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ろうきんの住宅ローンのメリットは?向いている人と見ておきたいデメリットも解説

ろうきんで住宅ローンを組むとどのようなメリットがあるのでしょうか
「ろうきんの住宅ローンはどのような人が組めるの?」「ろうきんの住宅ローンのメリットは?審査は厳しい?」など、ろうきんの住宅ローンについて聞いたことがある、また検討しているけれど、メリットがよくわからないとお悩みの方も多いでしょう。

そこで本記事では、ろうきんの住宅ローンのメリットとデメリットを解説。ろうきんの住宅ローンが向いている人の特徴も紹介します。

ろうきんとは?

ろうきんの概要を紹介します
ろうきんの概要を紹介します

ろうきんは、労働組合や生協などが資金を出し合い「労働者のための銀行」として作った、共同組織の福祉金融機関です。1950年に岡山県と兵庫県で設立され、現在では全国に13のろうきんがあります。働く人の夢と共感を創造することを運営理念としていて、カードローンやマイカーローン、住宅ローンなどの各種サービスを展開しています。

その他にも、普通預金や定期預金も取り扱っているため、貯蓄と借り入れのどちらも利用可能です。ろうきんが管轄する地域に住んでいる、または勤めている方であれば誰でも利用できるため、銀行や信用金庫が取り扱う住宅ローンだけではなく、ろうきんのローンの特徴もチェックしておきましょう。

ろうきんの住宅ローンのメリット

ろうきんで住宅ローンを組むメリットを4つ紹介します
ろうきんで住宅ローンを組むメリットを4つ紹介します

ろうきんの住宅ローンには、銀行や信用金庫にはないメリットがあります。見ておきたいメリットは以下のとおりです。

  • ろうきんの会員なら金利や手数料などの優遇を受けられる
  • 地域によっては団体信用生命保険(一般団信)を無料で付帯できる
  • 申し込み条件が明確でわかりやすい
  • 頭金なしで申し込める

それぞれのポイントを詳しく解説します。

ろうきんの会員なら金利や手数料などの優遇を受けられる

ろうきんには会員制度があり、会員が住宅ローンに申し込むと、金利や手数料などの優遇を受けられます。

標準金利が引き下げられる例として、中央ろうきんが提供する、手数料低率型の変動金利タイプを見てみましょう。

標準金利 適用金利(手数料定率型)
団体会員 年2.475% 年0.375〜0.465%
生協会員 年2.475% 年0.535〜0.675%

出典:中央ろうきん(中央労働金庫)

団体会員の場合は標準金利から約2%、生協会員は約1.9%も金利が引き下げられます。金利が低くなるほど支払い負担も軽く済むため、会員の方にとって大きなメリットになるでしょう。

また、手数料も同様にメリットを得られます。ろうきんで住宅ローンの繰り上げ返済をおこなう場合、手数料は無料です。

ただし、無料なのは一部繰り上げ返済のみで、3年以内に全額繰り上げ返済をおこなう場合は3,000円、5年以内におこなう場合は2,200円の手数料を求められます。ろうきんの地域によって手数料の金額が異なるため、繰り上げ返済を検討している方は事前に確認することが大切です。

ろうきんで、住宅金融支援機構の「フラット35」ローンを組む場合は、融資手数料が発生します。非会員は3万3,000円の手数料を支払わなければなりませんが、会員であれば1万1,000円で済むため、お得に借りられるでしょう。

地域によっては団信を金利の上乗せなしで付帯できる

ろうきんのある地域によっては、団信を無料で付帯できます。

ろうきんの住宅ローンに申し込むには、団体信用生命保険に加入する必要があります。団体信用生命保険とは、契約者が死亡、またはケガや病気によって高度の障害を負った際に、ローンの残りを団体信用生命保険が代わりに支払うものです。

保険料は金融機関が負担してくれるため、別途支払う必要はありません。ただし、保険料相当額が金利に含まれていることから、場合によっては金利の支払い負担が大きくなる恐れがあります。

ろうきんは地域によって上乗せされる金利が異なります。東海ろうきん・北海道ろうきん・長野ろうきんの上乗せ金利をまとめました。

東海ろうきん 北海道ろうきん 長野ろうきん
団信 上乗せなし 上乗せなし 上乗せなし
夫婦連生団信 0.1% 0.2% 0.1%
就業不能
保障団信
0.1% 0.1% 0.1%
夫婦連生就業不能保障団信 0.2% 0.3% 0.3%
3大疾病保障特約・
障がい特約付団信
0.3% 0.3% 0.3%

団信の種類によっては上乗せ金利が0.1%前後するため、申し込む前に確認しておきましょう。団信の種類が多く、健康状態や保障内容にあわせて選べる点も、ろうきんの魅力です。

