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住宅ローン控除の初年度の確定申告を忘れた!対処法と途中から受けられるのかを解説

住宅ローン控除を受けるための確定申告を忘れてしまった場合の対処法を解説します
住宅ローン控除の初年度の確定申告を忘れた場合に、どうすればよいのか気になる人も多いでしょう。この記事では、住宅ローン控除の初年度の確定申告を忘れてしまった時の対処法を解説します。確定申告の流れと、手続きに必要な書類も紹介します。
この記事を読めば、初年度の確定申告を忘れた時にすべきことを把握できるため、ぜひご一読ください。

初年度の住宅ローン控除を忘れても申請は可能

住宅ローン控除は初年度に申告を忘れても申請することができます
住宅ローン控除は初年度に申告を忘れても申請することができます

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組み住宅を購入する場合、購入者の負担を軽減するため制度です。この制度を利用するためには、住宅に入居した日の翌年1月1日~3月15日までに確定申告をおこなう必要があります。

住宅ローン控除を受ける際、初年度に必ず確定申告をしなければなりません。自営業やフリーランスの人は毎年確定申告をおこなって所得税を支払うため、いつもの作業に住宅ローン控除を加えればよいだけです。しかし、会社員の方は年末調整で済ませるため、いつもおこなわない確定申告を忘れてしまう可能性もあるでしょう。ここでは、住宅ローン控除の初年度の確定申告を忘れた時の対処法を解説します。

確定申告対象の年から5年以内であれば申請できる

住宅ローン控除の還付申告書の提出期限は、住宅に入居した翌年1月1日から5年以内です。5年以内であれば還付申告書を提出できるため、期限を過ぎないよう余裕をもって申請しましょう。

申請時期によって控除対象が変わる

住宅ローン控除を申請した時期によっては、所得税ではなく住民税の控除となります。所得税の確定申告は、毎年2月16日~3月15日までです。自身の収入や経費を記載した確定申告書を作成し、所得額を算出したあとに所得税額が決まります。所得税は支払期限の4月下旬までに納めなければなりません。

確定申告後に住宅ローン控除を申請した場合は、所得税をすでに支払っているため、控除を受けることが難しくなります。この場合は所得税ではなく、6月からの住民税で控除を受けることが可能です。

しかし、住民税の納税通知書は毎年5~6月ごろから発送されるため、期限内に住宅ローン控除の申請を済ませる必要があります。所得税支払い前のタイミングに間に合わなかった場合は、4月末までに申請するとよいでしょう。

住宅ローン控除を受けるための確定申告の流れ

住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要です
住宅ローン控除を受けるためには確定申告が必要です

住宅ローン控除を受けるには、書類を作成したうえで、税務署に提出しなければなりません。会社員の多くは、確定申告を経験したことがないかと思います。書類の入手場所や記載方法、税務署に足を運ぶ必要があるのかなど、気になる点がいくつも出てくるでしょう。

確定申告を進める流れは以下のとおりです。

  • STEP 1必要な書類を準備する
  • STEP 2確定申告書を作成する
  • STEP 3税務署に必要書類と確定申告書を提出する

それぞれの流れを詳しく解説します。

必要な書類を準備する

確定申告をする前に、必要な書類を準備しましょう。必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 借入金の年末残高証明書
  • 本人確認書類
  • 土地建物の登記事項証明書
  • 土地建物の売買契約書または建築請負契約書の写し
  • 耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し
  • 認定通知書の写し

それぞれで入手場所が異なるため、事前に確認しましょう。入手場所は以下のとおりです。

書類名 入手場所
確定申告書
住宅借入金等特別控除額の計算明細書
国税庁のホームページ
税務署
借入金の年末残高証明書 住宅ローンを契約している金融機関
土地建物の登記事項証明書 法務局
土地建物の売買契約書または
建築請負契約書
住宅施工の契約時
耐震基準適合証明書または
住宅性能評価書
指定確認検査機関
登録住宅性能評価機関
建築士事務所に所属する建築士
住宅瑕疵担保責任保険法人
認定通知書 行政庁

書類によって入手場所が異なるため、確定申告が始まる前から書類の準備を進めておくことがおすすめです。「確定申告書」と「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は、国税庁のホームページから入手できます。ホームページで書類を作成し、ダウンロードしたファイルを印刷すれば完成です。

「借入金の年末残高証明書」は住宅ローンを契約している金融機関から郵送されるため、手続きをする必要はありません。「土地建物の登記事項証明書」は法務局、「認定通知書」は行政庁で発行してもらえます。提出期限までに足を運びましょう。

