家を買って後悔した!失敗しないための対策と気を付けるポイントを解説

一生に一回になるかもしれない住宅の購入ですから、誰しもできることなら失敗したくないはずです。しかしインターネットで検索すると、以下のような住宅購入での失敗談がたくさん出てきます。
「もっと慎重に考えてから購入すればよかった」
「融資を受けた住宅ローンの金利、はるかに安く条件のいいところがあった」
「もっと広い間取りにすればよかった」
ほかにも物件選びからお金の問題、立地、エリア、分譲マンションの管理費の値上げなど、実にさまざまな失敗談が語られています。見ているだけで、住宅を購入する決心が揺らいでしまう人もいるでしょう。しかし実際のところ、抑えるべきポイントさえ理解していれば、不動産の購入はそれほど怖いものではありません。大切なのは、完全に人任せにしないことです。
本記事では家の購入の際に失敗しがちなこととその対策について詳しくまとめました。ぜひ参考にしてください。
家を買って後悔!知っておきたい4つの失敗ケース
家を買って失敗・後悔するといっても、家の間取りや周囲の環境で後悔する人もいれば、住宅ローンの組み方や、転勤や出産など人生の転機に際して生じる後悔などさまざまです。さっそく見ていきましょう。住宅を購入したことがある方に、アンケートでどのようなことに後悔したのかを聞いた、生の声もご紹介していきます。
お金に関する後悔・失敗

毎月の住宅ローン返済がつらい
住宅を購入する際には、ほとんどの方が住宅ローンを利用します。しかしオンライン住宅ローンサービスを運営する株式会社MFSの実施した調査では、「ローンで失敗した」という方が全体の60%以上に達しました。金利や変動・固定など商品の組み方はもちろん、もっとも多かった回答が「ローンの返済がつらい」でした。
もちろん住宅ローンを借りる際には、支払える金額を検討して融資を組むはず。では、なぜ多くの方が支払いでつらい思いをしているのでしょうか?実はその多くが、現時点の所得や生活費から住宅ローンの支払額を決めてしまっているからです。
ここで大事なのは、「借り入れできる金額=支払っていける金額」ではないということ。子どもが成長すれば塾や習い事、お小遣いなど色々な出費が必要になりますし、給料が毎年順調に上がり続けるとは限りません。逆に、転職や部署異動などで下がることもあるでしょう。生活費以外にも、固定資産税など毎年必要となる税金や、老朽化した場合のリフォーム代などのメンテナンス費用なども必要になります。
物件選びや融資金額は、そのような状態を見越して考えなければなりません。
そこで大切なのが、返済負担率計算です。給与収入のうち、住宅ローンの支払いに回すのはいくらが妥当かというもので、収入金額により違いはありますが、おおむね20%以内が理想的な支払額だといえるでしょう。例えば手取りが30万円なら、月々の安全な返済金額は6万円です。
この支払額でいくら借り入れできるかというと、現時点の店頭表示変動金利は2.4%前後で、そこから優遇金利が適用されるため0.6%前後です。35年返済でボーナス加算なし、金利が変動しないという前提で逆算すると、23,000,000円が借り入れできる金額になります。これに自己資金を足した金額が物件価格と諸経費の総額になるのですが、エリアによるものの、物件価格が上昇している昨今ではこの金額で物件を探すとなるとなかなか難しいでしょう。
希望する物件に金額が届かない……という場合は、ボーナス加算を併用したり、融資金額を引き上げたり、ペアローンを利用したりすることで借入可能額を増やすことはできますが、住宅ローン以外の支払いや増加する生活費なども検討して、支払える範囲内で融資金額を決定することが大切です。
- ローンはもっと金利のいいところがあったのではと後悔している。(40代/男性)
- 毎月のローン返済が多いので精神的に余裕がなくなった。(50代/男性)
- ローンが大変、あとずっと住んでいると外壁だのトイレだの壊れていくのでその修繕費がかかること。(50代/女性)

