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土地購入の注意点は?後悔しないために成功のコツを押さえよう

注文住宅を建てる際、間取りやハウスメーカーの選定も大事なプロセスですが、土地選びも家づくりでは欠かせない重要なステップです。土地の選択がスムーズに進む方もいれば、希望どおりの土地を見つけられず、長い間土地探しに悩む方もいます。その差はどこから生まれるのでしょうか?

この記事では、土地の購入で失敗しないためのノウハウや注意点をご紹介します。夢のマイホームを実現するためにも、ぜひチェックしておきましょう。

記事の目次

土地購入で失敗しないための注意点

土地の購入で失敗しないための注意点を解説します
土地の購入で失敗しないための注意点を解説します

土地の購入は、高額な買い物のため「失敗したくない!」と多くの方が考えるでしょう。それにも関わらず、十分な知識がないまま購入を進めた結果、「この土地に決めたのは失敗だった」と後悔するケースも。
まずは、土地を購入する前に失敗しないための注意点を知っておく必要があります。どのような注意点があるのか、以下で見ていきましょう。

災害発生時の安全性を確認する

地震の多い日本では、土地の地盤の安全性がとても重要です。地盤が弱い土地では、大規模な地震の際に揺れが増幅したり、液状化現象による地盤沈下が発生するリスクがあります。

このような土地では建物が倒壊する可能性が高まり、家族の命や財産に重大な被害を及ぼす恐れがあります。地盤改良をおこなうことで土地を強化する方法もありますが、工事には高額な費用が必要になるでしょう。

そのため、過去に地盤沈下や液状化現象が確認された地域・土地はできるだけ避けることをおすすめします。事前にハザードマップを確認し、購入候補地の災害リスクを調査することが重要。また、地盤調査を依頼し、その土地に適した建築プランを立てることも大切です。

建築条件を確認する

土地の広さが十分でも、住宅の設計や建築に影響する「建築条件」を確認しなければなりません。建ぺい率や容積率の制限によって、想定していた住宅面積が確保できない場合があります。

また、特定の施工会社の指定が付随する「建築条件付き土地」ではプランの自由度が低くなる可能性も。理想とするマイホームの条件のいくつかを妥協しなければならない部分も出てくるかもしれません。さらに「埋蔵文化財包蔵地」の場合は、教育委員会への届け出や追加調査が必要になることもあります。また、自然環境を保護するための「風致地区」では、一般の土地よりも厳しい建築制限が課されることがあります。

上記の条件を事前に確認することで、トラブルを回避し、理想の家づくりを進められるでしょう。土地の購入前に自治体や不動産会社と詳細を確認しておくことを忘れないようにしましょう。

所有権・借地権のどちらかを確認する

土地を購入して注文住宅を建てる際、その土地の権利形態を理解する必要があります。「所有権」とは、土地を自由に使用し、収益化や処分が可能な権利のことです。一方、「借地権」は、地主から土地を借りて建物を建てるための権利で、毎月地代を支払う必要があります。

借地権付きの土地は初期費用を抑えられるメリットがありますが、建物の増改築や相続の際には地主の許可が必要になる場合も。一方で、所有権の土地は取得費用が高額になるものの、将来的な売却や貸出など多様な活用が可能です。

どちらの選択肢にもメリットとデメリットがあるため、自身の生活設計や予算に合わせて最適な方法を選びましょう。事前に不動産会社などの専門家へ相談することも有効な手段です。

土地の相場を把握する

土地の購入では、そのエリアの相場を把握することがとても重要です。相場を知ることで、提示されている価格が適正かどうかを判断でき、高い金額で購入するリスクを避けられます。相場調査には国土交通省が提供している「地価公示」や「基準地価」のデータの活用が有効です。また、不動産ポータルサイトの価格相場や取引事例を参考に、近隣エリアの実際の取引価格を確認するとよいでしょう。

同じエリアでも、駅からの距離や周辺施設の有無などで価格が異なるため、細かい条件にも注目しましょう。わからないことがあれば、積極的に専門家に質問することも有効です。慎重に相場調査をおこない、納得のいく土地購入を目指しましょう。

