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リノベーションの費用相場は?マンション・一戸建ての事例をご紹介

近年、中古物件を購入し、リノベーションすることは主流となっています
近年、少子高齢化の影響もあることから年々空き家が増えています。国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると2018年の空き家率は約849万戸となり、20年もの間で約1.5倍に増えたことがわかっています。このような状況から、中古物件を購入してリフォームやリノベーションをおこない自分たちのライフスタイルに合った住まいに変えることが主流となりつつあります。
実際にみなさんのなかにもリノベーションを前提として中古物件を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の記事では、リノベーション費用の相場を、マンション・一戸建てそれぞれの事例を挙げて紹介します。

記事の目次

リノベーションとリフォームの違いは?

リフォームとは、現状の老朽化した建物の内外装を、新しく快適な状態に戻し、いままでの用途の延長線上でより使いやすくすることです。一方、リノベーションとは建物の内外装を新しくするだけでなく、構造や造作に手を加え、いままでとは違った新しいコンセプトを作り出し、新たな価値観をプラスするものです。

より詳しいリノベーションとリフォームの違いは、こちらの記事を参考にしてください。

新築でなく中古物件のリノベーションを選ぶ理由

以前の日本の住宅市場は、「新築至上主義」で、新築物件を購入することが理想とされていましたが、近年では新築物件でなく、中古物件を選びリノベーションをする方も増えています。
中古物件のリノベーションがどのような理由で選ばれているのか、詳しく見ていきましょう。

新築に比べて価格が安い

中古物件は、一般的に建物の価格が減価償却の耐用年数に比例して低下していきます。特に耐用年数の短い木造の一戸建ては建物価値の低下が速くなるので、より価格が下がる傾向にあります。なお、新築物件は販売管理費や人件費、広告費用等のコストがかかっているため、そのぶん割高になりがちです。また、取得時期の地価や資材価格の高騰などの影響をうけやすいのも特徴です。

物件数が多い

空地の多かった戦後の高度経済成長期には新築物件が主流でしたが、現在では建物の高寿命化にともない、いままでストックされてきた中古物件が豊富にあります。そのため中古物件のほうが、新築物件に比べて選択肢が多くなっています。

エリアや立地が選べる

面積の大きな空地が少なくなった現代では、建物を解体した跡地や郊外でなければ新築物件を買うことが難しくなっていますが、中古物件ではどのエリアや立地でも購入することが可能です。例えば、「駅から5分以内に住みたい」、「窓から東京タワーが見える部屋」などのニーズに応えやすいのは中古物件でしょう。

自分好みに変えられる

中古物件は新築物件に比べて価格が抑えられる分、リノベーションに費用をかけられます。老朽化した使いづらい間取りや設備であっても、自分好みの暮らしやすい間取りや設備へと変えることも可能です。

相続対策になる

相続対策のためには、現金を手元に残しつつ立地のよい不動産を所有することが大事です。そのためには、価格を抑えやすい中古物件を購入することが効果的です。不動産は現金より相続税評価額を下げられます。

経験者に聞く!リノベーション実態調査

アットホームでは過去5年以内に中古住宅を購入し、リノベーションをした全国の20歳以上の男女 309名にリノベーションのアンケートを実施し、リノベーションに関していろいろと聞いてみました。

リノベーション前提で中古物件を購入した?

最初からリノベーションすることを前提で中古物件を購入した方はどれくらいいるのでしょうか。

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査」)

77%の方が、購入する際からリノベーションを前提として物件を選んだと回答。
今後、日本は高齢化が進みさら空き家が増えるといわれているため、今後さらに中古物件を選ぶ方が増えていきそうですね。

リノベーションに踏み切った理由は?

続いて、どのような理由でリノベーションをしたのか、理由を聞いてみました。

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査」)

新築物件の場合、カスタムオーダーや、オプション工事によって内装や間取りを多少変更できますが、変更可能な範囲が限られています。中古物件のリノベーションでは、間取りも内装も自由に選べるため、自分好みの物件にカスタマイズできるのがうれしいポイントです!

