住宅ローン控除に必要な残高証明書とは?初年度は確定申告が必要!

住宅ローンの残高証明書がどのような書類なのか、また、紛失した際の対策が気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では住宅ローン控除を申請するために必要な残高証明書の詳細を解説します。
記事の目次
住宅ローンの残高証明書とは?

住宅ローンの残高証明書には、以下の項目が記載されています。
- 住宅ローンの契約者の氏名や住所
- 住宅ローンの契約番号
- 住宅ローンの残高
- 住宅ローンの返済履歴
- 住宅ローンの返済予定表
住宅ローンの残高証明書が必要となるタイミングや、いつ届くのかを解説します。
住宅ローン控除を利用する際に必要な書類
住宅ローンを組んで一定の要件を満たすことで、住宅ローン控除を利用できます。
住宅ローン控除を利用するためには必要な書類を準備して、確定申告や年末調整をおこなう必要があり、住宅ローンの残高証明書は、必要な書類のうちのひとつです。
住宅ローンの残高証明書は、住宅ローンを契約した金融機関から発行されます。
紛失などした際に再発行をすることはできますが、残高証明書が届いたら大切に保管しておきましょう。
住宅ローン控除とは
住宅ローンの残高証明書は住宅ローン控除を利用する際に必要な書類だと書きましたが、そもそも住宅ローン控除とはどのような制度なのでしょうか。
住宅ローン控除とは、自己居住用の住宅を購入または建築するために住宅ローンを組んだ場合に、所得税や住民税の負担を軽減できる制度のことです。
基本的には所得税から控除されますが、所得税から控除しきれなかった分が住民税から控除されます。
詳細は後述しますが、住宅ローン控除は初年度に確定申告をおこなうことで利用することができます。
住宅ローン控除の対象となるのは、国税庁の「住宅ローン控除を受ける方へ」によると下記のとおりです。
- 住宅を新築または新築住宅を取得した場合
(住宅借入金等特別控除) - 買取再販住宅を取得した場合
(住宅借入金等特別控除) - 中古住宅を取得した場合
(住宅借入金等特別控除) - 増改築等をした場合
(住宅借入金等特別控除) - 要耐震改修住宅を取得し、耐震改修をおこなった場合
(住宅借入金等特別控除) - 省エネ改修工事をした場合
(住宅特定改修特別税額控除) - バリアフリー改修工事をした場合
(住宅特定改修特別税額控除) - 多世帯同居改修工事をした場合
(住宅特定改修特別税額控除) - 耐久性向上改修工事をした場合
(住宅特定改修特別税額控除) - 認定住宅等の新築等をした場合
(認定住宅等新築等特別税額控除) - 耐震改修工事をした場合
(住宅耐震改修特別控除)
上記のなかでも、一般の方に適用されるケースが多い、住宅の新築・新築住宅の取得をした場合と、中古住宅を取得した場合で要件が異なる点を詳しく解説します。
住宅を新築または新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
個人が住宅を新築したり、新築住宅を取得したりする際に住宅ローンを組めば、住宅ローン控除を受けることができます。
ただし、住宅区分や居住している年数によって借入限度額や控除期間が異なるため、気になる人は国税庁の「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合」を確認しましょう。
また、住宅の新築・新築住宅の取得をして、住宅ローン控除を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 住宅の新築等の日から6カ月以内に居住の用に供していること。
- この特別控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。
- 次の (1) または (2) のいずれかに該当すること。
(1) 下記 (2) 以外の場合(イ):住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること。(ロ):この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、2,000万円以下であること。
(2) 特例居住用家屋または特例認定住宅等の場合(イ):住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること。(ロ):この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、1,000万円以下であること。 - 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務があること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 居住年およびその前2年の計3年間に次に掲げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと。
- 居住年の翌年以後3年以内に居住した住宅以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について上記6に掲げる譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。
- 住宅の取得は、その取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと。
- 贈与による住宅の取得でないこと。
上記の他にも、住宅区分によって別途適用要件が設けられていることもあるため、該当する住宅区分を国税庁のホームページで確認しておきましょう。
中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
次に、中古住宅を取得した場合です。
個人が中古住宅を取得した際に住宅ローンを組めば、住宅ローン控除を受けることができます
ただし、新築同様に住宅区分や居住している年数によって借入限度額や控除期間が異なるため、気になる人は国税庁の「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」を確認しましょう。
また、中古住宅を取得して住宅ローン控除を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 中古住宅の取得の日から6カ月以内に居住の用に供していること。
- 適用年の12月31日まで引き続き居住の用に供していること。
- この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、2,000万円以下であること。
- 住宅の床面積が50平方メートル以上であり、かつ、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること。
- 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務があること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 居住年およびその前2年の計3年間に次に掲げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと。
- 居住年の翌年以後3年以内に居住した住宅以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について上記7に掲げる譲渡所得の課税の特例を受けていないこと。
- 住宅の取得は、その取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得でないこと。
- 贈与による住宅の取得でないこと。
- 建築後使用されたことのある家屋で次のいずれかに該当すること。
(1) 昭和57年1月1日以後に建築されたものであること。
(2) (1) 以外の場合は、次のいずれかに該当すること。(イ):取得の日前2年以内に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合するものであると証明されたものであること。(ロ):上記 (1) および (2) (イ) に該当しない一定の住宅のうち、その取得の日までに耐震改修をおこなうことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること。
新築同様に上記の他にも、住宅の区分によっては特有の適用要件が設けられていることもあるため、該当する住宅区分を詳しく確認しておきましょう。
残高証明書はいつ届くのか
住宅ローンの残高証明書は、住宅ローンを組んだ初年度と翌年以降で届く時期が異なります。
金融機関によって異なりますが、初年度と翌年以降の書類が届く時期は以下のとおりです。
- 初年度 :10月~1月頃
- 翌年以降:10月~11月頃
住宅金融支援機構の「フラット35」を利用して住宅ローンを組むと、民間の金融機関とは異なるタイミングで残高証明書が発送されるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
住宅ローンを組んだ初年度は確定申告が必要

