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住宅ローン控除に年収制限はない?税制改正のポイントやメリット・デメリットを徹底解説!

住宅ローン控除に年収制限はない?税制改正のポイントやメリット・デメリットを徹底解説!
住宅ローンの控除には実は年収制限がないのはご存じでしょうか。最新の制度改正により、多くの方が特典を受けられるチャンスが広がっています。住宅ローン控除の制度が改正され、どのようなメリットがあるのか、またデメリットや注意点は何なのかを解説します。

住宅ローン控除に年収制限はない

住宅ローン控除に年収の制限はありません
住宅ローン控除に年収の制限はありません

住宅ローン控除に関する情報を調べるなかで、多くの方が「年収制限」に関する疑問を抱くのではないでしょうか。この記事では、住宅ローン控除の年収制限の真相に迫ります。年収が一定額以上の方でも控除の恩恵を受けられるのか、あるいは逆に年収が低すぎると控除を受けられないのか……。気になるポイントを明確に解説していきます。

所得の制限はある

住宅の購入を検討している方々にとって、住宅ローン控除は重要な制度となります。制度は「住宅借入金等特別控除」が正式名称で、住宅購入の際に組む住宅ローンに関連して、所得税や住民税の税額を低減することができます。しかし、すべての人が控除を受けられるわけではありません。

具体的には、控除を受ける年の合計所得金額には上限が定められており、3,000万円以下でなければ控除の対象とはなりません。「所得」とは、年収から必要な経費や特定の控除を引いたあとの金額を指します。つまり、年収だけを見ると3,000万円以上でも、経費やその他の控除を考慮すると所得が3,000万円以下となるケースも考えられるので注意が必要です。

制度をうまく活用することで、住宅購入の際の税金負担を軽減することができるため、詳しい条件や手続きをしっかり理解し、最適な選択をすることが重要です。

所得以外の要件

住宅ローン控除を活用する際の条件は複数ありますが、まず基本的な条件として、購入する住宅の床面積は40平米以上でなくてはなりません。40平米以上だが50平米を超えない物件に関しては、所得制限として1,000万円以下でなければならない制約があります。
ルールの背後には、高所得者が1LDKや2DKのようなコンパクトな住宅を投資目的で購入するのを防ぐ意図があります。小規模な住宅は単身者などに人気があるため、高所得者が物件を購入してしまうと、希望する住宅を手に入れるのが難しくなることを防ぐためです。

また、住宅ローンの返済期間にも注意が必要です。10年以上の返済期間であることが条件となっており、10年未満の短期ローンでは、控除の対象とはなりません。

さらに、入居する年を中心に前後2年、合計5年間で、過去に住んでいた家の売却に関連する特別控除や買換え特例の適用を受けていないことも必要です。2020年4月1日以降に家を売却した場合は、対象期間が2年・入居後3年となり、合計6年間となります。

住宅ローン控除改正後の3つのメリット

住宅ローン控除の改正後には3つのメリットがあります
住宅ローン控除の改正後には3つのメリットがあります

住宅ローン控除の制度が改正され、さまざまな変更点が注目されていますが、特にメリットは多くの方が気になるポイントではないでしょうか。このセクションでは、改正後の住宅ローン控除の3つの大きなメリットをピックアップして詳しく解説します。

控除期間が延長

新築の住宅を購入する際の住宅ローン控除に関する制度は、近年変更が加えられており、これまでの控除期間が10年であったものが、現在は13年へと3年間延長されています。変更は、新築住宅の取得を促進することを目的としたもので、家を新築で購入しようと考えている方々にとっては、大きなメリットとなるでしょう。住宅ローンの返済にかかる税負担を、従来の制度と比べて3年間長く軽減することができます。

一方、中古の住宅を取得する場合には、制度の変更は適用されません。中古住宅の控除期間は従来通り10年間となっています。新築と中古の住宅取得の税制上の差別化を図ることで、新築住宅市場の活性化を狙った政策と考えられます。購入を検討している住宅のタイプに応じて、控除期間をしっかりと把握し、適切な計画を立てることが重要です。

認定住宅の優遇が拡大された

2022年度の税制改正において、環境に配慮した住宅の取得を促進するための新しい措置が導入されました。長期優良住宅や低炭素住宅などの環境性能を持つ認定住宅に対しては税制上の優遇がおこなわれてきましたが、改正により、さらに範囲が広がりました。特に注目されるのが「ゼロ・エネルギー・ハウス」です。太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用して、住宅のエネルギー消費を実質的にゼロとするもので、先進的な環境技術を持つ住宅に対する優遇が拡大されました。

また、一般的な控除率は1.0%から0.7%に引き下げられましたが、一概に悪い変更とはいえません。住宅の環境性能や購入者の所得水準に応じて、新しい制度下での控除額が従来の制度よりも増加する可能性があります。自身の状況に合った最適な住宅選びや融資プランを検討することが求められます。

入居時期が延長

近年の住宅ローン控除の制度改正により、適用範囲が大きく変わる動きが見られます。かつて、特例を適用する場合の住宅ローン控除の入居期限は2022年12月末でした。特定の条件を満たす方々が、2022年の年末までに新居への入居を完了すれば、所得税や住民税の税額を低減することができる制度です。しかし、多くの住宅購入者や関係者からの要望を受け、政府は制度を見直しました。

結果、住宅ローン控除の制度が大きく拡充され、入居期限が2022年12月末から2025年12月末までと、実質3年間延長されることとなりました。今から住宅購入を検討している方々も、2025年の年末までに入居を完了すれば、税制上の優遇を受けることが可能となります。制度改正は、住宅市場の活性化を促進するとともに、多くの家庭の経済的負担を軽減する効果が期待されています。

