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住宅ローンに外構費用を組み込める?メリット・デメリットや利用できるローンを解説!

住宅ローンに外構費用を組み込めるのかを解説します
フェンスや門扉など、家の顔ともいえる部分が外構です。せっかくなら建物の雰囲気に合ったものにしたいと考える方は多いでしょう。しかし、費用をどうするか悩む方もいるのではないでしょうか。
本記事では、外構費用を住宅ローンに組み込めるのかを解説します。また、住宅ローンに組み込んだ時のメリット・デメリットや住宅ローン以外で利用できるローンをご紹介します。ご自身の予算に合わせて、最適なローンを選びましょう。

外構費用を住宅ローンに組み込める?

外構費用とは何かを解説します
外構費用とは何かを解説します

まず、「外構費用」とは何かを押さえておきましょう。

外構費用とは

外構とは建物本体以外のことで、次のようなものが挙げられます。

  • 駐車場
  • フェンス
  • 門扉
  • 玄関アプローチ
  • テラス
  • ウッドデッキ
  • 庭・ 植栽

これらを整備するための工事を「外構工事」、または「エクステリア工事」と呼びます。こういった工事にかかる費用が外構費用です。注文住宅は好きなようにデザインできるため、外構も要望によって異なります。例えば、通行人の視線を避けたい場合には高い塀で周りを囲む、周りの人に庭を楽しんでもらいたい場合にはオープンにするなどです。どういう外構にしたいかによって、必要な工事が変わり、外構費用も変化します。

外構費用を組み込める2つのローン

外構費用を借り入れられるローンには「住宅ローン」と「リフォームローン」の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

住宅ローン

住宅ローンに外構費用を組み込むことも可能です。例えば、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する「フラット35」では、次のように記載されています。

建設する住宅の請負契約書に記載のある請負金額や、購入する住宅の売買契約書に記載のある売買金額が借入対象となります。
ただし、次表の費用については、前述の請負金額および売買金額に含まれない場合であっても、次表の確認書類により金額が確認できる場合は借入対象となります。

参照:住宅金融支援機構「対象となる住宅の建設費・購入価額とはどのようなものですか?

この書類によって金額を確認でき、借入対象となるものに外構費用が含まれています。なお、確認書類としては請負契約書、売買契約書、注文書、注文請書などが挙げられています。いずれの書類の場合でも、原本を提示したうえで、写しを提出しなければなりません。

また、PayPay銀行でも、本審査の申し込みの際に契約書や注文書を提出すれば、住宅ローンに外構費用を組み込むことが可能です。しかし、融資実行日までに工事が完了していなければならないため、工事の施工会社とうまく連携を取るようにしましょう。

基本的に、ハウスメーカーや工務店に建物本体だけでなく、外構工事も一括で依頼すると、住宅ローンに組み込めます。詳しくは後述しますが、外構工事を別の会社に依頼する場合は、金融機関に確認しましょう。

リフォームローン

リフォームローンも、外構費用を借り入れることができます。リフォームローンとはその名のとおり、住宅の修繕や増改築などのリフォームをする際に利用できるローンのことです。例えば、三菱UFJ銀行の「ネットDEリフォームローン」には資金使途の例として次のものが挙げられています。

  • 住宅の設備機器の購入資金
    (リフォーム工事をともなうもの)
  • 耐震・免震工事資金
  • 車庫・門扉・外構工事・造園などの、住宅に付随する設備の工事費用
  • 無担保リフォームローンなどの借り換え資金・借り換えにともなう諸費用

利用を検討している金融機関ではどうなっているのか、確認してみましょう。

住宅ローンに外構費用を組み込むメリット

住宅ローンに外構費用を組み込むメリットを4つ解説します
住宅ローンに外構費用を組み込むメリットを4つ解説します

外構費用を組み込めるローンとして「住宅ローン」と「リフォームローン」をご紹介しました。本章では、住宅ローンに外構費用を組み込んだ場合のメリットを解説します。

金利が低い

外構費用を住宅ローンに組み込むメリットとして、金利が低い点が挙げられます。例えば、先ほど取り上げたPayPay銀行では、変動金利の場合で0.315%、固定金利(自己資金10%以上、返済期間35年)で2.025%です。(2024年4月現在)金利が低いと利息額も減るため、返済負担も軽くなります。

外構費用の予算が確保できる

外構費用の予算が確保できる点も、住宅ローンに外構費用を組み込むメリットです。先述したように、住宅ローンに外構費用を組み込む際には、売買契約書や注文書などの金額を確認できる書類が必要です。建物本体の費用とは別に、外構費用として確実に予算を立てられます。

手間がかからない

外構費用を住宅ローンに組み込めば、1つのローンで済むため、手間がかかりません。例えば、外構費用にリフォームローンを利用する場合、ローンを2つ契約することになります。それぞれ書類の準備や手続きなどが必要になり、手間がかかるでしょう。また、支払いにおいても住宅ローンに組み込めば1つにまとまっているため、経済面、精神面においても楽になるでしょう。

住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンに外構費用を組み込むと、住宅ローン控除が受けられる点もメリットです。住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高に0.7%をかけた金額が所得税から引かれる制度です。しかし、住宅ローン控除は家の取得にかかった費用に対して適用されるため、本来であれば外構費用は含まれません。ただし、建物と同じ会社に外構工事を依頼し、外構費用が建物の建築費の10%に満たない場合に、住宅ローン控除を受けられるとしています。

住宅ローンに外構費用を組み込むデメリット

住宅ローンに外構費用を組み込むデメリットを解説します
住宅ローンに外構費用を組み込むデメリットを解説します

住宅ローンに外構費用を組み込むと、「金利が低い」「手間がかからない」などのメリットもありますが、デメリットもあります。詳しく見ていきましょう。

追加で融資が受けられない

追加で融資が受けられない点は、住宅ローンに外構費用を組み込むデメリットの1つです。住宅ローンは契約すると、借入額を変更できません。例えば、設備をグレードアップしたり、工事内容を変更したりすると、想定以上に建物本体に工事費用がかかり、外構費用が足りなくなる可能性もあります。見積もりをできるだけ正確にしてもらうと、追加費用が発生しにくいでしょう。

早めの計画が必要になる

住宅ローンに外構費用を組み込むデメリットとして、早めの計画が必要になる点が挙げられます。繰り返しになりますが、外構費用を住宅ローンに組み込む際には、売買契約書や注文書など、金額がわかる書類が必要です。書類を提出するためには、外構をどういったものにするか、プランをある程度形にしておかなくてはなりません。また、外構工事の打ち合わせをしていて、建物の配置が変わる可能性もあります。外構費用を住宅ローンに組み込みたい場合は、施工会社と連携を取り、早めに計画を立てておきましょう。

審査が厳しい

住宅ローンの審査が厳しい点も、デメリットとして挙げられるでしょう。住宅ローンは高額な借り入れであるため、金融機関は貸し倒れが起きないよう、返済能力を慎重に判断します。具体的には収入や勤務先、借入状況など、安定して返済できる能力があるかを見られます。外構費用を組み込んだ場合、借入額が増えるため、より厳しく見られるでしょう。

外構工事の施工会社が限定される場合がある

外構工事の会社が限定される場合がある点も、デメリットの1つです。金融機関によっては、建物の施工会社と同一でないと住宅ローンの融資の対象にならない場合もあります。施工会社が限定されると、理想としていた外構が実現できない可能性もあります。施工会社が限定されているかは金融機関によって違うため、事前に確認しておきましょう。

リフォームローンに外構費用を組み込むメリット

リフォームローンに外構費用を組み込むメリットを解説します
リフォームローンに外構費用を組み込むメリットを解説します

これまでは外構費用を住宅ローンに組み込むメリット・デメリットを見てきました。それではリフォームローンに組み込むメリット・デメリットは何なのでしょうか。まずはメリットから見ていきましょう。

住宅ローンの審査と比べて通りやすい

リフォームローンに外構費用を組み込むメリットとして、住宅ローンの審査と比べて通りやすい点が挙げられます。リフォームローンは修繕や増改築の費用を対象とするため、住宅ローンと比較して融資金額が小さくなるからです。

また、住宅ローンは購入する土地や建物を担保にしますが、リフォームローンは商品によっては担保が不要です。担保とは、契約者がローンを返済できなくなった際に、ローンの残債を回収するために金融機関に提供するもの。例えば、住宅ローンを返済できなくなった場合、金融機関は担保である建物を競売にかけ、売却代金で残債を回収します。住宅ローンの審査では担保となる建物の審査もおこなわれますが、リフォームローンでは担保が不要となる商品もあるため、審査が通りやすくなっています。

自分で探した施工会社に依頼しやすい

自分で探した施工会社に依頼しやすい点は、リフォームローンのメリットです。先述したように、住宅ローンの場合、金融機関によっては施工会社が限定されます。しかし、リフォームローンでは、自分で探した施工会社に依頼することが可能です。施工事例を見ていて、「ここの施工会社にお願いしたい」「こういった外構にしてほしい」など、外構に対する要望が出てくることがあるでしょう。そういった場合、リフォームローンのほうが自分で探した施工会社に依頼できます。

