住宅ローンを他の借り入れとまとめる方法!メリット・デメリットもあわせて解説

住宅購入時に車の購入資金や教育資金を同時に用意する時は、ローンを1本化したいと考えることも多いでしょう。原則、住宅ローンと他の借り入れをまとめることはできませんが、条件を満たせばまとめられるケースもあります。
本記事では住宅ローンと他の借り入れをまとめる方法や、そのメリット・デメリットを紹介します。
住宅ローンを検討しているが別の借り入れがある人や、住宅ローン以外にも借り入れがあって悩んでいる人はぜひ最後までご覧ください。
記事の目次
住宅ローンと他の借り入れをまとめることは可能?

冒頭でもお伝えしたとおり、原則、住宅ローンと他の借り入れをまとめることはできません。
しかし金融機関や条件によっては、ローンを1本化できる場合もあります。
原則住宅ローンと他の借り入れをまとめることはできない
通常ローンは目的別に借り入れているものであり、その目的に応じて金利が設定されています。
そのため、目的や金利が異なるローンをまとめることは原則不可能です。
金融機関や条件によってはまとめられる可能性もある
一部の銀行やJAでは、住宅ローンと他の借り入れをまとめられるローンを取り扱っている場合があります。しかし、まとめられるローンは自動車ローンや教育ローンなど、他の金融機関等から借り入れた目的別のローンに限られることがほとんどです。
基本的にカードローンや事業資金などはまとめられないため注意しましょう。
ろうきんならカードローンもまとめられる
ろうきんで住宅ローンをまとめる場合は、住宅ローンとは別で500万円を上限に他の銀行や消費者金融のカードローンやキャッシングの借り換え資金に充てることも可能です。
自動車ローンや教育ローン以外の借金をまとめたい人は、ろうきんのローンを検討するとよいでしょう。
住宅ローンを多めに借りてまとめるのはNG
「住宅ローンと他の借り入れをまとめるために、住宅ローンそのものを多めに借り入れするのはアリ?」と考える人もいるかもしれません。
不動産会社や住宅販売会社に相談のうえ、オーバーローンとして住宅ローンを多めに借りることは可能ですが、条件があります。オーバーローンで借りた資金は、あくまでも住宅や土地にかかる費用(諸費用やリフォームなど購入以外にかかる費用)に使う必要があります。他の借り入れの返済に充てるためにオーバーローンを組むことはできません。また、資金使途を偽ってオーバーローンを借りるのは違法行為であり、発覚すると残高の一括返済を求められるなどのリスクもあります。
住宅ローンと他のローンをまとめるためのオーバーローンは絶対にやめましょう。
他に借り入れがあっても住宅ローンは申し込める?

「そもそも他に借り入れがあっても住宅ローンの審査は通るの?」と不安になっている人もいるでしょう。
結論からいえば、他に借り入れがある場合でも住宅ローンの申し込みは可能ですが、審査に通りにくくなる可能性はあります。住宅ローンの審査では他の借り入れの有無よりも、借入金額や年収に対する返済比率が重要視されます。他に借り入れがあっても、収入が高く返済比率も低くおさまっている場合は、審査も問題なく通過できるでしょう。
ただし他の借り入れが一切ない場合に比べると、住宅ローンの借入可能額が下がってしまう可能性があります。そのため、他のローンは可能な限り返済してから住宅ローンを申し込むことをおすすめします。
また過去の支払い延滞などによって、個人信用情報に問題がある場合は審査に落ちる可能性が高いため注意が必要です。
住宅ローンと他の借り入れをまとめるメリット

一部の金融機関やJA、ろうきんのローンを利用すれば住宅ローンと他の借り入れをまとめられます。
住宅ローンと他の借り入れをまとめれば、以下のようなメリットがあります。
- 月々の返済額を減らせる
- 返済計画が立てやすくなる
- ライフイベントにかかる資金を準備しやすい
これらのメリットを1つずつみていきましょう。
月々の返済額を減らせる
住宅ローンと他の借り入れをまとめることで、毎月の返済額を減らすことができます。
ローンは目的ごとに金利設定が異なり、住宅ローンより高い金利を設定されていることも多いでしょう。低金利の住宅ローンにまとめられれば、利息部分を軽減して毎月の返済額をおさえられる可能性があります。
例えば、住宅ローンと他の借り入れをまとめた場合とまとめない場合の返済総額は以下のとおりです。
まとめた場合 | まとめない場合 | |
---|---|---|
住宅ローン返済額 | – | 7万5,856円 |
マイカーローン返済額 | – | 5万2,059円 |
教育ローン返済額 | – | 3万4,880円 |
1カ月の総返済額 | 8万8,499円 | 16万2,795円 |
参考:おまとめ住宅ローン|JAバンク熊本
※試算条件
住宅ローン:借入額3,000万円/借入期間40年/金利年1%/元利均等返済
マイカーローン:借入額300万円/借入期間5年/金利年1.6%/元利均等返済
教育ローン:借入額200万円/借入期間5年/金利年1.8%/元利均等返済
おまとめローン:借入額3,500万円/借入期間40年/金利年1%/元利均等返済
このように、住宅ローンを他のローンをまとめる場合とまとめずにバラバラと借りる場合では、返済額に大きな差が出るケースも多いです。ローンの返済負担をおさえたい人にとってはメリットがあるといえるでしょう。
返済計画が立てやすくなる
住宅ローンと他の借り入れをまとめれば、返済計画が立てやすくなるメリットもあります。
借り入れが複数ある場合は、返済期間や金利などそれぞれ条件が異なるため、毎月の返済額や残高などの全体像がわかりにくいこともあるでしょう。
ローンを1本化することで、返済額や残りの期間を管理しやすくなります。
また、返済の計画を立てやすいだけでなく、返済日も統一できて支払い漏れを防ぐ効果もあります。
ライフイベントにかかる資金を準備しやすい
住宅ローンと他の借り入れをまとめると、ライフイベントに必要な資金を用意しやすくなります。
一部の銀行やJAで取り扱っているのは、住宅ローンと車の購入資金や子どもの教育資金のローンをまとめられるおまとめ住宅ローンです。「新婚で住宅と車を同時期に買いたい」「子どもの進学に合わせて住宅を購入したいけれど学費が心配」という人に向いているでしょう。
結婚や子どもの進学など、ライフイベントには大きなお金がかかります。住宅ローン以外にもお金を用意する必要がある場合は、まとめて借り入れできるローンを検討してみてください。
住宅ローンと他の借り入れをまとめる時のデメリット

