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注文住宅を建てる時の土地購入の流れと資金調達のポイントを徹底解説

注文住宅を建てる時の土地購入の流れと資金調達のポイントを解説します
土地探しから家づくりを計画している方は、注文住宅を建てる際の土地購入の流れを知りたいと考えていることでしょう。しかし、どのような手順で進めればよいか、スケジュールの管理や手続き上の注意点はあるかなど、さまざまなことが気になるかと思います。

そこで本記事では、土地購入の基本的な流れから、資金計画の重要性、契約時の注意点、引き渡し後の手続きまでを網羅的に解説します。本記事を読んで、注文住宅の建設に必要な土地購入の全体像を理解し、スムーズに家づくりを進めるためにお役立てください。

記事の目次

土地購入の流れ

土地を購入する際の流れを解説します
土地を購入する際の流れを解説します

注文住宅を建てる際、必要な手続きは大きく分けて3つあります。

  • 土地の購入に関する手続き
  • 家の建築に関する手続き
  • 住宅ローンに関する手続き

単純に土地だけ購入する場合と異なり、注文住宅を建てる際は、同時にハウスメーカーも探さなければなりません。そのため、事前準備や流れを把握し、計画的に進める必要があります。なお、土地の購入に合わせ、家の建築や住宅ローンに関する手続きもおこないますが、本記事では主に土地を購入する流れを重点的に解説します。大まかな流れは次のとおりです。

  • STEP 1計画を立てる
  • STEP 2土地を探す
  • STEP 3土地を買い付ける
  • STEP 4契約をする
  • STEP 5引き渡し

上記5つのステップを経て土地の購入に至ります。以下の章では、各ステップの詳細を解説していきます。

土地購入の流れ1:計画を立てる

土地を購入する前に計画を立てましょう
土地を購入する前に計画を立てましょう

まず、家づくり全体の予算やスケジュールを設定し、イメージや立地条件などを具体化させていくところから始めましょう。

家づくりの基本方針を決める

最初に、どのような家に住みたいかを考えましょう。家族構成やライフスタイルを踏まえ、家の広さやデザイン、設備などの希望条件をリストアップします。また、家を建てたいエリアも同時に検討します。都心で利便性を重視するのか、郊外で広い土地を確保したいのかなどを明確にし、理想の生活環境を描いてみましょう。続いて、入居の時期も計画に組み込みます。例えば、家族の新生活や子どもの進学に合わせてスケジュールを組むなど、現実的なタイムラインを作成します。

資金計画を立てる

次に、総予算を決めましょう。この段階では、自己資金や住宅ローンを含めた資金の全体像を把握する点がポイントです。現在の貯蓄額や親族からの援助、既存の家の売却代金などをすべて考慮し、家づくりにどれくらいの資金を充てられるかを計算します。住宅ローンを利用する場合は、月々の返済額が無理のない範囲で収まるように試算しましょう。多くの金融機関が提供しているシミュレーションツールを活用すると便利です。不動産情報サイト アットホームでも「不動産 資金計算シミュレーション」が利用できるため、ぜひご活用ください。また、土地と建物にそれぞれいくら配分するかを決めるために、希望エリアの土地相場を事前に調べましょう。

支出項目の詳細を確認する

家を建てる際は、建築費用以外にも多くの費用がかかる点に注意しましょう。具体的には、以下の項目が挙げられます。

項目 用途・概要頭金
頭金 住宅ローンの借入金額を抑えるために必要な自己資金
手付金 契約の証として支払う費用
仲介手数料 不動産会社に支払う費用
契約印紙代 売買契約書に貼る印紙代
設計費用 建築士や設計事務所に支払う費用
建築確認申請費用 建築基準法に基づいて必要な申請費用
地盤調査費用 建設前に地盤調査をおこなうための費用
引き込み費用 上下水道やガスを引くための費用
登記費用 不動産登記にかかる費用
解体費用 古家付き土地の場合に、既存の家を解体する費用
各種保険料 建築中・入居後の万が一に備えるための費用
引越し費用 新居へ引越す際に必要な費用
家具・家電購入費用 家具・家電を買い替える際に必要な費用

