土間とは?メリット・デメリットや、土間のある家の事例もご紹介

記事の目次
土間とは?

土間とは、外から建物につながる屋内空間の一部で、室内にあがる前の土足スペースを指します。いわば靴を脱ぐ場所となる玄関も、屋外と地続きになっている面から見れば土間といえます。ただし一般的に土間というと、よくある玄関に比べてかなり広め。ちょっとした作業場や収納などに使えるほどの面積があり、居住空間の一つとして活用できるスペースを土間というのが通常です。
土間の種類
土間は設置する場所や特徴により、次のような種類に分かれます。
玄関土間
玄関土間とは、その名のとおり、玄関の靴を脱ぐスペースがそのまま広くなったタイプです。室内までの出入口部分を広く確保できることで、靴や傘などを収納するスペースに活用するケースや、ガレージや倉庫代わりに使う例も多々見られます。
通り土間
通り土間は、玄関から続く廊下を土足で行き来できるスペースにしたタイプです。通り土間の活用例は、複数の部屋から屋外に出入りしやすくしたり、玄関から裏庭につながるようにしたり。土足で通り抜けできる空間をつくることで、生活動線を便利にするなど、さまざまな有効活用が可能です。
土間キッチン
土間キッチンは、屋外とつながるスペースに台所を設置するタイプです。古い家でもよく見られる形式で、土間に炊事場があることで、例えば収穫した農作物の処理や保管をしやすくするといったメリットがあります。
土間テラス
土間テラスは、庭などの屋外スペースを屋根の下に組み込んだタイプで、インナーテラスとも呼ばれます。
例えばテーブルや椅子を置いてカフェのようにお茶やお酒を嗜んだり、家の中でアウトドア気分を楽しんだりと、おしゃれな活用方法ができますよ。
土間の用途と活用法
土間のように、土足であがれる空間が広く取られていることで、次のようにさまざまな使い方が考えられます。
収納スペース

例えば土間の一部を収納にして、シューズクロークにしたりアウターを置いたりなど、外出時にも便利なスペースを確保できます。
他にも、普段あまり使わない荷物やシーズン品を片付けておくなど、納戸のように使うことも可能。室内ではなかなか保管しづらい汚れやすい用品も、土間に置いておくことで、出し入れがしやすく雨風にもさらさずに済みます。
趣味・作業をおこなうスペース

広い土間があれば天気に関係なく作業がしやすく、例えばDIYをしたり、自転車やバイクなどのメンテナンスをしたりも可能。そもそも土足で出入りする土間なら多少汚れても問題ないので、絵などの作品を制作するアトリエや、植物を育てるガーデニングスペースにもできます。
狭い玄関だと人が出入りする以外に使うのは難しいですが、土間があることで趣味を充実させる空間をつくり出せます。
コミュニケーションスペース
土間を利用して簡単な応接間を設けるなど、コミュニケーションスペースとして使う方法も。玄関先にコミュニケーションスペースがあれば、自宅内のプライバシーを守りやすく、靴を脱いでもらう手間も省けます。
他にも小さなお子さんが遊べるスペースにしておけば、水を使った遊びなど室内ではやりにくい遊びをすることもできる利点があります。
各部屋への風通しのためのスペース
土間によって間口の大きい出入口や、外から外につながるような通り道をつくることで、風通しがよくなる効果も見込めます。
例えば土間と繋がる各所に窓をつくれば、より風が通りやすくなる空間をつくることも可能。また、風通しのいい広い土間であれば、洗濯物を干す場所などにも活用できます。
ペットのためのスペース
土間をペットスペースにすれば、抜け毛や外からの汚れなども室内に持ち込みづらくなります。ワンちゃんなら散歩や庭で遊んだあと、足をきれいにして部屋に入れる必要がありますが、土間があればその手間もなくなります。外飼いのような利便性もありつつ、家族との触れ合いもしやすいのは大きな利点です。
土間のメリット