住宅ローンが返せなくなった
40歳前後でローンを組んでから30数年も支払いを続けるのですから、その間には色々なことが起こります。例えば転職や転勤のほか、昨今では長期化する新型コロナウイルス感染症の影響により、企業が人員削減や減給・ボーナスカットなどをおこなうことも少なくありません。そのような影響から住宅ローンの支払に困窮する方が増加していることも事実です。
もし、住宅ローンが支払えなくなったらどうなるのでしょうか。
まず、住宅ローンを延滞すれば、支払いの催促電話が入って督促状が届きます。それでも返済しなければ、約3カ月目に「期限の利益の喪失」の通知が届くようになります。これを宣言されるとローンの分割返済をする権利がなくなり、金融機関から「一括弁済」を求められます。
こうなれば、どこからかお金を工面して一括で返すか、任意売却や競売になるのも時間の問題となります。
任意売却とは、ローンの支払いが困難になった場合に債権者(銀行など)の協力を得て売却をする方法です。債権者が主導するという以外は一般の売買と変わらないため、引渡時期などの調整もある程度はおこなえます。
これに対して競売は、債務者の申立により裁判所が主導して入札方式で購入者を募るオークションのような方式です。競落(購入者が決定されること)されると即時に立ち退きを迫られ、応じなければ強制執行で立ち退きを強要されることになります。
競売と比べると、任意売却の方が売却価格や引渡時期などに柔軟な対応が期待できるでしょう。ただし、債務(借入金)が販売価格を大きく上回っている場合には、債権者も応じてはくれません。どちらの方式でも借金が残る可能性は高く、その場合は住宅を処分しても残りを支払い続けることになります。
では、住宅ローンの支払いが厳しくなったらどうすればよいのでしょうか。延滞する前に、まずは金融機関へ相談に行きましょう。相談すれば「支払い期間の延長により月々の返済額を見直す」「一定期間、金利だけの支払いだけにする」など、ケースごとにさまざまな対応策を講じることができます。
住宅ローンの返済に困ったら、まずは借入先の金融機関に相談することを覚えておきましょう。
- 正社員時代、かなりの借金をして都心に買った。会社の業績悪化で職を失いとんでもない苦労をすることになった。そこに住むことはできなくなった。多少遠くて不便でも郊外の安いのを買うべきだった。(50代/男性)

初期費用が思ったより多くかかってしまった
不動産を購入するには諸費用が必要です。不動産は高額ですから、その諸費用も大きな金額になるでしょう。新築物件では物件価格の4~7%、中古だと7~13%が目安になります。
例えば2,000万円の中古一戸建てを購入した場合、物件価格以外に140~260万円が諸費用の目安ということになります。まずは諸費用の内訳をご説明します。
仲介手数料 | 取引態様が仲介の場合に必要な費用です |
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印紙税 | 売買契約書・金銭消費貸借契約書に貼附する印紙 |
登記費用 | 登録免許税・司法書士報酬など |
住宅ローン諸費用 | 保証料・融資手数料など |
火災・地震保険料 | 年数や付保する保証内容により金額が変動します |
引越し費用 | 諸費用に入るのか微妙ですが、引っ越しにも費用がかかります |
不動産取得税 | 入居後になりますが、請求書が届きます |
上記以外にも、新築一戸建ての場合には水道加入金、新築分譲マンションでは修繕積立基金なども必要です。また、上記のうち住宅ローン諸費用と火災保険料は、申込内容によって金額が大きく変わることがあります。諸費用は自分が思っている以上にかかる可能性があることを理解し、しっかりと見積りを確認しましょう。
住宅ローン以外にもお金がかかり大変
不動産を取得すると、毎年必要になるのが固定資産税です。一戸建てであれば、家のメンテナンスにかかる費用を自分で工面しなければなりませんし、マンションの場合は管理費や修繕積立金が必要です。特に中古マンションでは大規模修繕時に積立金が不足している場合、修繕積立一時金が徴収されることもあります。購入前に、長期修繕計画がどのようになっているのか調べておきましょう。
設備機器に不具合が起きれば交換や修理をしなければなりませんし、すでに廃盤になっている商品なら交換部品が手に入らないこともあります。そうなると修理ができず、例えば給湯機など大掛かりな設備も丸ごとの交換が必要です。こうした費用は、思った以上に高額になることも心得ておきましょう。
- 固定資産税や修繕費などの維持費がかかることです。賃貸の方が気楽で良かった。(30代/女性)
- マンションの管理費、駐車場にお金がかかるし、自由にリフォ-ムしたいので一戸建てにしましたが、それ以上に維持するためのコストがかかる。(50代/女性)
- メンテナンス費用が結構かかること。例えば10年くらいでの外壁や屋根の塗り替えです。(60代/男性)

人生の転機に関する後悔・失敗

急な転勤で単身赴任になった
定期的な異動が常とされる職場もあり、そのような企業に勤めている方は単身赴任を覚悟して住宅を購入しています。
単身赴任は何かと出費がかさみます。住宅ローンや家族の生活費とは別に、単身赴任先での生活費も払わなければいけません。単身赴任手当も支給されるかもしれませんが、赴任して数カ月後に住宅ローンの支払いに困窮したという話も耳にします。せっかく家族の安らぎの場所として住宅を購入したのに、家族と離れてしまうのは悲しいですよね。
転勤の多い職場なら、無理して家を購入しないというのも一つの考え方でしょう。しかし一方で、「住宅ローンの完済時年齢のことを考えて早く住宅を購入しておきたい」「転勤が多いからこそ帰る家が欲しい」というのも自然な考え方です。家を購入し、転勤が決まったら賃貸住宅として貸し出すなどの選択肢もありますので、家を購入する前に家族と十分に話し合っておくことが大切でしょう。
- 家を買って数年後、夫の会社は「転勤のない会社」だったのに、「転勤のある会社」になってしまったこと。(30代/女性)
- マンション購入して少しして転勤になった。(40代/女性)

