このページの一番上へ

0円物件とは?なぜ無償譲渡できる?メリット・デメリット、取得する際のポイントも解説

0円物件とは?メリット・デメリットと取得する際の注意点を解説
空き家バンクや専門サイトで、物件価格0円の空き家や土地、いわゆる「0円物件」を見かけたことはないでしょうか。一見、家や土地が無料でもらえるように感じますが、実際に取得するとなると、登記費用や税金、活用するための修繕費が必要です。

無償譲渡される背景には、「一般の不動産市場では売却できない」、「固定資産税や維持管理の負担から解放されたい」などの所有者側の事情があります。そのため、0円物件の取得を検討するうえでは、維持管理の負担から将来の出口まで含めて判断することが大切です。

本記事では、0円物件が無償譲渡される理由から、メリット・デメリット、探し方、取得時のポイント、0円物件に向いている人の特徴まで解説します。

記事の目次

0円物件とは

0円物件とはどのような物件?
0円物件とはどのような物件?

0円物件とは、売買価格が0円で譲渡される空き家や土地を指します。購入代金はかかりませんが、所有権移転登記の費用、不動産取得税、固定資産税、修繕費などは発生するため、費用がまったくかからないわけではありません。

0円で譲渡される背景には、空き家の増加や地方の人口減少があります。住む人や使う人が見つからない不動産でも、所有しているだけで固定資産税や管理費がかかります。

建物が老朽化すると、修繕や解体費用も必要となるため、所有者が無償でも手放したいと考えるわけです。

なぜ0円物件は無償譲渡されるのか?

0円物件が無償譲渡される仕組みは?
0円物件が無償譲渡される仕組みは?

なぜ0円物件が存在するのでしょうか。ここでは、土地・建物が無償譲渡される主な理由を詳しく解説します。

売れにくい土地・空き家のため

0円物件が無償譲渡される理由の一つは、通常の売却では買い手が見つかりにくいことです。特に地方の空き家や土地は、人口減少や利便性の低さ、建物の老朽化などにより、価格を下げても売れないケースがあります。

不動産会社に売却を依頼しても、売買価格が低い物件は仲介手数料も少なくなりやすいため、積極的に取り扱われにくいことが背景にあります。その結果、所有者が売却をあきらめ、0円でも引き取ってくれる人を探すことがあるのです。

維持コストを軽減するため

0円物件が無償譲渡される背景には、維持コストの負担があります。空き家や土地は使っていなくても、固定資産税や火災保険料、管理費がかかります。

遠方にある空き家を管理する場合は、現地までの交通費や、管理会社に委託するための管理委託費が必要です。

また、老朽化した空き家は、台風などで屋根材や外壁が飛び、近隣の家や通行人に被害を出すと、所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。その備えとして火災保険や賠償責任を補償する契約を検討しても、人が住んでいない空き家は保険の選択肢が限られる場合もあるでしょう。

保険会社によっては、空き家を住宅物件ではなく一般物件として扱うため、保険料が高めに設定される傾向があります。これは、人が住まない空き家は、放火や漏電火災、自然災害による被害のリスクが高いと判断されるためです。

ちなみに、一般物件とは、火災保険契約の建物種別のうち、事務所や店舗などの用途として使用している建物のことを言います。

出典:住宅物件、一般物件とは?|保険市場

また、マンションの場合は、固定資産税に加えて、毎月の管理費や修繕積立金がかかります。修繕積立金の額はマンションによって異なりますが、通常、築年数が経過するほど修繕積立金は高くなります。

売却収入を得るよりも、今後の維持費や管理の手間、事故時の賠償リスクを減らすことを優先し、0円で譲渡するケースがあるわけです。

解体に高額の費用がかかるため

建物の解体費用の負担を避けるため0円での譲渡が選ばれることがあります。

木造30坪程度の建物の場合、一般的に、解体費用は90万円~150万円(坪単価3万~5万円)ほどかかります。ただし、立地・重機搬入の可否で変動する点にはご注意ください。

さらに、ブロック塀や物置の撤去、庭木の伐採、室内に残された家具や家電の処分が必要になると、費用が増えることもあります。

建物を壊して更地にすれば売りやすくなる場合もありますが、必ず売れるとは限りません。また、売却できても50万円程度にしかならない物件で、解体に150万円かかると、所有者は差し引きで赤字です。

