新興住宅地とは?特徴やメリット・デメリット、住みやすさをご紹介!

新興住宅地は、昔からある住宅地と異なる点がいくつかあります。また、新興住宅地はやめたほうがよいといわれることも。住まい探しで失敗をしないためにも、新興住宅地の特徴をしっかり把握して進める必要があります。
この記事では、新興住宅地のメリット・デメリットや向いている方を解説するとともに、首都圏の事例もまとめました。ぜひ参考にしてください。
記事の目次
新興住宅地とは

新興住宅地とは、それまで住宅地として利用されていなかった畑や森林などを、区画整理して宅地として整備した場所を指します。
比較的、街の中心部から少し離れた郊外に多くみられますが、社宅や共同住宅の跡地が整備されることもあり、都市部に作られることもあります。
ちなみに、新興住宅地に対して昔からある住宅地を「成熟住宅地」や「旧新興住宅地」と呼ぶこともあります。
新興住宅地の特徴

新興住宅地は、一定の広さの土地を新たに住宅地として区画し、整備した場所です。
新たに一戸建てを購入して移り住む人が集まるため、若い世帯や子育て世帯が多い特徴があります。
また、地域のコミュニティも新たに形成されている段階のため、自治会や町内会の自治組織が未成熟な場合もあります。
新興住宅地で暮らすメリット

成熟住宅地と比べ、新興住宅地で暮らすメリットはどういった点が考えられるのでしょうか。6つのメリットを紹介します。
住宅・設備が新しい
さらに、新興住宅地は道路幅の確保や角地の隅切り※がされており、見通しがよく通行しやすくなっています。
※ 角地である土地の角を切り取って道路状にすること
周辺施設が充実している
新興住宅地の周辺には、新たに商業施設や公園が建てられるケースもあります。買い物や外食、休日のおでかけスポットなど、日々の生活で利用できる施設が充実している点はメリットです。
また、国土交通省の「開発許可に関する最近の動向について」 によると、都市計画法上、一定規模の開発区域には、公園や緑地、広場などの設置が求められることがあります。特に子育て世帯には、近隣に子どもと遊べる施設があるのもうれしいですね。
新しく引越してきた人が多い
新興住宅地は、新たに引越してきた人が多くいます。そのため、年齢層が若く、地域のルールや慣習が定着していないことが多いです。成熟住宅地ですでに形成されているルールや慣習を負担に感じてしまう人には、大きなメリットといえるでしょう。
子育てしやすい環境が整っている
新興住宅地は、子育てしやすい環境が整っている点もメリットです。
同年代の若い子育て世帯が多いため、親同士、子ども間の交流が生まれやすく、同じ通園・通学先での情報交換もしやすい環境です。
また、同年代の子どもを持つ世帯同士が集まることで、子育て中の苦労や悩みを共有しやすくなります。隣接住戸や公園から聞こえる子どもの声や生活音などに対して、理解しあえる可能性も高いでしょう。
区画が明確でトラブルが起きにくい
新興住宅地は、宅地として整備され土地の境界が明確になっているため、トラブルになりにくい点もメリットです。
土地の境界が明確でないと、隣地との専有部分に関するトラブルの他、将来売却する際に測量費用がかかることもあるでしょう。
地盤が強い場所が多い
新興住宅地は、地盤が強い場所に多いのもメリットです。まとまった広さの土地をデベロッパーが新興住宅地として開発するケースが多く、都市計画法の開発許可をはじめ、宅地としての安全性が一定レベルで求められます。
そのため、地盤の改良や擁壁の設置などの対策が施されることで、地盤の強い土地が比較的多いのが特徴です。
購入した土地が軟弱地盤だと、地盤改良工事に多額の費用がかかることもあります。そういった可能性が低い点は、新興住宅地のメリットでしょう。
新興住宅地で暮らすデメリット

新興住宅地での暮らしを検討する際、土地や住宅そのものは問題なくても、新しく作られた住宅地であることから人によってはデメリットになることも。この章では、6つのデメリットを紹介します。
自治会が未成熟なことが多い
自治会が成熟しきっていない点が、デメリットの一つです。
成熟住宅地では、すでに自治会のコミュニティが形成されています。生活に必要な地域のルールが設けられており、住民の安心感があります。ところが、新しく開発された新興住宅地の場合、自治会が発足したばかりでは、ルールを設ける段階から始めなくてはなりません。
ただし、これから組織する、あるいは発足したばかりの自治会は、住民一人ひとりの意見が通りやすいメリットがあります。
駅まで遠い場合がある
都市部から少し離れた郊外エリアに作られることが多い新興住宅地は、最寄り駅までの距離が遠いことも珍しくありません。そのため、通勤や通学の利便性が低い点がデメリットとなる場合もあります。
しかし、駅近の土地は利便性が高い一方、商業系の用途地域が指定されることが多く、周辺に高層の商業ビルやマンション、遊戯施設が建てられる可能性もあります。
騒音や治安、将来の環境の変化の面では、住環境としての落ち着きに欠ける場合も。対して、新興住宅地は、駅周辺の喧騒から離れた場所に住むことができ、比較的落ち着いた暮らしが期待できます。
子どもが多く落ち着かない
子育て世帯の多い新興住宅地では、家の前の道路や近隣の公園で子どもが遊ぶ声や音が気になる場合もあります。子どもの声や音が気になりやすい人にはデメリットとなる可能性も。
一方で、通学・通園先だけでなく、地域で親子ともに同世代の友達ができやすいのは魅力です。
家同士の距離が近い場合がある
区画によっては、家同士の距離が近くなったり、日当たりがよくなかったりすることも。また、近隣住民の視線が気になってしまうこともあるかもしれません。
しかし近隣住民との関係を良好なものにできれば、困った時に近くで助け合える心強い存在となるでしょう。
※1道路からの入り口部分が通路になっていて、通路の奥に建物の敷地がある形状の土地
※2道路の行き止まりにある通り抜けできない土地
意外に近所付き合いが盛んな場合がある
新興住宅地は、近所付き合いのしがらみなどは少ないといわれることもありますが、地域や交流する人によっては近所付き合いが盛んなケースも。
例えば、自分の子どもと同じ幼稚園や学校に通学する子どものいる世帯が同じ住宅地内に集まっていれば、送迎や買い物、散歩のたびに会う可能性も高くなります。もしコミュニケーションが負担に感じる場合は、あらかじめどのような付き合い方・距離感が過ごしやすいのか、考えておくのもおすすめです。
近隣にどのような人が住むかわからない
実際に住むまで近隣住民がどのような人かわかりにくいデメリットは、どの住宅地や集合住宅でも挙げられます。
しかし、成熟住宅地や集合住宅は内見などであらかじめ周辺情報を確認できるのに対して、新興住宅地の場合は、近隣の居住者が決まっていない状況で土地の購入を検討しなくてはならない可能性も。そのため、新興住宅地は事前の情報収集が難しい場合があります。
新興住宅地に住むのに向いている人は?

ここまで新興住宅地のメリット、デメリットを紹介しましたが、どのような人が新興住宅地に住むのに向いているのでしょうか。特徴を3つ紹介します。
新しい土地に住みたい人
新しく整備された土地や環境で生活を始めたい人には、新興住宅地はおすすめです。
新興住宅地として整備された時期によって、その時代に合わせた街づくりや再開発がされているケースも。そのため新しい時代にあった環境や雰囲気で新生活をスタートさせることができます。
子育て中の人
子育て中の人も新興住宅地には向いているでしょう。
近隣に子育て世帯が集まりやすいためです。子育て中は、悩みや不安を抱えることがあります。そのような時に近い場所や同じ地域で、育児や子育ての相談をしたり、情報交換をしたりできる人がいると安心感があります。
また、子どもにとっても友達を作りやすい環境に。さらに、近隣から一緒に通学できる友達がいれば一人での登下校を避けられます。防犯にもつながり、安心して送り出すことができますね。
昔ながらの近隣付き合いを避けたい人
昔ながらのしがらみや近所付き合いを避けたい人に、新興住宅地はおすすめです。
成熟住宅地などの場合、地域ごとにすでに完成された自治会や町内会があり、なかには地域の集まりや活動への参加がルールや慣習になっている場所も少なくありません。
対して新興住宅地は、自治会が発足したて、もしくは発足前の場合も多く、ルールなどが定着する前であることも。ルールを設ける際にも住民の意見を柔軟に取り入れてもらいやすいかもしれません。そのため、昔ながらの近所付き合いを避けたい方には新興住宅が向いているといえます。
首都圏の新興住宅地の例