子どもが生まれて家が狭くなった
夫婦二人の生活であれば、1DKなど多少手狭であっても生活は可能でしょう。しかし子どもが生まれた途端、ベビーベッドの設置場所や玩具などの置き場が必要となり手狭になります。子どもが大きくなれば、子ども部屋も必要になるでしょう。
賃貸であれば気軽に引越しを検討できますが、購入となればそう簡単にはいきません。家の購入で失敗しないためには、将来的なことも含めた家族計画を考え、家族で話し合い、適切な大きさの物件を購入するようにしましょう。
- 購入後に家族が増えたので、部屋数が足りない。(50代/女性)

子どもの進学先が限られる
小学校や中学校など、学区についても事前調査が大切です。通学区域は各自治体の教育委員会で定められ、公立の場合には人口が偏らないよう、安全面を配慮して徒歩で通える範囲に限定されています。自治体によってはある程度の区域をブロックで分け、その区域内の学区であれば自由に選択できる「学校選択制」を導入しているところもありますが、まだまだ少数です。
学区は各自治体のホームページでは簡単に調べることができますし、各学校も多くがホームページで行事予定などの情報を発信しています。また、学校の雰囲気などは口コミサイトなどでも確認可能です。
どこの学校に通わせたいかこだわりがある方は、家を購入する前に十分に検討しておきましょう。
離婚して家のローンが残ってしまった
厚生労働省がまとめた『令和2年(2020)人口動態統計』によれば、離婚件数は19万3,251組で、人口1,000人あたりで表した離婚率は1.57でした。「3組のうち1組は離婚している」ともいわれており、離婚自体は珍しいことではありません。
離婚は夫婦だけの問題ではなく、子どもの有無や親族などの影響のほか、財産分与の問題もあります。
基本的な考え方として、婚姻期間中に所有した財産は、所有権の有無を問わず離婚時に夫婦折半と考えます。しかし、売却しても住宅ローンが残ってしまう場合は財産分与もできません。また、住宅ローンを夫婦合算で組んでいる場合、借り入れ先の銀行に協力を得てどちらか片方の名義に切り替える方法もありますが、実際に応じてくれる金融機関はほとんどないでしょう。そのため、新たに単独名義で住宅ローンを申し込むか、売却するしか方法がありません。
何もせず住宅の名義だけ残しておけば、ローンの貸出条件に違反する可能性があります。また、将来的に売却するにも、相手方の協力が必要になるためそれは避けたいと考える方が多いのではないでしょうか。もしもの場合を考えて、購入物件の金額や住宅ローンの申込み内容も検討しておきましょう。
- 離婚を考えたときに面倒。(30代/女性)

住む人が減り、家が広すぎる
成長する子どものことを考えて、必要な大きさの住宅購入を検討することは大切です。しかし、子どもは大きくなれば、やがて巣立っていくことを忘れてはいけません。
住宅の住み替えは高齢になってから多く見られますが、その理由には「家が広すぎて掃除が大変」「2階に上がるのが億劫になった」という声が挙げられます。広すぎず狭すぎず、手頃な広さの住宅を購入するのが一番ですが、これがなかなか難問でしょう。
例えば、ひとつの部屋を有効活用する手段として、パーテーションで間仕切りしてみるのもひとつの手です。2段ベッドを部屋の中心に置いて左右に勉強机を配置するなど、ある程度の大きさがあれば工夫次第でプライベート部分を確保できるものです。広すぎる家を購入してあとから持て余すよりも、「多少狭いかな?」くらいの家を選択することもひとつの考え方だと思います。
- 子供は娘ふたりで将来は家を出ていくことはわかっていながら200平方メートル 5LDKの一軒家を建てて、二人とも結婚して独立した今は夫婦二人きりで広すぎる部屋を持て余しています。(60代/男性)
- 家族と暮らしている間は間取りに満足しているが、10年経つと状況が変化する。必要最低限で自分のための間取りを優先すべきですね。(60代/女性)