「耐震基準適合証明書」または「住宅性能評価書」は、住宅の調査をおこない、耐震基準を満たしている場合にのみ発行してもらえる書類です。指定確認検査機関・登録住宅性能評価機関・建築士事務所に所属する建築士・住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかに調査を依頼しましょう。

確定申告書を作成する

確定申告書の作成は、国税庁のホームページからおこなえます。国税庁の確定申告作成コーナーにアクセスし、必要事項を記入しましょう。作成し終えた確定申告書のファイルはダウンロードも可能です。ダウンロードしておけば、確定申告書が必要な時にすぐ用意できるため、1年ほど保管しておきましょう。

確定申告書は国税庁のサイトだけでなく、ソフトを使って作成することもできます。専用のソフトがある場合はよいですが、持っていない場合は国税庁のホームページを利用することがおすすめです。

税務署に必要書類と確定申告書を提出する

必要な書類をすべて準備し終えたら、住んでいる地域を管轄する税務署に提出しましょう。税務署に足を運んで提出する・郵送する・e-Taxで送るの3つから、都合のよい方法を選べます。

税務署に足を運んで提出する、または管轄の税務署に郵送する場合は、必要な書類を封筒に入れて提出します。確定申告書と住宅借入金等特別控除額の計算明細書は作成済みのものを印刷しておきましょう。

e-Taxとは、国税に関する各種手続きを電子的におこなえるシステムです。住宅ローン控除の申請もe-Taxで済ますことができるため、税務署に足を運ぶ時間がない方はe-Taxを活用しましょう。

e-Taxで送れる書類は、電子化されたファイルのみです。借入金の年末残高証明書や売買契約書などは紙で受け取るため、別途税務署に郵送しなければなりません。電子化されたファイルをe-Taxで提出したあとに、紙の書類を管轄の税務署あてに郵送しましょう。

確定申告で住宅ローン控除を忘れた時の対処法

確定申告で住宅ローン控除を忘れた時の対処法を解説します
確定申告で住宅ローン控除を忘れた時の対処法を解説します

確定申告をしたものの、あとになって住宅ローン控除の申請を忘れてしまったと気付くケースもあるでしょう。確定申告そのものを忘れていた場合は、5年以内に遡って還付を受けることができるものの、確定申告のみを済ませた場合はどうなるのかが気になるところです。
ここでは、確定申告後に住宅ローン控除の申請を忘れたことに気付いた場合の対処法を解説します。

確定申告後に住宅ローン控除を申請することは難しい

住宅ローン控除の申請を忘れていたことに気付いた時期によって、申請の可否が異なります。確定申告の期限内に住宅ローン控除申請を忘れたことに気付き、新たに書類を提出するのであれば問題なく還付を受けることができます。税務署に相談し、あらためて申請する旨を伝えましょう。

確定申告の期限を過ぎてしまうと、住宅ローン控除の申請が難しくなります。申請内容の誤りを「更正の請求」と呼び、更正の請求は誤りによって納付額が多くなってしまった場合におこないます。

申請した金額が誤っており、納付金額が多くなってしまった場合は更正の請求によって払いすぎた分を取り戻すことが可能です。しかし、住宅ローン控除申請を忘れてしまったことは更正の請求の対象外になるため、再申請は難しいと考えておきましょう。

更正の請求の嘆願は可能

更正の請求によって住宅ローン控除申請をおこなうことは難しいものの、「更正の請求の嘆願」は可能です。更正の請求の嘆願とは、更正の請求期間を過ぎたあとに、納税者自身が有利になるよう税額の修正・変更をおこないます。

しかし、更正の請求の嘆願書を管轄の税務署に申請したからといって、必ずしも認められるとは限りません。住宅ローン控除申請の嘆願書を申請し認められたケースは少ないため、通る可能性は低いと考えておきましょう。

確定申告後に住宅ローン控除の申請忘れに気付いても、還付を受けられない可能性は高いです。損をしないためにも、住宅ローン控除の申請を忘れないようにしましょう。

住宅ローン控除の確定申告を忘れた時に寄せられる質問

確定申告で住宅ローン控除を忘れた時のよくある質問を紹介します
確定申告で住宅ローン控除を忘れた時のよくある質問を紹介します

住宅ローン控除を受けるにあたり、初年度の確定申告を忘れてしまったと悩む方も多いでしょう。5年以内であれば遡って控除を受けることができるものの、ほかにも気になる点がある方もいらっしゃると思います。ここでは、初年度の確定申告を忘れてしまった時によく寄せられる質問を紹介します。

住宅ローン控除の初年度に年末調整はしない?