土地の将来性を調べる

土地の資産価値は、その地域の将来性に大きく左右されるでしょう。例えば、新しい駅の開業や交通網の整備、大規模な再開発計画などは、土地の価値を大きく向上させる可能性があります。一方で、人口減少が進むエリアや、周辺環境が悪化する恐れがある地域では、資産価値が下がるリスクも考慮しなければなりません。
また、エリアのブランド力や治安、教育環境も、将来の土地の資産価値に影響を与えます。特に、転勤や介護などで将来的に家を売却、または賃貸に出す可能性がある場合、資産価値の維持・向上は重要なポイントとなります。

土地を購入する前に自治体の都市計画やエリアの将来動向などを調査し、専門家の意見を取り入れながら判断することで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。

用途地域を確認する

「用途地域」は都市計画法によって定められた土地利用の区分で、エリアごとに建築できる建物の種類や高さ、面積などが制限されています。例えば、住宅地向けの「第一種低層住居専用地域」では静かな住環境が確保されますが、大型商業施設や高層マンションの建設はできません。一方、商業地域では便利さが魅力ですが、騒音や交通量の増加が懸念される場合もあります。

上記のように、用途地域は生活環境に大きな影響を与えるため、土地の購入時には、希望する生活スタイルに合う用途地域を選ぶことが大切です。地域のルールや制限を詳しく理解するためにも、自治体や専門家への相談をおすすめします。

土地の形・高低差を確認する

土地の形状や高低差は、注文住宅の建築や生活環境に大きな影響を与えます。長方形や正方形などの整形地は建物の設計自由度が高く、コストを抑えやすい点が特徴です。一方、不整形地は土地代が安いことが魅力ですが、設計の制約が増え、建築費用が高くなる場合も。また、売却時にも買い手が付きにくいことがあるため、資産価値の面でも注意が必要です。

高低差に関しても、周囲より低い土地では雨水や地下水が流れ込みやすく、排水設備の追加工事が必要になることがあります。一方、高台の土地は眺望や日当たりがよい反面、階段や斜面の整備が必要となる場合があります。上記を踏まえ、土地の形や高低差が生活にどのような影響を与えるかを十分に検討しましょう。

隣地との境界線を確認する

土地の購入時には、隣地との境界線が明確になっているかどうかを確認しなければなりません。境界が曖昧な場合、のちに隣人とのトラブルに発展することがあります。例えば、建物の建築や塀の設置を巡って意見が対立したり、土地の所有権に関する問題が発生する恐れも。隣人とのトラブルリスクを回避するために、売主に境界線の確定を依頼し、必要であれば測量士に依頼して境界を明示する作業をおこなうとよいでしょう。

また、境界杭が動かされたり、なくなったりしていないかも確認しましょう。もし隣地とのトラブルが解決できない場合、その土地の購入を見送ることも選択肢の一つです。安心して暮らせる土地を選ぶためにも、境界の確認は必須です。

接道義務とセットバックを確認する

建築基準法では、建物を建てる土地は「幅4m以上の道路に2m以上接している」ことが求められます。これを「接道義務」といい、条件を満たさない土地では新築が認められません。接道義務をクリアするために、土地の一部を道路用地として提供する「セットバック」が必要になる場合があります。セットバックをおこなうと、敷地面積が減少し、希望する建物の広さを確保できない可能性があるため、注意が必要です。

また、道路幅が狭いエリアでは、災害時の避難や緊急車両の通行にも影響を及ぼすことがあります。土地の購入時には、接道状況を事前に確認し、必要に応じて設計プランを調整したほうがよいでしょう。土地の検討時に不動産会社や建築士に相談し、法的要件を満たすための対策を立てましょう。

インフラ整備状況を確認する

上下水道や電気、ガスなどのインフラが整備されているかどうかも、土地選びの重要なポイントです。インフラが未整備の土地は、価格が安い場合もありますが、購入後に引き込み工事が必要になることが多く、その費用が高額になる可能性があります。特に上下水道が未整備の場合、浄化槽を設置する必要があるため、初期費用や維持管理の負担が増えるでしょう。また、ガスが都市ガスかプロパンガスかによっても、ランニングコストが異なります。

さらに、携帯電話の電波状況やインターネット環境など、現代の生活に欠かせない要素も確認が必要です。土地の購入前にインフラの現状や整備費用を不動産会社などの専門家に確認し、予算計画に組み込んでおきましょう。

