【トレンド調査】注文住宅を建てるまでの平均期間は?経験者に聞く!リアルな家づくり
今回は、注文住宅に関するアンケート調査をもとに、注文住宅を「建てたい」と思ってから引き渡しまでにかかった平均期間や、土地・依頼先の探し方、家づくりで重視したことなどを紹介します。
これから注文住宅を建てる場合に、いつから何をはじめればよいのか、住宅の専門家がわかりやすく整理していきますので、ぜひ家づくり計画にお役立てください。
記事の目次
【調査1】建てたいと思ってから引き渡しまでの平均は19.5カ月

工程ごとの平均スケジュールは?

経験者が「建てたい」と思ってから引き渡しまでにかかった期間は、平均19.5カ月でした。着工までには平均13.9カ月かかっており、引き渡しまでの期間の約7割を占めています。土地探しや依頼先選び、間取り・仕様の検討など、着工前の準備に時間がかかることが、注文住宅の特徴の一つです。
工事期間は構造や規模、工法、敷地条件など複数の要因に左右されるため、着工後に大きく短縮するのは難しい場合があります。一方、着工前の期間は、土地探しや依頼先選び、間取り・仕様の決定などの進め方によって変わるため、何をどの順番で決めるかが、入居時期を左右すると考えてください。
【調査2】注文住宅を選ぶ決め手となったもの

続いて、注文住宅を選ぶ決め手となったものと、依頼先を調べる前の準備を見ていきましょう。
注文住宅を選んだ決め手は?

設備や間取りを好きなように選べるから
検討者52.7%、経験者51.4%と、建てる前の期待と建てたあとの評価が一致しました。ただし、選べる範囲は工務店・ハウスメーカーの標準仕様で決まり、標準外の設備を選ぶとオプション費用が上乗せされます。問い合わせの段階で、標準仕様の範囲と、変更した場合の費用の目安を確認しておきましょう。
家族のライフスタイルに合わせたプランができるから
検討者52.2%に対し、経験者は42.5%にとどまりました。打ち合わせを重ねるうちに、漠然とした「理想の住まい」の要望が具体的な間取りや設備に置き換わっていくためだと考えられます。
要望については、「平日の朝は洗面所が混み合う」「週末は来客が多い」「共働きのため家事は時短したい」のように暮らしの場面で伝えると、設計者がプランに落とし込みやすくなります。
外観や内観のデザインを好きなように選べるから
検討者46.8%、経験者40%でした。経験者で割合が下がるのは、実際の家づくりでは、予算や性能など複数の条件を調整する必要があるため、デザインに対する優先順位が変わった可能性も考えられます。
特に外観はこだわるほど費用と将来のメンテナンスに響くため、予算に限りがあるなら性能を優先し、デザインは標準仕様の範囲で整えるのが現実的です。外壁材や屋根材は色や形だけでなく、塗り替えの周期や費用も比べて選ぶと、住んでからの負担を抑えられます。
自分の好きな場所に建てることができるから
検討者41.2%、経験者32%と9ポイント以上の差がありました。今回のアンケートで回答してくれた検討者の約3割は親族が所有している土地での建設を予定していることも要因のひとつとして考えられます。
場所を選んで建てたい方も、希望エリアで条件に合う土地が見つかるとは限らないため、複数のエリアを候補に入れておくのがおすすめです。通勤時間や学区など譲れない条件を先に決めておくと、候補が出た時に迷わず判断できます。
省エネやエコ性能を重視できるから
検討者31.4%、経験者29.5%とさほど差はありませんでした。2025年4月以降は原則すべての新築住宅に省エネ基準への適合が求められるため、基準を満たすことは前提になりました。
ただし、義務化で求められるのは断熱等級4という最低限の水準です。2030年度までに新築住宅の最低等級が断熱等級5へ引き上げられる予定のため、等級4のまま建てると数年後の新築の基準を下回るおそれがあります。
比較する際は、工務店・ハウスメーカーに断熱等級5・6のプランと年間の光熱費の目安を提示してもらいましょう。性能を上げた分の建築費と光熱費の差を比較すると、どこまでお金をかけるかを判断しやすくなります。
注文住宅を検討してから実際に工務店・ハウスメーカーを調べる間にしたことは?

予算について検討した
検討者では1位の54.6%、経験者でも45.2%でした。総額は本体工事費に付帯工事費と諸費用を加えて決まるため、最初に上限を決めておくと工務店・ハウスメーカー選びや土地探しで迷いません。上限は借りられる額ではなく、毎月の返済額から逆算した無理のない額で決めるのが基本です。
住宅展示場やモデルハウスを見学した
経験者では48.6%と1位で、検討者でも50.4%と半数を超えました。モデルハウスにはオプション仕様が採用されている場合もあるため、標準仕様との違いを必ず確認してください。見学の際は、実際に建てる予定の延べ床面積に近い建物を選ぶと、広さの感覚がつかみやすくなります。
建築にかかる相場を調べた
検討者48.7%、経験者37.7%と、建築費が上がるなかで検討中の方ほど関心が高まっています。坪単価に含まれる工事の範囲は工務店・ハウスメーカーごとに異なるため、同じ条件で総額を比べましょう。
坪単価だけで比較すると、外構工事や地盤改良、照明・カーテンなどの費用が含まれているかどうかで総額に差が出ることがあるからです。相場を調べる際は建物本体だけでなく、外構や地盤改良など土地の条件で変わる費用も含めて把握しておくと、あとから予算が足りなくなる事態を防げます。
施工事例やデザインの参考資料を集めた
検討者39.8%、経験者32.6%でした。気に入った事例を数件保存して打ち合わせで見せると、希望するデザインや暮らし方を具体的に伝えやすくなります。これにより、プラン作成の回数を減らすことにもつながるかもしれません。事例は見た目だけでなく、延べ床面積や建築費の目安も一緒に確認しておくと、予算内で実現できるかを判断しやすくなります。
建築に関する雑誌や書籍を読んだ
検討者33%、経験者26.3%と、上位5項目ではもっとも低い割合でした。それでも流れや費用の仕組みを体系的に知っておくと打ち合わせでの判断が早くなるので、断片的なSNSの情報は専門誌で補うのがおすすめです。特に、契約から着工までに決める項目の多さを事前に知っておくと、打ち合わせの準備に余裕が生まれます。
【調査3】土地や工務店・ハウスメーカーの探し方

土地と依頼先の探し方は、着工前の期間を左右します。検討者と経験者の違いを順に見ていきましょう。
土地はどのように探した(探している)?

検討者・経験者ともに「不動産ポータルサイト」が1位でした。ただし、経験者は検討者ほどポータルサイトに集中しておらず、工務店・ハウスメーカーへの相談などを組み合わせて探しているようです。
実際に建てた方の割合が下がるのは、依頼先の工務店・ハウスメーカーが土地探しを手伝うケースや、建築条件付き土地のように依頼先とセットで土地が決まるケースがあるためだと考えられます。
土地は価格だけでは判断できません。地盤や接道、法規制によって、同じ価格でも建築費や建てられる家の大きさが変わるためです。ポータルサイトで相場をつかんだら依頼先の候補にも相談し、建物と合わせた総額で判断しましょう。
これから土地を探す方は、候補が見つかった時点で工務店・ハウスメーカーに相談してください。確認したいのは、希望する間取りが建てられるかと、地盤改良や擁壁などの追加費用が出ないかの2点です。土地を先に決めてしまうと、建物の予算を削って調整することになりかねません。
工務店・ハウスメーカーはどのように探した(探している)?

検討者の1位は「不動産ポータルサイト・アプリ」51.1%、経験者の1位は「住宅展示場を訪問」42.7%でした。この結果から、住宅を検討する段階では不動産ポータルサイトやアプリを活用して幅広く情報収集をおこない、住宅建築を具体的に進める段階になると、住宅展示場を訪れて実物を確認する人が多い傾向にあると考えられます。
インターネットで候補を集めてから展示場や直接訪問で確かめる順番にすると、問い合わせから契約までは平均3.6カ月でした。問い合わせ前に候補を整理しておくと、展示場や訪問先を比較しやすくなります。展示場ではその場で決めず、標準仕様と価格帯を持ち帰って比べましょう。
展示場のモデルハウスは各社の得意分野を表しているので、構造や性能の説明を受けたうえで、自分の優先順位に合う工務店・ハウスメーカーを候補に残すのがポイントです。
【調査4】工務店・ハウスメーカーを決める際に重視したこと(したいこと)

依頼先を決める段階は、問い合わせから契約までの3.6カ月にあたります。経験者が何社を比較し、何を重視したのかを見ていきましょう。
何社で比較した?注文住宅購入時の平均行動数

経験者は、インターネットで調べた数から見積もりを依頼した数まで、段階を追うごとに候補を絞り込んでいました。最終的に見積もりで比較したのは2〜3社でした。比較する会社が増えるほど、各社との相談やプラン・見積もりの比較に時間がかかる可能性があります。
問い合わせの段階で価格帯や標準仕様、担当者の対応を確認し、見積もりは同じ条件で2〜3社に依頼しましょう。複数社を比較する場合は、延べ床面積や設備のグレード、付帯工事の範囲など条件をそろえると、金額を比較しやすくなります。
工務店・ハウスメーカーを決める・契約する際に重視したこと(したいこと)

検討者・経験者ともに「価格」が1位でしたが、割合は経験者のほうが低い結果となりました。。また、「その他」を除くすべての項目で検討者の割合が経験者を上回りました。このことから、住宅を検討する段階ではさまざまな条件を重視する傾向がある一方で、実際に購入や建築を進める過程では、重視する条件を絞り込みながら判断している人が多いと考えられます。
差がもっとも大きい「見積もりが明瞭」は、工事範囲や仕様、諸費用の含め方、書式などが工務店・ハウスメーカーごとに異なり、比較すること自体が難しいことも背景にあると推測されます。
逆に差が小さいのは「営業担当者の人柄・相性」です。打ち合わせ回数の調査では、経験者は着工前に平均8.7回、着工後に平均5.6回と、合わせて14回以上の打ち合わせを重ねていました。問い合わせから引き渡しまで1年以上にわたって相談を重ねる相手だからこそ、担当者との相性が最後まで決め手に残ると考えられます。
注文住宅を検討中の方は、見積もりの明瞭さだけでなく、内訳の質問に担当者がどれだけ具体的に答えられるかも判断材料にしましょう。
間取りに取り入れた(取り入れたい)要素は?

「ウォークインクローゼット」が検討者・経験者ともに1位で、半数近くが挙げました。一方、「ランドリールーム」は検討者に比べて経験者の割合が13ポイント低くなっています。専用の部屋として面積が必要で費用もかかるため、予算や敷地の制約で優先順位が下がりやすい点が理由と考えられます。
これらの設備は大きな面積を必要としないうえ、階段下などの空間を収納として活用できることから、設計の打ち合わせ段階で提案され、採用につながりやすい設備の一つと言えるでしょう。
要望は部屋の名前ではなく「何をどこに収納し、どのように動くか」で伝えると、面積が足りなくても代案を引き出しやすくなります。
家が完成するまでの打ち合わせ回数の平均は?

着工前は平均8.7回、着工後は平均5.6回で、どちらもおおむね月1回打ち合わせをおこなっているようです。着工後も減らないのは、電気配線の位置決めや外構の打ち合わせが工事と並行して進むためです。
契約前に打ち合わせの頻度と曜日の目安を確認し、決定事項は担当者の交代に備えて毎回書面で残しましょう。着工後に間取りや設備を変更すると、追加費用や工期延長につながる可能性があります。そのため、着工前にできるだけ仕様を固めておくことが重要です。
建築時に重視したことは?
家そのものに求める性能では、「耐震性に優れていること」が検討者55%・経験者48.9%で1位、「断熱性・気密性に優れていること」が検討者52.7%・経験者46.8%で2位でした。日当たりや収納、省エネ性能といった暮らしやすさよりも、安全性と快適性を支える基本性能が上位に並んでいます。

注目したいのは、上位の耐震性・断熱性・気密性が、いずれも構造や工法の段階で大きく決まる項目である点です。間取りや設備は着工前の打ち合わせで調整できますが、これらの基本性能は契約後に水準を上げようとすると設計のやり直しにつながり、費用も工期も膨らみます。
だからこそ、性能への要望は工務店・ハウスメーカーを選ぶ段階で固めておくのが得策です。各社に「耐震等級はいくつか」「断熱等級やUA値・C値はどの程度か」を数値で示してもらい、標準仕様のままでどこまで届くのか、上げる場合はいくらかかるのかを比較しておきましょう。数値で並べておくと、契約後に「思っていた性能と違った」と後悔するのを防げます。
調査結果から読み解く、検討から引き渡しまでの流れ・期間
注文住宅を建てるまでの平均期間である19.5カ月を目安に、入居したい時期から逆算した実践プランを整理しました。
| 入居希望日から | 段階 | しておきたいこと |
|---|---|---|
| 約20カ月前 | 検討開始 |
・総予算の上限と優先順位を決め、要望を具体化する
・自己資金と毎月の返済額から、借入額の目安を試算する
|
| 約15カ月前 | 工務店・ハウスメーカー探し |
・4〜5社を候補にし、土地探しも並行する
・土地・建物・諸費用に予算を振り分ける
|
| 約13カ月前 | 問い合わせ |
・住宅展示場や完成見学会などに足を運び、2〜3社に見積もりを依頼する
・付帯工事費や諸費用を含めた総額で見積もりを比べる
|
| 約12カ月前 | 打ち合わせ |
・プランと見積もりを詰め、依頼先を1社に絞る
・見積もりをもとに住宅ローンの事前審査を受け、つなぎ融資・分割融資を使うかも決める
|
| 約9カ月前 | 契約 |
・仕様を決め、建築確認申請や住宅ローンの本審査など必要な手続きを進める
・契約金(工事費の1割程度)を支払う
|
| 約6カ月前 | 着工 |
・現場を確認し、配線や外構を打ち合わせる
・着工金と中間金(工事費の3割程度ずつ)を支払う
|
| 入居希望日 | 引き渡し |
・施主検査で建物の仕上がりや設備などを確認する
・住宅ローンの融資実行にあわせて、残金と登記費用などの諸費用を支払う
|
※調査結果の平均値をもとに編集部が時期を逆算した目安です。土地の有無、住宅会社、建物の規模、仕様、住宅ローン、確認申請などによって前後します。支払いの時期や割合も工務店・ハウスメーカーによって異なります。
期間が延びやすいのは、土地探し、見積もりの比較、契約後の仕様決めの3つです。土地が見つかるまでは契約も止まり、見積もりは社数を増やすほど時間がかかり、建築確認申請に必要な間取りや構造、省エネ性能などの設計内容を固める必要があります。
さらに、2025年4月から、原則すべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。また、木造戸建住宅では建築確認の対象範囲や審査省略の対象が見直され、2階建てなどの住宅では構造・省エネ関連図書の提出が必要になっています(※1)。
そのため、申請から着工までに時間がかかる可能性があります。なお、今回おこなったアンケートの経験者のほとんどは改正前に建てているため、これから建てる方は余裕を見て計画したほうがよいでしょう。
性能の要望は、工務店・ハウスメーカーを選ぶ段階で固めておきましょう。建築時に重視したことは検討者・経験者ともに「耐震性」が1位、「断熱性・気密性」が2位で、どちらも構造や工法で決まるため、契約後に水準を上げると設計のやり直しになります。
入居時期を動かせない事情がある場合は、平均19.5カ月を一つの目安として、さらに余裕を持って準備をはじめるとよいでしょう。「建築中の状況をこまめに報告してくれた」と経験者の声もあり、契約前に着工後の報告方法まで確認しておくと安心です。
(※1)階数2以上または延べ面積200平方メートル超の木造戸建住宅は「新2号建築物」に区分され、確認申請時に構造・省エネ関連図書などの提出が必要になりました。
出典:国土交通省「4号特例が変わります」
まとめ
それでは、注文住宅を建てるまでの平均期間の調査結果をまとめていきます。
注文住宅を「建てたい」と思ってから引き渡しまでの期間は?
経験者の平均は19.5カ月で、着工前の期間が約7割を占めます。入居したい時期の1年半〜2年前には動き出しましょう。
注文住宅の建築時にもっとも重視したいことは?
検討者・経験者ともに「耐震性」が1位で、「断熱性・気密性」が続きました。構造や断熱の水準は契約後に変えにくいため、工務店・ハウスメーカーを選ぶ段階で固めておきましょう。
工務店・ハウスメーカーを決める際に重視したいことは?
「価格」が1位でしたが、実際に建てた方では「営業担当者の人柄・相性」が3位に入り、打ち合わせで確かめる項目が決め手に残っています。総額で価格をそろえ、担当者の対応も含めて判断してください。
注文住宅は、建てる時間より決める時間のほうが長くなります。平均19.5カ月の大半も、予算や土地、依頼先、間取りを自分たちで決める時間で、準備の進め方次第で変わります。本記事を参考にして計画を立て、納得のいく家づくりを進めてください。
調査方法:インターネット調査
調査対象:今後3年以内に注文住宅の購入を検討または過去3年以内に購入した23〜78歳の男女865名(検討者427名・経験者438名)
調査期間:2025年3月26日〜4月4日
※小数第2位を四捨五入しているため、合計100%にならない場合があります
「注文住宅を建てるまで」実態調査
注文住宅を建てる














