住宅ローンのベストな借り換え時期とは?メリットやデメリットも解説!

本記事では、住宅ローンの借り換えの最適な時期やメリット、デメリットを解説します。
記事の目次
住宅ローンの借り換え時期を6つ紹介

住宅ローンの借り換えに最適な時期を知ることで、より賢い借り換えを実行することができます。住宅ローンの借り換えとは、返済中の毎月のローン支払額を今よりも少なくすることを目的とし、今の金利よりも低い設定で借り入れができる金融機関で、新たに住宅ローンを組み直すことです。
具体的に、住宅ローンの借り換えをおこなうのに適した時期を紹介していきます。
更新で金利が上がる時期
住宅ローンは、契約によっては一定の期間で金利が更新される仕組みになっています。変動金利の場合は半年ごと、固定期間選択型金利の場合は固定期間が終了したら新しい金利が適用されます。
更新により金利が以前よりも高くなってしまった場合は、他の住宅ローンに借り換えを検討するとよいタイミング。借り換え先のローンの金利が低ければ、総返済額を軽減できます。
また、当初固定金利の優遇期間やキャンペーンの適用が終わる時期も、金利を見直すのによいタイミングです。優遇期間などが終了すると、元の金利よりも高い金利になることがあるため、契約内容や金利タイプを確認し、必要に応じて借り換えをおこなうことで、支払額の軽減を図ることができます。
なお、借り換えを検討する際には、金利だけでなく、諸費用や手数料も考慮しましょう。借り換えを検討する際は、金利差が1.0%以上あることを目安にすると、総返済額の軽減効果が期待できます。
今より好条件のプランを見つけた時
住宅ローン契約後、経済情勢や金利動向の変化により、より好条件の住宅ローンが見つかることがあります。借り換えの試算をおこなうと、金利や総返済額に大きな差が生じることも。現在の契約内容と比較して、総合的に判断することが大切です。
収入が下がる時期
借り換えを検討する際には、収入の変化にも十分な注意が必要です。経済の動向や休職などによって収入が減る可能性がある場合は、早めに借り換え手続きを進めることが重要です。
なお、住宅ローンの借り換えをする際には、新たに金融機関の審査が必要となり、年収は支払い能力を判断する基準となります。収入が減ることで、審査に通らない可能性もあるため、注意が必要です。特に収入減のリスクが高い業種や職種に従事している場合は、借り換えのタイミングを慎重に考える必要があります。収入の変化が予測できる場合は、状況に応じて借り換えの計画を立てるようにしましょう。
一方、収入が増える見込みがある場合には、借り換えをおこないやすい条件を探すことで、より有利な住宅ローンを契約できる可能性があるでしょう。
転職を検討している時期
住宅ローンを借りる際には、収入や勤続年数が重要な要素となります。なかでも勤続年数は信用度に影響するため、年収が高くても勤続年数が短い場合は審査に通りづらくなる可能性があります。特に、住宅ローンの借り換えでは、審査基準が厳しくなる傾向があるため、注意が必要です。
勤続年数が長いと、住宅ローンの審査がスムーズに進みます。一般的には、5年以上の勤続年数であれば審査の際に有利になることが多いです。
また、勤続年数が短い場合や職歴に不安がある場合は、収入面での補填策を考えることも重要です。共同借り入れや保証人を立てるなど、信用リスクを低減する方法を検討することで、審査の通過率を高めることができます。
残高が1,000万円以上で10年以上期間が残っている時
住宅ローンの借り換えを検討する際には、住宅ローンの残高と返済期間も重要な要素となります。一般的に、ローン残高が1,000万円以上で残りの返済期間が10年以上ある場合、かつ借り換え後の金利が1.0%以上低い場合は、借り換え効果が期待できるとされています。ローン残高が2,000万円で、残りの期間が15年のケースで具体的なシミュレーションを見てみましょう。
月々の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|
金利2.0% | 18万4,026円 | 2,208万3,178円 |
金利1.0% | 17万5,208円 | 2,102万4,926円 |
差額 | 8,818円 | 105万8,252円 |
金利が1.0%低いプランに借り換えをすることで、月々の負担額だけではなく総返済額の軽減にもつながります。
他のローンを契約する前
住宅ローンの審査を受ける際には、他のローンの金額や返済状況も重要な要素として考慮されます。複数の借り入れ先がある場合、返済能力が不足していると判断される可能性があります。特に自動車ローンや教育ローンなどの他のローンの返済が滞っていると、住宅ローンの審査に大きな影響を及ぼすでしょう。そのため、これから自動車ローンや教育ローンを組むことを検討している場合は、契約する前に住宅ローンの借り換えを済ませておくとよいでしょう。
