このページの一番上へ

住宅ローンで月8万の返済はきつい?年収の目安はどれくらい?

月8万の住宅ローンを組むならどの程度の年収が必要?
住宅ローンを契約する時に、月々の返済額から借入れ金額を決めることがあります。毎月8万円を返済する際には、借入れ金額はどれくらいになるのでしょうか。また、余裕を持って返済できる年収はどの程度でしょうか。さらに、8万円の返済がきついと感じた時には、どういった対処法があるのでしょうか。この記事では、このような疑問を解消していきます。

住宅ローンで8万円返済する時の借入れ金額はどれくらい?

住宅ローンでは、無理のない返済額を設定することが大切です。もし月々の返済額を8万円にした場合、借入れ金額はいくらになるのでしょうか。返済期間や金利によって異なりますが、借入れ額をシミュレーションで確認できます。不動産情報サイト アットホームの「借入れ額試算」でシミュレーションをしてみましょう。

返済期間別の借入れ可能額と総返済額を、次の条件で試算していきます。

<条件>
毎月の返済額:8万円
自己資金:なし
全期間固定金利:1.8%

返済期間 借入金 総返済額
15年 1,261万円 1,440万円
25年 1,931万円 2,400万円
35年 2,491万円 3,360万円

参考:不動産情報サイト アットホーム「借入れ額試算」でシミュレーション

返済期間が長くなれば、借入金も増えるのがシミュレーションからわかります。しかし、同時に利息も増えるため、総返済額も多くなります。借入金だけでなく、利息も含めた総返済額を確認するようにしましょう。

住宅ローンで8万円返済する時の年収の目安は?

一般的な目安として、返済額を年収の約25%以内におさめるようにしましょう。25%以上になると、家計に負担を感じるようになってしまいます。毎月8万円の住宅ローンを返済する場合、必要となる年収の目安は384万円です。

計算式は次のとおりです。
8万円×12カ月÷25%=384万円

しかし、上記は額面での年収です。手取りの年収は、家族構成や保険によって異なりますが、社会保険料や税金を引いた額面年収の約8割となります。この場合、384万円×80%=307万円が目安となります。月収にすると約25万円です。

計算式で求めた年収はあくまで目安です。家族構成やライフスタイルによって、無理せず返済できる金額は変わります。夢のマイホームを買ったのに、返済をきつく感じてしまっては日々の生活も楽しめません。無理のない範囲で住宅ローンを契約するようにしましょう。

住宅ローンの適切な返済額の決め方

無理のない住宅ローンの返済額を決めるためには5つの方法があります

無理のない住宅ローンの返済計画を立てるためには、自分に合った返済額を知ることが大切です。適切な返済額を設定することで、将来の生活や経済の安定を確保できます。本章では、住宅ローンの適切な返済額を決める方法を解説します。具体的には、次の5つです。

  • 物件タイプごとの平均返済額を知る
  • 毎月の収支を考える
  • 現在の家賃を基準に考える
  • 返済負担率を考慮する
  • 頭金として使える金額を把握する

一つずつ、詳しくみていきましょう。

物件タイプごとの平均返済額を知る

まず、物件タイプごとの平均返済額を把握しましょう。一戸建てやマンションなどの平均返済額を知ることで、自身の予算やライフスタイルに合った物件を選ぶことができます。

住宅金融支援機構2021年度 フラット35利用者調査」によると、物件タイプ別の平均返済額と、平均物件価格は次の表のとおりです。

物件タイプ 月々の平均返済額 平均物件価格
土地付注文住宅 12万4,400円 4,455万円
新築建売住宅 10万3,700円 3,605万円
新築マンション 12万3,600円 4,528万円
中古戸建 7万8,700円 2,614万円
中古マンション 8万7,000円 3,026万円

参考:住宅金融支援機構2021年度 フラット35利用者調査(PDF)

表を見ると、返済額と物件タイプごとの価格が比例していることがわかります。月8万円を返済するとなると、中古マンションや中古の戸建が選択肢に入るようです。あくまで平均ですが、物件タイプによって返済額は変わるため、自分の予算に合わせた物件を選ぶようにしましょう。

毎月の収支を考える

住宅ローンの適切な返済額を決めるためには、毎月の収支を考慮する必要があります。生活費を削りすぎてしまうと、生活の質が落ち、満足度が低下してしまう可能性があるからです。収入と支出を正確に把握し、必要な生活費や貯蓄などを考えながら、返済額を決めましょう。

住宅ローンは長期間に渡って返済が続きます。また、子どもの教育費や老後の資金なども考えなければなりません。余裕を持った生活を送るため、家計状況に合った返済額を設定しましょう。

現在の家賃を基準に考える

現在の家賃を基準にして、住宅ローンの返済額を決める方法もあります。家賃と返済額が同じくらいであれば、今の生活スタイルを維持しつつ、住宅ローンの返済が可能です。生活費や将来の負担が、大きく変わることもありません。

ただし、住宅を購入したあとは、ローンの返済だけではなく、必要経費がかかることも覚えておきましょう。例えば、固定資産税や都市計画税などの税金があります。また、マンションなら管理費や修繕積立金がかかります。一戸建ての場合にも、修理をはじめ、リフォーム用の資金を確保する必要があります。

住宅ローン以外の支出も考慮したうえで、家賃と同じ返済額で今の生活スタイルを維持できるのかを判断しましょう。

返済負担率を考える

適切な住宅ローンの返済額を決めるうえで、返済負担率を考慮するのも一つの方法です。返済負担率とは、収入に対する月々の返済額の割合を示したものです。返済負担率が高い場合、今の家計や将来のライフプランに支障をきたす可能性があります。先述したように、25%以内におさめるのが望ましいとされています。下記は、物件タイプ別の総返済負担率です。

