注文住宅を安く建てるには?土地探しから間取りまで安くできるポイントを徹底解説

記事の目次
注文住宅の相場は?

国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査」によると2022年度の注文住宅の全国平均価格は3,935万円で、平均延床面積は125.9平方メートル(約38.08坪)でした。
さらに、注文住宅を建築するための土地購入資金は、全国平均で1,819万円と発表されています。また、平均敷地面積は248.1平方メートル(約75坪)です。
この価格と延床面積はあくまで全国平均のため、建物のグレードや敷地面積の広さによって異なります。しかし、この価格を把握しておけば、これから注文住宅を建てるうえで予算の基準となるでしょう。
注文住宅の詳しい相場を知りたい方は、下記の記事をチェックしてください。
注文住宅を安く建てる方法│土地探し

注文住宅を建てるためには、まず土地を選定する必要があります。ここでは、土地探しから始める方へ向けた費用の抑え方を紹介します。
余計な費用がかからない土地を選ぶ
土地選びの1つ目のポイントは、余計な費用がかからない土地を選ぶことです。土地によっては、注文住宅を建築する際に、地盤改良や擁壁を設置する必要があるケースも。
余計な費用がかからない土地を選ぶためには、土地と前面道路との高低差がない、水道・ガスなどのインフラが整備されているなどのポイントを確認しましょう。
エリア・条件を広げる
希望エリアにこだわりすぎず、広い範囲で土地を探すことも注文住宅を安く建てるコツです。隣の市や他の沿線も検討エリアに入れれば、選択肢が広がりコストを抑えるかもしれません。
また、希望条件に優先順位をつけ、どうしても譲れないもの以外は緩和してみるのもおすすめ。土地だけでなく建物の工夫で日当たりやデザイン性を高めることも検討してみましょう。
タイミングを見計らって価格交渉する
不動産取引が活発でない時期を見計らって、土地の価格交渉をおこなうこともポイントの1つです。売主からすると、購入希望者が多い繁忙期は値下げをせずとも売却できる可能性が高いでしょう。一方で、閑散期は購入希望者が少ないため、価格交渉に応じてもらいやすくなります。
不動産売買の閑散期は、一般的に7月~8月や11月~12月といわれています。タイミングを見計らって価格交渉をすることで成功率が高まるかもしれません。
売れ残りで条件に合う土地を探す
注文住宅を安く建てる4つ目のコツは、売れ残りのなかで希望条件に合う土地を探すことです。土地は所有しているだけで固定資産税や維持管理費がかかるため、売主は値下げをしてでも売りたいと考える傾向にあります。
具体的には、インターネットに掲載されてから6カ月以上経過している土地は、価格交渉に応じてもらいやすいといわれています。
不動産会社と専属専任媒介・専任媒介契約を結ぶ
土地を仲介する不動産会社と専属専任媒介・専任媒介契約を結べば、条件のよい土地を紹介してもらえる可能性が高まります。不動産会社に仲介を依頼する際は、次の3種類から選びます。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社への依頼が可能
- 専任媒介契約:1社の不動産会社のみに依頼が可能(自らが見つけてきた売主と直接契約ができる)
- 専属専任媒介契約:1社の不動産会社のみに依頼が可能(自らが見つけてきた売主とは直接契約ができない)
一般媒介契約は、複数の不動産会社で土地を探せるため、早期に条件のよい土地に巡り合えるかもしれません。しかし、不動産会社側には時間と手間をかけて土地を探しても、他の不動産会社が先に成約してしまうリスクもあります。専属専任媒介・専任媒介契約では、選択肢は狭まってしまうかもしれませんが、不動産会社側は成約を逃すリスクも少ないため、条件のよい土地を優先して提案してくれるでしょう。
こちらは土地の購入ではなく売却時の記事ですが、媒介契約について詳しく説明していますので、併せてご参考ください。
また、注文住宅の土地探しの詳細は、次の記事で確認してみてください。
注文住宅を安く建てる方法│会社選び

