買わないほうがいい土地の特徴は?土地選びで後悔しないための見分け方も紹介
本記事では、買わないほうがいい土地の特徴を、大きく4つに分けてそれぞれ解説します。記事を読むことで、土地選びで後悔しないための見分け方がわかるようになるでしょう。
記事の目次
買わないほうがいい土地の特徴

土地選びでは、場所と価格のみを見て選んでいる人も少なくありません。立地がよく、価格が安いことを重視して土地を選ぶと、問題を抱えた買わないほうがいい土地を購入してしまう可能性があります。買わないほうがいい土地の特徴を以下にまとめました。
| 生命や財産を脅かす土地 |
・地盤の弱い土地
・ハザードマップでリスクが高い土地
・崩れかけの擁壁がある土地
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| 建築・利用に支障をきたす土地 |
・市街化調整区域の土地
・接道していない土地
・形状が悪く利用しにくい土地
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| 権利関係に問題がある土地 |
・境界が明確でない土地
・抵当権を抹消していない土地
・隣地との問題がある土地
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| 生活環境に不安がある土地 |
・日当たりが悪い土地
・交通量が多い土地
・敬遠されやすい施設が近くにある土地
・周辺の治安が悪い土地
・インフラが整備されていない土地
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買わないほうがいい土地の特徴は、大きく4つに分けられ、全部で14種類あります。買ってしまったことで取り返しがつかなくなるケースも多いです。一方で、生活環境に対する不安は、人によっては気にしない場合や、知ったうえで妥協せざるをえないこともあるでしょう。
そのため、すべての特徴の危険性が等しいとは限りません。よって、それぞれの特徴を詳しく理解する必要があります。
生命や財産を脅かす土地の例

土地のなかには、生命や財産を直接的に脅かすおそれがある土地もあります。家族の安全を守るためにもリスクを理解し、購入する土地を選ぶ際には確認するようにしましょう。生命や財産を脅かす土地の例を以下にまとめました。
地盤の弱い土地
地盤が弱い土地は、建物を支える地面の強度が不足しており、地震や沈下によって建物が崩れる危険性がある土地のことを指します。例えば、過去に田んぼ・沼地・池・川などだった場所を造成した地域では、地盤が軟弱であるケースもあります。
表面上は問題のない土地に見えても、内部に水分や、やわらかい粘土層を含むため、地震や水害のリスクが高いことが特徴です。住宅を安全に建てるには、地盤の改良が必要になり、費用は数百万円程度かかることも。工事が必要になった場合は、土地の取得費に加えて工事費を支払う必要があるため、土地にかかるコストがかさみやすくなるでしょう。
ハザードマップでリスクが高い土地
生命や財産を脅かす災害は土地の場所によって、リスクが異なります。ハザードマップでは、水害・土砂災害など、自然災害の被害に遭いやすい地域の確認が可能。国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」では、住所から災害リスクを無料で調べられます。
ハザードマップで高リスクとされる土地は、購入を避けたいところです。また、リスクの高い地域は、火災保険・地震保険の保険料が上がる可能性があり、ランニングコストにも影響します。将来、住宅を売却する場合も、買い手が見つからないおそれもあるため、リスクの低い土地を優先して選びましょう。
崩れかけの擁壁がある土地
擁壁は、高低差のある土地を支えるためのコンクリートや石積みの壁です。老朽化や施工不良によって内部が劣化すると、倒壊の危険性があります。擁壁のひび割れ、膨らみ、傾きは、知識のない人でもわかる危険のサインであり、放置すると擁壁が崩れて重大事故につながるおそれも。
擁壁の補強や作り直しをおこなう場合は費用がかかり、土地のコストが増える原因になります。また、表面上は問題がなくても、内部の劣化が進んでいることもあるため、建築士などの専門家による診断が必要です。
建築・利用に支障をきたす土地の例

