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モデルハウス購入は後悔する?メリット・デメリットと、失敗しないための対策を解説!

モデルハウスのメリット・デメリット、購入で失敗しないためのポイントを解説していきます
家探しやハウスメーカー選びのなかで、見学したモデルハウスを気に入り、購入を検討することもあるでしょう。しかしモデルハウスは、一般公開され不特定多数の人が訪れます。実際に購入をするのであれば注意すべきポイントがあります。

「モデルハウスの購入は後悔する」ともいわれるなかで、そのメリット・デメリット、失敗しないためのポイントを解説していきます。

モデルハウスとは

モデルハウスは大きく2種類に分けられます
モデルハウスは大きく2種類に分けられます

モデルハウスとは、ハウスメーカーの販売促進のために建てられる住宅です。各メーカーの構造や設備、仕様の特徴を把握しやすいだけでなく、家具やインテリアが配置され、来場者はよりリアルな生活をイメージできます。

主にハウスメーカーが集まる住宅展示場に建てられるケースと、住宅分譲地の一画に建てられるケースがあります。

住宅展示場のモデルハウス

住宅展示場のモデルハウスでは、メーカーごとの特徴や違いを比較できます。複数の住宅性能や工法、仕様を比較することでより理解を深められるでしょう。

住宅展示場のモデルハウスを購入する場合、展示終了後、建物をいったん解体し、購入者の土地に運搬をして建て直す必要があります。このようにモデルハウスをまるごと建て直すことをリユースハウスともいいます。

分譲地のモデルハウス

分譲地のモデルハウスは、不動産会社やハウスメーカーが広い土地を区画整理し、住宅用に販売する分譲地の一画に建てられます。

同じ分譲地内の建売住宅に近い間取りや設備、仕様で建てられ、購入検討者の見学、商談に使われます。展示期間終了後はそのまま販売することを目的としているため、電気、ガス、水道などのインフラも整備されているのが特徴です。

分譲地のモデルハウスを購入する場合、展示期間の終了にあわせ、そのまま契約、引渡しの手続きができます。

モデルハウスを購入するメリット

モデルハウスを購入することにどのようなメリットがあるのでしょうか
モデルハウスを購入することにどのようなメリットがあるのでしょうか

販売促進用に作られ、多数の人が訪れるモデルハウスですが、購入を検討する場合どのようなメリットがあるのでしょうか。6つのメリットを紹介します。

比較的安く家を購入できる

モデルハウスの一番といってよいメリットは、他の新築物件よりも安く購入できることです。

展示期間は1年を超えることもあり、その間多くの人が見学、宿泊体験などで出入りします。そのため、通常の新築より1~3割程度安く購入できます。

モデルハウスが長期間売れない場合、交渉次第ではより割安で購入できることもあるでしょう。

設備や内装が豪華なことがある

モデルハウスは、販売促進用に建てられるため、設備や内装などはグレードが高いものを使っていることも珍しくありません。通常の住宅にはオプション仕様で追加費用がかかる設備や内装が、標準で備わっていることもあります。

注文住宅の打合せで設備や内装のグレードが高いものを選択すると、それだけの費用がかかり建築坪単価も上がります。モデルハウスの場合、こういった設備や内装の家を割安に購入できる点はメリットです。

実際の家を確認して購入できる

モデルハウスでは、実際の家の生活をイメージしたうえで購入判断ができます。各居室の広さや通路の幅、天井高をもとに、家事動線や衛生動線など生活動線を確認することが可能です。

注文住宅や分譲戸建ての購入後、生活してみると使い勝手が悪い、無駄なスペースがあるなどの失敗につながることもあります。

モデルハウスでは家具や照明、カーテンなども設置され、実際の生活イメージや日当たりなども確認できることから購入後に「思っていたのと違う」と後悔することは少なくなるでしょう。

家具家電が付いてくることもある

家具家電に悩まなくていいのはうれしいポイントのひとつですね

ハウスメーカーや契約内容によりますが、モデルハウスに設置されている家具や家電が付いてくることもあります。マイホーム購入後、新しい家に合った家具や家電を購入するとなると、コストも手間もかかります。

モデルハウスに設置されている家具や家電はグレードが高く、デザイン性に優れているものも少なくありません。さらに搬入や設置の手間も省け、すぐに生活できる環境を手にいれられる点はメリットです。

住宅街の中の立地や周辺環境がよい場所であることが多い

分譲住宅地に建てられるモデルハウスの場合、たくさんの人に訪れてもらい、PRする必要があります。そのため分譲地内でもアクセスが良く、角地や窓からの景観がよい場所に建てられることも多くあります。

また、一戸建ての場合、道路付けは大切なポイントです。道路付けとは、敷地に道路がどの方角に接しているかを示したものです。分譲地内では、区画によって道路の接道方向が東西南北に生じ、道路に出るまで通路を経由する旗竿地となる区画もあります。

