい支援事業と補助対象が重複する国の他の補助制度との併用はできません。地方公共団体の補助制度で国費が充当されていないものであれば併用可能です。参考までに新築分譲住宅の購入および注文住宅の新築の代表的な補助制度との併用の可否を以下に列記します。
併用が可能
・住まいの復興給付金
・外構部の木質化対策支援事業
・住宅ローン減税(住宅ローン残高の0.7%を原則13年間)
・贈与税の非課税枠(最大1,000万円)
併用は不可能
・こどもみらい住宅支援事業
・地域型住宅グリーン化事業
・次世代ZEH+実証事業
・戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
・集合住宅の省CO2化促進事業
申請後、いつ補助金を受け取れる?
交付申請後、申請内容に不備などがなければ1.5~2カ月程度で交付が決定する見込みです。完了報告の審査完了(当月20日締、翌月末支払い予定)もしくは2023年度末のいずれか早い時期に補助金が登録事業者に交付されます。
登録事業者は交付された補助金を契約代金(最終支払に限る)に充当するか、現金で補助対象者に支払いますが、原則は契約代金への充当とされているため、多くの人は契約代金から差し引く形で補助金を受けることになると考えられます。
申請は自分(消費者自身)でもできる?
申請は登録を受けた「こどもエコすまい支援事業者」(登録事業者)がおこなうため、補助対象者である一般消費者による直接申請はできません。
子どもがいない世帯でも対象になる?
交付申請時点で子を有していない世帯は子育て世帯の定義には該当しません。したがって申請時点で妊娠中の場合も子育て世帯にはなりません。ただし若者夫婦世帯に該当する場合は対象です。またリフォームは子育て世帯・若者夫婦世帯以外の世帯も対象になります。
対象者の年収に制限はある?
補助金を受けるための所得制限はありません。年収に関わらず、子育て世帯および若者夫婦世帯に該当すれば対象になります(リフォームは子育て世帯・若者夫婦世帯以外の世帯も対象)。
まとめ
いかがでしたか。こどもエコすまい支援事業は2023年限定の支援制度です。マイホーム取得やリフォームを検討している方は早めに事業者と制度の利用を相談しておくことをおすすめします。また申請ができるのは登録を受けた事業者のみです。契約する事業者が登録事業者であるかどうかを確認することも忘れないでください。
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