なお、既に他のローンがある場合は、住宅ローンの借り換えを検討する際に、現在の他のローンの金額や金利、返済期間を整理しましょう。また、過去に滞納や延滞があった場合は、正直に伝えることが重要です。借り換えの際には、他のローンを併せて月々の返済負担を再計算することが大切です。
住宅ローンの借り換えをする5つのメリット

住宅ローンを借り換える選択は、手続きや時間のコストを考えると一見面倒に思えるかもしれません。しかし、借り換えを適切なタイミングでおこなえば大きなメリットがあります。メリットを理解することで、あなたの金融計画をより効果的に進めるための指針となるでしょう。
返済額の負担を軽減できる
住宅ローンの借り換えにより金利が下がると、利息の負担が減少し、住宅ローンの総返済額を減らすことができます。さらに、毎月の返済額も軽減されるため、将来手元に多くのお金を残すことができるでしょう。
借り換えによる利息の削減は、ローンの期間が長いほど大きな効果が出ます。例えば、借入金額が3,000万円で金利を1.0%下げた際の総返済額のシミュレーションを見てみましょう。
総返済額 (借入期間20年) |
総返済額 (借入期間35年) |
|
---|---|---|
金利2.0% | 3,642万3,456円 | 4,173万8,968円 |
金利1.0% | 3,311万2,271円 | 3,556万7,804円 |
差額 | 331万1,185円 | 617万1,164円 |
借入金額と金利差が同じでも、借入期間20年と35年だと約280万円の差が生まれることになります。
借り換えによる返済額の軽減は、家計の負担を軽くし、軽減された分を投資に回せば、資産を増やすことも期待できるでしょう。
返済期間を短縮できる
住宅ローンの借り換えにより、ローンの返済期間を現在よりも短い期間にすることも可能。返済期間を短縮することで、総返済額を抑えることができます。
具体例として、借入金額3,000万円で金利が1.0%の月々の返済額と総返済額のシミュレーションを見てみましょう。
月々の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|
借入期間20年 | 13万7,968円 | 3,311万2,271円 |
借入期間35年 | 8万4,685円 | 3,556万7,804円 |
差額 | 5万3,283円 | ▲245万5,533円 |
返済期間を短縮すると月々の返済負担は増えますが、利息の負担を軽減できるため、総返済額を抑えることができます。
また、返済期間が短いと予定よりも早く住宅ローンを完済できるため、心理的な負担も軽減されるというメリットもあります。
固定金利にすれば金利上昇のリスクを回避できる
住宅ローンには、「変動金利タイプ」と「固定金利タイプ」の2つの選択肢があります。変動金利タイプは金利が変動するため、毎月の返済額も変動しますが、金利が比較的低いのが特徴です。一方、固定金利タイプは住宅ローンの契約当時の金利が固定され、返済期間中は金利が変わりませんので、金利上昇のリスクを回避できるのが特徴です。
借り換えによって、変動金利タイプから固定金利タイプのローンに切り替えることで、金利上昇による返済額の増加リスクを抑えることができます。特に金利が上昇する経済環境に直面している場合や、長期間にわたる安定した返済を望む場合には、固定金利タイプのローンが安心感をもたらすでしょう。
団体信用生命保険の保障を変更できる
住宅ローンを組む際には、一般的には団体信用生命保険(団信)に加入する必要があります。
団体信用生命保険は、ローンを返済している期間に返済者が亡くなったり、高度障害状態になった際に、残債の免除や遺族への保障を提供する生命保険です。団信の加入によって、ローン返済中に万が一の事態が発生した場合でも、遺族がローンを引き継ぐ必要がなくなります。
住宅ローンの借り換え時には、団信の保障範囲を強化することで、がんや障害などのリスクに対応できる場合もあります。他に契約している保険の状況などを考慮し、必要に応じて団信の保障を変更するのもよいでしょう。
リフォームのローンが低金利になる可能性が高い
リフォーム費用の借り入れをする際は、通常の住宅ローンよりも高い金利になることがあります。しかし、リフォーム費用を住宅ローンとして一括で借り換えることで、低金利で借りることができます。リフォームを検討している場合は、住宅ローンの借り換えと合わせてリフォーム費用の借り入れも検討するとよいでしょう。
しかし、借り換えをする際は慎重に検討する必要があります。リフォーム費用を一括借り入れすることで、ローンの総額が増加し、返済期間が長くなる可能性もあります。リフォームの費用やローンの金利、返済条件をよく把握し、総合的に判断することが大切です。
