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フラット35の繰り上げ返済はデメリットが多い?返済のタイミングを解説

フラット35の繰り上げ返済の注意点とタイミングを解説します
フラット35の住宅ローンを利用している方のなかには「繰り上げ返済をして、少しでも返済を進めたほうがよいのかな? 」と悩んでいる方も多いでしょう。繰り上げ返済をすると、利息を軽減できるメリットがありますが、実はタイミングによってデメリットも存在します。

本記事では、フラット35の繰り上げ返済の注意点や、最適なタイミングを解説します。後悔しない返済計画を立てるために、ぜひ参考にしてください。

フラット35の繰り上げ返済はデメリットが多い?

フラット35の繰り上げ返済をするデメリットを把握しましょう
フラット35の繰り上げ返済をするデメリットを把握しましょう

フラット35の繰り上げ返済は、利息を軽減できるメリットがあります。一方で、資金計画に影響を与えたり、手元資金が減ったりとデメリットも存在します。繰り上げ返済を効果的にするためには、注意すべきポイントを理解しておくことが重要です。では、フラット35の繰り上げ返済をするデメリットを見ていきましょう。

住宅ローン控除(減税)を受けられなくなる

フラット35の繰り上げ返済を検討する際に注意したい点が、住宅ローン控除(減税)を受けられなくなる可能性があることです。住宅ローン控除とは、年末時点のローン残債に応じて、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。繰り上げ返済によって残債が大幅に減ると、控除額も減少します。

特に、住宅ローンの早期完済をすると、控除期間の途中で制度が適用されなくなるため、結果的に税制優遇のメリットを十分に受けられません。繰り上げ返済を検討する際は、住宅ローン控除の期間や控除額を考慮し、総合的なコストを比較しましょう。

団体信用生命保険の保障期間が短くなる

団体信用生命保険(以降、団信)とは、住宅ローンの契約者が死亡や高度障害など返済が難しくなった際に、残った住宅ローンの残債を支払う保険のことです。

フラット35は基本的に団信への加入は任意。もし加入している場合、住宅ローンの残債がなくなると同時に団信の保障が終了します。

団信の保険期間は住宅ローンの借入期間と連動しているため、繰り上げ返済をすると、本来ローン期間中に適用されるはずの生命保険の保障を受ける期間が短縮されます。よって、万が一の際に家族への保障がなくなってしまうリスクが発生するため、注意しましょう。

繰り上げ返済は最低10万円が必要になる

フラット35の繰り上げ返済を、インターネットを通してする場合、最低10万円以上の制限があり、小額ずつの返済ができないデメリットがあります。「毎月少しずつ返済額を減らしたい」と考えても、10万円以上のまとまった資金がなければ返済できないため注意しましょう。

手元資金を確保しながら繰り上げ返済を進めたい方にとっては、最低10万円以上の繰り上げ返済は負担が大きく感じられるでしょう。

繰り上げ返済の利用時に手数料がかかる

フラット35の繰り上げ返済をおこなう場合、利用方法やプランによっては手数料が発生するため、注意しましょう。例えば、住信SBIネット銀行の保証型フラット35(固定金利)を利用している方が全額繰り上げ返済をすると、3万3,000円の手数料が発生します。

一方で、インターネット経由での繰り上げ返済や買取型フラット35であれば手数料無料となるケースが多いため、コストを抑えるために事前に金融機関のルールを確認しておきましょう。頻繁に繰り上げ返済をおこなうと、都度手数料が発生し、結果的にコストが増えてしまうため、返済のタイミングを慎重に検討することが大切です。

フラット35の繰り上げ返済をするメリット

フラット35の繰り上げ返済をするメリットを把握しましょう
フラット35の繰り上げ返済をするメリットを把握しましょう

フラット35の繰り上げ返済は、総返済額の軽減や返済期間の短縮などのメリットがあります。特に、長期間のローンは、利息負担を抑える効果が高く、将来的に負担を軽減できる可能性があるでしょう。では、フラット35の繰り上げ返済のメリットを見ていきましょう。

総返済額を抑えられる

住宅ローンでは、借入期間が長いほど利息の負担が大きくなります。繰り上げ返済をおこなうことで元金が減り、利息の支払いが軽減されます。ローンの早い段階で繰り上げ返済をすると、残りの期間中に発生する利息を大幅に削減できるため、より大きな節約効果が期待できるでしょう。ただし、無理に資金を投入すると手元資金が不足する可能性があります。そのため、家計の状況を考慮しながら、計画的に繰り上げ返済をおこなうことが大切です。