周辺環境を確認する

土地の購入を検討する際は、土地そのものだけでなく、周辺環境も慎重に調査する必要があります。近隣に商業施設や教育機関、病院、公園などが揃っているかどうかは、日常生活の利便性や快適さに直結します。

また、交通の便がよいか、騒音や治安に問題がないかなどの確認も重要です。昼と夜、平日と休日で環境が大きく変わる場合もあるため、複数の時間帯に現地を訪れて雰囲気を確認しましょう。

将来的に開発が予定されている地域では、環境が大きく変わる可能性もあります。自治体の計画や近隣住民の声も参考にし、実際の生活を具体的にイメージしながら土地を選びましょう。

自治体による支援の充実度を確認する

土地の購入を検討する際は、自治体が提供している支援制度も重要な判断基準となります。例えば、子育て世帯向けの医療費補助や保育料の割引、移住者への補助金、住宅建築の助成金など、地域によって支援内容は大きく異なります。

自治体による制度を活用することで、土地購入後の生活費や建築費用を抑えることが可能です。また、自治体による地域活性化の取り組みや、住民向けのイベントなど、地域コミュニティの充実度もチェックしておくとよいでしょう。

特に移住を検討している場合は、自治体の支援が生活の安定に直結する可能性もあります。土地を選ぶ前に自治体の公式ホームページや窓口で支援制度を確認し、わからないことがあれば、問い合わせてみるとよいでしょう。

土地購入費以外の諸費用を確認する

土地を購入する際には、土地代以外にもさまざまな諸費用が発生します。例えば、不動産会社に支払う仲介手数料や売買契約書の印紙税、不動産取得税、登録免許税、登記費用などが挙げられます。

さらに、地盤調査費用や測量費用、境界線確定のための費用などがかかることも。これらの諸費用は、一般的に土地代金の5~10%程度を見積もる必要がありますが、土地の状況によってはさらに増加する場合もあります。

特に、上下水道や電気・ガスの引き込みが必要な場合や、地盤改良が必要な土地では、予算オーバーとなる可能性が高まります。購入前に見積もりを依頼し、想定外の費用が発生しないよう慎重に計画を立てましょう。

抵当権の有無を確認する

土地に抵当権が設定されている場合、その土地が前所有者のローン返済の担保となっている可能性があります。もし前所有者が返済を滞らせた場合、購入した土地を差し押さえられるリスクがあるため、注意が必要です。

通常、所有権移転登記の際に抵当権が抹消されますが、個人で手続きをおこなう場合や手続きが不完全な場合、抵当権が残ったままになるケースもあります。
そのため、土地を購入する際には登記事項証明書を取り寄せ、抵当権の有無や抹消手続きの完了状況を確認することが重要なポイント。必要であれば司法書士に依頼し、確実に手続きを進めましょう。安心して土地を所有するために、事前の確認を怠らないようにしましょう。

土地購入時に注意すべき土地の特徴

土地購入の際に気をつけるべき土地の特徴をまとめます
土地購入の際に気をつけるべき土地の特徴をまとめます

土地の購入を検討する際には、その土地に潜むリスクをしっかりと把握することが重要です。以下の特徴を持つ土地は、購入後に問題が発生する可能性があるため、事前に注意して確認しておきましょう。

安くて広い土地

広大な面積を持ち、なおかつ価格が手頃な土地は、誰にとっても魅力的に映るものです。特に平屋の建築を考えている方にとっては、大きなメリットを感じるでしょう。しかし、「広い」「安い」の理由だけで即決することは大変危険です。例えば、造成工事が必要な場合、広い土地ほど工事費用が高額になることも。

また、広さがあるからといって必ずしも有効に使えるわけではなく、変形地でデッドスペースが多くなる可能性も考えられます。そのため、自分たちの生活に本当に必要な敷地面積を把握し、土地価格だけでなく造成費や諸費用を含めた総額で判断することが重要です。トータルで見てお値打ちな土地を選びましょう。

建築プランに合わない土地

一般的に「よい土地」とされる敷地が、必ずしも自分たちの理想に合うとは限りません。土地選びでは、建築予定の家のプランや要望が叶う土地を選ぶことがポイントです。例えば、建物とガレージを横並びに配置したい場合、整形地のなかでも正方形の土地よりも横長の土地のほうが適している場合があります。こうした点を考慮せずに土地を選んでしまうと、あとから「思ったような建物が建てられない」と後悔することもあるでしょう。そのため、土地探しの際には、自分たちの希望する家の形や広さ、日当たり、立地条件などを明確にしながら、慎重に進める必要があります。