リノベーションをしてよかった?

やはり一番気になるところは、リノベーションをしてよかったかどうかですよね。アンケートの結果は以下となりました。

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査 」)

95.5%の方が「はい」と回答。自分好みの間取りを選ぶのではなく、造る時代になってきたのかもしれませんね。

リノベーション用にどんな物件を購入した?

続いて、経験者にリノベーションをするために購入した物件の詳細や費用を聞いてみました。
中古マンションと中古一戸建てではどのような変化があるのか見てみましょう。

中古マンションの場合

リノベーション経験者にリノベーションするために購入した中古マンションはどのような物件なのかを聞いてみました。

間取り 3LDK(55.6%)
購入時の築年数 平均20.8年
購入までにかかった期間 平均5.2ヶ月
駅までの時間 平均10.9分

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査 」)

リノベーション費用を確保するために、築年数がある程度経過した中古マンションを購入したいニーズが増えているようです。

間取り

戸数が多く存在する3LDKのマンションをリビングと隣室を一つの部屋へと変更し大きなリビングにする方が多い傾向にあります。

購入時の築年数

古いほど価格が下がる傾向にあるので、家探しをはじめたころは築30年~40年以上の物件を視野に入れている方も多くいらっしゃいます。しかし、新耐震基準が制定された1981年(昭和56年)竣工以前の建物への不安や、減価償却の耐用年数の関係で、長期のローンを組めないことが珍しくありません。そのため、ローンの組みやすい築20年程度の物件に落ち着くようです。また、築25年以内であれば住宅ローン控除の適用となるケースが多いことも築20年程度の物件が多くなる理由だと思われます。

購入までにかかった期間

物件を探しながらローン借入可能額やリノベーション内容や予算を計算し調整していることから、最終的に決断するまで、5カ月ぐらいかかったことが想定されます。

駅までの距離

駅までの平均距離はおおよそ10分。マンションは、駅からの距離が近い、商業施設が充実しているなど、立地面で優位性をもつ物件が多いのも特徴です。

中古一戸建ての場合

続いて、リノベーション経験者にリノベーションするために購入した中古一戸建てはどのような物件なのかを聞いてみました。

間取り 4LDK(32.1%)
購入時の築年数 平均26.7年
購入までにかかった期間 平均6.6ヶ月
駅までの時間 平均25分

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査 」)

間取り

マンションに比べて1部屋多い4LDKを選択されていることが多いようですね。マンション同様、リビングを広げたり、和室から洋室へと変えたりしているようです。

購入時の築年数 

一戸建ての住宅は約22年で価値が0円になるといわれています。そのため、築26年であれば、実質土地代のみで購入できるということになります。その分、リノベーション費用にお金をかけられるのもポイントです。
使用されている部材や工法などにより家屋の寿命は異なりますが、定期的にメンテナンスしておくことで、木造住宅でも100年住み続けることも可能です。

購入までにかかった期間

こちらもマンション同様、物件を探しながらローン借入可能額やリノベーション内容や予算を計算し調整していることから、決断にいたるまで、6カ月ぐらいかかることが多いようです。

駅までの距離

マンションは商業地域などの駅前や幹線道路沿いに多く建てられるために、駅から近い傾向にありますが、一戸建ては低層住宅地域に建てられることが多く、駅から遠い場所に設定されているケースも少なくありません。

リノベーションの費用相場

和室を洋室にする際は、下地材の設置作業もおこなわなければなりません

リノベーションした方に、物件の価格とリノベーション費用を聞いてみました。
新築物件と中古物件のどちらを購入しようか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

中古マンションの場合

リノベーションをするために購入した物件の平均データは下記となります。

住宅購入価格 2,401万円
リノベーション費用 456万円
合計 2,857万円

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査 」)

住宅金融支援機構が発表した「2021年 フラット35利用者調査」によると、マンションの平均取得価格は新築マンションが4,528万円、中古マンションが3,026万円の結果に。
ちなみに、不動産情報サイト アットホームで中古マンションの相場価格を調べてみたところ、首都圏の平均価格は3,580万円となりました(2022年9月時点)。

新築マンションと、中古マンションではおおよそ1,000万円~1,500万円くらいの差があるようですね。
近年、公示地価の上昇、建築資材の高騰などの影響で新築マンションの価格があがっています。費用も抑えられ、間取りや立地の選択幅を広げられる中古物件を選択する方も増えていきそうですね。

【部屋別】リノベーション相場は?