これらの費用も全体予算に組み込んでおきましょう。また、こうした支出は多くの場合、家の引き渡し前に支払いが必要となるため、現金や融資の準備も計画的に進めましょう。

家族でイメージを共有する

家づくりは一人でするものではありません。家族全員で意見を出し合い、理想の生活を形にしていくことが大切です。例えば、「どのような間取りが生活しやすいか」「子どもの成長に合わせてどのような空間が必要か」などの観点から話し合いましょう。また、住む場所も家族で意見を合わせる必要があります。通勤・通学の利便性、医療機関や商業施設の充実度、交通アクセスなどを考慮して候補地を絞り込むとよいでしょう。

予算と条件の優先順位を決める

家を建てる時、家族の理想をすべて叶えるのは難しい場合があります。そのため、優先順位を決めておくことが重要です。例えば、「エリアを優先する代わりに家の広さを抑える」「デザインにこだわりながら設備は必要最低限にする」など、妥協点を見つけるようにしましょう。

土地購入の流れ2:土地を探す

購入する土地を探しましょう
購入する土地を探しましょう

家づくりの方針や期間、予算がまとまったら、次は土地探しに進みましょう。家づくり計画で、土地探しは重要なステップの一つです。住む場所の環境や条件は、家族の生活スタイルに大きな影響を与えるため、慎重に進めなければなりません。本章では、土地探しの流れやポイントを解説します。

住みたい場所の条件を具体的にする

どのような場所に住みたいかなど、事前に考えていたものを具体化しましょう。交通アクセスのよさやスーパーマーケット、病院、学校など生活に必要な施設の近さを考慮することはもちろん、以下の点も具体的にイメージします。

優先したい項目 具体的に確認する点
子育て 学区や教育施設、学校の評判など
公共施設や自然環境 公園や図書館、緑地の充実度
治安 地域の安全性や夜間の様子
将来の開発計画 エリアの将来性や資産価値

これらの条件をリストアップし、優先順位を付けておきましょう。理想とするすべての条件を満たす土地を見つけることは難しいため、譲れないポイントと妥協できる点を明確にしましょう。

土地を探す

理想の条件が決まったら、具体的な土地探しを開始します。土地を探す方法は主に以下の3つがあります。

  • インターネットやチラシを利用する
  • 不動産会社に相談する
  • ハウスメーカーや建築会社に依頼する

インターネットやチラシを利用する

不動産情報サイトや地域の不動産会社のホームページをチェックする方法です。多くの土地情報を一度に確認できるため効率的です。ただし、掲載情報が最新でない場合があるため、注意しましょう。

不動産会社に相談する

地元の不動産会社に希望条件を伝え、土地探しを依頼します。不動産のプロからアドバイスを受けられるため、初めて土地を購入する方も安心です。

ハウスメーカーや建築会社に依頼する

注文住宅を建てる予定のハウスメーカーや建築会社に土地探しを依頼します。建物のプランニングと土地探しを同時に進められるため、スムーズに家づくりを進められる点がメリットです。

土地探しで注意すべき点

土地探しを効率的に進めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

項目 ポイント
期限 土地探しには時間がかかる場合があります。無期限に探し続けると決断が難しくなりがちです。「〇カ月以内に見つける」など具体的な期限を設定しましょう。
優先順位 すべての条件を満たす土地を見つけるのは困難でしょう。通勤時間や学区など譲れない条件を明確にし、優先順位を付けましょう。
土地の形状や条件
の確認
購入前にその土地にどのような建物を建てられるかを確認しましょう。もし、狭小地や高低差のある土地の場合、建築に制限がかかる可能性があります。また、古家付き土地の場合は解体費用や再建築の制限がないかを事前に確認しましょう。
建築条件付き土地
の確認
建築条件付き土地とは、特定の建築会社と契約しなければならない土地です。この条件が付く分、価格が抑えられている場合が多いですが、自由度が低くなります。メリット・デメリットを理解して選びましょう。

現地を実際に確認する

気になる土地が見つかったら、できる限り現地を実際に訪れて環境を確認しましょう。不動産会社の説明だけではわからない点も多いため、自分の目で確認することをおすすめします。特に、周辺環境で以下の要因がある場合、生活環境に影響を与える可能性があるため、確認が必要です。