隣接する土地との高低差がある土地

隣地と高低差がある土地は、特に注意が必要です。日当たりへの影響が懸念されるだけでなく、高低差が2m以上ある場合や1m以上低い場合には、「がけ条例」が適用されるケースがあります。がけ条例が適用されると、そのままでは建築できないことが多く、建築面積が制限されたり、擁壁(ようへき)の設置などの対応が求められることになります。

擁壁工事には多額の費用がかかるため、購入前に地盤調査や建築に関する制限を詳しく確認しておくことが重要。高低差がある土地は、視界やプライバシーの面で利点もありますが、それ以上に発生する可能性のあるコストや手間なども十分に検討する必要があります。

形状が歪んでいる土地

不動産には整形地と呼ばれる四角い形状の土地だけでなく、ひし形や台形、凹凸がある土地など、さまざまな形状のものがあります。いびつな形状の土地も建築自体は可能ですが、デッドスペースが発生しやすい点に注意が必要です。デッドスペースは実際の居住や利用には使えない土地ですが、その部分に対しても固定資産税が課されるため、結果的に無駄なコストがかかることに。

また、建物の間取りにも制約が生じ、理想的な設計が難しくなることも多いです。こうした土地を購入する場合は、設計士に相談してどの程度有効活用できるかを事前に確認するとよいでしょう。

土地の前に消火栓がある場合

土地の前面に設置されている建造物には、ガードレールやカーブミラー、電柱などがありますが、特に注意が必要なものが「消火栓」です。他の建造物は移設が可能な場合もありますが、消火栓は原則として移設できません。

消火栓があると、車の駐車時に接触を避ける必要があるだけでなく、有事の際には消防車が土地の前に停車することになります。そこまで不便に感じないかもしれませんが、いざ何度も停車されると日常生活でストレスとなる可能性があります。

土地を購入する際には、前面道路の状況や設置物をよく確認し、問題がないかを慎重に判断しましょう。

境界線が不明確な土地

境界がはっきりしていない土地も避けるべきです。先述のとおり「自分の土地はどこまでなのか」という明確なラインがないと、隣地とのトラブルが発生する可能性があります。例えば、外構工事でブロック塀を建てる際に、境界を巡って隣家と揉めるケースも。

もし検討している土地が境界不明瞭な場合には、不動産会社に相談して、境界を確定したうえで売買を進めるよう依頼しましょう。トラブルを未然に防ぐためにも、境界線の確認は必須です。

隣家の状況に問題がある土地

土地を下見する際は、購入予定の土地だけでなく、隣家の状況にも目を配ることが重要です。隣家がゴミを散らかしていたり、庭が荒れている場合、その影響が自分たちの生活にも及ぶことがあります。例えば、風でゴミが飛んでくる、悪臭が気になるなどのトラブルが挙げられます。

上記のような隣地トラブルが起こりえそうな土地は、できる限り避けるほうが賢明です。たとえ条件に合う土地でも、その周囲の環境全体を含めて検討するようにしましょう。

日当たりや水はけの悪い土地

日当たりや水はけが悪い土地は、購入後に生活に影響を与える可能性があります。例えば、日が当たる方向などによっては2階建てや平屋を建てる場合、1階部分に十分な日差しが届かず、暗い室内環境になる恐れも。また、水はけが悪いと庭が湿っぽくなり、建物内部にも湿気が溜まりやすくなります。その結果、外壁にコケが生えやすくなったり、建物の劣化が早まったりなどの問題が起こるでしょう。土地を検討する際は、周囲の建物の高さや配置、日当たり、風通しのよさも含めて確認することが大切です。

以上のような特徴を持つ土地は、一見すると問題がないように思えても、のちにリスクやコストが発生する可能性があります。土地を選ぶ際には、上記の点を考慮し、慎重に検討を進めましょう。専門家の意見を聞きながら判断することで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。

土地購入時に必要な税金

土地購入時にかかる税金を解説します
土地購入時にかかる税金を解説します

土地を購入する際には、さまざまな税金が発生します。主に印紙税登録免許税不動産取得税が挙げられますが、上記の税金の目安や計算方法をあらかじめ理解し、資金計画を立てておくことが大切です。それでは、それぞれの税金を詳しく見ていきましょう。