続いて、部屋別におおよそどれくらいのリノベーション費用がかかるのか、詳しく見ていきましょう。

浴槽

浴槽リノベーションは、既存の浴槽の施工・設置方法や施工時期により費用が異なります。

既存浴槽の施工・設置方法別リノベーション

  • 埋め込み式
  • 浴槽および洗い場の下にモルタルおよび防水層が施工されており、浴槽を撤去する時に洗い場も含めて防水層から施工しなおす必要があり、施工費が高くなります。

  • 床置き式の浴槽(バランス釜)
  • バランス釜で新規交換するだけなら10万円以下が相場ですが、ユニットバスに交換するならその費用がかかります。80万円~150万円程度が相場です。

  • 既製品のユニットバス
  • 既製品のユニットバスが施工されたマンションであれば、その撤去費用と新設ユニットバスの費用になります。ユニットバスの撤去・新設の場合であれば、50万円~200万円が相場です。

トイレ

便器のみを交換する場合は施工費込みで10万円〜30万円程度が相場です。
組み合わせトイレでブランドにこだわらなければ10万円以下に抑えることも可能です。しかし、有名ブランドの高機能トイレですと30万円を超えることがあります。床・壁紙・手洗い器のリノベーション費用は、10万円〜30万円程度が相場ですが、施工内容や資材価格によっては50万円〜100万円程度かかることもあります。

キッチン

キッチンのリノベーションはシステムキッチンのすべてを変更、収納、床・壁、間取りや、壁付けタイプから対面式タイプへの変更、システムキッチンのグレード、床壁の素材などにより大きく変わります。

  • キッチンの部分交換
  • コンロのみ交換、レンジフード(換気扇)の交換、オーブンの交換、食器洗浄器の交換・設置などです。これらは、形状やサイズが同じであれば15万円から30万円程度が相場となります。

  • システムキッチンの交換
  • グレードにもよりますが、壁付から壁付、対面式から対面式など同種類のものであれば施工費は抑えられます。しかしシステムキッチンのグレードに種類も多くあり、量産品の安価なものであれば50万円を切るものもあります。ブランドメーカーの高級路線でオプションを多数つけると200万円以上になることもあります。

  • 床の交換
  • クッションフロアは、4.5畳ほどで4~8万円、6畳ほどで6~10万円が相場となります。
    フローリングは、4.5畳ほどで10~15万円、6畳ほどで12~20万円が相場となります。

  • 壁の交換
  • クロス貼り替えは、4.5畳ほどで7~10万円、6畳で9~15万円が相場となります。

リビング

リビングの隣室をつなげて広いリビングに変更するリノベーションは、かなり多い要望です。ただし気をつけないといけないのが、リビングと部屋を分ける壁・柱などが建物の構造を支える躯体であれば、施工できない可能性があることです。施工が可能な場合であっても、電気・配管などがある場合は注意が必要です。
費用についてはおおよそ下記が目安となりますので参考にしてください。

  • 床の交換(フローリング)
  • 10畳のリビングであれば、25~100万円
    20畳のリビングであれば、40~150万円

  • 壁の交換
  • 10畳のリビングであれば、12~20万円
    20畳のリビングであれば、20~40万円
ダイニング

ダイニングはリビングやキッチンほど変更する箇所が少ないことが多く、壁紙、床材などの変更のみとなることが一般的です。
ダイニングはそれほど広くないので総額50万円以下に収まるでしょう。

寝室

寝室の壁紙・床材の変更は上記と費用の相場は同じです。
寝室でよくあるリノベーションは、和室から洋室への変更、ウォークインクローゼットの設置などです。
50万円〜100万円程度の費用相場が多いですが、壁紙の変更だけなどであれば10万円程度に抑えることも可能です。