注文住宅を安く建てるためには、会社選びも重要です。ここでは、注文住宅の建築を依頼する際のコツを紹介します。
複数社の見積もりをとって比較する
注文住宅を安く建てる1つ目の方法は、複数の会社から見積もりをとって比較検討することです。1社だけで検討するのではなく、複数の会社から見積もりを取ることで、希望の家をより安く建てられるかもしれません。
また、相見積もりによる比較対象があったほうが、値引き交渉の成功率が高まります。「御社よりも◯社のほうが△円安かった」と切り出し交渉すれば、価格交渉を有利に進められるでしょう。
建築プランを検討する
各会社が提案する建築プランを比較検討することで、注文住宅にかけるコストを削減できます。
例えば、4,000万円以内の建築プランを依頼した際、会社によって広さやグレード、耐震性などに差が出ることがあります。提案された建築プランに、自分の希望条件が多く反映されているかをしっかり確認しましょう。
保証内容・アフターサービスが充実している会社を選ぶ
保証内容やアフターサービスが充実している会社を選ぶことも、会社選びで重要なポイントです。会社によって保証内容やアフターサービスの内容が異なるため、事前に確認しておく必要があります。
保証内容・アフターサービスの内容がよくないと、家のメンテナンスや点検に想定以上の費用がかかるケースも考えられます。その結果、建築費用が安くてもトータルで見ると割高になることもあるでしょう。
設備の標準仕様が希望に合う会社を選ぶ
建物の標準仕様が希望に合えばオプションを選ぶ必要がなくなるため、コストを削減できます。オプション仕様を選ぶとその分の追加費用が発生し、予算オーバーのおそれがあります。
特に、モデルハウスはオプションの仕様を使っていることが多いため、会社を決める際に標準仕様の詳細を確認しておきましょう。
施工実績が豊富な会社を選ぶ
安く注文住宅を建てるうえで重要な5つ目のポイントは、施工実績が豊富な会社を選ぶことです。
建築実績が豊富な会社は、経験豊富なスタッフや職人が在籍しているケースが多く、コストを削減するアイデアを提案してくれるかもしれません。
施工実績はホームページで調べたり、パンフレットを見ることで確認できます。
規格住宅がある会社を選ぶ
注文住宅を建てる際に、すべてを1から設計するフルオーダーではなく、規格住宅を選ぶことで、割安で発注できます。規格住宅とは、事前に用意されたプランの中から間取りや仕様を決める住宅のことです。
規格住宅は価格が明確になっているため、予算オーバーになりにくい点もメリットです。あらかじめ決められた建築プランが希望する間取りに近ければ、注文住宅のコスト削減につながるでしょう。
注文住宅の依頼先の一つとして、工務店という選択肢もあります。以下の記事では、工務店で注文住宅を建てるメリット・デメリットを解説。ぜひご参考ください。
注文住宅を安く建てる方法│打ち合わせ

注文住宅を安く建てるために、打ち合わせの時に気をつけるポイントを解説します。
事前に希望を整理しておく
打ち合わせに先立ち、あらかじめ希望する条件を整理しておくことで予算オーバーを防げます。いざ夢のマイホームを建てるとなると、叶えたい希望を詰め込んでしまいがちです。
しかし、どうしても譲れないものから優先順位を付けて整理しておけば、予算に合った計画が立てられます。条件が整理できた段階で打ち合わせに臨むことで、実際にできるのか・できないのかがわかるため、予算にあった注文住宅が建てられるでしょう。
打ち合わせ回数を減らす
打ち合わせで意識するべきポイント2つ目は、打ち合わせの回数を極力減らすことです。注文住宅の価格には材料費や設備費だけでなく、人件費も含まれています。担当者との打ち合わせの回数を減らすことで、その分の費用削減が期待できるでしょう。
ただし、無理に打ち合わせを減らすのはおすすめできません。必要最低限の打ち合わせをしなければ希望が反映されないおそれがあるため、事前に打ち合わせ内容を家族で話し合っておき、希望のプランを決めておくことが重要です。
打ち合わせの記録を残す
打ち合わせの内容を記録に残して、あとで見返せるようにしておくことも重要です。
注文住宅では、細かい部分の打ち合わせが多いため、希望を伝え忘れてしまったり、正確に伝わっていなかったなどのトラブルに発展してしまうケースもあります。希望が正確に伝わっていないと、不要なオプションが上乗せされて割高になってしまう可能性も。そのようなトラブルを回避するためにも、記録をしっかりと残しておきましょう。
費用の内訳やコストダウンの方法を確認する
打ち合わせ時には、どの部分にどれくらいの費用がかかっているのか、費用の内訳を確認しましょう。また、コストを抑えるための方法を確認しておけば、プランを決める際の選択肢が広がります。
工事請負契約を締結したあとのコストダウンは基本的にできないため、打ち合わせの際に確認しておくことが重要です。
注文住宅を安く建てる方法│建物・間取り