立地に関する後悔・失敗

駅から遠い
実際に歩いて確認せず「多少は遠くても大丈夫だろう」と家を購入した場合、毎日の通勤などが思った以上のストレスになったり、買い物などの移動に不便を感じてしまったりする可能性があります。よくあるのが、転職によって利用経路が変わり、「こんなはずじゃなかった」と嘆かれる声です。そのため、やはり駅からの経路は実際に歩いてみることが大切です。できれば通学や出勤の時間帯、帰宅時間など、時間帯を変えて歩いてみるとよいでしょう。
- 車通勤で駅の利用はあまりしないからと駅徒歩15分の戸建を買ったがその後転職、毎日電車通勤に……その後十余年頑張ったが耐え切れず売却、都心駅近マンションへ引越した。(40代/女性)
- 子どもの送迎をするようになって駅から遠いので大変。高くても近くに買うべきだった。(40代/男性)
- 駅に近い場所(徒歩5分)と少し遠い場所(徒歩12分)で悩み、価格で少し遠い場所を購入したが、悩んでいた近い場所を通るたびにやっぱりこっちが良かったかもと思ってしまう。(40代/男性)

周辺環境が良くない
不動産会社には「嫌悪施設」と呼ばれる、騒音のある工場やゴミ集積場などを調査して告知する義務があります。しかし、実際にどのような施設に嫌悪感を持つのかは、個人差があるでしょう。例えば、小学校のグラウンドでおこなわれる運動会の音や声をうるさく感じる人もいれば、歩いて数分の場所にある飲食街のネオンが嫌だと感じる人もいます。もちろん、逆にこれらの環境を好ましく思う人もいるでしょう。
不動産会社が教えてくれる嫌悪施設は、あくまでも一般的なものだけです。これから暮らす大切な住環境ですから、人任せにせず納得できるまで調査しましょう。時間帯を変えて、朝・昼・夜と現地に足を運び確認することが大切です。できれば日を変えて、同様の時間帯を確認することをおすすめします。
- 工場近くのため昼間はうるさい。(30代/女性)
- 夜間でももう少し周りが明るい場所を購入したほうが良かったと思った。(40代/女性)
- 桜並木に面していて、春は毛虫に刺されて皮膚科に通い、秋は落ち葉の掃除が大変でした。特に桜の木がある場所に住んでいる近所の方が引越されてからは、一人でワンシーズンに特大のごみ袋24袋分、落ち葉を集めていました。(60代/女性)

周辺施設が物足りない
普段よく利用する施設が家の近くにあるかどうかは必ず確認しておきましょう。例えば自炊を頻繁にするご家庭であれば、スーパーマーケットが近くにないと不便ですよね。最近では安さを売りにしたスーパーマーケットから、高級・健康志向のスーパーマーケットまでさまざまなお店があるので、好みの商業施設が生活圏内にあるかどうか、あらかじめ調べておくことが重要です。
また、クリーニングや病院、郵便局に銀行、市役所など実際に生活を始めて利用する周辺施設の位置関係も調べておきましょう。周辺環境の調査と同様に、周辺施設も実際に生活している気分になって歩き回ることが大切です。
- 車社会なので駅からの距離は関係ないと思っていたけど、田舎ゆえ駅周辺しか飲食店がなく、夫婦で飲酒すると帰るのにまあまあ苦労することになった。(30代/女性)
- 歩いて行けるところに商店街があったのに寂れてしまった。近くのショッピングモールまで、車で買い物に行かなければならなくなった。(60代/男性)

災害リスクがある(川沿い/傾斜地)
不動産の購入時に宅地建物取引士から説明される重要事項説明書には、ハザードマップを用いて物件周辺の災害リスクについて説明することが義務付けられています。
災害リスクが高いエリアの家の購入はできることなら避けたいですが、もし購入を検討している場合は、より災害への知識を身に着け防災対策を念入りにする必要があります。ハザードマップは各自治体のホームページで公開されており、緊急時の避難先も記載されています。いざとなって慌てないよう、自宅最寄りの緊急避難先は覚えておきましょう。
- 裏に崖があるが、家の前のスペースを広く取りたくて崖ギリギリに家を建てた。最近地震が多いので不安に感じている。(50代/女性)
- 駅近くで利便の良い場所を購入しましたが、当時ハザードマップがなかった、マップが出来てから二階屋根までの浸水危険がある場所だとわかった。引っ越したい。(60代/女性)