項目 確認するポイント
災害リスク 自治体が公開しているハザードマップを確認し、地震や洪水などのリスクを調べましょう。また、土地の地盤が弱い場合は追加工事が必要になる可能性があるため、心配な場合は専門会社に地盤調査を依頼するのもよい方法です。
接道義務 土地が道路に面していない場合や接道義務を満たしていない場合、建物を建築できません。購入前に接道義務の条件確認が必須です。
ごみ焼却場や工場
がある
悪臭や騒音の原因になる可能性があります。時間帯や季節などの変化でも影響が変わる可能性があるため、条件を変えて実際に現地で確認しましょう。
居酒屋やカラオケ店
がある
夜間の治安悪化や騒音リスクが懸念されます。休日や平日でも変化する可能性があるため、条件を変えて確認するようにしましょう。
近隣の建物や住民
の様子
住民トラブルや視界の遮りなど、継続して住んでみないとわからない部分もあるかもしれません。しかし、付近を歩いてみて明らかに違和感がある場合は購入をやめたほうがいいでしょう。

最終確認と購入準備をおこなう

気になる土地が見つかったら、周辺環境や土地の条件を実際に確認し、不動産会社やハウスメーカーと相談を重ねましょう。購入を進める際には、まず売主との交渉をおこない、価格や条件を話し合います。重要事項説明書や契約書は十分に確認し、不明点があれば事前に解決しておくようにしましょう。土地購入に必要な資金がわかったら、計画を立て住宅ローンの手続きも進めます。土地探しには時間がかかる場合もありますが、希望条件を明確にし、計画的に進めると、理想の住まいづくりに近づくでしょう。

土地購入の流れ3:土地を買い付ける

希望の土地が見つかったら土地の買い付けに進みましょう
希望の土地が見つかったら土地の買い付けに進みましょう

希望する土地が見つかったら、購入の手続きが始まります。この段階では、購入意思の表明や建築プランの準備、そして売主との交渉が重要なポイントです。

土地の購入を申し込む

土地の買い付けにおける最初のステップでは、売主や不動産会社に対して購入希望の意思を伝えます。具体的には、土地の購入申し込みをおこない、売主に対して正式な購入意思を示しましょう。この際、購入希望金額や支払い条件、手付金の金額などを明確に記載した書類が作成されます。この書類は「買付証明書」や「購入申込書」などと呼ばれ、正式な契約ではありません。しかし、交渉を始める際の重要な資料になります。

売買条件を交渉する

申し込み後、売主と購入条件の交渉をおこないます。この段階で取り決める事項は、購入金額、支払いスケジュール、手付金の金額などです。また、希望条件を伝える際は、価格以外の譲歩も検討し、双方が納得できる形にしましょう。特に人気のある土地では競争が激しく、他の購入希望者との比較で優位に立つための提案が必要になる場合もあります。

建築プランを検討する

土地の購入申し込みと並行して、建築計画を進めます。ハウスメーカーや工務店、設計事務所など複数の候補をリサーチし、各建築会社が提供するサービスやコストを比較しながら、自分たちの理想に合うプランを立てましょう。家族構成やライフスタイルを考慮しながら、間取りやデザイン、設備仕様などの具体的な検討を進めます。

仮契約をして見積もりを作成してもらう

建築会社を選定したら仮契約を結び、選んだ土地に適したプランや見積もりを作成してもらいましょう。この仮契約では、一定の保証金を支払う場合が一般的です。また、住宅ローンの仮審査で金融機関に提出する必要な書類は見積もりや間取り図です。

土地の調査と確認をする

土地購入に進む前に、敷地や地盤の状態を調査しましょう。この調査では、地盤の強度や建物の配置に適した環境かを確認します。調査の際、もし問題が見つかった場合は、補修や対策が必要になるかもしれません。問題がなければ、購入手続きに進みます。

土地購入の流れ4:契約する

土地購入の契約をしましょう
土地購入の契約をしましょう

土地を買い付け、調査も問題なくクリアしたら、次は契約へと進みます。契約は慎重さが求められる重要なプロセスです。不安な点があれば不動産会社や法律の専門家に相談し、納得したうえで進めるよう心がけましょう。契約の流れは以下のとおりです。

