注文住宅の進め方は?お金の流れや失敗しないための注意点も解説

本記事では、注文住宅の進め方やお金の流れを詳しく解説します。失敗しないための注意点も紹介するので、ぜひ参考にして理想の注文住宅を建てましょう。
記事の目次
注文住宅と建売住宅の違い

注文住宅はハウスメーカーや工務店と工事請負契約を結び、設計・施工を依頼してゼロから進めて建てる住宅です。建物の構造や間取り、内装などすべてを希望どおりにカスタマイズできる高い自由度があります。
一方で、打ち合わせや手続きが多いため完成までに時間がかかり、費用も建売住宅と比べて高くなる傾向にあります。
建売住宅は、すでに建築済みか建築予定の物件を土地とセットで購入する形式の住宅です。プラン変更は基本的にできませんが、契約手続きがシンプルで完成済みの物件の場合は契約後すぐに入居できます。
決まった規格で複数棟建てることでコストを抑えているため、注文住宅と比較して手頃な価格で購入できます。実際の建物を見てから購入できるので、生活スタイルに合わせた選択が可能です。
注文住宅の進め方

注文住宅を建てる際は、どのような流れで進めていくのか見ていきましょう。
予算の設定
まずは手持ち資金や住宅ローンの借入可能額を確認し、家づくりにかけられる予算を設定します。借入可能額は、金融機関の公式サイトにある借入額シミュレーションを参考にするのもおすすめ。
将来の生活費や教育費なども考慮し、無理のない予算計画を立てましょう。
イメージづくり
予算が決まったら家を建てる場所や間取りなどのイメージづくりをしておきましょう。
モデルハウスやSNS、ネットでの建築事例を参考にイメージを固めておくと方向性が決まり、スムーズに進められます。
建築会社選び
イメージが固まれば、ハウスメーカーや工務店、設計事務所などを調べて建築会社を選びます。建築会社によって得意な外観や内装のコンセプト、性能などが異なるため、資料請求やホームページの実績を確認して、イメージどおりの家が建てられそうな会社を探しましょう。また、モデルハウスを見学するのもおすすめ。実際に建築会社が建てたものを見ることができる重要な機会です。
建築会社を選ぶ際は、見た目だけでなく性能や予算、担当者との相性など総合的に判断しましょう。
土地探し(土地なしの場合)
建築会社選びと並行して、土地探しも進めておきましょう。不動産情報サイトを活用するほか、ネットに情報のない土地を紹介してもらえる可能性がある不動産会社に相談するのも一つです。
ただし、建物との相性があるため、よさそうな土地が見つかったとしても購入するのは、
建築会社を決めて相談してからにしましょう。土地探しを手伝ってくれる建築会社もあり、建築条件付きの土地を紹介してもらえる可能性があります。建築条件付きの土地とは、指定された建築会社で家を建てる条件が付いている土地のことです。
間取りプランの作成
建築会社と土地が決まれば、間取りプランの作成に進みます。あとからプラン変更となると追加料金が発生する場合があるため、入念に打ち合わせをしましょう。
プラン作成の段階で5万〜10万円程度の申込金が必要なケースもあります。
見積もり依頼
間取りプランが固まってきたら、見積もりを依頼しましょう。予算がオーバーする場合は、ここでプランの見直しや細かい修正をしていきます。
建物を建てるために地盤の強度や安全性を向上させるため、土地の地盤改良工事が必要な場合があります。見積もり前に調査し、追加料金が発生しないようにしましょう。
住宅ローンの仮審査
間取りプランや見積もりをしはじめたら、住宅ローンの仮審査に申し込みます。
建築会社と提携している住宅ローンを利用すればスムーズに進められる一方で、金利が高い場合もあります。できる限り金利を抑えたい場合は、仮審査前に複数の金融機関の住宅ローンを調べておきましょう。
工事請負契約の締結
見積もりに納得できれば契約内容に漏れがないかを確認し、建築会社と工事請負契約を結びます。万が一のことを想定し、解約・解除の条件も把握しておきましょう。
建築予定の建物が法令に違反していないかを確認するために、このタイミングで建築確認を市町村や民間評価機関に申請します。建築確認申請は、建築士が代行してくれることがほとんどです。
住宅ローンの本審査
建築許可がおりたら、住宅ローンの本審査に進みます。本審査前に、収入確認書類や工事請負契約書などの必要書類を準備しておきましょう。
着工
住宅ローンの本審査に通過したら、いよいよ建築工事の着工です。騒音などで近隣住民とのトラブルを避けるためにも、着工前に挨拶しておきましょう。近隣挨拶は建築会社が代行してくれる場合もあります。
着工後は、定期的に現場へ行って進捗を確認しておきましょう。職人とのコミュニケーションも取れて、細かい部分の要望を聞いてくれるかもしれません。実際の現場で確認することで、竣工後に「想像していたのと違った」という事態を防ぐこともできます。
完成(竣工)・引き渡し・入居
建物が完成したら建築確認を申請した市町村や民間評価機関による完了検査を受け、問題がなければ検査済証が発行されます。
引き渡し前に建物に不具合がないか確認するために施主検査がおこなわれるので、すみずみまでチェックして気になる部分があれば補修を依頼しましょう。施主検査で問題がなければ引き渡し、入居です。
注文住宅の進め方で知っておきたいお金の流れ

