残価設定型住宅ローンとは?仕組みをわかりやすく解説!メリットや向いている人の特徴も
このような経済的不安を軽減し、ライフスタイルに柔軟な対応ができる住宅ローンが、残価設定型住宅ローンです。この記事では、残価設定型住宅ローンとは何か、その仕組みやメリット・デメリット、利用するのに向いている人の特徴などをわかりやすく解説します。
記事の目次
残価設定型住宅ローンとは

残価設定型住宅ローンとは、購入する住宅の将来的な資産価値(残価)をあらかじめ設定し、残価分を除いた金額のみを借り入れる新しいタイプの住宅ローンです。
当初は一般的な住宅ローンと同じように返済していきますが、JTI(一般社団法人移住・すみかえ支援機構)が設定した残価設定月以降に「返済額軽減オプション」と「買取オプション」が付与され、ローン契約者は希望するオプションを選択することで、ローンの返済方法を変更できます。
また、残価設定型住宅ローンを利用できるのはJTIが指定する金融機関のみです。
残価設定型住宅ローンの仕組み
残価設定型住宅ローンは、契約当初は通常の住宅ローンと同じように元本と利息を返済していきます。また、残価設定型住宅ローンにはJTIによる残価保証が付いており、JTIが保証する残価とローン残高がはじめて同額になる月を残価設定月とします。
例えば、5,000万円の住宅を購入し、将来の残価を2,000万円と設定するとどうなるのでしょうか。この場合、当初は残価を除いた3,000万円部分を中心に返済を進めます。
【借入額】5,000万円
【残価】2,000万円

その後、残価設定月を迎えた段階で「返済額軽減オプション」または「買取オプション」を選択することが可能です。返済額軽減オプションは返済額を抑えられる終身ローン(新型リバースモーゲージ)になり、契約者の死亡後は買取オプションの発動でローンは精算されます。
また、買取オプションはJTIがローン残高で自宅を買い取る仕組みです。
残価設定月以降に行使できる2つのオプション

残価設定型住宅ローンは、残価設定月以降に2つのオプションから希望するものを行使できます。
返済額軽減オプション
返済額軽減オプションを行使すると、物件ごとにあらかじめ決められた残価設定月以降(目安として概ね20~25年目以降)の返済額を軽減できます。返済額に占める元本が少額になるため、当初の返済額から3~4割程度、圧縮することが可能です。また、住宅ローン契約時から51年目以降は金利のみの支払いとなり、最終的には契約当初の10分の1程度まで返済額を抑えられます。ローン契約者の死亡後は買取オプションにより住宅を売却してローンを精算します。
買取オプション
買取オプションを行使すると、JTIにその時点のローン残高で住宅を買い取ってもらえます。売却時の市場価格に影響されることなくローンは完済されるため、売却価格よりもローン残高が多くなるオーバーローンのリスクを回避できます。
オプションを行使しない場合
返済額軽減オプションと買取オプションのどちらも行使しない方法を選択することも可能です。その時は、残価分を一括返済するか、住宅ローンを組み直して残価分を返済していきます。
残価設定型住宅ローンとほかのローンとの違い