物件タイプ 総返済負担率
土地付注文住宅 24.9%
建売住宅 23.7%
新築マンション 22.1%
中古マンション 19.4%
中古戸建 20.3%

参考:住宅金融支援機構2021年度 フラット35利用者調査(PDF)

表を見ると、すべての物件タイプで25%以内におさめられているのがわかります。なかには住宅ローンだけでなく、自動車ローンや奨学金の返済をしている方もいるでしょう。子どもの人数やライフスタイルによっても、適切な返済額が変わるため、あくまで目安と考えましょう。

頭金を適切な金額にする

頭金を無理のない金額にすることで、住宅ローンの返済額を適切に決めることができます。頭金とは、物件購入時に一括で支払う金額のことです。頭金を用意することで、借入額を減らし、月々の返済額を少なくできます。多ければよいと考えがちですが、そうではありません。病気やケガによる休職、万一の際に備えることを考え、予備資金を確保する必要があります。

頭金の金額をいくらにするかは、次の式で求められます。

頭金=
貯蓄-(購入諸費用+生活予備費+将来への貯蓄)

頭金を用意しすぎて、いざという時に対処できなければ本末転倒です。頭金を適切な額に設定してから、月々の返済額を決めるようにしましょう。

住宅ローンの返済がきついと感じた時の対応策

住宅ローンの返済がきついと感じた時には、住宅ローンの借り換えや家計を見直すなどの対処法があります

住宅ローンで適切な返済額を設定したつもりでも、年収の減少や経済の状況によって返済がきつく感じられることもあるでしょう。本章では返済に苦しくなった時の対処方法を4つご紹介します。

  • 家計を見直す
  • 住宅ローンを借り換える
  • 金融機関に相談する
  • 任意売却を検討する

早めの行動が、経済的にも精神的にも負担を楽にしてくれます。一つずつ確認し、今できることをしていきましょう。

家計を見直す

1つ目は、家計を見直すことです。収入と支出のバランスを整え、無駄な出費を見直すことで、返済負担を軽減できます。例えば、固定費の見直しや生活費の節約などが考えられます。

固定費とは、毎月必ず支払うものです。具体的には、保険料や通信費、水道光熱費などがあります。固定費は一度抑えることで、長期的に節約できるため、効果が大きくなります。スマートフォンのプランを見直したり、いらないオプションを解約したり、無駄がないか確認しましょう。

また、車のローンを抱えている場合には、所有の必要性を考えてみましょう。ガソリン代や車検代、自動車保険代など、車は持っているだけでも維持費がかかります。乗る頻度が少なければ、思い切って手放し、カーシェアリングを利用する方法もあります。

支出が増えている時には「これは必要だ」と思い込んでいることが多くあります。今一度、「本当に必要か?」を考えてみましょう。

住宅ローンを借り換える

2つ目は、住宅ローンの借り換えです。別の金融機関の低金利ローンに借り換えることで、月々の返済額を減らすことができます。次に挙げる条件が、うまく借り換えできる目安となります。

  • 返済期間が10年以上残っている
  • 住宅ローンの残高が1,000万円以上ある
  • 借り換えると金利が1%以上下がる

返済期間が長く、金利差が大きいほど、借り換えることで返済負担が軽くなります。

ただし、住宅ローンを借り換えるには、手数料や保証料などの諸費用がかかります。諸費用が返済額の軽減分より多ければ、借り換えるメリットがなくなってしまいます。諸費用にいくらかかるのか、事前に確認しておきましょう。

金融機関に相談する

3つ目は、金融機関に相談することです。事情に応じて「返済期間を延長する」「ボーナス払いを中止・減額する」などの返済計画の見直しを提案してくれます。金融機関にとっても、住宅ローンの返済が止まってしまうことは避けたいものです。相談することで、状況を整理して問題点を把握し、解決策を考えてくれます。

相談しづらく感じるかもしれませんが、あと回しになると対応策も限られてしまいます。返済がきついと感じたら、なるべく早めに相談するようにしましょう。

任意売却を検討する

4つ目は、任意売却を検討することです。任意売却とは、金融機関の許可を得て、自主的に住宅を売却することをいいます。家を手放すことになりますが、住宅ローンの返済が滞れば、競売にかけられることになるでしょう。競売では、本来売れる価格よりも安くなってしまい、信用情報にも影響します。

任意売却では、仲介手数料や抵当権抹消などの諸費用がかかりますが、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。もし、売却代金で住宅ローンを完済できれば、固定資産税の負担割合も軽減されます。

反対に、売却しても住宅ローンが完済できない場合も。この時には、残っている住宅ローンをどう返済していくか、金融機関と話し合うことになります。

競売は、タイムリミットがあり、周りに滞納の事実を知られるリスクもあります。住宅ローンの返済が本当にきつい時には、最後の手段として任意売却を検討しましょう。

住宅ローンを返済するためにキャッシングを利用したり、消費者金融から借入をしたりすることは、自身をさらに追い込むことになります。家を残すことではなく、有利に手放すことを考えるようにしましょう。任意売却は最終手段のため、返済がきついと感じたら、早めの対処が大切です。

まとめ

この記事では、住宅ローンで月々8万円を返済する時の借入れ額や年収の目安について解説しました。住宅ローンの返済は長期間に渡るため、無理なく返済できる範囲で金額を決めるようにしましょう。また、返済がきついと感じた時の対処法もご紹介しました。始めた頃は苦ではなかった返済も、家計や経済の状況が変わり、きつく感じることもあるでしょう。金融機関に相談すると、救済措置を提案してくれることもあります。
「どうすればいいかわからない」と放置するのではなく、できることから早めに対処するようにしましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る