注文住宅を進めるうえで、支払いや融資のタイミングは重要な要素です。ここでは、お金の流れを解説していきます。
注文住宅の支払いのタイミング
注文住宅では建築費用を3〜4回に分けて支払うのが一般的です。例えば、以下のようなタイミングが挙げられます。
支払うタイミング | 支払う費用 |
---|---|
仮契約時 | 5万円~10万円 |
工事請負契約時 | 建物契約金額×5%~10% |
着工時 | 建築費用×30% |
着工〜竣工 | 建築費用×30% |
竣工 | 建築費用×30% |
建築会社によって細かい部分が異なるので、仮契約の前に担当者へ確認しましょう。
住宅ローンの流れ
住宅ローンは、仮審査後に本審査を受けるのが一般的です。
本審査に通過したあと融資を受けられるのは完成してからのため、それまでの支払いには「つなぎ融資」を利用します。つなぎ融資で借り入れた資金は、住宅ローン開始時に返済します。
つなぎ融資・分割融資
完成までの支払いを自己資金でまかなえない場合は、つなぎ融資を利用します。つなぎ融資とは、住宅ローンの融資前に借りられるローンです。
完成までの建築費用の支払いに利用するのが一般的で、住宅ローンの融資を受けた段階で返済します。
金融機関によっては、融資を複数回にわたって受けられる分割融資が利用できる場合もあります。分割融資は、土地代金の決済時から融資を受けられるため、つなぎ融資が不要です。
利用できる金融機関が限られるので、審査を受ける前に取り扱いがあるか問い合わせておきましょう。
注文住宅の進め方で知っておきたい費用の内訳

注文住宅にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
本体工事費
注文住宅の総予算のなかでも大部分を占めるのが本体工事費で、建築費とも呼ばれます。建築費としての主な内容は、仮設、基礎、駆体、屋根、内装、仕上げ、設備などで、1,500万〜3,800万円が多い価格帯です。
付帯工事費
付帯工事費は、建築以外に必要な工事費のことです。外構工事費や地盤改良費のほか、水道メーターから建物までの給排水工事や照明設置工事、冷暖房工事などが挙げられます。
購入した土地に古い家が残っている場合は、付帯工事費として解体費用が発生することもあります。
諸費用
設計料以外にかかる諸費用は総額で100〜150万円が一般的で、大きく以下の3つにわけられます。
- 土地購入にかかる諸費用
- 建物の新築工事にかかる諸費用
- 住宅ローン利用時にかかる諸費用
印紙税や不動産取得税などの税金に加えて、登記費用や建築確認申請費用などさまざまです。
建てたあとにかかる費用
家を建てたあとも、不動産取得税や固定資産税、都市計画税などの税金や火災保険や地震保険の費用が発生します。他にも、将来かかる修繕費を見積もっておかなければなりません。
注文住宅を進める際は完成までの資金計画に目がいきがちですが、建てたあとにかかる費用も資金計画に含めておきましょう。特に屋根や外壁は製品によって耐久性が大きく異なるため、ランニングコストについても考える必要があります。
注文住宅の進め方で失敗しないための注意点