住宅ローン控除改正後の4つのデメリット

住宅ローン控除改正後にはデメリットが4つあります
住宅ローン控除改正後にはデメリットが4つあります

住宅ローン控除の制度改正には、多くのメリットが話題となっていますが、実はデメリットも存在します。このセクションでは、改正後の住宅ローン控除の4つのデメリットに焦点を当てて詳しく解説します。一見魅力的に思える制度も、すべての人にとって最適とは限りません。無駄なコストを避け、より賢明な住宅購入の決断をするために、デメリットを知ることは重要です。

控除率の引下げ

住宅ローン控除制度の最近の改正において、注目すべきデメリットが一つあります。住宅ローン控除の基本的な控除率が、1%から0.7%に下がったことです。具体的にどのような影響があるのでしょうか。以前の制度下では、13年間の特例控除を適用した場合、最大で480万円の控除が受けられました。10年目までの合計が400万円、11年目から13年目までの3年間が80万円となっていました。しかし、改正により、金額は273万円までしか受けられなくなり、年間で21万円の控除が13年間適用される計算です。

所得制限の引下げ

住宅ローン控除の制度は、多くの家庭が住宅購入時の負担を軽減するために利用してきたものですが、最近の改正により、控除を受けられる条件が厳しくなりました。具体的には、住宅ローン控除の適用対象となる所得の上限が、従来の「年間の合計所得3,000万円以下」から「2,000万円以下」に大きく引き下げられました。以前は控除の恩恵を受けることができた一部の高所得者が、新しい制度下では対象外となります。

住民税からの控除額の上限が減額

住宅ローン控除の制度は、住宅購入者の税負担を軽減するためのものですが、具体的な適用方法や控除の範囲には注意が必要です。以前にも触れたように所得税だけでなく、住宅ローン控除の控除額が所得税から完全に控除しきれない場合、住民税からも差額を控除することが可能です。税制上の大きなメリットとして多くの人々に知られています。

しかし、最近の改正により、住民税からの控除額に関する上限が変更されました。具体的には、従来「前年度課税所得の7%」として計算され、上限が「最大13万6,500円まで」と定められていましたが、新しい制度では「前年度課税所得の5%」として計算されるようになり、上限も「最大9万7,500円まで」と大幅に引き下げられました。

この変更は、住宅ローン控除を利用して住民税の控除をおこなう際の具体的な計算や控除額に影響を与えます。住宅購入を検討している方や、すでにローンを組んでいる方は、新しい制度に基づいた税務対策や計画を立てることが求められるでしょう。

住宅ローン控除が受けられない住宅の種類ができた

2024年から2025年にかけての住宅購入に関する税制に重要な変更があります。具体的には、期間中に「その他の住宅」に入居する場合の住宅ローン控除の適用条件が厳格化されました。従来の制度では新築の建築確認の時期を問わず、住宅ローン控除の適用を受けることができました。しかし新しい制度では、2024年以降に入居する住宅に関しては、建物が2023年までに新築の建築確認を受けていなければ、住宅ローン控除の対象外となってしまいます。

住宅ローン控除の適用を受けるために必要なこと

住宅ローン控除を適用するには確定申告と年末調整が必要です
住宅ローン控除を適用するには確定申告と年末調整が必要です

住宅ローン控除の恩恵を受けるためには、具体的にどのような条件や手続きが必要なのでしょうか。このセクションでは、住宅ローン控除の適用を受けるための具体的なステップや要件を明確に解説します。

初年度は確定申告をおこなう

住宅ローン控除は多くの住宅購入者にとって大きなメリットをもたらす制度ですが、恩恵を受けるためには正しい手続きが不可欠です。具体的には、住宅を購入しローンを組んだ後、住宅に入居する年の翌年に確定申告をおこなう必要があります。確定申告は、税務署や市役所、町役場などでおこなうもので、必要な書類や収入の証明などを準備することが要求されます。

2年目以降は年末調整をおこなう

住宅ローン控除を受けるための手続きは、初年度と2年目以降で異なります。特に、従業員として働いている方は2年目以降、勤務先でおこなわれる年末調整の際に住宅ローン控除の手続きが簡易的におこなえます。年末調整の期間に、税務署から送られてくる「住宅ローン控除に関する書類」や銀行からの「残高証明書」などの必要な文書を、人事や経理部門などの担当部署に提出することで、手続きは完了します。

一方、フリーランスや個人事業主のように源泉徴収制度の対象外の方は、1年目の際と同様に、毎年確定申告をおこなう必要があります。具体的には、住宅ローン控除を受けるための適切な書類を準備し、書類を税務署に提出することで手続きが完了します。確定申告の際も、必要な書類の準備や提出の期限を逃さないよう、計画的に進めることが重要です。このような手続きを適切におこなうことで、住宅ローンの税制上の優遇を最大限に活用することが可能となります。

まとめ

住宅ローン控除には年収制限は存在しませんが、所得の制限があります。また、要件も確認が必要です。改正後のメリットとして、控除期間の延長や認定住宅の優遇の拡大、入居時期の延長が挙げられます。一方でデメリットとして、控除率や所得制限の減額、住民税の控除額の上限の減額、控除が受けられない住宅の種類の増加があります。住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度に確定申告を、2年目以降は年末調整をおこなう必要があり、さらに確定申告には特定の書類が必要となります。住宅ローン控除の制度を適切に活用しましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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