申し込み条件が明確でわかりやすい

ろうきんの住宅ローンは申し込み条件が明確でわかりやすいため、申し込めるかどうかをすぐに判断できます。中央ろうきんが提供する住宅ローンの申し込み条件を例に見てみましょう。


  • 団体会員の構成員、または生協会員の組合員および同一生計家族の方、関東1都7県に住んでいる、または一般労働者の方
  • 申込時の年齢が満18歳で、かつ融資時の年齢が満66歳未満、完済時の年齢が満76歳未満の方
  • 安定した年収が150万円以上ある方
  • 現在の勤務先に1年以上勤めている方
  • 団体信用生命保険に加入できる方
  • 金庫が指定する保証機関の保証を受けられる方


すべてに該当する方が住宅ローンに申し込めるため、条件を1つずつ確認しましょう。注目しておきたいのが、年収と勤続年数を明確にしている点です。年収は150万円以上、勤続年数は1年としているため、申し込み条件を満たしているか確認しやすくなります。

金融機関の多くは安定した収入を申し込み条件とし、金額は明記していません。勤続年数も記載されていないところが多いため、不安を感じたことがある方も多いでしょう。ろうきんは必要な条件をすべて提示しているため、事前に申し込み可能かを判断できます。

頭金なしで申し込める

ろうきんの住宅ローンはフルローンで申し込めるため、貯蓄に不安がある方も安心です。

フルローンとは、頭金なしで物件価格の全額をローンでまかなうことです。フルローンを活用できれば事前に頭金を貯めておく必要もないため、家が欲しいと思ったタイミングで住宅ローンに申し込めます。

金融機関のなかには、頭金を10〜20%用意することを申し込み条件としているところもあります。貯蓄できる場合はろうきんにこだわる必要はないものの、貯蓄が難しい方は、ろうきんの住宅ローンの恩恵を受けられるでしょう。

ろうきんの住宅ローン審査は甘いって本当?

ろうきんの住宅ローン審査は通過しやすいのでしょうか
ろうきんの住宅ローン審査は通過しやすいのでしょうか

ろうきんの住宅ローン審査は甘いと耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。ろうきんはほかの金融機関とは異なり、営利を目的に運営していません。利益を求めない労働者に優しい金融機関であることから、審査に通過しやすいと考えられます。

特にろうきんの会員は審査に通過しやすくなるため、住宅ローンを検討している方に最適です。会員と非会員で審査基準が異なり、会員は基準が緩やかになっています。具体例としては、返済比率を計算する際の金利が実行金利で計算されるため、年収が低い・借入金額が大きい場合でも審査に通過できる可能性が高くなります。審査に不安を持つろうきんの会員であれば、一度申し込んでみることがおすすめです。

ろうきんの住宅ローンのデメリットは?

ろうきんで住宅ローンを組むデメリットを2つ紹介します
ろうきんで住宅ローンを組むデメリットを2つ紹介します

ろうきんの住宅ローンには会員の金利引き下げ制度や、フルローン可能などのメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットもあります。考えられるデメリットは以下のとおりです。

  • 非会員は保証料や手数料が割高になる
  • 団信の種類によっては金利の上乗せが必要

2つのデメリットを解説します。

非会員は保証料や手数料が割高になる

非会員が住宅ローンを利用する場合、会員に比べて保証料や手数料が割高になる点に注意が必要です。

メリットで紹介したとおり、ろうきんの会員は金利引き下げ制度や保証料の割引を受けられます。住宅ローンを利用する際は、ろうきんが指定する保証機関の保証を受けなければなりません。中央ろうきんで住宅ローンを組む際に支払う保証料は、以下のとおりです。

団体会員の構成員 生協会員 非会員
10年 3,809円~
7,618円
4,761円~
7,618円
5,714円~
7,618円
20年 7,225円~
1万4,449円
9,031円~
1万4,449円
1万837円~
1万4,449円
30年 1万363円~
2万725円
1万2,953円~
2万725円
1万5,544円~
2万725円
35年 1万1,845円~
2万3,689円
1万4,806円~
2万3,689円
1万7,767円~
2万3,689円

※100万円あたりの手数料額を記載。担保評価や年収に応じて金額が変動します。
出典:中央ろうきん(中央労働金庫)「住宅ローン【手数料定額型】(PDF)」

保証料は一括前払いと月払いから選べます。上の表は一括前払いする場合の金額で、月払いは融資時の金利に保証料率を上乗せした金利分を、毎月の返済で支払います。

会員と非会員は上限額が一緒ではあるものの、下限額は非会員のほうが高くなっているため、支払い負担も重くなると考えておきましょう。

保証料だけではなく、不動産担保取扱手数料も会員と非会員で大きな差があります。団体会員の構成員と生協会員は1万1,000円ですが、非会員は3万3,000円と高額です。会員にはメリットの大きい住宅ローンですが、非会員にとってはデメリットの大きいローンになるでしょう。