騒音が気になる(線路沿い/道路沿い)
幹線道路や高速道路、線路が近いと、車や電車の音が気になるでしょう。そのような立地の住宅は何らか防音対策などをおこなっている場合が多いですが、必ずというわけではありません。そのため、内見時には少しだけ会話を止めて耳を澄ましてみてください。
日中は他の騒音などに紛れて気にならなくても、周囲が静かになった夜間などに気になることもあります。可能であれば、少し遅めの時間にも実際の音を確認してみましょう。
- 駅チカ徒歩3分で便利だが、電車、車の総音か辛くて辛くて、結局住み替えした。(40代/女性)
- 電車の高架沿いに住んでいますが、購入を検討していた時、昼間はそれほど電車の騒音は気にならなかったけど、夜中もJRの貨物が走ることを住み始めてから知り、夏に窓を開けて寝る時は騒音に悩まされます。(40代/女性)
- 第一種低層住宅地域のマンションなので閑静かと思ったが、前の道がバスの通り道で、しかも買った居室は2階なので意外とクルマの音がする。もう慣れたけれど。(50代/女性)

防犯上の不安がある(袋小路、人通りが少ない、街灯が少ない)
駅からの経路や通学路に人通りが少ない、あるいは人の目が届かない袋小路があるような場合、特に女性や子どもは心配でしょう。時間帯を変えて物件周辺の環境を確認することは大切ですが、昼間には気が付きにくい街灯などもチェックしておきましょう。
また、通勤や通学に使う道が飲み屋の多い歓楽街だと防犯上での危険性が増加します。これらは、時間帯を変えて実際に歩きまわってみないと気が付きにくいかもしれません。Google Mapのストリートビュー機能でもある程度はイメージできますので、活用してみるのも一つの手でしょう。
そのような防犯上の不安があるエリアでは、警察署のホームページで注意喚起されていますので、あわせて確認しておきましょう。犯罪防止には自己防衛が効果的です。
近隣に高い建物が建ってしまった
日当たりの良さが気に入って物件を購入したところ、近隣にマンションや背の高い建物が建てられて窓から日が入らなくなってしまった……もしくは、それまで日当たりの良かった庭に、ほとんど影が差すようになってしまった……なんてことがあったら、悲しい気持ちになりますよね。
分譲マンション建設に反対する近隣住民が、集団で抗議して建築計画の見直しを要望することはありますが、条例や建築基準法に違反でもしていない限り、建築計画が見直される可能性はほとんどありません。隣接する敷地が空き地だったり、近隣にマンションが建てられるほどの大きな土地があったりする場合には、「いずれ建つかもしれない」と考えて購入判断の材料にしましょう。
- 2階の部屋に住んでいますが、買った時には前に建物がなかったので、日光がふんだんに入りましたが、その後自宅の南側に建物が建ち、少々日の光が当たらなくなってしまいました。でも、南側に道路があったので、完全に日陰になってしまうことはなく、南側に道路があるのは案外、好条件だったのかもしれないと思いました。(60代/男性)
- 海が見えるマンションでとても気に入って購入したが、海との間により高いマンションが建ちほとんど海が見えなくなったこと。(70代/女性)

虫が多い
緑豊かな地方ならいざ知らず、都心部では虫の心配なんて必要ないと思うかもしれません。しかし虫は、エリアを問わず広範囲に生息しています。
例えばゴキブリやイエバエ、チカイエカ、スズメバチ、ネコノミ、イエダニなどは、都市部にも多く発生する害虫類です。これらの侵入を完全に防止する方法はありませんが、発生原因の根絶とまではいかないまでも、対策を講じることによりある程度は減少させることができます。
特に川や森林が近くにある家は、虫にとって過ごしやすい環境となるため注意が必要です。
殺虫剤・防虫剤などを活用して、対策をすることが必要です。
- 隣にある水路から虫がすごいので、違う土地にすればよかった。(20代/女性)
- 家の前に川があるが、とても汚い。川の周辺に木々が生い茂り、落ち葉で家の周りがすぐ汚れる、ハトやカラスが多い、害虫が多い。(40代/女性)

