注文住宅の流れは?完成までの期間・注意点を解説

本記事では、注文住宅を購入する流れやかかる期間、費用や失敗しないためのポイントを解説します。家づくりで後悔しないためにも、この記事を参考に注文住宅の全体像をつかみましょう。
記事の目次
注文住宅を購入する際の流れ

注文住宅を購入する流れは、大きく8つのステップに分かれます。ここでは、どのような流れで注文住宅を購入するのかを詳しく解説します。
予算の検討
注文住宅を購入するうえで基本となるステップが、予算の検討です。自己資金や毎月のローン返済額、借入可能額などから予算を決定し、家づくりにかけられる資金を計算しましょう。
土地から購入する方は、土地にかける資金を安く抑えることで建築費用を多く確保できます。コストと快適さのバランスを考えた資金計画が重要です。
家づくりの希望条件の整理
家づくりにかける予算が明確になれば、次にどのようなマイホームに住みたいのかをイメージします。
希望条件をうまく整理するコツは、ハウスメーカー・工務店・建築会社と打ち合わせをおこなう前に、事前に家族や夫婦で話し合うことです。今の住まいに不満を感じている点やこだわりたいポイントを、自分たちで書き出しておけば、打ち合わせの段階で相手に伝えやすくなるでしょう。
土地探し
土地が決まっていない方は、ハウスメーカー・工務店・建築会社選びと並行して土地探しをします。インターネットや自分の足で探すことが基本です。ただし、土地探しを手伝ってくれるハウスメーカー・工務店・建築会社もあるため、できるだけ複数の方法を幅広く活用しましょう。
土地探しでは、工事費用や諸費用とのバランスを考えた予算配分が重要です。
工務店・ハウスメーカー・建築会社選び
後悔しない注文住宅を実現するためには、自分と相性のよいハウスメーカー・工務店・建築会社を選びましょう。そのためには、モデルハウスや建設現場の見学を積極的におこなうことが効果的です。
また、大手ハウスメーカーと地域密着の工務店にはそれぞれ特徴や強みがあります。それらをしっかりと把握して、自分に合ったハウスメーカー・工務店・建築会社を選びましょう。
間取りの設計・見積もり
ハウスメーカー・工務店・建築会社の候補を数社まで絞り込めれば、間取りプランと見積もりを提示してもらいます。間取りプランと見積もりに自分の希望がどれだけ反映されているのかを確認し、建築を依頼するハウスメーカー・工務店・建築会社を決定します。
建築会社選びは手間と時間がかかる大変な作業ですが、注文住宅で重要なステップですので十分に検討して選びましょう。
住宅ローン仮審査
間取りプランや土地購入費用が明確になった段階で、住宅ローンの仮審査に進みます。年収や返済可能額、自己資金額などを考慮して、金融機関からの借入額を検討しましょう。その際は、担当者に必要書類の準備や資金計画の立案をサポートしてもらうと安心です。
工事請負契約の締結
建築会社が正式に決定すれば、工事請負契約を締結します。工事請負契約とは、注文者が建物工事を発注し、請負人が受注する契約です。
工事請負契約の締結後にプランの変更が発生すると、変更契約を結んだり追加費用がかかる可能性もあります。そのため、事前に内容を十分理解しておくようにしましょう。
住宅ローン本審査
工事請負契約が締結されれば、住宅ローンの本審査に進みます。本審査では建物の正式な図面や申込者の住民票など、多くの書類が必要です。審査をスムーズに進めるためにも、金融機関の担当者や建築会社とうまく連携を取ることが重要です。
着工
金融機関の本審査が通れば、いよいよ工事の着工です。工事の前に棟梁(とうりょう)と顔合わせができるハウスメーカー・工務店・建築会社もあるため、事前に挨拶をしたい場合は担当者に相談するとよいでしょう。着工前の地鎮祭や骨組みが完成した時の上棟式をおこなうケースもあります。
また、建築中は工事を施工会社に任せきりにせず、作業の邪魔にならない程度に現場へ足を運びましょう。進捗状況の確認や差し入れをもっていくなど、施工会社と積極的にコミュニケーションを取ることをおすすめします。
竣工・引き渡し
住宅の完成後、引き渡しの前に建物や設備の不具合がないか施主による立会がおこなわれます。気になる点があれば必ず補修してもらいましょう。確認・補修がすべて完了すれば、正式に引き渡しとなります。
注文住宅を建てるまでの流れと期間の目安