フルリノベーション

すべて素材によって異なるので、一般的な事例ですが目安は以下のとおりになります。
 1LDK 200万円〜
 2LDK 300万円〜
 3LDK 400万円〜
上限は使う素材によって金額が上がっていくためキリがありません。なかには1億円以上リノベーションにかける方もいらっしゃいます。

リノベーションは価格の安い普及品を素材として選んでも、新しくなるだけで随分と雰囲気が変わります。価格を抑えたい場合は、普及品を中心にできるだけ多くのリノベーションを同時におこなうことで無駄が少なくなります。また、すべてリノベーションをするのではなく、状態のよいものはクリーニングのみにするなど、費用を抑えながら満足度を高めることも可能です。それぞれのニーズに合わせてリノベーションをすることが大切です。

中古一戸建ての場合

リノベーションをするために購入した物件の平均データは下記となります。

住宅購入価格 1,835万円
リノベーション費用 672万円
合計 2,507万円

(出典:アットホーム「2019年中古住宅のリノベーション実態調査 」)

さきほどのマンション同様、「2021年 フラット35利用者調査」で一戸建ての平均取得価格を調べてみました。新築一戸建ては、土地付き注文住宅が4,455万円、建売住宅が3,805万円、注文住宅が3,572万円となり、中古一戸建ては2,614万円という結果に。

ちなみに、「不動産情報サイト アットホーム」で、2022年9月時点での中古一戸建ての相場価格を調べてみたところ、首都圏の平均価格は4,226万円となりました。
首都圏で中古一戸建てを購入してリノベーションをおこなうとなると、おおよそ5,000万円ほどとなりそうですね。

【部屋別】リノベーション相場は?

中古一戸建てのリノベーションであっても、壁紙・床材などの相場はマンションと基本的に変わりません。躯体が木造と鉄筋コンクリート造によって異なることに起因する部分のみ異なってきます。相場・延べ床専有面積が80平方メートル程度の平均的な建物を想定しています。

浴槽

相場はマンションとほぼ変わりません。ただし、一戸建てはマンションと違い排水管の位置が縛られることはありません。そのため、在来工法など壁位置を変えやすい建物の場合は、防水処理をすることで上層階に浴槽を移動させることができます。また、増築で浴室を大きくゆったりとしたスペースにするなど大胆なリノベーションが可能になります。

トイレ

マンションの相場と大きな違いはありませんが、一戸建てはマンションで実現できない広いトイレや各階にトイレを設置するなど、自由度の高いリノベーションが可能となります。これも排水管位置などに縛りがない一戸建ての魅力です。

キッチン

床・壁の変更や設備の変更などについては、マンションとほとんど違いはありません。ただし、キッチンに窓を付けたり、増築してキッチンの面積を広げるなど一戸建て特有のリノベーションが可能となります。

リビング

相場はマンションとほぼ変わりませんが、床の高さの変更や一部天井を抜いて吹き抜けにするなどの大胆なリノベーションができます。

ダイニング

相場はマンションとほぼ変わりません。ただし、システムキッチンの位置をダイニング側に移動させる、大きな収納を作る、リビングと一体化させるなどマンションでは難しい大胆なリノベーションが可能となります。

寝室

相場はマンションとほぼ変わりません。ただし、増築で広い寝室にする、廊下との間の壁を撤去する、ウォークインクローゼットを新たに設置する、窓を複層ガラスにして静かで快適な寝室にするなど、一戸建てならではの大胆なリノベーションが可能となります。

フルリノベーション

すべて資材によって異なるので、一般的な事例となりますが目安は以下のとおりになります。

  • 2LDK(60平方メートルぐらいを想定)
  • リノベーションをおこなう部分を最低限に抑えて、クリーニングを交えてきれいにしていく場合は、300万円~1,500万円程度です。ただし、高級な設備や家具などを入れた場合は、2,000万円を超えることもあります。