その点、モデルハウスとして利用される区画は、道路付けや採光面で配慮されたものも多いでしょう。

入居まで比較的短期間で済む

モデルハウスは入居までの時間が比較的短期間で済みます。
注文住宅で家を建てると、土地探しから建物プランの設計、仕様や設備の選択、着工、完成まで半年から長ければ1年以上かかることもあるでしょう。モデルハウスの購入では、こういった工程を省けます。

また、家具や家電が備わっていれば、新生活を始めるための準備や引越し作業も抑えられます。特に入居までの時間が限られている方にとって大きなメリットではないでしょうか。

モデルハウスを購入するデメリット

新築未入居とはいえ、モデルハウスの購入にはデメリットもあります。通常の新築住宅にはない7つのデメリットを解説します。

「中古物件」の扱いとなる

モデルハウスは中古物件の扱いとなり、新築住宅とは異なる取扱いになることがあります。

「住宅瑕疵(かし)担保責任保険」に加入できない可能性がある

2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、新築住宅の会社は引渡し後の瑕疵(欠陥)に対し10年間の瑕疵担保責任を負います。この責任を果たすために、修繕費用の資金確保として義務付けられた保険が「住宅瑕疵担保責任保険」です。

保険適用の新築物件としてみなされるには、人の居住に使われていないもので完成から1年以内のものであることが必要です。モデルハウスの場合、1年以上経過しているものも多く、対象とならない可能性があります。

そのため、住宅瑕疵担保責任保険に加入できず、引渡し後に欠陥が発覚しても補修費を請求できないケースもあるかもしれません。しかし、一定の要件を満たすことで補修費をまかなうことも可能です。具体的には、「既存住宅売買瑕疵保険」を付帯する、建物診断を実施するなどの対応が挙げられます。

備え付け家具や電化製品の保証期間が短い可能性もある

備え付けられているキッチンやユニットバス、建具などの保証期間は一般的に1~2年程度です。また、家具や電化製品の保証期間も1年程度が多く、引渡しの時点で保証期間が過ぎている、もしくは残り少ない場合があります。

不具合があっても保証期間を過ぎると有償での修理となるため、引渡し時の状態によっては思わぬ費用がかかる可能性もあります。無駄な支出を避けるためにも設備や家具の状態、保証をしっかりと確認しましょう。

立地を選べない

モデルハウスは立地を選べません。分譲地のなかでは、好立地に建てられることが多いモデルハウスですが、人それぞれ求める立地条件や住環境は異なり、希望する立地ではないこともあるでしょう。

いざ生活してみると、思った以上に駅や学校までに時間がかかり、日常の生活に支障があることもあります。
建物自体は気に入っても、立地面で満足できないことがあるかもしれません。

抽選、先着順になることもある

人気のモデルハウスの場合、倍率も高くなります

人気のモデルハウスを購入するには、抽選や先着順になることもあります。立地がよく価格が手ごろであれば、購入希望者が集まることも予測されます。入場者の様子を見ながら、必要な手続きや引渡し時期などを早めに営業スタッフと相談したほうがいいでしょう。

おしゃれだが実用的でないことがある

モデルハウスの目的は、自社商品の販売促進、PRです。そのためおしゃれであっても実用的ではないかもしれません。グレードの高い設備や内装だけでなく、設計の自由度を訴求、空間を演出するために、吹き抜けや天窓、広い通路など、入場者を惹きつける設計プランや仕様となっていることがあります。

見た目には魅力的な空間かもしれません。しかし実際に生活をはじめると、機能性は高くなく実用的ではない可能性も。また、空調の効きが悪く光熱費がかかったり、建築面積が広いために固定資産税が高くなったりと負担が増えることもあります。

設備や家具に傷が付いていることがある

付属している設備や家具に傷が付いていることがあります。モデルハウスに訪れた購入希望者が、何らかの弾みで付けてしまった傷かもしれません。時間の経過とともに生じた汚れの可能性もあります。
ハウスクリーニングでとれる汚れや傷もあるため、ハウスメーカーに対処方法を相談してみましょう。

水回りなどが使用されていることがある

分譲地のモデルハウスではそのまま販売を予定しているため、電気・ガス、水道などのインフラは通っています。

展示期間中、キッチンやトイレなどの水回りが使用されているだけでなく、住まい体験の宿泊ができるモデルハウスだと、浴室まで使用されていることがあります。営業スタッフに使用状況を詳しく確認することも大切です。