土地を購入する多くの人が、住宅などの建物の建築を目的としていることでしょう。しかし、すべての土地で建物を自由に建築できるとは限りません。土地の建築・利用の制限は、都市計画法や建築基準法などの法律で定められています。知らずに購入してしまうと、土地を購入しても住宅を自由に建てられないかもしれません。建築・利用に支障をきたす土地の例は、以下のとおりです。
市街化調整区域の土地
市街化調整区域は、都市計画法に基づき、市街地としての開発を抑制する区域として定められています。主に農地や山林、田畑などが多く、自然や景観の保全が目的。基本的に家を建てることができず、建築の制限が厳しい土地です。
市街化調整区域では、原則として新しい建物の建築が禁止されています。許可が下りるケースは、農業用施設・公共施設など、特定の用途に限られており、一般の住宅は建築できません。
市街化調整区域では、広く価格も安い土地が販売されていることがあります。購入しても家を建てられないため、用途が制限されていることを理由に安くなっています。ただし、緩和区域の場合は、条件次第で住宅を建てられる可能性があるため、土地を購入する不動産会社への確認が重要になるでしょう。
接道していない土地
建築基準法では、住宅を建てるためには幅4m以上の道路に2m以上接していることが義務付けられています。条件を満たさない土地は、新しく建物を建てることも、建て替えることもできません。すでに建物が建っている土地は、「再建築不可物件」と呼ばれます。
建築基準法の接道義務を満たしていない土地は、住宅を新しく建てられません。安い価格で販売されている場合もありますが、注意が必要です。ただし、自治体によっては許可を得ることで建築が可能になるケースもあります。

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形状が悪く利用しにくい土地
土地の形が悪い場合は、建築の自由度が大幅に制限されます。形状が悪く、利用しにくい土地の種類は以下のとおりです。
| 土地の種類 | 内容 |
|---|---|
| 旗竿地 | 細長い通路の先に宅地部分がある形状で 通路の幅が狭い |
| 三角地・台形地 | 土地の形状から建物を四角く建てにくい |
| 細長い土地 | 形状から間口が狭くなるため 採光や通風が悪くなりやすい |
これらの土地は、建物の建築コストが高騰しやすく、設計が制約され、希望した間取りを実現しにくいデメリットがあります。また、土地の形状を理由に住環境が悪化することも。理想の住宅を建てることが難しくなるため、こだわりを持って住宅を建てるなら優先して避けるべきでしょう。
権利関係に問題がある土地の例

売りに出されている土地のなかには、権利関係で問題を抱えている場合もあります。知らずに購入すると、あとから深刻なトラブルに巻き込まれることも。権利関係に問題がある土地の例を紹介します。
境界が明確でない土地
権利関係でトラブルになる要因は、境界が明確でないケースです。境界が明確でない土地は、どこまでが自分の土地かわからなくなります。住宅の建設途中に隣地の所有者から越境を訴えられた場合は、工事が止まることも。
境界トラブルを避けるには、確定測量図が作成されており、境界が明確な土地の購入が重要です。土地を購入する前には、売主や不動産会社に確認するようにしましょう。境界トラブルは一度発生すると解決に長期間を要するため、境界が明確でない土地は避けるほうが無難です。
抵当権を抹消していない土地
抵当権は、土地や建物を住宅ローンなどの借入金の担保として、金融機関が設定する権利です。通常は売却前に売主がローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。しかし、売主が抵当権を残していることに気付かず、売買契約を結ぶと、土地を購入しても所有権を得られません。
法律上は売主の債務が滞ると、金融機関は抵当権を設定する土地を差し押さえて売却できます。売主に抵当権抹消の予定を確認し、金融機関の立ち会いのもと、決済と同時に抵当権を抹消してもらうと安心です。
隣地との問題がある土地
購入する土地を確認する際に、隣地との問題を抱えるリスクの高い土地に注意が必要です。例えば、隣地の塀や屋根・樹木などが敷地に入り込む越境トラブルが考えられます。土地を購入して越境物を取り除く場合は、隣地所有者との交渉が必要になります。
他には、隣地よりも低い土地は隣地から建設した住宅の状況を確認しやすく、プライバシーの問題になる懸念も。また、隣地が近すぎる場合は、お互いの生活音が聞こえやすく、トラブルに発展する可能性があるでしょう。隣地との問題のある土地は、越境トラブルなどの権利関係の問題をはじめ、さまざまなリスクを抱えやすくなります。
生活環境に不安がある土地の例