建物・間取り・設備に関する後悔・失敗

建物の構造、デザインに後悔
明確な根拠が存在している訳ではありませんが、住宅デザインは10年周期と言われています。住宅のデザインは純和風をはじめ、和風モダンや洋風モダン、南欧テイスト、地中海風、シンプルモダン、アジアンティスト、カリフォルニアスタイルなど種類が多様です。しかし年度により、これらのデザインには流行による偏りがあります。
自分たちが気に入ったデザインであればそれで構わないのですが、デザインで後悔している方の多くは「これが今の流行りだから」と、あまり深く考えずに選択してしまったのではないでしょうか。
工法についても一長一短があり、一般的な工法としては木造軸組在来工法やツーバイフォー工法、その変則系であるユニット工法、木造以外ではRC住宅などあります。それぞれ建物の剛性やメンテナンスの容易さが異なり、当然ながら建築単価も異なります。
デザインや工法のどちらにもいえることですが、予算も含めて自分たち家族の要望や重要視する箇所などを総合的に検討し、妥協しない家造りをしましょう。
間取りや部屋の広さに不満が出た
間取りや部屋の広さに関する後悔は、引越してすぐに発生することもしばしば。家具など何もない6帖を見れば広々と感じますし、冷蔵庫や食器棚の置かれていないキッチンも広々と使いやすく見えるでしょう。
壁面にカウンターが設置され、机などを設置する必要のない2帖の書斎(ワーキングスペース)も、椅子や本、パソコンが置かれていない状態であれば十分な広さに見えます。
しかし、引越して家具を配置した途端に「こんなに狭かった?」と思ってしまうのです。自分の持ち込み家具や生活のイメージが不足していると、このような後悔を生むリスクが高くなります。
事前に自分のライフスタイルや生活動線を十分に考えておきましょう。フリーソフトで間取り図を作成し、家具を配置できるツールなども提供されていますし、活用してみるのも一つの手です。
内見時には想像力を働かせて、家電や家具を設置したイメージでキッチンやお風呂、各居室をメジャー片手に丹念に見て回ってください。
- 建売住宅を購入したので子供部屋の狭さが気になります。子供ができてからはオモチャやもので溢れかえるので部屋や収納は広くて損はないなと思います。(20代/女性)
- コンセントの数や設置場所をもっと考慮すればよかった。(30代/男性)
- 収納スペースが思ったより少なかったことです。(40代/男性)

中古物件の老朽化
住宅を購入したら忘れてはならないのが、定期的なメンテナンスです。中古住宅に限ったことではなく、建物は年数を重ねるごとに劣化していきます。新築住宅より、築年数の経過した住宅ほどメンテナンス箇所が増えていくもの。
例えば分譲マンションの場合、外壁や共用部のメンテナンスは毎月支払う修繕積立金を利用し、長期修繕計画に基づき適切な時期にメンテナンスをおこないます。一方、一戸建てにはそのようなシステムがないため、メンテナンスをおこなうかどうかも所有者の自由です。
適切なメンテナンスをおこなわなければ、建築材の劣化を早めます。例えば外壁の場合、日本の戸建て住宅では窯業系といわれるサイディングが多いですが、塗装は雨などに打たれて年々劣化していくものです。放置すれば亀裂が入り、骨組みの木が腐り、場合によっては家の土台が傾いたり雨漏りが始まったり、住宅の寿命を縮めます。
そのため、使用部材によって違いはあるものの、約7~12年以内を目処に塗装しなければなりません。建物の大きさにもよりますが、外壁の塗装は100~200万円ほどになるでしょう。
メンテナンスが必要なのは、外壁だけではありません。屋根や基礎なども同様にメンテナンスが必要ですし、内部設備機器(給湯機やトイレ、お風呂など)にも寿命があります。適切な時期にメンテナンスをおこなえるよう、住宅を購入したらメンテナンス貯金を始めるとよいかもしれません。
- 少し古い戸建てがリノベーションされているので購入しました。見た目は良かったですが、階段がギシギシいったり窓の明け閉めや鍵が固かったりなど、古さを感じることがたまにあることです。それに間取りなどは変更ができなかったので、脱衣場はもっと広い方が良かった、など思ってももう遅いことです。(30代/女性)

日当たりが悪い
室内への日の入り具合は、事前に確認しておきたいポイントのひとつですよね。
理想は朝・昼・夕方など、各時間に差し込む日の状態を確認することです。空き家であれば遠慮せずに時間帯を変えて内見ができても、居住中の場合にはなかなか思う通りにいきません。
そうした際は、入居者に質問してみるのも一つの手です。購入してから後悔するより、細かいことでも積極的に確認・質問することが大切です。
- 23区内なので場所はまあまあ良かったんですけど、改めて住んでみると窓は南向きなのに、一階で周りの建物に遮られて日当たりは最悪。洗濯物は日に当たらないし一日中暗いので気は滅入るし。もう引越ししたいです。(50代/女性)
- 日当たりがいいと思ったけど午前中しか日が入らなかった。(60代/女性)

窓が少ない/多い
日当たりとも関係しますが、窓が少ないのは困りものです。ただし日の入り方と違い、窓の数は販売図面や外観からも確認できます。
とはいえ、窓が多ければ良いのかといえば、必ずしもそうではありません。冬場なら熱が、夏場ならエアコンによる冷気の大半が窓から逃げていきます。そのため、窓は多すぎても少なすぎてもいけません。
最低限、リビングなど大きさのある部屋なら2カ所以上、6帖の洋室であれば1カ所以上の窓が必ず設けられているでしょう。窓の開き勝手や大きさなども含めて、配置を確認しておくことがポイントです。
- 窓から外気が逃げるので小さめが良いと勧められて従ったが寒いことは寒い。1番不満なことは日当たりが悪くなったので部屋が暗い。(40代/女性)
- 西側に巨大な窓を作ってしまい、夏の西日が強烈で厳しい。(40代/女性)
- 明るい方がいいと思って窓をたくさんつくったが、夏は暑く、冬が寒かった。(40代/女性)