注文住宅は大きな買い物のため、入居後に後悔しないように進めたいものです。ここでは、注文住宅の進め方で失敗しないための注意点を見ていきます。
住宅ローンを組む時は内容を吟味する
住宅ローンを組む時は、資金計画を入念に立てたうえで内容を吟味して決めましょう。借りられる金額ではなく、返せる金額を基準に考えることがポイントです。
金融機関や金利タイプの選択を慎重におこない、将来収入が減少する可能性などを考慮した長期的な目線を持ちましょう。
余裕のあるスケジュールを組む
注文住宅は決めるべき内容が多く、計画から入居までに9カ月〜1年前後かかるため、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。スケジュールを間に合わせるために急いで決めて土地や間取りプランを妥協してしまうと、入居後に後悔することもあります。
着工後も想定外の追加工事や天候の影響で作業が遅れることもあるので、スケジュールを組む際は詰めすぎないようにしましょう。
間取りを選ぶ際は生活動線を意識する
間取りプランを決める際は、生活動線を意識しましょう。生活動線とは、日常生活における家の中での移動経路や動きの流れのことです。
例えば、1階で洗濯機を回したあと、3階のベランダまで干しにいかなければならない間取りは不便でしょう。
日々の生活でどのような動きをしているかを考えたうえで、生活動線を意識して間取りプランを決めましょう。
本契約前に内容をよく確認する
本契約後は基本的にプラン変更ができないため、契約前に以下の内容を確認しておきましょう。
- 法令に準じた間取りプランなのか
- 見積もり内容・プランに間違いはないか
- 本契約後のキャンセル条件はなにか
- 新たな借り入れがないか
法令に準じたプランなのかはもちろん、間取りや設備の仕様などが見積書や仕様書に反映されているかを細部までチェックします。万が一のことを考えて、契約書に記載されているキャンセル条件も確認しておきましょう。
住宅ローンの審査後に新たな借り入れや滞納がある場合は、本審査に通過できなくなる可能性があります。審査に悪影響になるものがないかも確認しておきましょう。
自分に合う建築会社を選ぶ
注文住宅を建てる際は、自分に合う建築会社を選ぶことが特に重要です。希望するデザインや性能を満たしていることはもちろん、品質や提案力の高さも考慮しましょう。
建築会社の担当者との相性も重要なポイント。円滑なコミュニケーションが取れるか、要望を汲み取ってくれるかどうか、相談はしやすいかなど、信頼できる人を見つけることも大切です。
将来のライフプランを考えた家づくりをする
現状の生活スタイルだけでなく、将来のライフプランも考えて家づくりを進めましょう。例えば、子どもの成長や将来の収入を考慮した予算計画や生活スタイルの変化を見据えた間取りプランが挙げられます。
長期的なライフプランを考慮して、後悔のない家づくりを目指しましょう。
まとめ
それでは、注文住宅の進め方をまとめていきます。
注文住宅の進め方は?
注文住宅を進める際は、まず予算の設定や家のイメージづくりをしましょう。そのあと、建築会社や土地を選び、間取りプランの作成や見積もり、住宅ローンの仮審査に移ります。工事請負契約後は住宅ローンの本審査に通過すれば着工し、完成すれば引き渡しです。
注文住宅のお金の流れは?
注文住宅にかかる建築費用は、工事請負契約から完成までの間で3〜4回に分けて支払うのが一般的です。住宅ローンを利用する場合は完成後の融資のため、つなぎ融資を利用しましょう。
注文住宅の進め方で失敗しないための注意点は?
注文住宅は完成までに9カ月〜1年前後かかるため、余裕のあるスケジュールを組みましょう。自分に合った建築会社を選び、将来を見据えた住宅ローンや間取りプランを決めるべきです。本契約前は、内容をよく確認したうえで進めていきましょう。
注文住宅を進める際は決めるべき内容やすべきことが多いですが、その分仕上がった時の満足感はなにものにも代えがたいです。この記事を参考にして、理想の注文住宅計画を進められるようにしましょう。
注文住宅を建てる