住宅ローンと他の借り入れをまとめる場合は、以下のデメリットに注意しましょう。
- 金利が上乗せされる
- 利用できる金融機関が少ない
住宅ローンをまとめることを検討する時は、メリットだけでなく、デメリットも把握しておく必要があります。
これらの注意点を1つずつ見ていきましょう。
金利が上乗せされる
住宅ローンと他の借り入れをまとめる場合、通常の住宅ローンよりも金利が高くなる傾向があります。住宅ローンを単体で借りる場合と比較すると金利が高いことから、総返済額が増える可能性もあるでしょう。
住宅ローンは大きな金額を借り入れするケースがほとんどであり、金利が1%異なるだけでも返済額に大きく影響します。
住宅ローンをまとめる場合とまとめない場合で、どのくらい金利に差が出るのか事前に比較し、どちらのメリットが大きいのか慎重に検討しましょう。
利用できる金融機関が少ない
おまとめ住宅ローンを提供しているのは一部の銀行や JA、ろうきんのみです。
通常の住宅ローンを組む時よりも金融機関の選択肢が大きく減ってしまうため、条件を比較・検討しづらいのはデメリットです。条件が合う金融機関が見つかったとしても、年収や勤続年数、返済比率、個人信用情報などさまざまな原因で審査に落ちてしまうこともあります。
おまとめ住宅ローンを探す場合は、通常よりもスムーズにローンを組めずに苦労してしまう可能性があることを理解しておきましょう。
住宅ローンと他の借り入れをまとめる前に知っておくべきこと

住宅ローンと他の借り入れをまとめるか迷っている場合は、以下の点を事前に把握しておいてください。
- 住宅ローン控除の対象になる部分は限られる
- 審査が厳しくなる
まとめてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、注意点を知っておきましょう。
住宅ローン控除の対象になる部分は限られる
住宅ローンと他の借り入れをまとめて総借入額が大きくなった場合でも、すべてが住宅ローン控除の計算対象になるわけではありません。控除の計算対象になるのはあくまでも住宅取得資金等にかかる借り入れ部分のみです。
おまとめ住宅ローンを借り入れしても、借入額のすべてを控除の計算に含めることはできないことをあらかじめ把握しておきましょう。
審査が厳しくなる
一部の銀行やJAのおまとめ住宅ローンを利用する場合、通常よりも審査が厳しくなる可能性があります。
銀行やJAのおまとめ住宅ローンは、消費者金融が提供するおまとめローンよりも金利が低い傾向があります。しかし審査基準も厳しくなるため、落ちる可能性があることも理解しておきましょう。
消費者金融など賃金業者が提供しているおまとめローンであれば、銀行より柔軟な審査がおこなわれることも多くあります。
ただし、一般的には消費者金融のおまとめローンよりも、銀行やJAのおまとめ住宅ローンのほうが低金利です。消費者金融のおまとめローンで借り入れを1本化すると金利が高い方が適用され、条件が悪くなってしまう可能性が高いため、利用はおすすめしません。そもそも賃金業者のおまとめローンの規定によって、銀行からの借り入れはまとめられない場合もあります。
まとめ
本記事では住宅ローンと他の借り入れをまとめる方法や、そのメリット・デメリットを紹介しました。
住宅ローンと他の借り入れをまとめることは原則できませんが、一部の銀行やJA、ろうきんのおまとめ住宅ローンを利用すればまとめられる可能性があります。まとめられる対象は基本的にマイカーローンや教育ローンといった目的別ローンです。
住宅ローンをまとめることを検討する時は、本記事で紹介したメリット・デメリットや注意点を参考にしてください。
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執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