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PayPayで固定資産税を払える?ポイントはつかない?支払い方法やメリット・デメリットを解説

従来、固定資産税の納付方法は、口座振替か窓口払いが一般的でした。しかし、近年ではクレジットカードやQRコード決済による納付が可能な自治体も増えています。この記事では、PayPayで固定資産税の支払いを検討している方に向けて、PayPayで固定資産税を支払うメリットとデメリットや、PayPayで固定資産税を支払う手順および注意点について詳しく解説します。

なお、この記事は2023年5月現在の情報に基づいて作成しています。

固定資産税はPayPayで支払いできる!

そもそも、固定資産税をPayPayで支払うことができることをご存じなかった方も多いのではないでしょうか。ここでは、固定資産税のキャッシュレス納税が可能になった経緯、お住まいの市区町村がPayPay支払いに対応しているかの調べ方、固定資産税を支払うことのできるPayPay以外のキャッシュレス決済手段についてご紹介します。

キャッシュレス納税が可能になった経緯

クレジットカード、スマホアプリ、インターネットバンキングといったキャッシュレス納税が可能となったことの背景には、行政のデジタル化や官民挙げてのキャッシュレス推進があります。この点、財務省の広報誌では、「納税者の利便性の向上や納税事務の効率化を図り、現金管理などにともなう社会全体のコストを縮減するには、キャッシュレス納付の拡大が不可欠となっている」と説明されています。

出典:財務省広報誌「ファイナンス」

PayPay支払いが可能な自治体 

PayPay支払いが可能かは自治体によって異なります。たとえば、東京都だと23区・立川市・三鷹市、大阪府だと大阪市・岸和田市・豊中市、福岡県だと北九州市・福岡市では、固定資産税のPayPay支払いが可能です。一方、同じ大阪府でも寝屋川市は2023年5月31日まではPayPay支払いをおこなうことができません(2023年6月1日からPayPay支払い可)。

出典:大阪府寝屋川市ホームページ

PayPay支払いに対応している自治体とそうでない自治体があるので、お住まいの自治体が対応しているかは下記からご確認ください。

出典:PayPayホームページ

固定資産税に対応しているキャッシュレス決済 

自治体によっては、PayPay以外のアプリでも固定資産税を納付することができます。例えば、東京都23区の場合はau Pay、d払い、J-Coin Pay、LINE Pay、PayB、楽天Payが利用できます。また、東京都立川市の場合は、au Pay、d払い、J-Coin Pay、LINE Payが利用可能です。利用可能なアプリは、各自治体のホームページで公開されています。

出典:東京都ホームページ

出典:東京都立川市ホームページ

固定資産税をPayPayで支払うメリット

固定資産税をPayPayで支払うメリットは、決済手数料がかからないこと、事前手続きが不要でいつでもどこでも支払えること、「PayPayステップ」のカウント対象となることです。それぞれについてご紹介します。

決済手数料がかからない

クレジットカードで固定資産税を支払う場合、決済手数料(システム利用料)がかかります。具体的な決済手数料は地方税共同機構クレジットカード納付サイトで計算することができます。

出典:地方税共同機構クレジットカード納付サイト

一方、PayPayで支払う場合はこうした決済手数料がかかりません。クレジットカードで10万円の固定資産税を納付する場合の決済手数料は783円(税込)ですが、PayPayで支払えば決済手数料0円で納付することができます。

いつでもどこでも支払い可能

金融機関や郵便局の窓口で固定資産税を支払う場合、営業時間内に窓口まで出向かなければなりません。しかし、PayPay支払いであればシステムメンテナンスの時間以外は、いつでもどこからでも支払いが可能です。自宅から支払いができるのは、近くに窓口がない方にとっては大きなメリットですね。

事前手続きは不要

口座振替では事前の申し込み手続きが必要ですが、PayPay支払いをする場合は、すでにPayPayを利用している方であれば、事前手続きは不要です。

「PayPayステップ」のカウント対象になる

PayPayには、毎月の利用状況によってポイントが戻ってくる「PayPayステップ」という制度があります。固定資産税の支払いも「PayPayステップ」のカウント対象になるため、固定資産税をPayPayで支払うと条件達成の助けになるでしょう。

出典:PayPayホームページ

固定資産税をPayPayで支払うデメリット

ここまで固定資産税をPayPayで支払うメリットをご紹介しました。次に、固定資産税をPayPayで支払うデメリットをいくつか見ていきましょう。

「PayPayマネー」か「PayPayあと払い」でしか支払えない 

1点目のデメリットとして、固定資産税は「PayPayマネー」か「PayPayあと払い」でしか支払いができない点があります。PayPayを介したクレジットカード支払いや、PayPayポイントを使った支払いはできないので注意してださい。なお、「PayPayマネー」とは「出金が可能なPayPay残高で、本人確認後に、銀行口座、セブン銀行ATM、ローソン銀行ATM、ヤフオク!・PayPayフリマの売上金からチャージした残高」のことで、「PayPayあと払い」とは「当月に利用した金額を翌月まとめて支払えるPayPayのお支払い方法」のことです。

出典:PayPayホームページ

納付書の金額が30万円以下しか決済できない 

2点目のデメリットとして、PayPay支払いは納付書1枚あたりの金額が、30万円以下の場合しか決済できない点があります。年間の固定資産税の金額が30万円を超えている場合でも、第1期から第4期までの各期の納付額が30万円以下のときは、一括納付のための納付書ではなく分割納付(分納)のための納付書を使うとPayPayで支払いをおこなうことができます。

領収書は発行されない

3点目のデメリットとして、PayPay支払いの場合、窓口払いと違って固定資産税の領収書が発行されない点があります。たとえば東京都では、「領収証書が必要な場合は金融機関等の窓口やコンビニエンスストアにてお納めください」と案内しています。

出典:東京都ホームページ

支払い後の取り消しができない

4点目のデメリットとして、固定資産税をPayPay支払いしたあとは取り消しができない点があります。PayPayでの支払いが完了したあとに、アプリからキャンセルや払い戻しをすることは一切できないので、二重支払いには注意しましょう。なお、もし二重支払いをしてしまっても、手続きをおこなえば払いすぎたお金は後日還付されるので安心です。

固定資産税の支払いでPayPayポイントはつく?

残念ながら、固定資産税の支払いでPayPayポイントはつきません。2022年3月31日までは固定資産税の支払いでPayPayポイントを付与されていましたが、2022年4月1日以降は付与されないこととなりました。ただし、先ほどご紹介したとおり、「PayPayステップ」のカウント対象にはなります。

固定資産税をPayPayで支払う際に注意すべきポイント

次に、固定資産税をPayPayで支払う際に注意すべきポイント3点を解説します。

二重支払いに注意 

固定資産税をPayPayで支払う場合、すでに支払いをおこなった請求書でも再度支払いができてしまいます。さらに、手元にある請求書に納付をした形跡が残らないので、二重支払いに注意する必要があります。PayPayアプリの支払履歴を見て、未払いであることを確認してから支払い手続きをしましょう。

なお、二重支払いをしてしまった場合、PayPayアプリ上での支払いキャンセルや返金を受けることはできません。ただし、後日、「過誤納金等還付通知書」といった名称の書類が自治体から送付されてくるので、その書類に同封されている「還付口座振込依頼書」に返金口座を記入して返送することで、しばらくすると二重払いしてしまった金額が返金されます。

事前に口座振替の停止手続きが必要

これまで固定資産税を口座振替で支払っていた方が、今回からPayPay支払いに切り替えようとする場合、事前に口座振替の停止手続きをおこなう必要があります。口座振替の停止手続きを失念したままPayPay支払いをすると、固定資産税の二重払いとなる可能性があるので注意しましょう。

口座振替の停止手続き方法は自治体によって異なります。東京都23区では東京都主税局徴収部納税推進課、もしくは所管の都税事務所徴収課への電話連絡することで、口座振替の停止をすることができます。また、大阪市の場合は大阪市行政オンラインシステムによる申請、もしくは「廃止届書」の郵送または窓口提出によって停止することが可能です。

出典:東京都ホームページ

出典:大阪市ホームページ

PayPayアプリのメンテナンス時間に注意

PayPayアプリはたびたびメンテナンスをおこなっており、メンテナンス時間中は一定の操作ができなくなります。そのため、余裕を持ってPayPay支払いをするようにしましょう。また、PayPay残高へのチャージを金融機関でおこなう場合、金融機関ごとに決まっている定期メンテナンス時間中はチャージができなくなる点にもご注意ください。

出典:PayPayホームページ

3ステップで完了!固定資産税をPayPayで支払う手順

次に、固定資産税をPayPayで支払う手順をご紹介します。事前準備から支払いまでの流れは次のとおりです。

  • 事前準備PayPay残高に必要な金額をチャージしておく
  • STEP 1PayPayアプリを立ち上げ、ホーム画面の[スキャン]を選択する
  • STEP 2固定資産税の納付書兼納入済通知書の[コンビニ収納用バーコード]をカメラでスキャンする
  • STEP 3支払先と金額が出てくるので確認し、間違いがなければ[支払う]をタップ。「支払い完了」の画面が出てきたら、固定資産税のPayPay支払いは完了です

PayPay支払いでよくある質問

ここまで、固定資産税をPayPayで支払うメリットやデメリット、そして支払い時の注意点および支払い方法をご紹介してきました。次に、PayPay支払いでよくある質問について回答します。

納税証明書は発行される?