こうした物件では、解体して売るよりも、建物を残したまま引き取ってくれる人を探すケースもあります。

固定資産税が負担になるため

0円物件が無償譲渡される理由として、固定資産税の負担も挙げられます。不動産は使っていなくても、所有している限り毎年固定資産税がかかります。市街化区域内の物件では、原則として都市計画税も必要です。

住宅が建っている土地には、通常、住宅用地の特例が適用され、200平方メートル以下の小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準額が6分の1に軽減されます。空き家でも、適切に管理されていればこの特例を受けられ、税負担を抑えることが可能です。

一方で、空き家を放置して建物の状態が悪化すると、自治体から管理不全空家や特定空家として勧告を受ける可能性があります。勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。

なお、6倍は小規模住宅用地(200平方メートル以下)部分、200平方メートル超は3倍です。増額は勧告を受けた翌年度から適用されます。

  • 特定空家とは、倒壊など著しく保安上危険となる状態や、衛生上有害となる状態など、法律に基づき自治体が指摘した空き家
  • 管理不全空き家とは、そのまま放置すれば特定空家となる可能性のある空き家

出典:「特定空家等」または「管理不全空家等」に該当すると土地に対する固定資産税・都市計画税の税額が高くなる場合があります。|東京都主税局

売却できる見込みが低く、活用予定もない空き家では、税金を払い続けるよりも0円で譲渡して手放したいと考えるケースがあります。

0円物件を取得するメリット

0円物件を取得するメリットをご紹介
0円物件を取得するメリットをご紹介

0円物件には、物件価格を抑えられるなど通常の不動産購入と違ったメリットがあります。ここでは、0円物件を取得する主なメリットを解説します。

初期費用を抑えられる

0円物件を取得するメリットは、購入時の初期費用を抑えられることです。通常、不動産を購入する場合は、土地や建物の価格として数百万円から数千万円の資金が必要になります。

建物の売買代金には、消費税がかかることもあります。一方、0円物件は売買価格が0円のため、取得費用を抑えることが可能です。

そのため、住宅ローンを組まずに住まいを取得したい人や、手元資金をリフォーム費用に回したい人にとって検討しやすい選択肢です。例えば、古い空き家を自分で修繕しながら住む場合、取得費用を抑えた分、購入後の内装工事や設備交換に予算を使いやすくなります。

自由度の高いリフォームやリノベーションができる

0円物件は、リフォームやリノベーションの自由度が高い点もメリットです。

例えば、古い空き家をそのままに住むのではなく、間取りを変えたり、水回りを新しくしたり、断熱性を高めたりすることで、自分の暮らしに合わせた住まいに近づけられます。壁紙の張り替えや床材の交換など、できる範囲をDIYで進めれば、工事費を抑えられる可能性もあるでしょう。

また、自治体によっては、移住者向けの空き家リフォーム補助金や、耐震改修、省エネ改修を対象にした支援制度を使える場合があります。

ただし、0円物件はリフォームの余地が大きい反面、雨漏りやシロアリ被害、給排水設備の劣化が見つかると、想定より費用が膨らむ可能性があります。取得前に建物の状態をしっかりと確認し、修繕が必要な箇所や費用を整理しておくことが大切です。

活用次第で収益源に変えられる

0円物件は、取得後の活用方法によって収益化できる可能性があります。物件価格を抑えられる分、賃貸や事業活用に向けた改修費へ資金を回しやすい面もあります。

例えば、建物を修繕して一戸建て賃貸として貸し、毎月の家賃収入を得るなどです。立地や建物の雰囲気によっては、民泊、貸別荘、カフェ、店舗、シェアオフィスなどに活用する選択肢もあるでしょう。

ただし、収益化してうまくいくかは、地域の需要に左右されます。周辺の家賃相場や観光需要、交通アクセス、駐車場の有無などを十分に確認しないまま進めると、投資資金を回収できない可能性があります。

また、民泊や店舗として使う場合は、住宅宿泊事業法や旅館業法、建築基準法、用途地域などの確認が必要です。収益目的で0円物件を取得する際は、取得費だけでなく、改修費、運営費、税金、管理の手間まで含めて収支を試算しましょう。

補助金・助成金を活用できる

自治体の補助金・助成金を活用できる点も0円物件を取得するメリットです。空き家の利活用や移住・定住を促すため、空き家の改修費などを支援する制度を設けている自治体があります。