土地選びでは、実際に快適に暮らせるかどうかを見極めることも重要です。生活環境が悪い土地は、住んでから問題が発生して後悔することも。生活環境に不安がある土地の例を以下にまとめました。
日当たりが悪い土地
日当たりの良し悪しは、暮らしの快適さに直結します。日当たりが悪ければ、部屋が暗く湿気がこもりやすくなり、暖房費が高騰しやすいです。洗濯物が乾きにくいなど、住んでから実感する不便さもあるでしょう。
日当たりの良し悪しは建設段階では解決が難しいため、土地選びの段階で見極めることが重要です。現在の時点では日当たりがよくても、周囲に大規模な建物の建設計画がある場合は、その後の日当たりに影響する可能性もあります。そのため、将来性を含めて検討する必要があるでしょう。
交通量が多い土地
交通量が多い幹線道路や、高速道路に面した土地は、騒音・排気ガスの問題が発生しやすいです。トラック・バスなどの大型車の通行音が絶えない場所は、騒音だけでなく振動も感じやすいでしょう。また、車の排気ガスが外壁や洗濯物に悪影響を与えることも。
将来的に道路拡張や交通量の増加が予想される地域では、環境が悪化する可能性もあります。静かで安全な環境を優先するなら、交通量の少ない通りにある土地を選ぶようにしましょう。
敬遠されやすい施設が近くにある土地
騒音・振動・臭いなどの観点から敬遠されやすい施設が近くにある土地は、日常生活を送るうえでストレスになりやすいです。具体的には、以下のような施設が近隣にある場合は注意が必要です。
- 駅・鉄道路線
- 工場
- 歓楽街
- ゴミ処理施設・下水処理場
それぞれ騒音・振動・臭いなどの問題が懸念されます。しかし、住環境の悪化が懸念される施設があっても、実際に住んでみると問題がないケースもあります。どれほどの問題を抱えている土地であるか、実際に訪れて判断したほうがいいでしょう。
周辺の治安が悪い土地
治安の悪い地域は、日常生活の安心感にも影響を及ぼします。土地の周辺を散策して治安を確認する必要がありますが、昼と夜で印象が大きく変わることも。現地調査は必ず夜間も実施することをおすすめします。
治安の悪い地域は、全国の都道府県警が提供する犯罪発生マップから、過去の件数を参照してデータから把握できます。また、廃墟や放置された建物が多くある地域は防犯意識が低いため、急激な治安悪化を招く可能性もあるでしょう。
インフラが整備されていない土地
インフラが未整備の土地は、生活の利便性が低く、建築・維持費用も高くなります。住むためには追加工事が必要になり、想定外の追加費用が発生することも。インフラ整備に不安がある地域の土地を購入する場合、上下水道・ガス・電気・通信回線の整備状況を不動産会社に確認するようにしましょう。
土地選びで後悔しないための見分け方