家を購入して良かったこと・メリット
ここまで、家の購入で後悔・失敗したケースや注意点などを解説しました。もちろん、家の購入は悪いことばかりではありません。ここからは、家を購入することで得られるさまざまなメリットをご紹介します。
憧れのマイホームが手に入る
家を購入したところ、嫌いだった掃除が好きになったという方がいます。自分の部屋ができて喜ぶ子どもたちの顔を、毎日見られるようになったという方もいるでしょう。あるいは、残業しがちだった方が、家の居心地がよくて早く帰るようになるかもしれません。
一戸建てであれば、賃貸マンションのように下の階の人への配慮も不要になりますし、分譲マンションも防音処理が施されている物件が多いため、快適なプライベート空間を満喫できるでしょう。欲しいと思って買った憧れのマイホームですから、自分自身の気持ちも自然と前向きになることでしょう。
すべての家庭に当てはまる変化ではありませんが、少なからず「家族の家」ができるのですから、住宅を購入すれば家族の生活が変わります。家族が快適に、気兼ねなく暮らせる場所ができる。それが、住宅を購入する一番のメリットだと思います。
資産になる
賃貸物件にいくら家賃を払い続けても、それが自分の所有物になることはありません。一方家を購入すれば、自分の所有する資産となります。家を購入するのであれば、なるべく資産価値の下がらない土地や物件を選びたいですよね。
ポイントとしては、物件価格の変動が少ない地域を狙うことです。国土交通省ではその近辺の目安となる「公示価格」を公表しています。過去からの価格も確認できますので、土地価格がどのように変動しているか確認してみてください。これを知るだけで、資産価値が下がりにくいエリアであるかの判断材料になるでしょう。
とはいえ、家の資産性ばかりを追求した家選びはおすすめできません。何よりも大切なのは、家族と快適に暮らせるかどうかですので、生活利便性や周辺環境についてもしっかりと吟味することが重要です。
毎月の家賃を払う必要がなくなる
家賃を毎月支払っていると、「長年住んでも、柱1本すら自分の物にならないのはもったいない」と感じるかもしれません。
賃貸では住み続ける限り賃料が発生しますが、住宅を購入すれば、ローン完済後はこうした月々の家賃の支払いがなくなります。現在は低金利時代です。物件を購入して部屋が広くなり、快適性が増したにもかかわらず、支払い金額が賃貸の家賃より低くなることも珍しい話ではありません。さらに一定の要件を満たせば、住宅ローン特別控除によって税金の還付が受けられます。なんだかお得に感じますよね。
ただし、ローン完済後も固定資産税は支払わなければいけません。また、マンションなら管理費や修繕積立金などは発生しますので、この点は注意してください。
老後が安心
年を取ってから新たに部屋を探すのはとても難しいものです。万が一の場合のことを考え、入居を敬遠する賃貸オーナーも少なくありません。ある程度のお金があれば「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者住宅に入居することもできますが、利用料金は安くありません。そのようなときに持ち家であれば、住むところの心配は不要です。
また、「リバースモーゲージ」と呼ばれる金融商品を利用すれば、査定金額分のお金を借り、万が一の際には不動産の売却で借入金を完済する商品を利用できます。もちろん、売却して現金にすることも可能です。あるいは賃貸として運用し、自分はサービス付き高齢者住宅に入居するといった方法もあります。
このように、物件を所有していれば老後の生活に選択肢が生まれます。長い期間にわたり頑張ってローンを支払い、「持ち家があって本当に良かった」と心から思えるのは、老後になってからかもしれません。
家を購入してメリットがある人とは?
ここまで、家を購入することのメリットを紹介してきましたが、家を購入することが向いている人はどういう人なのでしょうか?見てみましょう。
社会的な信用に敏感な人
不動産を所有しているということは社会的な信用につながります。例えばクレジットカードや学資ローンなどの申込書には、住まいの欄に自己所有であればチェックする箇所があります。これは、社会的、金銭的な信用度合いを図る判断基準だからです。そのため、社会的信用を高めたいという人にとって、家の購入は大きなメリットとなるでしょう。
将来が不安な人
住宅ローンは健康でなければ組むことができません。その理由は、住宅ローンが団体信用生命保険に申込み、保険会社に承認されることが条件だからです。つまり、万が一大病や重度の障害を患ってからでは、住宅ローンを組んで購入することが厳しいということになります。
持ち家は、自分の将来やライフスタイルの選択肢を増やしてくれるものです。借り入れのない不動産があればそのまま住んでも良いですし、賃貸に転用して家賃収入を得ることもできます。