  • 1. 重要事項説明書の交付と説明を受ける
  • 2. 売買契約書に署名・捺印する
  • 3. 手付金の支払いと諸費用を確認する

重要事項説明書の交付と説明を受ける

契約前に不動産会社から交付される書類の一つに「重要事項説明書」があります。この書類には、土地の法的な状況や条件が記載されており、土地にかかる建築制限、都市計画区域内での用途制限、土地が私道に面している場合の通行権の取り扱いなど、購入後の土地利用に直結する情報が含まれています。宅地建物取引士から重要事項説明を受け、不明点はこの段階で質問をし、解消するようにしましょう。ここで疑問点や不安な点をなくしておくことで、予期せぬ出費やトラブルの防止につながります。

売買契約書に署名・捺印する

重要事項の確認が終わったら、売買契約書に双方が署名・捺印をおこないます。契約書には以下の内容が含まれます。

  • 購入代金と支払いスケジュール
  • 引き渡し時の条件や期日
  • 契約解除に関する取り決め(手付金の扱いなど)

例えば、契約書に「手付解除」の記載がある場合、購入者の都合により契約をキャンセルする場合には支払った手付金は返金されません。また、売主が解除する場合には、買主に手付金を2倍にして支払う内容も記載される場合があります。さらに、建築条件付きの土地の場合、売買契約のなかに「購入者は契約日から90日以内に特定の建築会社と建築請負契約を締結する」といった条件が盛り込まれているかもしれません。これらの条件をよく確認しておきましょう。

手付金の支払いと諸費用を確認する

契約時には、手付金の支払いが求められます。手付金の金額は土地代金の5~10%程度が一般的です。例えば、3,000万円の土地を購入する場合、手付金は150万円から300万円程度になるでしょう。また、契約時には以下の費用が発生する場合があります。

費用項目 金額の目安
仲介手数料 不動産会社に支払う費用。価格が400万円以上の場合、土地代金の3%+6万円が目安。
印紙代 契約書に貼付する印紙税の費用。土地の価格に応じて数千円から数万円かかる。

支払いスケジュールも重要です。例えば、購入者が土地代金の一部を住宅ローンでまかなう場合、住宅ローン融資がスタートするまでの間に必要な資金を「つなぎ融資」で補填します。この際、つなぎ融資の金利や手数料も事前に確認しておくようにしましょう。つなぎ融資はのちほど詳しく解説します。契約後は、土地の引き渡しに向けて支払いスケジュールを進めます。

契約時の注意点

契約後にキャンセルする場合、手付金が返金されないだけでなく、場合によっては損害賠償を請求される可能性があります。特に、売主が次の購入者を見つけるためのコストや期間に関して損害を主張するケースがあるため、契約締結前に十分に検討しましょう。また、契約書に記載されている特約事項の確認も重要です。例えば、「敷地内に高低差がある場合の造成費用は買主が負担する」などの条件が含まれる可能性も。このような条件を見落とすと、予期しない出費につながる可能性があるため、よく確認しましょう。

土地購入の流れ5:引き渡し

土地購入の最後は引き渡しです
土地購入の最後は引き渡しです

土地購入の最後は、決済をして土地の引き渡しを受けます。この段階で、正式に土地が買主の所有物になります。

残代金を支払う

契約で定められた条件に基づき、土地の残代金を売主に支払います。この際、自己資金での支払いだけでなく、住宅ローンを利用する場合は、金融機関を通じた決済手続きも進めましょう。つなぎ融資を利用している場合は、最終的なローン契約の手続きも並行しておこないます。

登記手続きをおこなう

土地の所有権を正式に購入者へ移転するため、法務局で登記手続きをおこないます。この所有権移転登記は、司法書士に依頼することが一般的です。この際、登記費用や登録免許税などが必要になるため、準備しておきましょう。また、土地が共有名義の場合は、持分割合を事前に明確にしておきます。

引き渡しの確認をする

売主から土地の書類が渡されます。この際、土地の状態が契約どおりか確認しましょう。また、必要に応じて地積測量図や境界確認書などの書類を受け取り、内容を確認します。

引き渡し後の手続き

土地が引き渡されたあとは、固定資産税や都市計画税の支払い義務が買主に移ります。また、建築計画を進める場合は、土地利用に関する申請や建築確認の手続きを始めましょう。土地の利用方法に法的な制約がある場合は、事前に確認が必要です。