注文住宅を安く建てるために、建物や間取りをどのようにすればいいのかを解説します。
凹凸のないシンプルな形状にする
建物の形状を、凹凸のないシンプルな構造にすれば、安く建てられます。建物が複雑な形状をしていると、必要な材料が増えるだけでなく、作業の手間も増えるからです。
屋根の勾配を抑える
屋根の勾配を抑えれば、注文住宅にかかるコストを削減できます。屋根の勾配が大きいと、使用する屋根材やカバーしなければならない壁の面積が増えます。その分、材料が多くなるのは避けられません。
さらに、標準より天井を高くしたり、吹き抜けを設けたりすることもコストアップにつながります。注文住宅を安く建てるためには、できるだけ屋根の勾配を抑えることを意識しましょう。
総二階建てにする
注文住宅を安く建てる3つ目の方法は、総二階建ての家にすることです。総二階建てとは、一階と二階がほぼ同じ面積の建物のこと。一階と二階がほぼ同じ面積になることで、建物の凹凸や表面積も減り材料費が抑えられます。一方、平屋建てや部分二階建ては、屋根・基礎の面積が広くなるため価格が上がりやすく、さらに、総二階建てに比べて広い土地が必要になるため割高になります。
三階建ては構造計算に費用がかかったり、地盤改良や補強が必要になったりする理由で総二階建てよりコストが上がります。
水回りを一カ所にまとめる
水回りを一カ所にまとめる方法も、コストダウンに効果的です。トイレや浴室、洗面所やキッチンなどを一カ所にまとめることで、上下水管の設置費用が抑えられ、配管工事にかかる費用を減らせます。
壁を減らす
安く注文住宅を建てるポイントとして、壁を減らすことも考えられます。外壁が多いと使用する外壁材が増え、施工費が増加します。凹凸を減らし、極力壁を減らすことを意識しましょう。
部屋数を減らす
部屋の数を減らせば、建築コストを下げられます。部屋数が少なくなれば、間仕切りの数が減り、材料費や設置費用を抑えられます。家族構成を考え、適度な数の部屋を作ることを心がけましょう。
標準仕様の設備・建材を選ぶ
標準仕様の設備や建材を選んで建築すれば、注文住宅を安く建築できます。コストパフォーマンスが高い仕様を選び、コストダウンにつなげましょう。
以下の記事では、注文住宅を建てる際の間取りを詳しく解説しています。
注文住宅を安く建てる方法│その他

注文住宅を安く建てるために意識するべき、その他のポイントを紹介します。
あとからでも追加できるオプションはいったん保留にする
今すぐに決めなくてもよいオプションは、いったん保留にしてじっくり検討しましょう。初めからオプションをすべて採用すると、結果的に予算オーバーになる可能性が高まるため、どうしても必要な場合だけの検討をおすすめします。
DIYで足りない箇所を補う
すべての部分を建築会社に依頼するのではなく、自らで施工できる部分をDIYで仕上げれば、建築費の削減につながります。外構工事や内装の細かい部分を自ら仕上げることで、コストダウンだけでなく、楽しんで家づくりができるでしょう。
建築会社の閑散期に建てる
建築会社の閑散期に注文住宅を建てれば、コストの削減につながります。住宅業界は、7月~8月や11月~12月が閑散期のため、そのタイミングに合わせて値引き交渉をおこなえば、金額が下がる可能性が高まります。
注文住宅を安く建てる際の注意点