例えば、空き家バンクに登録された物件を購入・賃借し、一定期間住むことを条件に、リフォーム費用の一部を補助する制度などです。愛媛県今治市では、5年以上居住する意思がある人を対象に、移住者が空き家を改修する際の住宅改修費や、家財道具の搬出費用を補助する制度が設けられています(制度内容は変更される場合があります)。

0円物件は取得後に修繕が必要なケースが多いため、こうした制度を使えれば、自己負担を抑えながら住める状態に整えやすくなります。

ただし、補助金の対象者や対象物件、補助額、申請期限は自治体ごとに異なる点に注意が必要です。工事契約や着工の前に申請が必要な制度もあるため、物件の取得を検討する段階で、所在地の自治体窓口に確認しましょう。

出典:住もういまばり!空き家リフォーム補助金(移住者住宅改修支援事業費補助金)|今治市

0円物件を取得するデメリット

0円物件を取得する際のデメリットも把握しましょう
0円物件を取得する際のデメリットも把握しましょう

0円物件の取得には費用や権利関係のリスクもあります。ここでは、取得前に知っておきたいデメリットを解説します。

完全に0円で取得できるわけではない

0円物件は、物件価格が0円であっても、取得にかかる諸費用まで無料になるわけではありません。不動産の名義を移すには登記手続きが必要です。

登録免許税や司法書士へ依頼する場合、その報酬が発生します。また、不動産を取得した人には、不動産取得税が課されることがあります。

さらに、個人から個人へ無償で不動産を譲り受ける場合、税務上は贈与として扱われる可能性があります。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、評価額が基礎控除を超えると申告や納税が必要になる場合があります。

維持費・修繕費がかかる

0円物件は取得後の維持費・修繕費が大きな負担になる場合があります。物件価格が0円でも、購入後は固定資産税や火災保険料のほか、維持管理が必要です。

一戸建ての場合は、定期的な草刈りや庭木の手入れ、換気、清掃、建物の点検なども欠かせません。遠方の物件であれば、現地へ行く交通費や、管理を委託する費用もかかります。マンションの場合は、毎月の管理費や修繕積立金が発生します。

さらに注意したいのが修繕費です。0円物件は長期間使われていないケースも多く、修繕範囲が広がると、数百万円規模のリフォーム費用が必要になる場合もあります。取得前には現地確認をおこない、必要に応じて建築士や住宅診断の専門家に見てもらいましょう。

不具合のリスクがある

0円物件は、建物や土地に不具合が隠れているリスクがあります。老朽化した空き家などは、所有者も把握していない劣化や設備不良が残っていることがあるためです。

代表的な不具合には、雨漏り、シロアリ被害、床の傾き、基礎や柱の腐食、給排水設備の故障などがあります。内見時に室内がきれいに見えても、確認しにくい給排水管や壁の内部、天井裏などに問題が見つかるケースもあります。

不動産売買では、通常、売主の契約不適合責任が定められています。契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して負う責任です。

ただし、個人間の無償譲渡は、贈与にあたります。贈与では、贈与者は原則として、契約時の目的物の状態のまま引き渡せば足りるとされ(民法第551条第1項)、原則として、売買契約における契約不適合責任を負わないとされています。

そのため、引き渡し後に売主が把握していない不具合が見つかっても、自分で修繕費を負担しなければならない可能性があります。取得前には、建物の状態や契約内容を詳細に確認するとともに、不安がある場合は専門家に相談しましょう。

契約トラブルにつながる可能性がある

無償譲渡は個人間だけで手続きを進めるケースもあり、契約トラブルにつながる可能性があります。不動産会社が間に入らない不動産取引では、確認すべき項目が抜け落ちやすいためです。

例えば、室内に残された家具や家電、庭の物置などの残置物の範囲や、誰が処分するのかを決めていないと、引き渡し後に処分費用をめぐって揉めることがあります。

また、隣地との境界があいまいな土地を、そのまま譲り受けてしまうケースもあります。境界標の有無や越境している塀・樹木の扱いを明確にしていないと、取得後に隣地所有者とのトラブルに発展するかもしれません。

こうしたトラブルを避けるには、契約書に取引に必要な条件を網羅的に明記することが大切です。不具合箇所の告知、残置物の扱い、引き渡し時期、税金の精算などを整理するとともに、必要に応じて司法書士や不動産取引に詳しい専門家を活用しながら進めましょう。