| 項目 | 残価設定型 住宅ローン |
一般住宅 ローン |
リバース モーゲージ |
|---|---|---|---|
| 利用目的 | 住宅購入 | 住宅購入 | 老後資金 |
| 月額負担 | 比較的少ない | 通常 | 利息のみ |
| 対象年齢 | 幅広い | 幅広い | 高齢者中心 |
| 残価保証 | あり | なし | なし |
| 住み替え対応 | しやすい | 通常売却 | 限定的 |
残価設定型住宅ローンは新しいタイプの住宅ローンですが、既存のローンとはどのような違いがあるのでしょうか。
一般的な住宅ローン
一般的な住宅ローンは、借入金額の全額を完済するローンです。借入金額によっては、長期にわたり高額な返済額の負担が続くこともあります。
ケースによっては定年退職後も返済の負担が続くことがあるかもしれません。ただ、一般的な住宅ローンは原則としてすべての住宅で利用できます。
一方、残価設定型住宅ローンは、将来の資産価値(残価)をあらかじめ設定し、残価を除いた分だけを借り入れます。一般的な住宅ローンは物件価格全体により返済額が決まりますが、残価設定型住宅ローンでは物件価格から残価を差し引いた金額により返済額が決まるため、借入額が減った分だけ返済額が軽減されます。また、残価設定月以降に選ぶオプションによっては、さらに返済額を抑えられ、定年退職後に収入が減少した時の経済的負担を抑えられるでしょう。
ただし、残価設定型住宅ローンを利用できる住宅は、JTIが認定するハウスメーカーや工務店が建築した認定長期優良住宅に限られます。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは高齢者向けのローンで、自宅を担保に金融機関から老後資金などを目的に資金を借り入れ、生存中は利息のみを支払います。そして契約者が死亡後、住宅を売却してローンを精算しますが、市場価格の下落で売却価格が借入金額を下回った場合、契約内容によっては相続人に差額の負担が発生するかもしれません。
一方、残価設定型住宅ローンは、住宅購入を目的としたローンです。借り入れから残価設定月まで(20~25年目が目安)と、残価設定月以降ローン契約から50年経つ時点までは返済額に元本が含まれますが、ローンを契約してから51年目以降はリバースモーゲージと同様に金利のみの返済となります。
ただ、契約者が死亡した時は買取オプションによりJTIがローン残高で自宅を買い取ってくれるため、市場価格が下落していても相続人への経済的負担は発生しません。
残価設定型住宅ローンのメリット

残価設定型住宅ローンには以下のような4つのメリットがあります。
毎月の返済額を抑えられる
残価設定型住宅ローンを利用すれば、月々の返済額を抑えられます。物件価格からあらかじめ決められた残価分を差し引いた金額でローンが組まれるため、通常の住宅ローンよりも返済額を軽減できます。
返済額の軽減による差額分は教育費や老後資金、投資など他の目的で使う資金に充てることも可能です。
資産価値下落のリスクを回避できる
通常の住宅ローンでは自宅を売却したい時に、予測以上に住宅の資産価値が下落していると、売却価格よりもローン残高のほうが多くなるオーバーローンに陥ることがあるかもしれません。その点、残価設定型住宅ローンでは買取オプションを選べばJTIがその時点のローン残高で住宅を買い取ってくれるので、オーバーローンのリスクを回避できます。
老後の返済負担を軽減できる可能性がある
残価設定型住宅ローンでは、残価設定月以降に返済額軽減オプションを選択すると、返済額が3~4割程度軽減され、51年目からは金利のみの返済に変わります。定年退職で収入が減少し、年金のみの生活になったタイミングで返済額軽減オプションを活用すれば、老後の返済負担を軽減できるので、無理なく返済を続けられるでしょう。
残価設定月以降ライフスタイルに合わせた選択ができる
残価設定型住宅ローンでは、残価設定月以降にライフスタイルや家計状況に合わせて柔軟にオプションを選択できます。収入が減って返済が厳しくなれば返済額軽減オプションを、地方移住や実家に戻りたい時、あるいは子どもが独立して住まいをコンパクトにしたい時は買取オプションを選択するなど、ライフスタイルに合ったオプションを選ぶとよいでしょう。
残価設定型住宅ローンのデメリット