もちろん、売却すれば現金を手にすることが可能です。将来自分の身に何が起きるかわからない、今のうちに家を買っておいて安心したいという人には、住宅を所有するメリットがあるといえるでしょう。
ちなみに団体信用生命保険とは、融資を借りた方が万が一死亡・重度障害になった場合、融資の残りを保険で支払い、残された家族は借り入れのない不動産を相続できる保険のことです。これ以外に、三大疾病とよばれるガン・急性心筋梗塞・脳卒中も対象としているものや、八大疾病とよばれる高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎をカバーしたものもあります。
それらは所定の要件を満たすことによって保険対象とされ、住宅ローンの借り入れがなくなります。もし持病があるのであれば、保険の内容をよく確認しましょう。
プライベートを充実させたい人
賃貸住宅では物件設備への配慮をしなければいけないので、制限された範囲でしか趣味を楽しむことができません。一方持ち家だとその制限が緩和され、さらに趣味やプライベートの時間を充実させることができるかもしれません。
例えば一戸建てなら、庭でバーベキューをしたり、ビニールプールを広げて水遊びをしたりと、多種多様な楽しみ方が可能になります。もちろん、一戸建て賃貸であれば同じように実現できますが、設備の破損など「何かあったら」と不安があり、控えている方もいるのではないでしょうか。
また、ペット可の賃貸も増加はしていますが、退去時の清掃や原状回復費でトラブルになる話を耳にします。これも、自己所有であれば避けられるケースも多いでしょう。さらに、賃貸ではできないような大胆なDIYやリフォームもできるようになりますので、部屋を改造することが好きな人にとって持ち家は最高の空間になるでしょう。
自分好みの快適な空間をつくり、趣味やプライベートを充実させたいという方には、家の購入をおすすめします。
家を買って後悔・失敗したときはどうすればいい?
家を買うことは、人生に大きなメリットをもたらしてくれます。しかし、購入した家に住み続けることがどうしても難しくなってしまったらどうすればいいのでしょうか?ここでは、その方法についてご紹介します。
賃貸として貸す
突然、一身上の都合で購入した家が負担になってしまった……。そんなとき、まずは家を手放さずに賃貸として貸し出すことを検討しましょう。ローンの完済がまだの家でも、突然の転勤や介護などのやむをえない事情があれば、金融機関が相談に乗ってくれる可能性があります。すべての金融機関と交渉が可能というわけではないですが、勝手に賃貸化することは契約違反となりますので、賃貸化する際には必ず金融機関へ相談しにいきましょう。
売却する
賃貸化が難しい場合、家を売却してしまうのも方法の一つです。
家を売る方法は大きく分けて、基本的な売却方法である「仲介」、時間がない方におすすめの「買取」、仲介費用のかからない「個人売買」の3つです。
「仲介」では、不動産会社が自分の代わりに買い手を探してくれ、諸手続きも済ませてくれます。家が売れるまでだいたい3カ月~半年ほどかかるので、急いでいる方には不向きです。また、当たり前ですが仲介手数料もかかりますので、お金に余裕を持たせておきましょう。
どうしても売却を急ぎたい場合は、不動産会社に家を買い取ってもらう「買取」という方法もあります。この方法で売却する場合は通常の査定金額の70~80%が買取相場となっていますので、時間の余裕がある方は「仲介」を利用するのが一般的です。
「個人売買」をすれば仲介手数料はかかりませんが、難しい手続きをすべて自分自身でおこなう必要があります。個人で買い手を探すのも難しいことですので、家を売ることが初めての方は不動産会社にお任せすることをおすすめします。
また、不動産会社に査定を依頼する際は、1社だけではなく、2~3社に依頼するようにしましょう。査定方法は不動産会社により違いがあり、まったく同じ金額で出されるわけではありません。
ここまで家の売却方法を紹介しましたが、売却額が住宅ローンの残高を上回っていなければ、不足分のお金を準備しなければなりませんので注意が必要です。売却する際に損をしないためにも、資産性のある物件を選ぶことも重要です。
まとめ
現役で不動産業界に携わる者として、これまで「住宅を購入して失敗した!」というケースをたくさん見てきました。不動産は高額です。失敗したからといって、簡単に住み替えできるものではありません。
だからこそ、不動産会社に任せっきりにするのではなく、ご自身でも不動産の知識をつけ、じっくりと腰をすえて物件を選ぶことが大切です。そういう意識で気になる物件を数多く内見することにより、自分たち家族が重要視していることも理解できるはずです。後悔のない家選びをするために、本記事で紹介したポイントを参考にしてみてください。