ここまでに見てきたように、土間の活用方法は幅広く考えられます。なおかつ土間を上手に使っていくことで、次のようなメリットもあります。
夏は涼しい
土間の床に使われる多くの素材は、熱がこもりにくい機能性があり、特に夏場は涼しく感じやすいのが利点です。さらに土間があることで風通しもよくなるため、冷房の電気代も抑えやすいのはメリットでしょう。土間全体がひんやりした感覚になるので、例えば猛暑の日でも作業がしやすかったり、お子さんが遊びやすかったりする効果もあります。
外で使うものを収納できる
土間のように広々としたスペースがあれば、例えばベビーカー・自転車・スーツケースなど、頻繁に外で使うものを保管するのにも便利です。土間のない狭い玄関なら、大きめの荷物を置いてしまうと邪魔に感じやすいですが、土間があればそうした心配もありません。
また、外で使うものを土間のような出入口付近に片付けておけば、外出時の動線もスムーズになります。
多目的に使える
前述にも出てきたように土間は、収納場所・作業場・趣味のスペース・応接間・子どもやペットの遊び場など、幅広い用途に使用できる大きなメリットを持ちます。
また、水や泥などの汚れも気にせずに利用できるため、雨に濡れた傘やテントを干したり、ゴミの一時置き場にしたりといった使い方も可能。屋外と室内の中間地点となる特性を活かして、あらゆる活用方法が検討できます。
掃除がしやすい
土間は外からの砂が入ってきやすい一面もありますが、ホウキなどでササっと掃き出すだけで掃除が済むのは便利なメリットです。
他にも、例えば泥や砂が付着した洗濯物などは、土間ではたいて汚れを落とすといった前処理がしやすい利点も。室内と違って、比較的簡単に掃除がしやすいため、汚れ物を取り扱いやすくなる効果も見込めます。
土間のデメリット

土間があることで空間を有効活用できる利点はありますが、一方で注意しておきたいデメリットもいくつかあります。
冬は床冷えする
土間は屋外の地面や基礎の上に直に接するスペースで、なおかつ床材に使われるものは熱が伝わりにくい性質があります。夏場は涼しく感じやすいですが、反対に冬場は寒さにつながりやすい点には注意が必要。土間から発生した冷気が室内に入ってくる可能性が高く、特に出入口に近い部屋では、しっかりとした暖房対策をすることが重要です。
湿気が生じやすい
特に冬場の窓に出てくる結露は、室内と外部の温度差が原因で発生します。この原理と同じように、土間は室内の暖かい空気と外からの冷気がちょうど交わる地点なので、結露のような湿気が溜まりやすくなります。外との温度差が大きくなりやすい季節では、湿気がこもる可能性もあるので要注意です。
居住スペースが狭くなる場合がある
敷地が狭い場合には、限られた面積のなかで、土間スペースを確保しなければなりません。そうするとリビングや浴室など、室内の居住空間の一部を土間に割り当てる必要があります。土間を設計に組み込みたい場合には、あらかじめ日々の生活をイメージしながら、各空間のバランスをしっかりと考えることも大切です。
土間を作る際に知っておきたいポイント
実際に、土間を設けた快適な住まいづくりをするために、あらかじめ知っておきたいポイントも見ていきましょう。
床の素材の種類
土間に使用される床材にはさまざまな種類があり、それぞれで見た目や機能性などは異なります。土間の床材となる代表例をいくつかピックアップし、その特徴をご紹介します。
コンクリート
コンクリートは、床材のなかでも強度が高く、セメント・砂・砂利からできていることから、見た目はシンプルになりやすいのが特徴です。主張がさほど強くないため、どのようなデザインにも合わせやすい利点があります。
モルタル