印紙税

土地を購入する際に作成する「不動産売買契約書」には印紙税が課されます。印紙税は、契約書に収入印紙を貼り付け、署名または押印で割印をおこなうことで納付が完了します。

購入する土地の金額によって印紙税の金額は異なりますが、一般的には1〜6万円程度が目安とされています。2027年3月31日までは、印紙税の軽減税率が適用されるため、軽減税率の金額を納めましょう。

契約金額 印紙税額
(本則)
印紙税額
(軽減税率)
2027年3月31日まで
500万円超
1,000万円以下
1万円 5,000円
1,000万円超
5,000万円以下
2万円 1万円
5,000万円超
1億円以下
6万円 3万円
1億円超
5億円以下
10万円 6万円
5億円超
10億円以下
20万円 16万円

出典:国税庁「印紙税の手引」(PDF)

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記をおこなう際に必要となる税金です。税率は、一定期間ごとに見直しがおこなわれるため、土地を購入する際には最新の税率を確認することが重要です。登記手続きのタイミングで適用される条件を確認することを忘れないようにしましょう。 また、司法書士に依頼をして手続きをおこなってもらう場合には、別途司法書士へ手数料の支払いも必要になります。

出典:国税庁「No.7191登録免許税の税額表

不動産取得税

不動産取得税とは、土地や建物を取得した際に一度だけ納める地方税です。この税金は、売買や贈与などを通して不動産を新たに取得した際に発生し、都道府県に納付する義務があります。納付額は、取得した不動産の固定資産税評価額と税率に基づいて計算されます。計算式は以下のとおり。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率

標準税率は4%ですが、特定の条件を満たした住宅を取得した場合、2027年3月31日までの期間は税率が軽減され3%となります。

また、宅地や宅地比準土地などは、固定資産税評価額を半分に軽減する特例が適用されます。この特例により、実際に納める税金が大幅に減額されるケースも。さらに、住宅用地を購入した場合は、条件を満たすことで以下のいずれか高い額を土地の税額から軽減することが可能です。

  1. 4万5,000円
  2. 土地1平米あたりの価格 × 住宅の床面積の2倍(最大200平米)× 税率

ただし、軽減を受けるためには、土地を取得後一定期間内に住宅が新築されるなどの条件を満たす必要があります。事前に確認しておきましょう。

不動産取得税の計算例

具体例として、以下の条件で不動産取得税を計算してみましょう。

  • 土地の取得日:2024年6月10日
  • 所在地:東京都
  • 用途:マイホーム
  • 土地面積:60平米
  • 固定資産税評価額:3,000万円

上記の場合、宅地の課税標準の特例を適用した計算は以下のとおりです。

不動産取得税
= 固定資産税評価額 × 1/2 × 税率

= 3,000万円 × 1/2 × 3%
= 45万円

不動産取得税は高額になることがあるため、事前に計算方法や軽減措置をよく確認しておくことが重要です。詳細な計算に関しては、各都道府県が提供する計算ツールを活用すると便利でしょう。

出典:不動産取得税計算ツール|東京都主税局

土地購入を成功させるための流れとポイント

土地購入の流れを解説します
土地購入の流れを解説します

土地探しで失敗しないためには、計画的に進めることが重要です。ここでは、土地購入までの一般的な流れを整理し、失敗を防ぐための注意点を解説します。家族の希望や予算をしっかり確認し、スムーズに土地の購入を進めるための手順を見ていきましょう。簡単な流れは次のとおりです。

  • STEP 1家族で土地購入の優先順位を話し合う
  • STEP 2不動産住宅会社に相談して予算の上限を明確にしておく
  • STEP 3気になる土地は実際に見に行く
  • STEP 4少しでも気になる土地は間取りを依頼する
  • STEP 5買付証明書の提出で購入意思を示す
  • STEP 6土地の売買契約を結ぶ
  • STEP 7住宅ローンの本審査を受けてと土地の決済をする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP1.家族で土地購入の優先順位を話し合う