リフォーム一体型ローンに関するメリットなどについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてくださいね。
住宅ローンの借り換えをする5つのデメリット

借り換えのメリットを理解する一方で、デメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。住宅ローンの借り換えには手続きにともなうコストや手間、リスクも存在します。すべてが必ずしもポジティブな結果をもたらすわけではありません。住宅ローンの借り換えによる5つのデメリットを解説します。
手数料などの諸費用が発生する
住宅ローンの借り換えには、金融機関に支払う費用と抵当権変更に関わる費用がかかります。具体的には、事務手数料や保証料、登録免許税など。特に大きな費用は、借り換え先の金融機関に支払う事務手数料と保証料です。
事務手数料は、ローンの借り換え手続きに関わる各種書類作成や審査などにかかる費用です。保証料は、借り換えたローンに対する担保となる抵当権の登録にともなう費用で、ローン残高に応じて金額が異なります。
借り換えにともなう諸費用を計算したうえで、借り換えのメリットが出るか否かを検討することが重要です。借り換えによって金利が低くなっても、手数料や保証料が高額だと、金銭的なメリットが少ない可能性があります。特に短期間での借り換えでは、費用の面で慎重な判断が必要です。
再度審査をする必要がある
住宅ローンの借り換えの際には、再度契約や審査が必要となります。事前審査や本審査などの手続きにより、必要な書類の準備や手間がかかります。また、現在の仕事や収入、転職歴などの状況によっては、審査に通らない可能性もあるため、注意が必要です。
特に、借り換えには団体信用生命保険への再加入も必要ですが、健康状態によっては条件が悪くなる可能性もあります。加入時に新たな健康診断がおこなわれるため、健康状態がよくない場合は、保険料が上昇するか、保障内容に制限がつくことがあります。
借り換えを検討する際には、再度の審査や保険条件の変更の可能性があることを念頭においておきましょう。
住宅ローン控除額が減る可能性がある
住宅ローンは、要件を満たせば住宅ローン控除を受けることができます。控除を受けられる期間や上限金額は、購入時期や住宅の性能によって異なりますが、一般的には入居した年から10年間または13年間、年末のローンの残高の1.0%が支払う税金から控除されます。
しかし、借り換えをした際には、借り入れ金額や返済期間の設定によって住宅ローン控除のメリットが薄れる場合があります。
借り換え時の住宅ローン控除の適用要件は、以下のとおりです。
- 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
- 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。
借り換えを検討する際には、住宅ローン控除額が減ってしまう可能性も考慮するとよいでしょう。
家計の負担が大きくなる可能性がある
変動金利タイプや優遇金利のローンから固定金利タイプのローンに借り換える際には、借り換えによって金利の負担が増え、家計への負担が大きくなる場合があります。借り換え先の金利や返済条件を慎重に検討し、返済負担が増えないように注意が必要です。
また、先述したとおり、借り換えによって返済期間が短くなると、月々の返済額が増えることがあります。短期間での返済は金利負担を減らすことにはなりますが、月々の返済額が増えるため、家計のキャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。
想定よりも効果が出ない可能性がある
住宅ローンの借り換えを検討する際には、借り換え先の条件によっては期待していた金利の軽減効果が得られないことがあります。借り換え先の金利が元のローンとあまり変わらない場合や、借り換えにともなう手数料や諸費用が大きく、費用の回収をするまでに時間がかかる場合も考えられるでしょう。
借り換えをする際には、借り換え先の金利や返済条件だけでなく、借り換えにともなう手数料や諸費用も含めて、総合的に判断しましょう。
まとめ
住宅ローンのベストな借り換え時期について解説しました。適切な時期に借り換えをすることで、返済額の負担を軽減できたり、金利上昇のリスクを回避できるなどのメリットを得ることができるでしょう。しかし手数料などの諸費用がかかったり、住宅ローン控除額が減る可能性があるなど、デメリットもあります。それらのメリット・デメリットを比較したうえで、借り換えをするか否か、借り換えの時期についても慎重に検討することが大切です。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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