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延床面積とは?含まない部分や建築面積・敷地面積との違いをわかりやすく解説!

延床面積とは何か、他の用語と比較しながら解説します
家探しをしていると、物件概要に記載されている「延床面積」というものを目にする方は多いでしょう。家の広さを表す延床面積は、物件の検討材料としても重要な要素になります。そのため、事前にしっかり確認しておきたいものです。
しかし、似たような言葉が多いため、延床面積がどこの面積のことなのか、どのように計算されるのかが分かりづらくなっています。

そこで、本記事では延床面積の基礎知識や類似用語との違い、坪単価との関係性、建ぺい率・容積率などについて解説します。今の自宅が手狭に感じている方や、家の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

延床面積とは?

延床面積は、各階の床面積を足し合わせて算出します

延床面積とは、建物各階の合計の床面積のことです。上の図のような2階建て住宅の場合、1階の床面積と2階の床面積の合計が延床面積となります。延床面積は建物の規模を把握する際にも使用され、一戸建て住宅の物件情報を確認すると、必ず延床面積が記載されています。注文住宅などの家づくりにおいては、住宅の広さを求めて延床面積を広げることも可能です。

しかし、土地に対する建物の延床面積に、上限が定められている点にはご注意ください。また、延床面積が広い建物になるほど建築費や固定資産税が高くなるため、必要に応じて広さを決めるようにしましょう。


延床面積の算出方法

延床面積は以下の計算式を用います。

[計算式]
  延床面積 = 各階の床面積の合計

算出方法は、対象建物の各階の床面積を合計する単純な計算です。平屋の場合は1階部分のみ、5階建てのマンションの場合は1階から5階までのそれぞれの床面積を合計します。なお、床面積は壁や区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で求めるのが一般的です。

延床面積に含まれない場所

床面積へ算入する基本的な条件は、一部例外もありますが「天井があり、3方向以上が壁やガラスなどで囲まれていて、床から一番高い天井までの高さが1.5m以上の部分」です。それ以外の場合は、床面積に算入しません。延床面積を計算する際は、含まれない部分を除いて計算するよう注意する必要があります。

この含まれない場所を広くすれば家にゆとりが生まれたり、税金が減ったりします。具体的な、延床面積に含まれない部分の例は、以下のとおりです。ただし、自治体によって扱いが異なる場合があるのでご注意ください。

ピロティ

ピロティは壁がなく、柱のみで2階の重みを支えた1階部分の吹き放し空間のことです。日本の戸建住宅では少なく、一般的にはオフィスビルやマンション、飲食店にてエントランスホールや駐車場として活用されています。ピロティは壁に囲まれていないため、延床面積には含まれません。

ロフト(小部屋収納)

小部屋収納とも呼ばれるロフトは、天井を高くして部屋の一部を2層式にした上部空間のことです。一定の基準を満たすことで、延床面積の計算には算入されません。具体的には天井高が1.4m以下であること、設置階の床面積の半分未満の面積であること、固定のはしごを設置しないことなどです。

バルコニー・ベランダ

バルコニーやベランダは、住戸から外に張り出した2階以上のスペースなどを指します。一般的に、ひさしや屋根があるのがベランダ、ないのがバルコニーです。バルコニーやベランダは、外壁から2mまでの幅であれば延床面積に含まれません。幅が2mを超えた場合は、超えた部分から延床面積に算入されることになります。

出窓

出窓とは室内の壁から外に張り出した窓のことで、基準内であれば延床面積には含まれません。床面から30cm以上の高さであることや、出窓を設置している壁の面積の半分以上が窓であること、外壁面から張り出した距離が50cm未満であることなどの基準が挙げられます。

自動車車庫

車両を格納する建物のことを車庫といい、ここでいう車庫は自動車を格納する屋内駐車場を指します。ガレージも同じ意味です。自動車車庫は、建物の延床面積5分の1以内の広さのものであれば容積率の計算に算入されません。5分の1を超えた部分は延床面積の計算に含まれます。

建築面積や敷地面積、施工面積との違いは?