これで土地購入の手続きは完了です。引き渡し後も、契約内容に基づいた条件や義務を遵守し、理想の住まいづくりを進めましょう。

土地購入の流れで知っておくべき資金調達のポイント

注文住宅を建てる時の土地購入で知っておくべき資金調達のポイントを解説します
注文住宅を建てる時の土地購入で知っておくべき資金調達のポイントを解説します

土地を購入して注文住宅を建てる流れのなかで、資金計画は重要です。特に、住宅ローンやつなぎ融資などの仕組みを理解しておくと、資金繰りの不安を軽減できます。本章では、知っておくべき資金調達のポイントを見ていきましょう。

土地購入のみでは住宅ローンを利用できない

住宅ローンは、「居住用建物を担保にする」ことが前提のローンのため、土地単体では担保としての条件を満たしません。土地購入に住宅ローンが使えるケースは、土地と住宅建築をセットで申し込む場合に限られます。

注文住宅を建てる計画を前提に、購入したい土地の費用を住宅ローンでカバーする場合には、建築計画が具体化していなければなりません。融資を受ける際には、購入する土地が決まり、建物の設計図や建築見積書がそろっていることが求められます。このような条件を満たす場合にのみ、土地の購入で住宅ローンを利用できます。

家が完成するまで住宅ローン融資は実行されない

住宅ローンは、建物が完成したあとでなければ融資が実行されません。これは、住宅ローンが建物とその敷地を担保とする仕組みで運用されているためです。担保物件が存在しない段階での融資はリスクが高いため、建物の完成が融資実行の条件となります。しかし、建物が完成する前にまとまった金額の支払いが必要になることもあるでしょう。例えば、土地代金の決済は購入契約時に求められることが一般的です。また、建物の建築費用も、着工前や工事の進捗に応じて分割払いが必要となります。この場合には、「つなぎ融資を利用する」、「土地と建物で別々にローンを組む」の2つの選択肢があります。それぞれ詳しくみていきましょう。

つなぎ融資を利用する

つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの間に必要な資金を一時的に補う融資制度です。注文住宅の建築や土地購入時に発生する費用をまかなう目的で利用されることが多く、家が完成するまでのつなぎとして重要な役割を果たします。特に土地代金や建築費用の着手金など、早期に支払いが必要な場合に有効でしょう。つなぎ融資を利用するには、事前審査の際に金融機関へ申し込みをおこない、審査を通過したあとに契約を締結します。家が完成したあとで住宅ローンが実行されると、その融資額からつなぎ融資の残債を返済する流れになります。

つなぎ融資は、住宅ローン実行前の資金に有効ですが、金利の高さや事務手続きの煩雑さが難点です。また、利用可能な金融機関が限られるため、住宅ローンの選択肢が狭まる点に注意しましょう。さらに住宅ローン控除の対象外となるため、税制上のメリットは得られない点にも考慮が必要です。

土地と建物で別々にローンを組む

もう一つの選択肢は、土地代金と建築費用を別々のローンで組む2本立てローン。この方法では、土地の購入時に1本目のローンを組み、建物の建築時に2本目のローンを組みます。どちらも同時に申し込みをおこないますが、それぞれの目的に応じた資金を借り入れる仕組みです。2本立てローンは、土地購入の費用を住宅ローンの一部にできる点や、土地代金と建築費用の支払いが別々になるため、資金計画を柔軟に立てられる点も魅力的でしょう。

一方で、2本立てローンには、ローン契約や手続きが2回必要となり、その分の事務手続きや手数料が増えるデメリットがあります。また、この方法を取り扱っている金融機関は限られているため、金融機関の選択肢が狭まる場合があるでしょう。さらに、土地を購入するローンの申請時には建物の設計図や見積書が必要なため、事前準備が欠かせません。住宅ローンやつなぎ融資、2本立てローンなど、それぞれの特徴をよく理解して、最適な方法を選択するようにしましょう。

注文住宅を建てる際の土地を購入する流れに関するよくある質問

注文住宅を建てる際の土地を購入する流れに関するよくある質問をまとめました。

土地購入の流れではじめにすることは?