モルタルは、コンクリートと同様に、セメントからできている素材です。コンクリートよりも粒が細かく、見た目も滑らかで、デザインもしやすいのが特徴。例えば石を混ぜ込んで模様のように見せたり、目地を付けたりすることも可能です。
タイル
タイルは、模様・カラー・質感・大きさなど、自由にデザインを組み合わせやすく、さまざまなタイプの住宅に取り入れられています。例えば木目調やレンガ調など、個性的なデザインがしやすいのも特徴。また表面加工も、滑り止めや汚れ防止など、目的に応じて選びやすいのが利点です。
天然石
タイルのようにデザイン性が高く、さらに天然の素材感から、より上品な仕上がりにしやすいのが天然石です。独特な高級感から人気を集めており、おしゃれでシックな見た目にできるのが特徴。
ただし、比較的コストが高く、種類によってはシミが付きやすいなど、メンテナンスの手間が多くなる一面もあります。
汚れ対策
土間は外から土足で入ってくる場所なので、どうしても汚れは溜まりやすい部分です。いつもキレイな状態を保つためには、掃除をしやすい環境にしておくのがおすすめ。例えば収納なら壁かけや吊り下げタイプを使う、キャスター付きで自由に動かせるワゴン型にするなど。土間用のホウキといった掃除用具も、常時セットしておきましょう。また水栓があれば、水洗いもしやすくなります。
湿気・寒さ対策
土間による湿度や冷気は、周りの内装に使う素材や設備を工夫して対策するとよいでしょう。例えば湿気防止として、土間に換気扇を取り付けて空気を循環させるなど。また壁は、調湿機能のあるクロスや、漆喰や珪藻土などの素材を利用するのがおすすめです。
また、土間に床暖房を敷けば、冷えやすい土間空間を保温しやすくなり、暖房効率も高まります。
土間を作る際のレイアウト・デザインの工夫
土間のレイアウトやデザインを決める際には、次のような部分にも注目しておくと、より使いやすい空間にできます。
照明にこだわる
特に窓のない玄関土間は、採光がしにくく暗くなりやすいため、照明を取り付けて明るさを確保するようにしましょう。
おしゃれなペンダントライトや、間接照明などを取り入れることで、おしゃれな雰囲気も演出できます。うまく照明を活用すれば、家全体を明るく開放的に見せることも可能です。
扉を付ける
寒い冬向けの対策として、土間と居住スペースの間には、自由に開け閉めできる扉があると便利です。夏場は扉を開けっ放しにしておけば土間からの風が通りやすく、冬場はなるべく閉め切って、土間の寒さがリビングに来ないようにすれば、居住スペースの暖房効率も下げずに済みます。
各部屋への風通しを考える
通り土間にして空気の流れをよくしたい場合は、どうすれば各部屋に風が入りやすいか、きちんと設計段階で考慮しておくのがおすすめです。例えば通り土間側にも窓を付けるなど、空気の通り道を確保しておくと、より効果的な空間にできます。
参考にしたい土間のある家のアイデア・事例
ここからは、実際に特徴的な土間があるマイホームの事例をいくつかピックアップし、それぞれのアイデアのポイントを解説していきます。
収納と趣味のスペースを兼ねた土間

こちらのご家庭では、元々洋室だった玄関横のスペースを土間にリフォームして使っています。土間には靴やアウトドア用品などを収納すると同時に、ウエイトグッズを置いて筋トレルームとしても活用。また洋室の窓をそのまま利用して、自然光の入る明るい印象になっているのも特徴です。
DIYの作業スペースとしての土間

こちらはリビングダイニングとほぼ地続きになった、ワークスペース式の玄関土間になっています。土間にはデスクを置いて、DIYなどのさまざまな作業に使える空間として設置。土間とリビングダイニングとの仕切りがないことで、明るく開放的な印象になっています。
趣味と生活がうまく共存した住まいになっているのが特徴です。
第二のリビングとしての土間

こちらの事例は、広々としたくつろぎの空間として玄関土間を設けているのが特徴です。
土間にはチェアや本棚を置いてリラックスできるスペースとし、趣向の異なる第二のリビングとして活用。夏は涼しいので土間をメインのリビングとして活用しているようです。区切ればひと部屋増やすことも可能で、さまざまな活用方法ができる贅沢な土間空間となっています。
庭を望む土間テラス

こちらは、屋外との境目をすべて大きな窓のガラス張りにした土間テラスにより、おしゃれなカフェ風になっているのが特徴です。
広々とした土間テラスで、外の眺めを見ながらくつろげるうえに、目の前に広がる庭でお子さんの遊ぶ様子を伺うことも可能。部屋のなかにいながら、庭と一体になったような空間演出を楽しめるのがポイントです。
まとめ
外から自由に行き来しやすい土間をつくることで、例えば好きな趣味スペースにしたり、家族でふれあいやすい空間にしたり、さまざまな活用ができます。土間をつくることで、より個性的な住まいづくりができるうえに、収納や生活動線などの機能性を高めることも可能。利便性も、デザイン的なこだわりも追求したい場合には、ぜひ土間のあるマイホームも検討してみてくださいね。
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