住宅展示場のモデルハウスの場合、土地が必要になる

住宅展示場のモデルハウスの場合、土地を探す必要があります。分譲地のモデルハウスと異なり、自分にあう周辺環境や生活利便性を踏まえた土地を探さなければなりません。

通常、注文住宅を建てる場合、建築基準法や条例など法律上の制限を踏まえ、その土地にあわせた建物プランや配置を考えます。

モデルハウスの土地購入では、建物プランにあわせた土地探しが必要となり、なかなか見つからない可能性もあります。

モデルハウスによってプラン変更ができる場合もありますが、追加費用がかかったり、太陽光発電が搭載できなかったりなど希望の条件を叶えられないかもしれません。
そのかわり、自分で好きな土地を探せるので立地にはこだわりたい人にはおすすめです。

モデルハウスを購入する際に失敗しないためのポイント

ここからは失敗しないためのポイントを解説していきます

モデルハウスのメリット・デメリットをお伝えしましたが、モデルハウスの購入で失敗しないためにどういった点に気を付ければよいのでしょうか。6つのポイントを紹介します。

購入を焦らない

モデルハウス購入で注意したいのは、焦らないことです。抽選になる場合や他に希望者がいるケースは、購入判断を急ぎ過ぎないようにしましょう。

家の購入は建物だけでなく、周辺環境も考慮する必要があります。通勤、通学の道のりや買いもの施設や病院へのアクセスなど、交通・生活利便性に問題がないかをしっかりとチェックすることが大切です。

また、モデルハウスの場所や周辺の用途地域を知ることで、将来建てられる可能性のある建物を確認できます。近隣に大規模な商業施設や工場などができると、住環境が大きく変わることもあるでしょう。将来のことも踏まえて購入するか、焦らずに判断してください。

「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」の期間を確認する

中古住宅の扱いとなるモデルハウスの場合、「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」への加入を検討できます。既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険です。

新築住宅を対象とする「住宅瑕疵担保責任保険」に加入できない場合でも、引渡し後に見つかった欠陥に備えられます。

利用には検査会社による建物検査をクリアする必要がありますが、未入居、築浅のモデルハウスであれば問題なくクリアすることも多いでしょう。

保険料は必要ですが、保険金額は最大1,000万円、保証期間が最長5年間受けられます。購入を検討する際はハウスメーカーに保険を付けるかも忘れずに確認しましょう。

「住宅診断」でプロのチェックを受ける

住宅診断(ホームインスペクション)で建物の状態をプロにチェックしてもらう方法もあります。住宅診断は、国に登録する建築士がおこなう建物状況調査と住宅に精通した専門家がおこなうホームインスペクションに分かれます。

外壁や基礎、屋根、小屋裏などの構造耐力上主要部分ならびに雨水の侵入を防止する部分に加え、給排水管路などもオプションで調査が可能です。

一戸建ての検査費用の相場は5~10万円(30坪程度)です。建物状況調査では、既存住宅瑕疵保険の検査項目をクリアすることで保険加入のための検査に代えることもできます。

修繕費の負担についてハウスメーカーと確認する

モデルハウスの設備や内装にキズや汚れがある場合、修繕が必要なこともあります。契約条件として、引渡し時の状態や必要な修繕箇所、費用負担など、ハウスメーカーとの交渉を含めしっかりと確認しましょう。

プラン変更、改修費用も含めた資金計画を立てる

モデルハウスの購入にあたって、プラン変更や部分的な改修工事をする場合は、資金計画を立てることが大切です。

利用する金融機関によって、融資対象となる費用も異なります。予算も踏まえてかかる費用を確認し、資金の計画を練る必要があります。

割安に購入できるモデルハウスですが、変更内容によっては、新築住宅と変わらない費用がかかる可能性もあり、購入判断に影響することもあるでしょう。

購入方法、引き渡し時期を確認する

購入方法、引渡し時期の確認も大切です。購入希望を伝えても、展示期間があるためすぐに引渡し、入居と進むわけではありません。

住宅ローンを利用する場合は、審査から融資実行までにかかる時間も踏まえながら、契約時期や引渡し時期がいつかをしっかりと確認しましょう。

まとめ

モデルハウスの購入のメリット、デメリットならびに注意点を解説しました。

モデルハウスは、一般の新築住宅とも異なり、入居済みの中古住宅とも異なります。そういった意味では特殊な物件です。

条件にあう物件がみつかれば、資金的なメリットもあり有効な選択肢ですが、一方で通常の新築住宅にはないデメリットや注意点がありますので慎重に検討する必要があります。

また、一般の不動産市場で流通する売り物件と異なり、購入手続きや引渡しまでの期間が、販売状況に左右されることもあります。モデルハウスの購入を検討されている方は参考にしてください。

吉満 博

執筆者

吉満 博

株式会社あつみ事務所 代表

宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー
不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。また、これまでの建築設計、不動産売買の実務を踏まえた情報発信を積極的におこなう。

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