リフォームローンに外構費用を組み込むデメリット

リフォームローンに外構費用を組み込むデメリットを解説します
リフォームローンに外構費用を組み込むデメリットを解説します

外構費用をリフォームローンに組み込むことはメリットだけではありません。本章ではデメリットを解説します。

住宅ローンよりも金利が高い

リフォームローンに外構費用を組み込むデメリットとして、金利が高い点が挙げられます。リフォームローンの金利の相場は2〜5%程度となっています。住宅ローンで0.3%の商品もあることを考えると、かなり高いことがわかるでしょう。金利が高ければ利息も増えるため、返済額も多くなります。実際にどれくらい多くなるのか、シミュレーションしてみましょう。

<条件>
借入額:500万円
返済期間:10年
返済方法:元利均等返済

住宅ローンとリフォームローンの返済額の比較

  住宅ローン
の場合
リフォームローン
の場合
金利 1.06% 2.875%
月々の返済額 4万3,932円 4万7,992円
総返済額 527万1,830円 575万9,028円

月々の返済額は4,000円ほどしか変わりませんが、総返済額を見ると50万円近く違います。金利が高くなるほど、月々の返済額は増え、総返済額も多くなります。リフォームローンを検討する際は、事前に返済シミュレーションをするようにしましょう。

二重ローンになる

リフォームローンで外構費用を借り入れると、二重ローンになる点がデメリットです。住宅ローンと同時にリフォームローンも返済しなければなりません。先述したように、リフォームローンの金利は高いため、住宅ローンと合わせると月々の返済額が多くなる可能性があります。借入額によっては、家計の負担になるかもしれません。リフォームローンを借り入れる場合は、無理のない返済計画を立てることが大切です。

住宅ローン控除が受けられない

リフォームローンに外構費用を組み込む場合、住宅ローン控除が受けられない点がデメリットです。実際のところ、リフォームローンで住宅ローン控除を受けることは可能です。しかし、工事の対象が省エネやバリアフリー、耐震のためのリフォームである場合にしか控除が受けられません。外構工事は住宅ローン控除の対象外となる点を理解しておきましょう。

外構費用を住宅ローンに組み込む際の流れ

住宅ローンに外構費用を組み込みたい場合は早めに計画を立てる必要があります
住宅ローンに外構費用を組み込みたい場合は早めに計画を立てる必要があります

外構費用を住宅ローンに組み込みたい場合は、早めに計画を立てなければなりません。実際にどのようにすればいいのか、簡単な流れは下記のとおりです。

  • STEP 1外構費用を住宅ローンに組み込めるか金融機関に確認する
  • STEP 2外構費用の予算を立てる
  • STEP 3必要書類を金融機関に提出する
  • STEP 4融資が実行される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

外構費用を住宅ローンに組み込めるか金融機関に確認する

まずは金融機関に、住宅ローンに外構費用を組み込めるかを確認しましょう。金融機関によって組み込めるかの可否や、条件などが異なります。例えば、「そもそも組み込めない」「建物と同じ施工会社なら組み込める」などが考えられます。利用を検討している金融機関に事前に確認しておきましょう。

外構費用の予算を立てる

住宅ローンに組み込めることを確認できたら、外構費用の予算を立てましょう。外構工事の内容によっては、借入額が高額になる可能性があります。どういった外構にしたいのか、プランを考えたうえで予算を決めましょう。理想を叶えることも大切ですが、住宅ローンの返済は長期に渡るため、無理のない返済計画を立てることが重要です。また、老後の資金や子どもがいる場合には教育費なども考えなければなりません。今後のライフプランを踏まえたうえで、予算を立てましょう。

必要書類を金融機関に提出する

外構費用を住宅ローンに組み込むためには、売買契約書や見積書などの書類が必要になります。金融機関に必要書類を確認し、提出しましょう。住宅ローンの契約後に借入額は変更できないため、できるだけ正確に見積もりを取ることが大切です。外構工事の計画に変更があった場合や、施工会社が変更になる場合は金融機関に忘れずに報告しましょう。

融資が実行される

引き渡し時に住宅ローンの融資が実行されます。もし、建物と別の会社に外構工事を依頼した時には、外構費用の融資先を自分か施工会社に変更しなければなりません。金融機関に連絡をし、忘れずに手続きをしましょう。

まとめ

今回は、外構費用を住宅ローンに組み込めるのか、住宅ローン以外の方法はあるのかを解説しました。住宅ローンに組み込むことは可能ですが、金融機関によって条件などが異なるため、事前に確認するようにしましょう。また、組み込むためには売買契約書や見積書などの書類が必要となるため、あらかじめ外構工事のプランを立てておかなければなりません。どういう外構にしたいのか施工会社と打ち合わせをして、ある程度のプランを固めておきましょう。リフォームローンを利用することもできますが、金利が高い、二重ローンになるといったデメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえたうえで、自分に合ったローンを選びましょう。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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