所有権放棄が難しい

0円物件は、一度取得すると簡単に手放せない点にも注意が必要です。不動産の場合、使わなくなったからといって一方的に所有権を放棄できません。

例えば、取得後に思ったより修繕費がかかる、活用する見込みがなくなった場合でも、次の引き取り手が見つからなければ所有し続けることになります。当然ですが、所有している間は、固定資産税や管理責任も続きます。

自治体へ寄付すればよいと考える人もいますが、自治体にとって利用目的がない土地や建物は、管理費がかかる一方で固定資産税収もなくなるため、寄付を断られるケースも多くあります。

相続した土地を国に引き渡せる相続土地国庫帰属制度もありますが、対象は原則として、相続または相続人に対する遺贈により取得した土地です。
また、法人は利用できません。0円物件を贈与や売買で取得した場合は、制度の対象外です。

0円物件の探し方

0円物件を取得したいときの探し方は?
0円物件を取得したいときの探し方は?

0円物件は、一般的な不動産ポータルサイトでは見つけにくい物件です。ここでは、0円物件を探す主な方法を解説します。

空き家バンクを活用する

0円物件を探す方法の一つが、自治体の空き家バンクを活用することです。空き家バンクとは、自治体が地域内の空き家情報を公開し、所有者と利用希望者をつなぐ仕組みです。

空き家バンクに掲載されている売買物件や賃貸物件のなかには、無償譲渡に近い条件の物件が見つかる場合があります。

地域を絞って探す場合は、該当する市区町村の公式サイトで空き家バンクを確認してみましょう。エリアが決まっていない場合は、全国の自治体情報を横断して探せるアットホーム空き家バンクも便利です。

ただし、空き家バンクに掲載されているからといって、物件の状態や契約条件が保証されているわけではありません。契約前に、建物の状態や権利関係、修繕費、税金、補助金の条件などをしっかり確認することが大切です。

0円物件の専門サイトを活用する

0円物件を効率よく探すなら、無償譲渡物件や格安物件を扱う専門サイトを活用する方法もあります。

空き家や土地などを0円で譲りたい人と、活用したい人をつなぐマッチングサイトもあり、無償譲渡を前提とした物件を探しやすい仕組みになっています。

他にも、所有者と購入希望者が直接やり取りできる掲示板型のサイトもおすすめです。

ただし、サイトによっては成約時の手数料や取引サポート費用がかかる場合があります。契約書の作成、登記手続き、税金、修繕費なども含めて、必要な費用・手続きを確認しましょう。

地元の不動産会社で確認する

0円物件を探す際は、希望エリアの地元不動産会社に相談する方法もあります。地域密着型の不動産会社は、空き家バンクや専門サイトに掲載されていない物件情報を把握している場合もあるためです。

例えば、管理物件の所有者から「管理が大変なので引き取り手を探したい」と相談を受けていても、一般向けのサイトに掲載されていないケースがあります。探したいエリアが決まっている場合は、地元の不動産会社や移住相談窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、0円物件や低額物件は、不動産会社の報酬が少なく、調査や契約手続きの手間に見合わないことも多いため、必ず紹介してもらえるとは限りません。

0円物件を取得する際のポイント

0円物件を取得する時のポイントを解説します
0円物件を取得する時のポイントを解説します

0円物件は、事前確認を怠ると取得後の負担が大きくなる可能性があります。ここでは、取得前に確認したいポイントを解説します。

取得時・取得後にかかるコストを洗い出す

0円物件を検討する際は、まず、取得時と取得後にかかるコストを洗い出すことが大切です。物件価格が0円でも、登記費用や税金、修繕費、維持管理費は別途発生します。

次の表は、取得時にかかる費用と取得後にかかる費用を整理したものです。

費用の種類 主な内容
取得時にかかる費用 登録免許税、司法書士報酬、
不動産取得税、贈与税、契約書作成費用
取得後にかかる費用 固定資産税、都市計画税、火災保険料、
管理費、修繕積立金
状態により発生する費用 解体費用、残置物の処分費用、雨漏り修繕、シロアリ対策、給排水設備の交換

例えば、0円で取得できても、住める状態にするために数百万円規模の修繕費がかかる場合があります。さらに、マンションであれば購入後の維持費として、固定資産税のほか毎月の管理費や修繕積立金を見込む必要があります。