PayPay支払いの場合、領収書は発行されません。しかし、納税証明書の発行申請は、他の納付方法で納付した場合と同じようにおこなうことができます。納税証明書の申請方法や発行手数料などはお住まいの自治体によって異なりますので、詳しくは各自治体のホームページでご確認ください。

家族名義でも支払いできる?

家族名義の固定資産税であっても、支払いをおこなうことはできます。たとえば、父所有のマンションの固定資産税を息子のPayPayアプリで支払うことは可能です。家族名義の固定資産税を支払う場合は、複数人が重複して固定資産税を支払ってしまわないよう、誰がいつまでに固定資産税を支払うかの認識を事前に共有しておくとよいでしょう。

納期限を過ぎた納付書でも支払いできる? 

納期限を過ぎた納付書で支払いができるかは、自治体によって異なります。たとえば、東京都23区の場合は「納期限後の納付書でもスマートフォン決済アプリで納付できます」としていますが、千葉県印西市の場合は「納期限が過ぎているものについては、使用することができません。(中略)納期限が過ぎたあとに、日中に金融機関に行けないなどの理由で、PayPayアプリでの支払いを希望する場合は、市役所納税課までご連絡ください」としています。

納期限を過ぎた納付書も支払いできるかは、各自治体のホームページでご確認ください。なお、納期限を過ぎると、ペナルティーである「延滞金」がかかる場合もあります。そのため、できるだけ納期限内に納付することをおすすめします。

出典:東京都ホームページ

出典:千葉県印西市ホームページ

固定資産税の支払いのときに「PayPayポイント」は使える?

固定資産税の支払いに使えるのは、「PayPayマネー」か「PayPayあと払い」のみです。そのため、支払いに「PayPayポイント」を使うことはできません。

領収書がないと困ることはある?

納付後すぐに納税証明書を発行してほしい場合は、領収書がないと困る可能性もあります。ただし、固定資産税額の確認は自治体から送付される「納税通知書」で、固定資産税を納付したことの証明は自治体に発行依頼する「納税通知書」で、それぞれ代替が可能です。

その他の固定資産税の支払い方法

ここまで、固定資産税をPayPayで支払う場合についてご紹介してきました。ただし、固定資産税はPayPay以外でもさまざまな方法で支払うことができます。各支払い方法のメリットとデメリットを、下表にまとめました。


支払い方法 メリット デメリット
現金 領収書が発行される 営業時間内に納付窓口へ出向く必要がある
口座振替 自動で引き落とされるので、自分で納付する必要がない 口座振替日までに引き落とされる金額を口座に入れておく必要がある
クレジットカード
決済
クレジットカードのポイントが貯まる(カードによる) 決済手数料が必要
電子マネー 電子マネーのポイントが貯まる 使える電子マネーが限定される
スマートフォン
決済
いつでもどこでも納付できる ポイントがつかない決済アプリも多い
ペイジー ATM、インターネットバンキングで納付できる 領収書が発行されない

上表のとおり、固定資産税の支払い方法は多岐にわたります。領収書が発行されるか、支払日を自分で選択できるか、支払いによってポイントがつくかといった条件は、支払い方法によって異なります。そのため、それぞれのメリットとデメリットを比較して、ご自分にあった支払い方法を選択するとよいでしょう。

まとめ

以上、PayPayで固定資産税を支払うメリット・デメリットや支払いの手順、注意点などをご紹介しました。固定資産税の支払い方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。PayPayで支払うメリットは決済手数料がかからない、事前手続きが不要でいつでもどこでも支払える、「PayPayステップ」のカウント対象となるといった点。一方、デメリットはPayPayマネーかPayPayあと払いでしか使えない、納付金額の上限がある、領収書が発行されないといった点が挙げられます。
これからマイホームの購入を検討されているのであれば、今回ご紹介した固定資産税の支払方法についての知識を、ぜひご参考にしてください。

執筆者

安藤 正三

税理士。事業会社の営業担当、税理士事務所勤務を経て、現在は大手メーカーの経理部で主に税務業務を担当しています。

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