審査に通りやすくなる

住宅ローンの繰り上げ返済をすると、借入可能額の余裕が生まれるため、自動車ローンや教育ローン、カードローンなどの新規借入時に審査が有利になります。

また、住宅ローンを完済すると完済証明書を発行してもらえます。完済証明書があることで、金融機関から「返済能力が高い」と判断されやすくなり、審査に通る可能性がより高くなるでしょう。

ただし、完済時に定年退職などで長期プランが組めない場合や、経済的に不安がある場合など、別の要因で審査に通らないケースが考えられるため、注意しましょう。

将来の資金を増やすことができる

フラット35の繰り上げ返済をおこなうことで、将来的に自由に使える資金を増やせるメリットがあります。早めに繰り上げ返済を実施すると、長期間にわたる利息の支払いを抑えられ、その分を教育資金や老後資金、資産運用などに充てられるでしょう。また「住宅ローンを完済できるのか」「健康に問題が発生して返済できなかったら……」など、将来の不安が軽減するため、心理的にゆとりが生まれる点も魅力です。

フラット35の繰り上げ返済をするタイミング

フラット35の繰り上げ返済をする適切なタイミングを解説します
フラット35の繰り上げ返済をする適切なタイミングを解説します

フラット35の繰り上げ返済を活かすためには、タイミングが重要です。ローンの初期段階で実施すると、住宅ローン控除の控除額が減少して税制優遇のメリットが薄れてしまいます。効果的な返済計画を立てるために、タイミングを意識しましょう。では、繰り上げ返済を検討する際に、適切なタイミングを解説します。

住宅ローン控除が終了したタイミング

住宅ローン控除は、借入から10年〜13年間適用されます。年末のローン残債に応じて、所得税や住民税の一部が控除されるため、住宅ローン控除の適用内に繰り上げ返済をおこなうと、控除額が減少します。

よって、住宅ローン控除が終了したタイミングで繰り上げ返済をおこなえば、控除の恩恵を受けつつ、無駄な利息を減らせます。

税制メリットを十分に活用するために、住宅ローン控除が終了したタイミングで繰り上げ返済をするといいでしょう。

子育てが落ち着いたタイミング

子どもの教育費や生活費は、年齢とともに増加し、大学進学時には大きな出費が発生します。子育て中に無理な繰り上げ返済をおこなうと、教育費や急な支出に対応できなくなるリスクがあります。そのため、子育てが落ち着いたタイミングで繰り上げ返済を検討するとよいでしょう。

子どもが独立したり、教育費のピークを過ぎたあとは、家計に余裕が生まれやすくなります。余剰資金を繰り上げ返済に回すことで、利息の負担を減らすことが可能です。

家計に余裕ができたタイミング

昇給やボーナス増加、共働きによる収入アップなど、家計に余裕ができたタイミングで繰り上げ返済をすることもおすすめです。繰り上げ返済だけではなく、余裕資金の一部を投資や貯蓄に回しながら、バランスよく資産形成を進めるとよいでしょう。

ただし、全額を返済に充ててしまうと、急な出費や将来の生活資金に影響をおよぼす可能性があります。生活防衛資金を確保したうえで、無理のない範囲で返済を進めましょう。

フラット35の繰り上げ返済の種類

フラット35の繰り上げ返済の種類を解説します
フラット35の繰り上げ返済の種類を解説します

フラット35の繰り上げ返済は、返済額軽減型と期間短縮型の2種類があり、期間短縮型は総返済額の軽減、期間短縮型は毎月の負担を抑えられるメリットがあります。では、それぞれの特徴や適したケースを解説します。

返済額軽減型

返済額軽減型とは、残りの返済期間を変えずに繰り上げ返済をすることで、毎月の返済額を少なくする方法です。月々の返済額が少なくなるため、家計の負担を軽減しながら無理なくローンを続けられるメリットがあります。

収入が減るリスクがある退職前や子育て中で支出が多い時期などに活用すると、家計を圧迫せずにローン返済を進められます。ただし、住宅ローンの返済期間は変わらないため、期間短縮型と比較して利息軽減の効果が小さくなる点に注意しましょう。

期間短縮型

期間短縮型とは、毎月の返済額を変えずに、返済期間を短縮する方法です。利息は住宅ローン残債と返済期間に応じて計算されるため、早めに繰り上げ返済をおこなうほど、支払う利息総額を減らせるメリットがあります。定年退職前にローンを完済したい方や、長期間の金利負担を減らしたい方に適した方法です。