現地調査と書類で0円の理由を確認する

0円物件を取得する前には、現地調査と書類確認で、なぜ0円かを把握することが重要です。価格が安い物件には、建物の劣化や法的な制限、権利関係の問題が隠れている場合があるためです。

現地では、建物の状態だけでなく、敷地や周辺環境も確認しましょう。雨漏りの跡、床の傾き、シロアリ被害、外壁や屋根の傷み、残置物の量などを確認します。

次の表は、確認方法と主な確認項目をまとめたものです。

確認方法 主な確認項目
現地調査 雨漏り、シロアリ、床の傾き、残置物、
境界標、越境、接道状況、
周辺環境
登記事項証明書 所有者(共有者)、地目、面積、
抵当権・差押えの有無
公図・地積測量図 土地の形状、接道状況、隣地・道路境界
自治体の窓口 用途地域、建築制限、再建築の可否、
道路種別
ハザードマップ 洪水、土砂災害、津波、
高潮などの災害リスク

特に注意したいのは、再建築できるかどうかです。都市計画区域内では原則として、建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は、建物を解体したあとに新しく建物を建てられません。現地だけでなく自治体の担当窓口で道路幅や間口を確認しましょう。

また、登記情報や自治体窓口だけでは、境界トラブルやライフラインの現状まではわからないこともあります。売主からのヒアリングを通じて、不安があれば土地家屋調査士、建築士、司法書士などへの相談も必要です。

収支シミュレーションをする

0円物件を取得する前には、収支のシミュレーションをしましょう。物件価格が0円でも、修繕費や維持費が大きくなると、結果的に負担が重くなる可能性があるためです。

賃貸や民泊など収益目的で取得する場合は、想定家賃や宿泊収入だけでなく、空室期間や管理費、固定資産税、火災保険料、修繕費も含めて計算します。表面上は利益が出るように見えても、空室が続いたり、追加修繕が発生したりすると、投資資金の回収に時間がかかることがあります。

一方、自己利用を目的に取得する場合、家賃収入がなく、固定資産税や修繕費、交通費などを自分で負担し続けなければなりません。安く取得できても、住める状態にするまでの費用が大きければ、通常の中古住宅を買うほうが現実的な場合もあります。

事前に専門家へ相談する

0円物件を取得する前には、必要に応じて専門家へ相談しましょう。税金、登記、建物の状態、境界などは専門的な判断が必要になりやすく、自分だけで判断すると後悔する可能性があります。

相談先は、確認したい内容によって異なります。次の表は、相談先と主な相談内容をまとめたものです。

相談先 主な相談内容
司法書士 所有権移転登記、贈与契約書、
権利関係の確認
税理士 贈与税、不動産取得税、固定資産税
建築士・
ホームインスペクター
建物の劣化、雨漏り、シロアリ、
修繕費の目安
土地家屋調査士 境界確認、測量、越境の有無
不動産会社 周辺相場、活用可能性、
売却・賃貸の見通し、契約手続き

個人間で無償譲渡をすすめる場合は、契約内容に漏れが生じやすくなります。取得後に修繕費や境界トラブルが発覚すると、結果的に大きな負担になることがあります。

専門家への相談には費用がかかりますが、取得後の損失やトラブルを防ぐ費用と考え、少しでも不安がある場合は、契約前に相談しておくことが大切です。

0円物件がおすすめの人の特徴

0円物件の取得がおすすめな人の特徴をご紹介します
0円物件の取得がおすすめな人の特徴をご紹介します

ここでは、0円物件がおすすめの人の特徴を解説します。

住宅ローンを組まずに家を購入したい人

0円物件は、住宅ローンを組まずに家を取得したい人に向いています。

0円物件であれば、一般的な中古住宅のように購入代金を借り入れる必要がありません。収入や年齢、勤務形態などの理由でローン審査に不安がある人にとっても、検討しやすい選択肢になるでしょう。

ただし、取得時には登記費用や登録免許税、不動産取得税などの諸費用は、自己資金で準備する必要があります。

DIYやリフォームの知識・意欲がある人

0円物件は、DIYやリフォームに意欲的な人にも向いています。築年数が古い空き家が多く、取得後に内装や設備の修繕が必要になるケースが多いためです。

壁紙の張り替えや塗装、床材の補修などを自分で進められる人であれば、外注費を抑えながら住まいを整えられます。古い建物の雰囲気を活かし、自分好みに少しずつ改修したい人にも相性がよいでしょう。