注文住宅の検討から引き渡しまで、1年以上かかることも少なくありません。また、建築する土地の用意がある・なしでも期間が異なります。ここでは、注文住宅を購入するまでの流れと期間の目安を解説します。
準備【1カ月】
一般的には、注文住宅にかける予算の検討や希望条件の整理など、遅くても1年前くらいから事前準備をおこないます。家族間の話し合いや条件の整理、資金計画の立案など、1カ月ほど時間をかけてじっくり準備しましょう。
土地探し【1カ月~3カ月】
土地が決まっていない方は、土地探しに1~3カ月ほどかかると思っていいでしょう。土地を選ぶ際は、通勤・通学の利便性はもちろん、資産価値が下がりにくい土地を選ぶことも重要です。よい土地ほど他の人に先を越されてしまう可能性が高いため、土地を選ぶ基準をあらかじめ決めておきましょう。
工務店・ハウスメーカー・建築会社探し【1カ月~3カ月】
モデルハウスを訪問したり、インターネットから資料を請求したりして工務店・ハウスメーカー・建築会社の情報を集めます。打ち合わせに進む段階で数社までに絞っておき、遅くとも3カ月の間に建築を依頼する会社を選定しましょう。
工事請負契約の締結【1週間】
工事請負契約は、依頼する工務店・ハウスメーカー・建築会社が決まってから約1週間程度でおこなわれます。契約を締結する場所は、依頼する会社の店舗が一般的です。
建築プランの打合せから着工【2カ月~3カ月】
工事請負契約の締結後、外壁や内装、設備などの具体的なプランを決める打ち合わせをします。住宅ローンの審査を含めると、おおよそ2~3カ月かかります。
入居【3カ月~4カ月】
着工から入居までは3~4カ月の期間をみておきましょう。ただし、工事途中での設備の変更や天候の悪化などで工期が延びる可能性があります。
注文住宅の支払い・ローンの流れ

注文住宅の購入では、一般的に3~4回に分けて支払いがおこなわれます。ここでは、支払いのスケジュールや住宅ローン流れを解説します。
支払いのスケジュール
注文住宅の支払いは何度かに分けて支払います。注文住宅の支払いスケジュールは、工務店・ハウスメーカー・建築会社によって異なりますが、一般的には以下のスケジュールで支払われます。
- STEP 1工事請負契約時:工事費用の10%
- STEP 2着工時:工事費用の30%
- STEP 3着工から竣工までの間:工事費用の30%
- STEP 4竣工時:工事費用の30%
住宅ローンの流れ・組み方
住宅ローンは事前審査から始めます。事前審査とは、本審査に先立っておこなわれる審査のことです。申込者が融資を受けることが可能なのかを金融機関があらかじめ判断するために実施されます。
事前審査が通ると本審査に進みます。本審査とは正式に住宅ローンに申し込むことで、事前審査よりも厳密に審査がおこなわれます。事前審査が通っても、本審査に必ず通るわけではないことに注意が必要です。
本審査の承認が下りると金融機関で契約手続きをして、建物が竣工となってから正式に融資を受ける流れです。
つなぎ融資・分割融資も要検討
注文住宅では、竣工までに数回にわたり支払いがおこなわれます。その際に利用するのが、つなぎ融資や分割融資です。
つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が始まるまでの短期間に利用するローンのことで、竣工してから利用する住宅ローンとは別物です。一方、分割融資とは住宅ローンの総額を何回かに分けて受け取れる融資のことで、1本のローンで資金をまかなえることが特徴です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、金融機関に相談をして自分に合った融資方法を検討しましょう。
注文住宅の費用

ここからは、注文住宅にかかる費用について紹介します。
本体工事費
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、2022年度(令和4年度)の住宅建築資金は全国平均で3,935万円でした。また、土地から購入した場合の土地購入資金と住宅建築資金を合わせた全国平均は5,436万円でした。
これらの費用を参考に、予算の検討をしてみましょう。
付帯工事費
付帯工事費とは、家の建築費以外に必要な工事費用のことです。付帯工事費には、主に以下が挙げられます。
- 地盤改良費(50万~100万円程度)
- 外構工事費(100万~200万円程度)
- 解体工事費(建物1坪あたり5万~10万円程度)
付帯工事費は内容や施工会社により金額が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
諸経費
諸経費は、一般的に100万~150万円程度がかかります。代表的な諸経費は以下が挙げられます。
- 建築確認申請費用
- 登記費用
- 住宅ローン手数料、保証料
- 水道負担金
- 火災保険料
- 税金(印紙税、登録免許税など)
- 引越し代
ケースによっては他の費用がかかる場合があるため、金額や支払いのタイミングに気をつけなければいけません。
注文住宅の流れで失敗しないための5つの注意点