ただし、毎月の返済額は変わらないため、家計の負担を減らす効果はありません。よって、期間短縮型を利用する場合は、無理なく計画的に実施することが大切です。

フラット35の繰り上げ返済方法

フラット35の繰り上げ返済方法を解説します
フラット35の繰り上げ返済方法を解説します

フラット35の繰り上げ返済は、Webサイトでの手続きと金融機関窓口での手続きがあり、それぞれ手軽さや対応可能な金額が異なります。

では、フラット35の繰り上げ返済方法と注意点を解説します。スムーズに手続きを進めるために参考にしてください。

Webサイトで手続きをする

フラット35の繰り上げ返済は、金融機関のWebサイトから手続きをおこなう方法が手軽です。インターネットバンキングや専用サイトなど、24時間いつでも繰り上げ返済の申し込みができるため、忙しい方でもスムーズに手続きを進められます。

また、Web経由での繰り上げ返済は手数料が無料となる場合が多く、コストを抑えられる点もメリットです。ただし、10万円以上の最低返済額が設定されていることが多いため、事前に金融機関の条件を確認しておきましょう。

金融機関窓口で手続きをする

フラット35の繰り上げ返済は、金融機関の窓口で手続きをおこなう方法もあります。窓口での手続きは、スタッフに直接相談しながら進められるため、返済計画を細かく確認できる点がメリットです。

特に、初めて繰り上げ返済をおこなう場合や、返済額や返済のタイミングに不安がある場合は、窓口での手続きが安心でしょう。

ただし、Web手続きと異なり、窓口対応には手数料がかかるケースが多いため、費用面の負担に注意しましょう。また、金融機関の営業時間内に訪問する必要があるため、忙しい方はWeb手続きのほうが便利な場合があります。

フラット35で早めの完済を目指す場合

住宅ローンの借り換えをするメリットを解説します
住宅ローンの借り換えをするメリットを解説します

フラット35の繰り上げ返済を活用することで、早めの完済を目指せますが、より金利の低いローンへ借り換えることで、さらに総返済額を抑えられる可能性があります。

特に、現在の金利が借入時よりも低い場合は、借り換えによる利息軽減のメリットが大きくなります。ほかには、変動金利のローンへの変更や団体信用生命保険の見直しができる点も魅力です。

では、フラット35から新しいローンへ借り換えるメリットを解説します。早めに住宅ローンを完済したい方は、借り換えも検討しましょう。

金利が安くなる可能性がある

フラット35は長期間固定金利のため、一度契約すると途中で金利を変更できません。借り換えることで、新しい低金利のローンに切り替えられるため、毎月の返済額の負担を軽減できる可能性があります。

住宅ローンの金利は市場の状況によって変動するため、現在の金利が借入時よりも低くなっている場合、低金利のローンに借り換えることで総返済額を抑えられます。

ただし、借り換えには手数料や保証料などの諸費用がかかるため、金利の低下によるメリットと諸費用を比較し、本当にお得になるかを慎重に検討しましょう。

変動金利に変更できる

フラット35から借り換えることで、変動金利のローンに変更が可能です。変動金利は、市場の金利が低い時には固定金利よりも大幅に低い金利で借りられるため、毎月の返済額を抑えられるメリットがあります。特に、短期間で完済を目指す場合は、変動金利への借り換えを検討する価値があるでしょう。

ただし、変動金利は将来的に金利が上昇する可能性があるため、金利の推移やリスクを理解したうえで、固定金利と比較しながら判断することが大切です。

団体信用生命保険の見直しができる

フラット35を借り換えることで、団信の見直しができます。借り換え先のローンによっては、より手厚い保障の団信に加入できる可能性があります。例えば、がんや三大疾病特約付きの団信に切り替えることで、万が一の際に残りのローンが免除され、家族の負担を大幅に軽減できるでしょう。

また、新しい住宅ローンの金利に団信保険料が含まれるプランを選べば、コストを抑えながら安心を得られるメリットがあります。ただし、現状の健康状態によっては、新しい団信に加入できない場合があるため、事前に条件を確認しながら判断しましょう。

まとめ

繰り上げ返済は、利息負担を軽減し、早期完済を目指せる有効な方法です。しかし、最適なタイミングで繰り上げ返済をしないと、資金計画やライフプランに影響する恐れがあります。また、繰り上げ返済が難しい場合は、低金利のローンへの借り換えも選択肢の一つです。繰り上げ返済のメリットとデメリットを把握し、住宅ローンを賢く活用しましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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