確定申告とは、所得税や法人税などの税金を納めるために、個人や法人が税務署に対しておこなう手続きのことを指し、原則毎年2月16日から3月15日におこなわれています。
所得税の申告をする際は、個人の収入や経費、控除などを計算した結果に基づいて所得税額を計算します。
確定申告の書類は、税務署が用意した専用の書式を使用して期限内に提出する必要があります。
確定申告の内容に誤りや不正、納付期限を過ぎるなど不備があると、税務署から指摘や追徴課税の措置がおこなわれる可能性があるため、余裕を持って手続きをおこなうことが大切です。
また、会社員や公務員などの給与所得者は、住宅ローンを組んだ翌年度以降は勤務先が年末調整をおこなってくれるため、確定申告の必要がありません。
ただし、住宅ローンを組んだ初年度は自分で確定申告をする必要があります。
住宅ローンの残高証明書を再発行する方法とは

住宅ローンの残高証明書を紛失した際には、原則、確定申告や年末調整までに再発行の手続きをする必要があります。
金融機関に再発行を依頼する
住宅ローンの残高証明書は、住宅ローンを契約した金融機関に依頼をすれば再発行の手続きをしてもらえます。
取扱店舗に直接連絡するか、コールセンターやWebサイトから再発行を依頼することもできます。
金融機関によって対応方法が異なるため、金融機関の公式サイトを確認するのがおすすめです。
取扱店舗に足を運んで再発行された残高証明書を受け取る際は、本人確認書類などの準備が必要になるため、注意が必要です。
再発行には手数料が必要なため注意
金融機関に再発行を依頼する際は、手数料が発生することがあります。
金融機関によって再発行の手数料は異なりますが、数百円程度であることがほとんどです。
住宅ローンの残高証明書を紛失したら、早めに金融機関に再発行の依頼をしておきましょう。
住宅ローン控除を利用するための確定申告をする際の3つの注意点

住宅ローン控除を利用するための確定申告をする際の注意点は以下の3つです。
- 確定申告の期間
- 所得税から控除しきれないケースがある
- 書類は早めに準備する
順番に見ていきましょう。
確定申告の期間
住宅ローン控除を利用するための確定申告をする際の1つ目の注意点は、確定申告の期間です。
確定申告は、原則毎年2月16日から3月15日の間に必要書類の提出が必要です。
住宅ローンを組んだ初年度は自分で確定申告をする必要があるため、時期を間違えずに早めに必要書類を準備しましょう。
所得税から控除しきれないケースがある
住宅ローン控除を利用するための確定申告をする際の2つ目の注意点は、所得税から控除しきれないケースがあることです。
確定申告をすると住宅ローン控除が適用されますが、控除可能額よりも所得税額が低くなると、所得税から控除しきれなくなります。
所得税から控除できないと損だと考える人もいるかもしれませんが、住民税から控除されることになります。
住民税から控除される際は自分で手続きをする必要がなく、市区町村に通知がされ自動で控除されるため、覚えておきましょう。

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- 住宅ローンを組んで住宅を購入した場合には、住宅ローン減税制度を利用することができます。住宅ローン減税制度が適用されると
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書類は早めに準備する
住宅ローン控除を利用するための確定申告をする際の3つ目の注意点は、書類は早めに準備することです。
先述したとおり、確定申告は毎年決められた期間内でおこなわなければなりません。
住宅ローンの残高証明書を含めた必要書類が手元にないと、各所に発行の依頼をする必要があります。
決められた期間内に確定申告をしないと、無申告加算税や延滞税がかかることがあるため、注意が必要です。
また、住宅ローンを組んだ翌年以降は勤務先でおこなわれる年末調整までに必要書類を準備する必要があるため、余裕を持って書類の準備をしましょう。
まとめ
住宅ローン控除を利用するためには、残高証明書が必要です。住宅ローンを組んだ初年度は、会社員や公務員などの給与所得者も自分で確定申告をする必要があります。
翌年以降は勤務先が年末調整をおこなってくれますが、確定申告よりも早い時期に必要書類をそろえなければならないため、注意が必要です。もし紛失した場合には、金融機関に連絡し、再発行してもらいましょう。
また、確定申告は毎年2月16日から3月15日の間に必要書類を提出しなければならないため、余裕を持って書類を準備しましょう。
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執筆者
長谷川賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
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