団信の種類によっては金利の上乗せが必要

加入する団信の種類によっては、金利が上乗せされる点もデメリットのひとつです。長野ろうきんで加入できる団信の種類をまとめました。

団信 就業不能
保障団信
3大疾病保障特約・
障がい特約付団信
特徴 契約者が死亡、または高度の障害を負った際に保険金が支払われる 通常の団信に加え、働けない状態が3カ月以上続いた場合にローン返済額と同等の給付金が支払われる。12カ月以上続いた場合はローン残高相当額の保険金が支払われる 死亡や高度障害だけではなく、3大疾病や所定の障害を負った際にローン残高相当額の保険金が支払われる
支払いが
おこなわれるケース
・死亡
・高度の障害
・死亡
・高度の障害
・就業不能
・死亡
・高度の障害
・3大疾病
・所定の障害
保険金 1億円以内 1億円以内 1億円以内
健康診断書の有無 不要 5,000万円を超える場合は健康診断書が必要 5,000万円を超える場合は保険会社が指定する様式の健康診断結果証明書が必要
上乗せされる金利 単身:上乗せなし
夫婦:0.1%
単身:0.1%
夫婦:0.3%
0.3%

※出典:長野ろうきん(長野県労働金庫)「団体信用生命保険のご案内(PDF)

団信には3つの種類があり、単身加入と夫婦加入から選べます。夫婦で加入すれば配偶者にも保障内容が適用されるため、万が一の事態に備えるなら、2人で加入しておきましょう。

上乗せされる金利によって支払い負担が重くなるものの、保障内容が手厚ければ万が一の際に安心です。団信の特徴と上乗せされる金利を比較したうえで、最適な団信に加入しましょう。

ろうきんの住宅ローンが向いている人の特徴

ろうきんの住宅ローンが向いている人の特徴を3つ紹介します
ろうきんの住宅ローンが向いている人の特徴を3つ紹介します

ろうきんの住宅ローンにはメリットもデメリットもあるため、自分に向いているかがわからないとお困りの方もいらっしゃるでしょう。ろうきんの住宅ローンに向いている人の特徴は以下のとおりです。

  • 労働組合か生活協同組合の組合員
  • 頭金の貯蓄が難しい
  • 繰り上げ返済を検討している

それぞれのポイントを解説します。

労働組合か生活協同組合の組合員

労働組合か生活協同組合の組合員は、ろうきんの住宅ローンの恩恵を存分に受けられます。金利の引き下げや保証料の割引、不動産担保取扱手数料などが安くなるため、支払い負担を抑えて住宅ローンを組めるでしょう。

ろうきんの地域によっては、組合に加入しなければろうきんが提供するサービスを利用できないところもあるため、ろうきんの住宅ローンを検討する方は、まずは加入手続きを済ませることがおすすめです。

中央ろうきんの場合は、1,000円以上の出資金を出すことで加入できます。加入すればメリットを得ながら住宅ローンを組めるため、検討してみましょう。

頭金の貯蓄が難しい

頭金の貯蓄が難しい方にも、ろうきんの住宅ローンがおすすめです。頭金として一定額の支払いを申し込み条件としている金融機関が多いなかで、ろうきんはフルローンを組めるメリットを持ちます。無理に頭金を貯める必要も、頭金を貯めるまで住宅購入を我慢する必要もありません。

繰り上げ返済を検討している

借り入れ後に繰り上げ返済を検討している方も、ろうきんの住宅ローンは向いています。ろうきんの住宅ローンは繰り上げ返済の手数料がかからないメリットがあります。手数料なしでローン残高を減らせるため、早めに完済したい方に最適です。

ただし、地域によっては返済手数料がかかる恐れがある点に注意しましょう。中央ろうきんと九州ろうきん、東海ろうきんの手数料をまとめました。

名称 手数料
中央ろうきん 一部繰り上げは無料、全額繰り上げは有料
九州ろうきん 変動金利の場合、一部繰上げは無料、その他は有料
※インターネットバンキングを利用した場合は一部繰上げ・全額繰上げどちらも無料
東海ろうきん 一部繰り上げと全額繰り上げどちらも無料

地域別に手数料の有無が異なるため、住宅ローンに申し込む前に確認しておきましょう。

まとめ

ろうきんの住宅ローンは、金利引き下げや保証料の割引、フルローンの利用可などのメリットがあります。非会員はメリットを得られないため、ろうきんの住宅ローンを利用する予定の方は、まずは加入手続きを済ませることがおすすめです。

ろうきんは地域別に住宅ローンの特徴が異なります。住んでいる地域を管轄するろうきんのホームページから特徴をチェックし、メリットの有無を検討してから申し込みましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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