注文住宅を購入するうえで気をつけておきたいポイントがあります。ここでは、失敗しないための注意点を5つ紹介します。
優先したいこだわりのポイントを決める
注文住宅で失敗しないための一つ目の注意点は、優先するポイントを決めておくことです。優先ポイントが明確化されていないと、プランを決める際に軸がぶれてしまい話がまとまりません。こだわりポイントを決めるためには、事前に家族間でよく話し合い、優先したい点を書き出しておくことが大切です。
入居希望日から逆算してスケジュールを組む
注文住宅の検討から完成まで、長いと1年以上かかることがあり、土地探しからとなればさらに3カ月以上の期間が必要です。入居希望日が迫って焦ることがないよう、注文住宅を検討する際は入居希望日から逆算した余裕のあるスケジュールを組みましょう。
将来のライフプランも考えた家づくりをする
注文住宅で失敗しないためには、将来のライフプランを想定することが重要です。親の介護や子どもの成長、通勤・通学など、あらゆることを想定した家づくりをおこないましょう。
工事の延長・追加費用に備える
注文住宅では、工事の延長や追加費用が発生することもあるため、想定外のケースが起きた場合の対処方法を確認しておきましょう。工期が延びた場合の保障や、追加工事が発生した場合の融資の手続きなど、問題が起きた際にも焦らなくてもいいように準備しておくことが肝心です。
信頼できる会社・担当者に依頼する
信頼できる建築会社や担当者に出会うことは、注文住宅を購入するうえでとても重要なポイントです。そのためには、できるだけ多くのモデルハウスを見学して、さまざまな担当者と接するようにしましょう。住宅の知識だけでなく、人柄や性格の相性が自分と合っている担当者が見つかれば、理想の家づくりに近づけるでしょう。
注文住宅の流れで必要な書類

注文住宅では、タイミングによって必要書類が異なります。工事請負契約時と住宅ローン審査時にどのような書類が必要なのか紹介します。
契約時
工事請負契約時に揃えておくものは、主に以下のとおりです。
- 印鑑
- 契約金
- 印紙代
また、工事を請け負う建築会社は以下を用意します。
- 工事請負契約書
- 工事請負契約約款
- 設計図書
- 仕様書
- 工事費見積書
- 工程表
住宅ローン審査時
住宅ローン審査時には、申込者の本人確認や所得を証明できる書類、建物に関する書類が必要です。
- 事前審査申込書(事前審査時)
- 本審査申込書(本審査時)
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 住民票、印鑑証明書
- 収入証明書類
給与所得者:源泉徴収票や住民税決定通知書または収入金額記載の住民課税証明書
個人事業主・確定申告をしている場合:確定申告書、同付表、納税証明書
法人代表者:法人の決算報告書 - 工事請負契約書
- 建物に関する書類(公図・実測図、建物図面など)
- その他(マイカーローンなど他に借り入れているローンがある場合は、その契約内容や残高を証明する書類など)
注文住宅の流れに関するまとめ

注文住宅の流れの内容を振り返りましょう。
注文住宅を購入する際の流れ
ここでは、注文住宅が以下の流れに沿って進むことを紹介しました。
- STEP 1予算の検討
- STEP 2家づくりの希望条件の整理
- STEP 3土地探し(土地から探す場合)
- STEP 4工務店・ハウスメーカー・建築会社選び
- STEP 5間取りの設計・見積もり
- STEP 6住宅ローン仮審査
- STEP 7工事請負契約の締結
- STEP 8住宅ローン本審査
- STEP 9着工
- STEP 10竣工・引き渡し
注文住宅の費用
注文住宅に必要な一般的な費用は以下のとおりです。
・本体工事費
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、2022年度(令和4年度)の住宅建築資金の全国平均は3,935万円で、土地から購入した場合の全国平均は5,436万円です。
地盤改良費(50万~100万円程度)
外構工事費(100万~200万円程度)
解体工事費(建物1坪あたり5万~10万円程度)
※付帯工事費は内容や施工会社により金額が異なるため要確認
・諸経費
その他の諸経費として、一般的に100万~150万円程度が必要。
注文住宅の流れで注意したいこと
注文住宅で失敗しないためには、次の5つに注意しましょう。

-
・優先したいこだわりのポイントを決める
・入居希望日から逆算してスケジュールを組む
・将来のライフプランも考えた家づくりをする
・工事の延長・追加費用に備える
・信頼できる会社・担当者に依頼する
この記事では、注文住宅を購入する流れや費用、期間や注意するべきポイントを解説しました。理想のマイホームを手に入れるためには、全体像を把握することが重要です。注文住宅を建ててどのような生活を送りたいのかとイメージを膨らませて、後悔しない家づくりを実現しましょう。
注文住宅を建てる