土地購入の計画は、家づくり全体の予算やスケジュール立てから始めましょう。最初に家族構成やライフスタイルを考慮し、住みたい家のイメージやエリアを具体化します。次に自己資金や住宅ローンを含めた資金計画を立て、土地と建物の予算配分を決定しましょう。また、建築費用以外の付帯工事費や諸費用も見積もりに含めます。家族全員で意見を共有し、生活に適した間取りや立地条件を話し合い、優先順位を明確にして妥協点を見つけながら計画を進めていきましょう。

土地購入の流れで計画を立てたあとは?

計画を立てたら次は土地探しです。土地探しは、立地条件の具体化から始めます。交通の便や生活施設の充実度、治安のよさなどの要素をリストアップし優先順位を設定しましょう。土地探しの方法は、インターネットでの検索、不動産会社やハウスメーカーへの依頼が一般的です。現地確認では災害リスクや周辺環境、接道義務などの条件を確認し、問題点を洗い出します。また、土地購入には仲介手数料や登記費用などの追加費用が発生するため、資金計画を立てましょう。最終確認後、不動産会社と相談し、契約内容を十分確認して購入を進めます。

土地購入の流れで土地が見つかったあとは?

希望の土地が見つかったら、まずは購入意思を示す「買付証明書」を作成し、売主へ提示して買い付けへ進みましょう。その後、購入金額や支払い条件、手付金の金額などの売買条件を交渉します。並行して建築プランを検討し、ハウスメーカーや設計事務所から理想に合う間取りや見積もりを作成しましょう。建築会社との仮契約で、プランと費用が固まります。さらに、土地購入前に地盤や敷地環境の調査を実施し、安全性や建築適性を確認しましょう。問題がなければ、次の購入手続きに進みます。

土地購入での契約までの流れは?

土地購入の契約は、重要事項説明書の確認、売買契約書への署名・捺印、手付金の支払いを通じて進みます。重要事項説明書では、土地の法的条件や建築制限などを確認し、疑問点は宅地建物取引士に相談しましょう。売買契約書には購入代金や支払い条件、契約解除規定が記載されており、特約事項も確認が必要です。契約時には土地代金の5~10%の手付金を支払います。また、仲介手数料や印紙代などの諸費用も発生。契約後のキャンセルは損害賠償をともなう可能性があるため、慎重に検討しましょう。

土地購入の最終ステップは?

土地購入の最終ステップは引き渡しです。まず、契約条件に基づき残代金を支払い、住宅ローンを利用する場合は、金融機関を通じて決済をしましょう。その後、土地の所有権を移転するため法務局で登記手続きを進めます。手続きは複雑なため、司法書士に依頼することが一般的。引き渡し時には、契約書類を受け取り、土地が契約どおりかを確認します。引き渡し後は固定資産税や都市計画税の支払いが発生します。建築計画を進める際には法的制約の確認もしましょう。

土地購入の流れで知っておくべき資金調達のポイントは?

注文住宅建設のため、土地購入する際に知っておくべきなのは、資金調達のポイントです。そこで、住宅ローンやつなぎ融資、2本立てローンの仕組みを理解する点が欠かせません。なぜなら住宅ローンは土地と建物をセットで申し込む場合に利用でき、建物完成後に実行されるためです。そうなると、建築前の支払いで自己資金が不足する可能性があるため、「つなぎ融資」を知っておくと役立つでしょう。ただ、つなぎ融資は短期間の資金調達に便利ですが、金利が高く手続きが煩雑です。別の方法には、土地と建物の費用を別々に借りる2本立てローンも選択可能ですが、手続きが複雑で利用できる金融機関が限られます。それぞれの特性をよく理解し、適切な選択をしましょう。

まとめ

注文住宅を建てる際の土地購入は、計画、土地探し、買い付け、契約、引き渡しの5つのステップで進められます。計画段階では予算やスケジュールを立て、土地探しでは立地条件や周辺環境を確認。希望の土地が見つかったら、買付証明書の提出や建築プランの検討を進めます。契約時には重要事項説明や手付金の支払いなどの手続きをおこない、最終的に残代金の支払いや登記手続きで所有権を確定させましょう。
特に資金計画では、住宅ローンやつなぎ融資、2本立てローンそれぞれの仕組みをを理解し、適切な方法を選ぶことが重要です。本記事を参考にして、土地購入の流れをしっかり把握し、家づくりを成功に導く準備を整えましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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