ただし、すべてをDIYで対応できるわけではありません。電気配線や給排水管、ガス、耐震補強、柱や梁などの構造に関わる工事は、資格や専門知識が必要になる場合があります。

  • DIYしやすい作業:壁紙の張り替え、室内の塗装、簡単な床材の補修、庭木の剪定や草刈り
  • 専門家に相談したい作業:電気配線・ガス工事、給排水管の移設・交換、耐震補強や構造部分の改修

DIYで費用を抑えたい場合でも、建物診断や見積もりを先に取り、どこまで自分で対応できるかを切り分けることが大切です。無理に作業を進めると、再工事や事故につながり、かえって費用が増える可能性があります。

地方移住や多拠点生活に興味がある人

0円物件は、地方移住や多拠点生活に興味がある人にも向いています。都市部で住宅を取得するより住居費を抑えやすく、地域によっては広い土地や庭付きの家の取得も可能です。

例えば、週末だけ過ごす拠点や、リモートワーク用の住まい、将来の移住先として活用する方法があります。空き家バンクや自治体の移住相談窓口を利用すれば、物件情報だけでなく、地域の支援制度や生活環境も確認できます。

ただし、地方の0円物件を購入する場合、交通の便や買い物環境、医療機関までの距離、災害リスクなども含めて長期的な視点で判断する必要があります。建物だけを見て決めると、実際に暮らし始めてから不便を感じる可能性があるでしょう。

可能であれば短期滞在など生活のイメージをつかんでから取得を検討すると安心です。

長期的な視点で不動産活用を考えられる人

0円物件は、長期的な視点で不動産活用を考えられる人にも向いています。所有権放棄が難しくなりがちな0円物件の場合、取得時だけでなく、修繕や維持管理、将来の使い道まで含めて判断する必要があるためです。

活用方法としては、自己利用のほか、賃貸、民泊、店舗、倉庫、作業場などが考えられます。立地や建物の状態が合えば、空き家を収益源に変えられる可能性もあるでしょう。

ただし、収益化を目指す場合は、まとまった改修費のほか、固定資産税や火災保険料、管理委託費、空室期間中の維持費、将来の大規模修繕費も見込んでおく必要があります。

また、活用がうまくいかなかった場合に、賃貸や解体しての売却などどのような選択肢が残るかも確認しておきましょう。

0円物件に関するよくある質問

0円物件に関するよくある質問をまとめました
0円物件に関するよくある質問をまとめました

最後に、0円物件に関するよくある質問をまとめました。

0円物件とは?

0円物件とは、空き家や土地などを物件価格0円で取得できる不動産です。通常の不動産のような売却が難しい物件の所有者が、固定資産税や管理、解体費などの負担を減らしたいと考え、無償譲渡されるケースがあります。

0円物件を取得するメリット・デメリットは?

0円物件は、物件価格を抑えられることや、リフォーム・活用の自由度が高い点がメリットです。一方で、登記費用や税金のほか維持費がかかりやすく、建物の不具合や契約トラブルのリスクがあります。

0円物件を取得する際の注意点は?

0円物件を取得する際は、取得時・取得後のコストを整理し、収支シミュレーションをおこなうとともに、現地調査と書類で建物の状況をしっかりと確認することが大切です。

特に、個人間だけで売買すると、契約内容の不足が引き渡し後のトラブルになる可能性があります。費用はかかりますが、必要に応じて専門家へ相談し、安全な取引を実現することが重要です。

0円物件は、物件価格が0円でも、登記費用や税金、修繕費、維持費などが別途かかります。空き家バンクや専門サイト、地元の不動産会社を通じて情報を集め、取得前にコストや建物の状態、長期的な活用の見通しまで確認しておくことが重要です。

0円物件は、特に、住宅ローンを組みたくない人、DIYや地方移住に前向きな人、長期的に活用を考えられる人にとっては選択肢となりやすい不動産です。物件価格だけにとらわれず、改修費用を含めて総取得費と、物件のリスクを踏まえたうえで購入判断しましょう。

吉満 博

執筆者

吉満 博

株式会社あつみ事務所 代表

宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー
これまでの建築設計・不動産売買仲介業務の実務経験や自社サイトでの集客実績をもとに、ライターとして不動産・金融ジャンルを中心に記事を執筆するほか、不動産会社や士業などの集客支援をおこなう。

関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る