ここでは、首都圏の新興住宅地の事例を3つご紹介します。
埼玉県さいたま市緑区浦和美園駅周辺の例
埼玉県さいたま市緑区の浦和美園駅周辺には、新たに区画整備された新興住宅地が多く集まっています。
浦和美園は、2001年に開業した埼玉高速鉄道「浦和美園駅」と国内最大級のサッカースタジアム「埼玉スタジアム2002」の開業を機に開発整備が進んだ街です。
駅周辺には、大型ショッピングモール「イオンモール浦和美園」など買い物施設があるほか、保育所や自然豊かな公園が数多くあり、子育てしやすい環境が揃っています。
さらに埼玉高速鉄道の始発駅として、座ったまま電車で都心に出られます。東京都北区の赤羽岩淵駅まで約19分と都内へのアクセスもしやすく、近年住宅地として人気です。
駅周辺の新興住宅地は、落ち着いた住環境と自然豊かな公園が広がっています。駅南側に立地する小学校や中学校へも通いやすい環境です。
神奈川県横浜市綱島駅周辺の例
続いて神奈川県横浜市の東急東横線「綱島駅」周辺の新興住宅地の事例です。
綱島駅の周辺には約400店舗から構成される「綱島商店街」やスーパーなどもあり、買い物や外食にも便利な街です。
綱島駅の西口と東口の商店街を抜けると、住宅地が広がっています。
住宅地のすぐ南には、綱島のランドマークとして親しまれている「鶴見川」があり、河川敷は、子どもの遊び場や散歩道として活用されています。
東急東横線で渋谷や横浜へもアクセスしやすく、2023年3月に新たに開業した「新綱島駅」周辺の再開発とあわせて今後さらに生活利便性の向上が期待できる街です。
千葉県柏市柏の葉キャンパス駅の例
最後に、千葉県柏市柏の葉キャンパス駅周辺の事例です。駅周辺には、低層住宅が立ち並ぶ新興住宅地があります。
2005年、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス」駅の開業をきっかけに、再開発が進んだ街です。駅周辺には、「ららぽーと柏の葉」をはじめとする大規模商業施設やマンションが建っています。
都心へのアクセスは、柏の葉キャンパス駅から区間快速で秋葉原駅まで約31分です。駅名にもなっているように、「東京大学柏の葉キャンパス」や「千葉大学柏の葉キャンパス」などの学校施設が誘致されています。
また、国土交通省の「スマートシティモデル事業」にも選定され、「公・民・学」が連携して街づくりが進められています。
駅から少し離れると、45ヘクタールの広さを誇る「千葉県立柏の葉公園」をはじめ、「こんぶくろ池自然博物公園」など自然環境が多く、近年子育て世帯にも人気の高いエリアです。
首都圏にある新興住宅地の例を3つご紹介しました。今回の例はいずれも駅に近い立地で、生活利便性の高さがうかがえる事例でしたね。
この記事のまとめ
最後にこれまでの内容をまとめました。
新興住宅地とは?
これまで畑や山林であった土地を、住宅地として区画、整備した場所です。駅から少し離れた郊外に作られることが多くあります。
新興住宅地で暮らすメリット・デメリットは?
道路や水道などの生活インフラが新しく、新たに移り住む人が集まるので、地域のしがらみが少ない点はメリットです。子育て世帯には、同世代が集まりやすく、親子ともに交流や情報交換がしやすいでしょう。
一方デメリットは、郊外に作られることが多いため、駅からのアクセスがよくない場所もある点です。また、場所や交流する人によっては近所づきあいが多く、負担に感じることがあるかもしれません。
新興住宅地に向いている人は?
新興住宅地は新しく作られた道路や土地で生活したい人や既存のコミュニティではなく新たな地域のコミュニティに参加したい人に向いています。また、子育て世帯も生活がしやすい環境が整っているでしょう。
ここまで新興住宅地について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
道路や生活インフラが新しく、各区画の境界が明確である他、周辺環境が整っているので安心して生活できるでしょう。
ご紹介したように、近年、首都圏で開発された新興住宅地でも、子育て世代を中心に人気が上昇している街もあります。これから住まいを探される方は、ぜひ参考にしてください。
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