  • 3LDK(80平方メートルぐらいを想定)
  • 400万円~1,700万円程度です。ただし、高級な設備などを入れた場合は、2,500万円を超えることもあります。

部屋別のリノベーションはマンションと一戸建てで大きく異なることはありません。また、ツーバイフォー工法の一戸建ては間取りの変更ができないので注意してください。なお、在来工法の場合は部屋の増設などの大胆なリノベーションも可能です。ただし、用途地域に定められた建蔽率や容積率をオーバーしないよう注意が必要です。

リノベーション費用を抑える方法

リノベーション費用は、資材の費用・施工費・人件費が合算されたものです。費用を抑えるには、安い素材を選ぶ・施工にかかる費用を抑える・人件費を抑えるために工期を短縮させるなど個別に考えることが必要です。

相見積もりを取る

施工費は工務店や内装業者によって差異があります。抱えている社員の技能や協力会社との体制などにより、工期や人件費、素材の仕入れ値が変わってきます。何十万円単位で差が出ることもありますので、できる限り相見積もりをとることをおすすめします。

素材費を抑える

リノベーション費用で大きく変わるのはやはり素材費ではないでしょうか。こだわりたいところにはお金をかけて、その他は普及品を使用するなどメリハリをつけるとよいでしょう。

  • 壁紙
  • 普及品と呼ばれる壁クロスを利用することで費用を抑えることができます。

  • 床材
  • フローリングなどではなく、フローリング調のフロアカーペットなどを選び、既存床に重ね貼りするとよいでしょう。

  • システムキッチン
  • 有名ブランドではなく、家電量販店などの安価でシンプルなモデルを選ぶとよいでしょう。また、食器洗浄機やオーブン、レンジフードなど設置したけど、あまり使っていない……なんてことにならないよう、必要なものだけ選ぶようにしましょう。

  • トイレ
  • 普及品である組み合わせ式のトイレであれば10万円弱で取り付けることが可能です。

  • 浴室
  • FRP(繊維強化プラスチック)製の浴槽が比較的安く、費用を抑えるにはおすすめです。

リノベーションを検討している方はぜひ、こちらの記事も参考にしてください。

金利が低いローンを選ぶ

リノベーションのローンは、リフォームローンと住宅ローンの2種類が選択できます。それぞれのメリットやデメリットは以下のとおりです。

リフォームローン

メリット
担保が不要で、かつ手続きが簡単なものが多くあります。
デメリット
金利が住宅ローンより高くなる傾向にあります。返済期間が15年程度と短くなり、借入可能金額が低めに設定されています。

住宅ローン

メリット
返済期間が35年までと長くなります。固定金利・変動金利など選べます。
デメリット
担保が必要で、抵当権の設定などをするために、手続きが煩雑になります。また、収入などによる審査が厳しくなります。

施工内容によって減税対象になる場合も

リノベーションをおこなう際「リフォーム補助金」が利用できる工事の一覧です。ぜひ参考にしてみてください。(自治体によっても異なります)

対象工事 補助対象費用
耐震化リフォーム 耐震設計費用、耐震改修工事費用など
省エネルギー化リフォーム 窓・壁などの断熱化工事費用、省エネ設備の設置費用など
バリアフリー化リフォーム 老朽化したマンションなどの建替えおよび自宅改修の促進、並びに高齢者の居住安定を図り、もって地域の良好な住環境の整備費用など
環境対策リフォーム 屋上緑化:調査設計、防水設備工事、緑化造成および潅水施設設置費用など
壁面緑化:調査設計、植栽、支持補助材設置および潅水施設設置費用など
防災対策リフォーム 吹付け材などのアスベスト含有検査および気中のアスベスト濃度検査
建築物のアスベスト除去等工事費用など
同居対応リフォーム 移住・定住の促進、生活環境の向上、産業の活性化および雇用の創出を図るため、市外から転入して、市内で親族と同居・近居するために住宅の増・改築等リフォーム工事費用など

(2022年11月時点)