住宅ローン控除を適用するには、初年度は確定申告、2年目以降は年末調整でも可と定められています。自営業・会社員問わず、初年度は確定申告で住宅ローン控除を申請しなければなりません。会社員の方はいつもおこなわない確定申告を忘れやすいため、期限内に必ず申請しましょう。

会社からの給与以外に収入がない場合は、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の申請をおこなえます。複数の書類を用意して税務署に提出する手間が省けるため、2年目からは楽に手続きを終えることができるでしょう。

初年度は、給与の調整・清算を年末調整でおこない、住宅ローン控除を確定申告でおこないます。2年目以降は給与の調整・清算と住宅ローン控除を年末調整でおこなえるようになると考えておきましょう。

確定申告の際に住宅ローン控除を忘れたらどうすればよい?

確定申告を済ませたあとに住宅ローン控除申請を忘れた場合は、すぐに税務署に相談しましょう。前述したように、確定申告を済ませたあとに住宅ローン控除申請をしたい場合でも、申請が通らない恐れがあります。特に確定申告の期限を過ぎると申請が通りにくくなるため、期限内に気付いたらすぐに税務署に相談することがおすすめです。

2年目以降の年末調整で控除を忘れた時の対処法は?

2年目以降の年末調整で住宅ローン控除を忘れてしまった時は、年末調整の修正、または確定申告で控除を受けることができます。年末調整は12月ごろにおこない、法的には1月まで内容の修正が可能です。1月末までに控除を忘れたことに気付いたら、会社に年末調整の修正を相談してみましょう。

1月を過ぎてから気付いた場合は、確定申告で住宅ローン控除を申請することがおすすめです。必要書類を用意する手間があるものの、申請を済ませれば住宅ローン控除が適用されます。

5年過ぎた住宅ローン控除の還付申告は可能?

5年を過ぎた住宅ローン控除は還付申告の対象外になるため、控除を受けられません。前述したように、住宅ローン控除の申請を忘れても、申請する年から5年以内に遡って還付を受けられます。この場合、5年以上前の控除については申請できないため、気付いた時点で早めに手続きを済ませることが大切です。

住宅ローン控除は還付額が大きく、5年分の申告で100万円以上返ってくるケースもあります。1年分でも大きな額になるため、忘れていた分の申告は必ず済ませましょう。

申告する際は、年度別に確定申告書を作成しなければなりません。書類作成の時間がない方は、税理士に依頼して書類を用意してもらうとよいでしょう。

住宅ローン控除の確定申告に必要な書類を紛失したらどうする?

住宅ローン控除の申請に必要な書類を紛失した場合は、再発行の手続きをおこないましょう。書類別に再発行方法が異なるため、紛失したものにあわせて確認することが大切です。

書類名 再発行方法
確定申告書 ダウンロードファイルの印刷
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署で再発行してもらう
借入金の年末残高証明書 住宅ローンを契約している金融機関に再発行を依頼する
土地建物の登記事項証明書 法務局で再発行してもらう
土地建物の売買契約書または建築請負契約書 施工会社や不動産会社に再発行してもらう
耐震基準適合証明書または住宅性能評価書 指定確認検査機関・登録住宅性能評価機関・建築士事務所に所属する建築士・住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかに再発行してもらう
認定通知書 行政庁で再発行してもらう

基本的には、書類を発行してもらった場所で再発行してもらうことになります。再発行には手数料がかかるため、必要な金額を確認したうえで再発行手続きをおこないましょう。

確定申告書は、国税庁のサイトで書類作成後、ファイルをダウンロードできます。ダウンロードしたものが残っていれば、手数料を払わずに再発行することが可能です。ファイルがなければ管轄の税務署に足を運び、再発行の手続きをおこなわなければなりません。

まとめ

住宅ローン控除をともなう初年度の確定申告を忘れてしまっても、5年以内であれば遡って申告できます。会社員の方は確定申告をする機会がないため、どうしても忘れてしまいがちです。住宅ローン控除を思い出したら、すぐに申告に必要な書類を準備しましょう。5年を過ぎた控除に関しては還付を受けられないため、注意が必要です。

申告にはさまざまな書類が必要です。手元にある書類だけでなく、法務局や行政庁に行って発行してもらう書類もあるため、確定申告の期限内に足を運ばなければなりません。書類の準備が難しい場合は、税理士に依頼することもおすすめです。

住宅ローン控除は金額が大きいため、申告し忘れると損をしてしまいます。申告し忘れている方は、今から申告の準備を始めましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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