土地選びでは、検討すべきポイントが多岐にわたります。どのような条件を優先するかを家族で話し合い、希望の基準を明確にしておきましょう。例えば、以下の項目です。

  • 学区や学校の距離
  • 駅やバス停からのアクセス
  • 日当たりの良さ(南向きや角地など)
  • 買い物や生活の利便性
  • 地盤の強度や災害への備え(ハザードマップの確認)
  • 道路幅や車の通行のしやすさ
  • 分譲地や住宅地の環境
  • 自然の多さ
  • 土地の広さ(例:駐車場を複数台確保したいなど)
  • 購入価格の上限

すべての条件を満たす土地はなかなか見つからないため、迷った際の判断基準や優先順位を家族で事前に設定しておくことが大切です。

STEP2.不動産会社に相談して予算の上限を明確にしておく

土地と建物の予算配分を事前に把握しておくことで、理想の土地を見つけた際にすぐ対応できるようになります。住みたい家の規模や建物にかける予算をイメージし、それに基づいて土地にかけられる金額の上限を決めましょう。

また、事前に金融機関で「融資承認」を得ておくと安心です。自分で借りられる金額の予想はできますが、実際に融資を受けられる金額は金融機関の判断によります。不動産会社や専門家と相談し、必要な手続きを進めておくことがスムーズな購入につながります。

STEP3.気になる土地は実際に見に行く

土地探しでは、インターネットで公開されている情報だけで判断するのではなく、現地を訪れることが重要です。図面や写真だけではわからない周辺環境や土地の雰囲気を確認するためにも、できるだけ多くの土地を見学しましょう。不動産会社に相談すれば、現在販売されている土地を紹介してもらえます。また、気になる土地があれば早めに現地を訪れることで、購入後のイメージが具体化しやすくなるでしょう。

STEP4.気になる土地は間取りを依頼する

「完璧な土地」はほとんど存在しません。気になる点があっても、「ひょっとしたらいいかも」と思えた場合は、設計士に依頼して間取りを考えてもらいましょう。土地の形状や制限によるデメリットがあっても、設計の工夫で解決できるケースも少なくありません。このタイミングで法規制や必要な諸費用などを確認してもらうことも重要です。土地のポテンシャルを引き出すためには、早い段階での設計相談が効果的です。

STEP5.買付証明書の提出で購入意思を示す

購入する土地が決まったら、売主に「買付証明書」を提出します。必須ではありませんが、契約書の作成や重要事項説明の準備に時間がかかるため、その土地を確保するために提出することが一般的です。この際、売主や不動産会社と契約日、契約金、引き渡し日などの条件を話し合っておきます。

STEP6.土地の売買契約を結ぶ

契約を結ぶ際には「手付金」が必要です。手付金は取引額の20%以内と法律で定められていますが、一般的には完成物件で10%以内、未完成物件で5%以内に設定されることが多いです。手付金は土地代金として充てられますが、解約理由によっては戻らないケースもあるため注意しましょう。

契約時には「重要事項説明」が宅地建物取引士からおこなわれます。ここで疑問点が発生しないよう、事前に土地の法規制やハザードマップなどを確認しておきましょう。

STEP7.住宅ローンの本審査を受けて土地の決済をする

契約が終わると、住宅ローンの本審査を受けます。審査に通ったあと、売主に土地代金を支払い、所有権を移転する「土地の決済」をおこないます。

この際には「つなぎ融資」を利用することが一般的。つなぎ融資を使うことで、土地代金を一時的に借り入れられ、住宅ローンの実行後に返済が始まります。

決済は司法書士の立ち会いのもと、買主と売主が銀行などに集まって、おこなわれることが多いです。買主の口座に土地代金が振り込まれたあと、売主へ支払いがおこなわれます。その後、司法書士が所有権移転登記をおこない、土地が正式に買主のものとなります。

土地の購入には多くの手続きと確認事項がともないますが、計画的に進めることでスムーズな購入が可能になります。

まとめ

本記事では、土地を購入する際の注意点を解説しました。土地を購入する際には、事前に検討しなければならないポイントが多々あります。しかし、いずれのポイントも妥協してしまうと、こだわって建てたマイホームでの生活に影響が出てしまうこともあり、「この土地を選ばなければよかった」と後悔することもあるでしょう。

今回ご紹介した注意点を参考に、理想の土地を手に入れてください。「完璧な土地」はほとんど存在しませんが、「完璧な土地に近い」土地を手に入れられる可能性はあります。一つひとつの注意点を検討しながら、慎重に判断していきましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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