また、各自治体によって、空き家を購入し、リフォームやリノベーションをおこなうと補助金が出るところがあります。
以下は、一例ですが一定の要件を満たすことで補助金が出ます。

自治体 補助金対象経費 補助金
利根町空き家
リフォーム工事助成金
町内建築会社がおこなうリフォーム工事に要する経費 助成対象経費の総額に、2分の1を乗じた金額(上限30万円)
常陸大宮市空き家
改修費補助金
改築、増築、模様替え、その他住宅の維持および機能向上のためにおこなう補修など 当該工事に要した費用(消費税含む)の2分の1(最高50万円)
南知多町空き家
バンク制度補助金
改修補助の場合住宅の機能向上のために行う改修で、施工会社は町内に事業所を有する法人または個人事業主であること 改修費補助
対象者:購入者または賃貸借者
補助率:2分の1
限度額:10万円他

(2022年11月時点)

【マンション・一戸建て】リノベーション事例

ここからは、リノベーション事例をみながら、詳しく解説していきます。

築40年以上の中古マンション

マンションリノベーション事例「譲れないのは生活動線
建物データ
専有面積:67.80平方メートル/バルコニー面積:15平方メートル
主要構造:鉄筋コンクリート造
既存建物竣工:1977年
設計期間:7カ月/工事期間3カ月

リノベーションはリフォームと違い、暮らしやすさを追求するために大胆にレイアウトを変更することも視野に入れたものです。上記のリノベーションは、水回りをあえて動線上に配置することで無駄なスペースを極力排除し、収納などを造作することで使える空間を広くしています。また、生活時間の異なる夫婦でクローゼットを分けるなど実際の生活をシミュレーションしたことで、ストレスの少ない部屋になるようなリノベーションとなっています。

築60年以上の一戸建て

建物データ
敷地面積:14平方メートル/建築面積74.36平方メートル
床面積:1階 74.36平方メートル、2階 52.05平方メートル、合計 126.41平方メートル
主要構造:木造
既存建物竣工:1959年
設計期間:6カ月/工事期間4.5カ月

再建築不可の古い空き家は、通常はまったく買い手がつかず放置されてしまいがちです。そのため、抑えた費用で購入できます。今回の例では古い木造の断熱性能の低さを外断熱でカバーすることで、寒暖差を防ぐことが可能となりました。
建築家ならではのセンスでもありますが、部屋の配置や水回りを大胆に変更することや、既存の平天井をはがし、あえて梁を見せることで広い空間のある家へと変更できました。光がよく入るようにFRPグレーチングにすることや、風の動線を考えることで、明るく換気性能が高く、暮らしやすい建物を実現させています。

その他のリノベーション事例はこちらでご紹介しています。

まとめ

築年数の経った古いマンションや一戸建ては、見た目の古さなどから敬遠されがちです。しかし、中古物件は新築物件と比べ、住みたい立地でより多くの物件を探せます。また、中古物件は新築物件に比べ価格が安いので、その分リノベーション費用に予算を回すことが可能です。
中古物件であっても、しっかりとメンテナンスされていて躯体がしっかりしていれば安全面でも問題ありません。リノベーションすることで好きなレイアウトや内装に変更できます。
また、リノベーション費用も手持ちのお金がなくても住宅ローンやリフォームローンで借りられますし、売買代金にリノベーション費用を住宅ローンに上乗せすることも可能です。
物件の状態や築年数によって、借りられる費用や返済期間が異なるので注意が必要ですが、総額が抑えられるうえに、好きなようにリノベーションができるのが中古物件の最大の魅力です。ぜひ、中古物件も視野に入れて住まい探しをされることをおすすめいたします。

尾嵜 豪

執筆者

尾嵜 豪

株式会社ウィンドゲート 代表取締役

不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、宅地建物取引士、ビル経営管理士、2級ファイナンシャルプランニング技能士として、20年以上不動産の相談・仲介をおこなう。不動産に関する書籍、オンライン記事など多数執筆、セミナー講師なども務める。不動産投資・相続に関することを中心に相談にのっており、その親切で丁寧な対応に定評がある。

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