建築面積は、上から見た水平投影面積のことを指します

上記でご紹介した延床面積と間違われやすい用語として、「建築面積」「敷地面積」「施工面積」などがあります。同じような場面で使われる言葉のため、勘違いして覚えてしまいがちです。以下では延床面積との違いがわかるよう、それぞれ詳しく解説します。

建築面積との違い

建築面積とは、建物を上から見た水平投影面積のことです。上から見た建物の面積が建築面積になるため、例外はあるものの基本的には各階のもっとも広い面積が「建築面積」となります。

一般的には1階部分の面積が建築面積となるケースが多いですが、1階よりも2階が広い場合は2階部分の面積が建築面積となります。延床面積が各階の合計床面積であるのに対し、建築面積は建物のなかでもっとも広いワンフロアの床面積のみを指すということです。

ただし、平屋住宅の場合は延床面積と建築面積がほぼ同じ面積になるので注意しましょう。


敷地面積との違い

敷地面積は敷地の水平投影面積のことで、いわゆる土地の面積のことを指します。延床面積は「建物」の合計床面積、敷地面積は「土地」の面積なので違いは明確です。斜面がある土地の場合は、実際の面積と敷地面積の数字が異なる可能性があります。

また、接面道路の幅員が4m未満でセットバックが必要な場合、土地の一部が敷地面積に含まれなくなるため注意が必要です。土地が見た目よりも狭く、希望する建物の広さが叶えられない可能性もあるため、敷地面積の確認は重要といえるでしょう。



もう一つ、間違えやすい建築用語があります。

施工面積との違い

施工面積とは、実際に工事をした面積のことです。建築工事費がかかる面積を指すので、延床面積には含まれないロフトやバルコニーなどもすべて含まれます。一般的に、延床面積よりも施工面積のほうが大きくなる傾向にあります。ただし、算出方法は建築会社によって異なるため、施工面積として含まれる範囲をあらかじめ確認しておきましょう。

建ぺい率・容積率とは?計算方法も紹介

建てる家の広さを考える際は、必ず建ぺい率と容積率を用いて考えることになります。では、建ぺい率と容積率とはどのような意味があり、どのような計算に用いられるのか、以下で詳しく解説していきます。

建ぺい率の意味

建ぺい率は、建築面積を敷地面積で割ると算出できます

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことです。土地に対して、ワンフロアの面積がどのくらいの広さまで建てられるのかを数値化します。土地がどれだけ広くても、防災や風通しなどの観点から、その土地いっぱいに建物を建てることはできません。建築基準法によって制限が設けられており、地域によって異なるのが特徴です。

また、立地条件によって建ぺい率が緩和されることもあるため、家づくりに必要な知識として覚えておくとよいでしょう。


建ぺい率の計算方法

建ぺい率の計算式は以下のとおりです。

[計算式]
 建ぺい率(%)= 建築面積÷敷地面積×100

先ほど紹介した図 を例にすると、敷地面積が100平米、建物が1階40平米、2階50平米の延床面積90平米の2階建て住宅です。水平投影面積である建築面積は50平米となり、建ぺい率は50%となります。通常、建ぺい率は地域によって決まっており、新しく家を建てるために計算するのは建てられる住宅の建築面積です。
その際は、以下の計算式を用いるようにしましょう。

[計算式]建築面積=敷地面積×建ぺい率(%)

建ぺい率60%で敷地面積100平米の土地に建物を建てる場合、各階60平米まで建築が可能です。

容積率の意味

容積率は、延床面積を敷地面積で割ると算出できます

容積率は敷地面積に対する延床面積の割合で、土地に対して建築できる建物の延床面積がわかります。容積率は建ぺい率と同様、用途地域ごとに制限されていますが、前面道路の幅員(ふくいん)によって左右される点には注意が必要です。
また、バルコニーやロフトなどの延床面積に含まれない場所をつくることによって、結果的に容積率が緩和されるケースもみられます。


容積率の計算方法

容積率の算出方法は以下のとおりです。

[計算式]
 容積率(%)= 延床面積÷敷地面積×100

例えば、敷地面積が120平米で、建物が1階70平米、2階70平米の2階建て住宅だとすると、延床面積は140平米です。建築面積が70平米であれば、この場合の容積率は約116%となります。また、容積率があらかじめわかっていれば、どれくらいの広さまで家を建てられるのか目安にできます。

[計算式]延床面積=敷地面積×容積率(%)

土地に建てられる建物の延床面積の上限は、「敷地面積×容積率(%)」で計算できます。例えば、容積率200%の地域にある100平米の土地に建てられるのは、延床面積200平米までの建物です。

建ぺい率と容積率はどんなときに使う?