ここからは、注文住宅を安く建てるための注意点を紹介します。
建てる時期を見計らう
1つ目の注意点は、注文住宅を建てる時期やタイミングを見計らうことです。建築会社の繁忙期の他、世界情勢、金利の影響などで、建築資材や人件費が高騰する時期があります。そのようなタイミングを回避して、価格が抑えられる時期を狙って建築をおこないましょう。
無理な値引き交渉は避ける
建築を依頼する際に強引な値引き交渉をすると、建築会社との関係が悪化するおそれがあります。注文住宅は、完成後のメンテンナンスで建築会社と長い付き合いになるため、良好な関係を築けるように、無理な交渉はしないように意識しましょう。
メンテナンス・ランニング費用も加味する
注文住宅では、建築費だけでなく完成後のランニングコストもかかります。なかには、建築費が抑えられている反面、メンテナンスコストが高くつく建築会社があります。何十年にもわたり安心して暮らすためには、維持費も加味して建築会社を選ぶ必要があります。
ライフスタイルの変化も考慮する
注文住宅を建てる際は、ライフスタイルの変化にも気をつけましょう。子どもが増えた時や、親との同居を見越して建築プランを立てれば、将来のリフォームが不要になりトータルコストを抑えられます。
注文住宅で安くしないほうがいい箇所は?

注文住宅でコストカットを考えることは重要ですが、安くしないほうがいい箇所も存在します。
外壁材
安くしないほうがいい1つ目の箇所は、外壁材です。外壁材は家の防水性や見た目に直結する部分のため、コストカットしすぎると住宅の性能が落ちてしまいます。さらに、建築の際は、性能とともにメンテナンス性にも意識しましょう。
屋根材
屋根材も安くしないほうがいい箇所の1つです。屋根は家のなかで、もっとも厳しい環境におかれる箇所であるため、ここのコストをカットしすぎると雨漏りや断熱性の劣化の原因になってしまいます。コストと機能性のバランスを考えて選ぶことが大切です。
構造材
構造材のコストを削減すると、地震の揺れに対する倒壊リスクや破損リスクが高まります。日本は世界有数の地震大国であるため、耐震性や耐久性につながる構造材はコストカットしてはいけません。
断熱材
断熱材は、家の快適性に直接関わるポイントです。そのため、壁に使用されている断熱材やサッシの機能には妥協せずに、十分な予算をかけましょう。
注文住宅を安く建てる方法のまとめ
ここまでご紹介した注文住宅を安く建てる方法をまとめます。
土地探しのコツは?
土地探しでは、次のポイントに気をつけましょう。
- 余計なコストがかかりにくい土地を選ぶ
- エリアや希望条件を広げてみる
- 購入時期を見極めて価格交渉をおこなう
- 売れ残りのなかから探してみる
- 不動産会社と最適な媒介契約を締結する
会社選びのコツは?
注文住宅を安く建てるための会社選びでは、以下のコツが挙げられます。
- 複数社の相見積もりをとる
- 自分に合った建築プランを選択する
- 保証内容やアフターサービスにも気を配る
- 標準仕様の設備が希望に合う会社を選ぶ
- 施工実績が豊富かを確認する
- 規格住宅が利用できる会社を選ぶ
安く建てる際の注意点は?
注文住宅を安く建てる場合、以下のポイントに注意が必要です。
- 建てる時期を見極める
- 無理に値引き交渉をおこなわない
- 維持費も加味する
- ライフスタイルの変化を見越す
安くしないほうがいい箇所は?
注文住宅で安くしないほうがいい箇所は、主に以下が挙げられます。
- 外壁材
- 屋根材
- 構造材
- 断熱材
この記事では、注文住宅を安く建てる方法をさまざまな視点から解説しました。注文住宅を建てる際は、トータルコストを意識した土地探しや、予算内で希望を叶えてくれる建築会社を選ぶ必要があります。
また、快適性を確保しながらも、シンプルな家にするポイントも重要です。予算内で理想の家が建てられるよう、この記事でご紹介したことも参考にしてみてください。
注文住宅を建てる