残価設定型住宅ローンには以下のようなデメリットもあるので確認しておきましょう。
総支払額が増える可能性がある
残価設定月以降に返済額軽減オプションを選ぶと、返済額は軽減されますが、ローンの返済は亡くなるまで続きます。金利の支払いが続くので、長生きするほど金利負担が増えて、結果として通常の住宅ローンよりも総返済額が増える可能性があります。毎月の負担は軽くなるため、ライフプランとの兼ね合いで判断しましょう。
利用できる住宅が限定される
残価設定型住宅ローンが利用できる住宅は、JTIが認定するハウスメーカーや工務店によって建てられた認定長期優良住宅に限られます。また、残価設定型住宅ローンを取り扱う金融機関も限られるので注意が必要です。
定期的な点検や修繕の義務がある
残価設定型住宅ローンが利用できる住宅は認定長期優良住宅です。そもそも認定長期優良住宅では維持保全計画書に基づいた定期的な点検や修繕が必要です。残価設定型住宅ローンの利用条件は長期メンテナンスプログラムの実施が必須なので維持コストもかかります。
残価設定型住宅ローンが向いている人の特徴

残価設定型住宅ローンはどのような人に適したローンなのでしょうか。ここでは残価設定型住宅ローンが向いている人の特徴を解説します。
月々の返済負担を軽くしたい人
残価設定型住宅ローンは月々の返済負担を軽くしたい人に向いています。住宅を購入する時期は、子どもの教育費の負担や老後資金を準備する時期と重なることが少なくありません。
そのような時に残価設定型住宅ローンを利用すれば、残価を除いた金額でローンが組まれるので、そもそもの返済負担を抑えられます。通常の住宅ローンよりも負担が軽くなり、差額分は教育費や老後資金の準備など、他に必要な資金に割り当てられるでしょう。
定年後の住宅ローン負担に不安がある人
定年後、収入が年金のみになってからの返済を不安に感じている人は残価設定型住宅ローンが向いています。残価設定型住宅ローンを利用して残価設定月以降、定年後のタイミングで返済額軽減オプションを選択すれば、物件価格や借入額にもよりますが返済額を3~4割程度減らせます。
年金だけでは生活費が不足すると言われている昨今、ローンの返済を続けていくのは大変です。そんな時に返済額を軽減できれば、老後の生活費を確保できるので生活の安定につながります。
将来の住み替えを視野に入れている人
将来、住み替えを考えている人は残価設定型住宅ローンに向いています。例えば、子どもが独立したあとは、夫婦2人でコンパクトな家に住み替えたい、あるいは、地方に移住したい、定年後は実家を引き継ぎたいなど、いずれは住み替えを計画している人は検討してみてもよいでしょう。
残価設定月以降、住み替えのタイミングで買取オプションを選択すればJTIにローン残高で自宅を買い取ってもらえるので、売却時の不安を解消できます。
まとめ
最後に残価設定型住宅ローンの概要と、メリットや利用が向いている人の特徴を確認しておきましょう。
残価設定型住宅ローンとは?
残価設定型住宅ローンとは、購入する住宅の将来的な資産価値(残価)をあらかじめ設定し、残価分を除いた金額のみを借り入れる住宅ローンです。JTIが設定した残価設定月以降に、返済額軽減オプションと買取オプションが付与され、ライフスタイルや家計状況に合わせたオプションを選択できます。
残価設定型住宅ローンのメリットは?
残価設定型住宅ローンは、最初に設定された残価を除いた金額で住宅ローンを組むので毎月の返済額が抑えられ、残価設定月以降に返済額軽減オプションを選べば老後の返済負担を軽減できます。また、買取オプションを選べばその時点でのローン残高で自宅を買い取ってもらえるので、資産価値が下落していてもオーバーローンになるリスクを回避できます。
残価設定型住宅ローンが向いている人の特徴は?
月々のローン返済の負担を軽くしたい人、定年後の住宅ローン返済に不安を抱えている人、あるいは、将来住み替えを考えている人は、残価設定型住宅ローンの利用に向いています。
住宅には資金計画が欠かせません。収入の状況や老後資金など他に準備しなければならない資金も考えて、長期にわたる住宅ローンを無理なく返済し続けられるかを考える必要があります。この時、選択肢のひとつとして、返済負担が軽減できる残価設定型住宅ローンを検討してみてもよいでしょう。ただし、利用する際は残価設定型住宅ローンの内容やデメリットになる点もよく確認したうえで利用することをおすすめします。
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