土地選びで失敗する最大の原因は、立地の利便性と価格の安さのみで土地を判断してしまうことです。一見すると好条件に見える土地には、見えない部分に問題を抱えていることも少なくありません。特に売れ残っている土地や、極端に安い土地には理由があると考えるべきです。ここまで紹介した、買うべきでない土地を見分ける方法を解説します。
長期間売れていない土地は避ける
長期間売れ残っている土地は、基本的に避けたほうがいいです。立地や価格が魅力で問題がなければ、すぐに買い手が付くからです。他の購入希望者が避けているなら、欠点が存在している可能性が高いでしょう。
しかし、どうしても検討したい場合は、他の買い手が避けた理由を必ず確認するようにしましょう。信頼できる不動産会社など、専門家に相談すれば、なぜ売れないのか詳しい理由を説明してもらえます。すべての欠点を把握したうえで、解決できるのであれば土地の購入を検討してもいいでしょう。
相場とかけ離れた土地は選ばない
土地は相場より極端に高くても、安くても避けることをおすすめします。極端に高い場合は損になりますが、極端に安い場合も大きなリスクを抱えている可能性があります。特に市街化調整区域の土地、再建築不可物件は住宅を建てられないため、相場よりも安く販売されることも。
土地を購入する際は、少しでも安い価格の土地を購入するのではなく、相場に沿った価格で販売されている土地を選ぶようにしましょう。安すぎる土地には、安くなければ買い手がつかない理由があります。
現地調査をおこなう
土地選びで後悔しないためには、現地調査を念入りにおこなうことが重要です。朝・昼・夜で時間帯を変えて訪れることで、住環境の実態をイメージしやすくなります。また、街の様子や周辺施設を確認して、安全性・利便性の確認も重要です。
土地選びの後悔は調査不足から、想像とは違った住環境に対する失望で発生しやすいです。調査を怠らなければ、実態を理解したうえで住めるため、後悔するリスクを減らせるでしょう。
買わないほうがいい土地を避けるためのポイント

最後に、買わないほうがいい土地を避けるためのポイントを以下にまとめました。
条件の優先順位を考える
ここまで紹介した買わないほうがいい土地の特徴をすべて避けようとすると、選択肢が極端に狭まり、理想の土地が見つからなくなります。どの土地にもメリット・デメリットがあり、完璧な土地は存在しません。よって条件の優先順位を整理する必要があります。
土地を選ぶ際には、デメリットがあっても対処できるかどうかを考える視点も重要です。問題があっても解決できる場合や、自身や家族にとって気にならない問題であれば、買わないほうがいいとされる土地であっても、有力な購入候補になるでしょう。反対にいい条件であっても、問題を解決できない場合は、購入してから後悔しないために避けたほうがいいでしょう。
建てる家にこだわるならハウスメーカーから選ぶ
住宅を建てる場合は、土地から探すだけでなく、家を建てるハウスメーカーから探す選択肢もあります。一般的には、土地を買ってから家を建てる人が多いです。
ハウスメーカーは、理想の住宅を建設するための土地探しを含めてサポートしてくれます。建築の観点から買わないほうがいい土地を的確に教えてもらえます。よって、建築・利用に支障をきたす土地の購入を防ぎ、理想の間取りを実現するためには、順序を逆にしたほうが達成しやすいでしょう。
土地を購入してから住宅の建設が制限される問題に気付き、想像していた住宅を建てられなくなる後悔を防ぎます。一方で、ハウスメーカーによっては自社の建築条件付き土地以外は、紹介しないケースもあるため、複数のハウスメーカーを比較して選ぶことが重要になります。
信頼できる不動産会社に相談する
土地選びを有利に進めるためには、信頼できる不動産会社への相談が不可欠です。不動産に対する知識がなければ、表面上は問題がない土地の抱えるリスクを把握できません。複数の不動産会社に相談し、土地のリスクに対して一貫した説明で根拠を示してくれる会社を選ぶといいでしょう。
土地選びは一人で判断するよりも、専門家の助言を受けながら進めたほうが、安全で効率的です。信頼できる不動産会社が見つかれば、買ってはならない土地を自然に避けられるようになります。
まとめ
土地を選ぶ際には、生命・財産に直結する危険は最優先で排除すべきです。あわせて、建築・利用を制限する要因がある土地も除外するようにしましょう。また、いい土地を見つけた場合も権利関係の問題の把握が重要です。そのうえで、実際に暮らした時に想定される生活環境の不安も想定します。
安さや立地のみでは決めず、買わないほうがいい土地の特徴を理解して選ぶことが後悔を避けることにつながります。不動産会社・ハウスメーカーなど、専門家の力も借りながら、納得のいく土地選びを目指しましょう。
注文住宅を建てる

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ




