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ローコスト住宅は20年後も住める!長く住み続けるためのポイントを解説

ローコスト住宅は20年後も住み続けられます
ローコスト住宅は長期的に住み続けられるのか、疑問に思う方もいることでしょう。ローコスト住宅に長く住めるか不安になる方が多い理由は、一般的な注文住宅と比較して寿命が短いと思われていることにあります。住宅は長期にわたって生活していく拠点であるため、20年後も住めるかどうかは知りたいところです。

本記事では、ローコスト住宅には20年後も住めるかどうか、具体的なデータを挙げて解説します。また、ローコスト住宅の寿命が短いと言われる理由も紹介。記事を読むことで、ローコスト住宅に長く住み続けるために必要なことがわかるようになるでしょう。

ローコスト住宅は20年後も住める

ローコスト住宅も一般的な住宅も寿命は変わりません
ローコスト住宅も一般的な住宅も寿命は変わりません

ローコスト住宅とは、規格化された設計を使用し、建材や設備を一括購入することで効率化によるコストダウンを図った住宅のことを指します。初期費用を大幅に抑えられるため、住宅ローンの返済負担も軽減でき、少ない予算でも住宅を建てやすいことが魅力です。また、施工期間が短く、入居までのスピードが速いこともメリットになります。

一方で、設計や設備の自由度が低く、プランや内装の選択肢が限られるデメリットも。また、住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると注文住宅の平均価格は3,863万円。一方で、ローコスト住宅は1,000万円~2,000万円ほどで建てられることが一般的です。住宅の建築費用が平均よりも安いことから、一般的な注文住宅と比較して住宅性能が劣る場合もあるため、20年以上にわたって長く住み続けられるか不安な方もいるでしょう。しかし、ローコスト住宅でも長期的に住むことは可能です。その理由を以下で説明します。

法定耐用年数の基準では住宅の寿命は共通している

一般的な注文住宅と比較して低い費用で建てられるローコスト住宅ですが、日本では、建物の構造別に法定耐用年数が定められており、通常の注文住宅でもローコスト住宅でも、寿命は建物の構造ごとに共通したものと考えられています。

構造・建材 法定耐用年数
木造 22年
鉄筋鉄骨コンクリート造 47年
れんが造・石造・ブロック造 38年

参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表

上記の年数は税制上の基準の寿命であるため、実際の寿命とは異なります。しかし、多くの場合、法定耐用年数よりも長くなると考えられます。

ローコスト住宅であっても法定耐用年数は変わりません。よって、木造の場合でも法定耐用年数が22年であることから、ローコスト住であっても20年後も住み続けられる可能性が高いと考えられます。

ただし、住宅の寿命はメンテナンスの有無や頻度によって変化します。ローコスト住宅に限らず、人が管理せず、まったく手入れがおこなわれなかった住宅は、法定耐用年数よりも前に寿命を迎えることも。

一方で、定期的な点検・メンテナンスをおこなえば、ローコスト住宅であっても法定耐用年数を超えて長く住み続けることも可能です。

ローコスト住宅の寿命が短いと言われる理由

ローコスト住宅の寿命が短いと言われる理由を解説します
ローコスト住宅の寿命が短いと言われる理由を解説します

ローコスト住宅は一般的な注文住宅と比較して、寿命が短いと言われることがあります。その理由を詳しく解説します。

粗悪な建材を使用する印象がある

ローコスト住宅ではコスト削減のため、建築基準法の最低限の水準を満たす建材を大量発注することがあります。建材の価格が安い理由は、大量発注によるコスト削減が主な理由であり、材料の質が悪いからではありません。

注文住宅と比較して建築価格が大幅に安いことから、粗悪な建材を使用している印象が先行しやすいことも誤解を招く原因の一つといえるでしょう。

施工精度が高くないと考えられている

ローコスト住宅では人件費を抑えるために、施工スタッフを最小限にして工期を短縮します。人件費を削減すれば、施工精度が下がりやすいため、住宅の耐久性に不安を持つ人も多いです。万が一、施工不良があれば住宅の寿命にも影響することも。

注文住宅よりも工期が短いことは、ローコスト住宅のメリットではあります。しかし、人件費削減により施工精度が疑問視される点に注意が必要です。

建築基準法の最低限を満たすケースが多い

すべての住宅は建築基準法に適合して建てられ、ローコスト住宅も例外ではありません。しかし、ローコスト住宅は建築基準法の最低限の適合を重視して、コストを削減する可能性があります。そのため、一般的な住宅と比較して、耐久性・耐震性などの住宅性能が劣ることも。

建築基準法を守らずに建築することは違法であるため、最低限の住宅性能は保証されます。しかし、大きな自然災害など外的要因により、寿命が短くなる可能性があるでしょう。

断熱・気密性能の低さから劣化が進む可能性がある

ローコスト住宅ではコスト削減の一環で、断熱材や気密施工を簡略化する場合があります。断熱・気密性能が低下すると、結露が発生しやすくなります。柱・梁(はり)の腐朽やカビ繁殖が起こりやすく、建物内部が急速に劣化する危険性も。冷暖房の効率も落ちることから、快適さにおいてもマイナス印象を持たれやすい傾向にあります。