建ぺい率の制限は、以下の目的から設けられています。

  • 防火対策:建物が密集することによる火災の発生を防ぎ、逃げ道を確保する
  • 通風・採光の確保:平等に快適な住環境を守るため
  • 美観の維持:地域ごとの都市計画に沿った街づくりができる

一方、容積率の制限は以下の目的によるものです。

  • 地域の過密化防止:人口をコントロールして快適な街づくりをおこなう

建ぺい率と容積率は、良好な住環境を守るために設けられています。そのため、住宅エリアほど制限が厳しく、商業エリアほど緩和されている傾向にあります。理想の暮らしを実現するためには、住まいのエリアを決める際、建ぺい率や容積率も注意して確認する必要があるでしょう。

延床面積と坪単価の関係は?落とし穴に注意

ここでいう坪単価とは、住宅の本体価格を延床面積で割った数値のことを指します。延床面積と坪単価を用いれば、以下の計算式でおおまかな建築費用を知ることが可能です。

[計算式]
 延床面積×坪単価 = 建築費用

坪単価は建築費用がわかる便利な指標ですが、坪単価の算出方法に必ずしも延床面積を用いるわけではありません。厳密な決まりはなく、建築会社によっては延床面積ではなく施工面積を用いるところもあります。先述のとおり、施工面積は延床面積に含まれない場所も含んだ面積となるため、比較すると施工面積で計算した坪単価のほうが安くなるのが一般的です。計算に用いる面積が会社ごとに異なると比較しづらくなるため、事前に確認するようにしましょう。

また、坪単価が示しているのは住宅の「本体価格」のみであり、建築費用のなかには「別途工事費」や「諸経費」も含まれます。坪単価に含まれていない別途工事費や諸経費は建築費用の25%程度を占めており、建築費用が坪単価で算出した本体価格のみと勘違いすると、大きな差額が生まれるため注意が必要です。

生活に必要な延床面積はどれくらい?

必要な延床面積は、家族構成やライフスタイルによって変わります
必要な延床面積は、家族構成やライフスタイルによって変わります

実際の暮らしを考えるうえで、家の広さはこだわりたい条件の一つです。では、生活にはどの程度の広さが必要なのでしょうか。家族構成やライフスタイルによって、必要な延床面積が変わってきます。家づくりの際は、以下の水準を参考にするとよいでしょう。

世帯人数ごとにみた延床面積の水準

国土交通省が発表する「住生活基本計画(全国計画)における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準」によると、世帯人数ごとに必要な延床面積はおおよそ以下のとおりです。

  世帯人数別の住戸専用面積
  単身 2人 3人 4人
誘導居住
面積水準
一般型 55平米 75平米 100平米 125平米
都市
居住型
40平米 55平米 75平米 95平米
最低居住面積水準 25平米 30平米 40平米 50平米

引用:国土交通省「令和4年度 住宅経済関連データ」

都道府県ごとにみた延床面積の水準

一方、国土交通省の「一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」では、都道府県ごとの延床面積の水準は以下のようになります。地域によって確保できる土地の広さや価格が大きく異なることから、延床面積にも差が出ているのが特徴です。上の世帯人数別の面積を踏まえ、居住地となる地域の平均延床面積も参考にして広さを考えるようにしましょう。

広い順 都道府県 一住宅当たり延床面積
富山県 145.17平米
福井県 138.43平米
山形県 135.18平米
   
45 大阪府 76.98平米
46 沖縄県 75.77平米
47 東京都 65.90平米

引用:国土交通省「令和4年度 住宅経済関連データ」

延床面積に関するよくある質問

Q:延床面積とは何ですか?

A:延床面積とは建物各階の合計の床面積のことを指し、2階建て住宅の場合は1階と2階それぞれの床面積を足して算出します。土地ごとに建てられる延床面積が定められているのが特徴的です。

Q:建築面積や敷地面積との違いは何ですか?

A:建築面積は建物を上から見た水平投影面積のことで、敷地面積は敷地の水平投影面積のことをいいます。延床面積は「建物の各階の合計床面積」であるのに対し、敷地面積は「土地の面積」であり、建築面積は「建物を上から見た場合の面積」です。

Q:延床面積を計算する方法は?

A:延床の計算式は、「延床面積=各階の床面積の合計」です。建物の各階の床面積を合計する計算方法で、床面積は壁や区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積で求めます。

まとめ

延床面積は家全体の広さを表す数値であり、家づくりや物件探しにおいて重要な判断基準の一つとなるものです。延床面積の計算方法は比較的容易ですが、延床面積に含まれない場所があるほか、間違えやすい用語も複数あるため計算する際は注意しましょう。
また、延床面積に加えて建ぺい率などについても理解しておくことで、土地探しや設計プランの打合せの際に大いに役立ちます。家づくりのさまざまな場面で応用できるので、住宅の購入を検討している方はしっかり理解を深めておきましょう。

阿孫 沙綾

執筆者

阿孫 沙綾

不動産エージェントおよびWebディレクター兼ライターのフリーランス。8年間で不動産売買・賃貸の仲介業、実需や収益不動産の仕入れ・販売業務を経験し、現在は個人エージェントとして活動中。また、幅広いジャンルの不動産業務に携わった経験を活かし、不動産・宅建ジャンルを中心に執筆や編集もおこなう。

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