一般的な注文住宅と比較して保証期間が短い

ローコスト住宅を提供するハウスメーカーのなかには、アフターサービスや保証期間を短くして、コストを削減する場合があります。保証期間が短ければ、修繕が必要な箇所があった場合も自己負担になります。

保証期間が短く設定されていることから、一般的な注文住宅と比較して欠陥が多く、寿命が短いという印象を持たれることも。法定耐用年数は通常の注文住宅と変わりませんが、無償修理ができないことを理由に不具合が放置され、結果として住宅の寿命が短くなるケースも考えられます。

寿命を長く保つためにメンテナンス費がかかりやすい

耐久性の低い建材や施工状況では、外壁塗装の剥がれや床材の傷みなどが早期に発生しやすく、定期的な点検・メンテナンスが必要になります。よって、ローコスト住宅は初期費用を安く抑えられても、長期的に見るとメンテナンス費用がかさむことも。

20年以上住み続けることは可能であっても、寿命を長く保つために費用がかかるのであれば、初期費用をかけて通常の注文住宅に住むほうが、修繕費を含めた最終的な費用は安くなる場合もあるでしょう。

宣伝が少ないことにより正しく理解されていない

ローコスト住宅は積極的な宣伝をおこなわず、広告費を削減することで低価格を実現しています。よって、マイホームを持ちたいと考えている人に実情が伝わっていないことも多いです。ローコスト住宅に関するマイナスな印象が先行すると、誤解や不安から注文住宅と比較して寿命が短いと考えられている可能性もあるでしょう。

ローコスト住宅に長く住み続けるためのポイント

ローコスト住宅に長く住み続けるためのポイントを紹介します
ローコスト住宅に長く住み続けるためのポイントを紹介します

最後に、ローコスト住宅に長く住み続けるためのポイントを以下にまとめました。

詳しく見ていきましょう。

信頼できるハウスメーカー・工務店を選ぶ

ローコスト住宅は提供するハウスメーカー・工務店によっても、建築の質やアフターサービスの充実度が異なるため、信頼できる施工会社を選ぶことが重要です。ローコスト住宅であっても仕事に丁寧に向き合うハウスメーカー・工務店を選べば、耐久性が高く、長く住み続けられる住宅を建てられるでしょう。

信頼できるハウスメーカー・工務店を選ぶなら、複数で見積もりを取り、比較検討することが重要です。最低でも3社以上から見積もりを取ることをおすすめします。過去のローコスト住宅の施工事例や、インターネット上の口コミ・評判も判断材料になります。

品質を重視する部分を見極める

ローコスト住宅は複数の間取りや設備プランがあらかじめ用意され、そのなかから選ぶ方式です。用意されたプランに不安がある場合は、オプションの追加で改善できます。しかし、オプションを追加するほど、建築価格は高騰するため、譲れない部分と妥協する部分を考える必要があるでしょう。

例えば、建物の断熱性能と気密性を高めたい場合はオプションを追加し、質の高い断熱材と気密性を担保する施工を依頼する一方で、間取りで理想と異なる部分があっても、住宅性能や快適性に影響しない場合は、間取りを妥協することも検討しましょう。譲れない部分と妥協できる部分のバランスをとることで、費用を抑えながら住宅を建てることができます。ローコスト住宅は、オプションの追加を最低限にするほうが建築価格を抑えられるため、シンプルな家で満足できる人に向いているでしょう。

定期的な点検・メンテナンスをおこなう

ローコスト住宅に長く住み続けるなら、定期的な点検・メンテナンスが必須です。築5年~10年を経過したタイミングを目安に、各種点検・メンテナンスを依頼するようにしましょう。不具合を見つけた場合は放置せずに早めに対処すれば、劣化を防ぎ寿命を長く保てます。

結露・カビ対策を徹底する

ローコスト住宅は断熱性能・気密性の低さから、結露・カビが発生する場合があります。長く住み続けるなら、対策を考える必要があるでしょう。高性能な断熱材・気密性を担保する施工を依頼するだけでなく、断熱サッシの導入や内窓の二重化により、結露のリスクを軽減することも可能です。結露は放置せず、ふき取り除菌すればカビの発生を抑制できます。

設備機器の適切な交換サイクルを守る

給湯器、エアコン、給排水設備などは、耐用年数を過ぎたら交換しましょう。古い機器は効率の低下を招くだけでなく、水漏れや事故の原因となり、建物の劣化を早めることがあります。衛生設備の耐用年数は15年程度であるため、それらを見越して交換のための資金を確保しておくことが重要です。ただし、使用状況によっては耐用年数よりも短くなる場合もあるため、不具合を見つけた場合は点検をおこない、交換を検討しましょう。

まとめ

ローコスト住宅は、法定耐用年数をもとにした構造自体の寿命で見ると、一般的な注文住宅と同様に20年以上あります。しかし、建材や施工精度などの原因により、劣化が早まるリスクがあり、複数のマイナス印象から寿命が短いというイメージを持たれることも多いです。

実際にはローコスト住宅であっても、長く住み続けるために必要なことを意識すれば、20年以上、さらには30年先まで安心して暮らしていくことができるでしょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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