ウェルビーイング住宅が注目される理由とは?特徴と設計するポイントをご紹介
家の価値観が変化しつつある今、「ウェルビーイング住宅」での暮らしが注目されています。ウェルビーイング住宅は性能の高さだけではなく、毎日の心地よさや安心感、将来の変化への対応力まで含めて設計されます。
本記事では、ウェルビーイング住宅の特徴や設計のポイントを解説します。よりよい暮らしを考えるうえで、どのような家が自分を支えてくれるのか見つめ直しましょう。
記事の目次
ウェルビーイング住宅とは

ウェルビーイング住宅とは、身体的・精神的・社会的な健康・幸福に生活できるように配慮された住宅のことです。
例えば、室内の温度差を抑えて体への負担を軽くしたり、自然光を取り入れて気持ちが整いやすい空間をつくったりする取り組みが挙げられます。また、家族の会話が自然に生まれる間取りや、将来のライフステージに合わせて形を変えられる柔軟さもポイント。
無理のない形で心地よさが続く暮らしを実現できる点が、ウェルビーイング住宅の特徴です。
ウェルビーイングの定義
ウェルビーイングは、ただ病気をしていない状態だけではなく、身体・精神・社会のすべてが良好で心身ともに満たされている状態を示しています。
世界保健機関(WHO)の健康の定義にもウェルビーイングが登場しており、健康は複数の側面から成り立つとされています。
この定義を踏まえると、快適な温度や空気環境に加えて、安心して過ごせる落ち着き、家族や地域と関係を築きやすい環境が整っていることがウェルビーイング住宅といえるでしょう。
ウェルビーイング住宅が注目されている理由

ウェルビーイング住宅が新しい選択肢として注目される背景には、生活の価値観が大きく変化した近年の社会情勢があります。働き方が変わり、自宅で過ごす時間が増えたことで、気持ちを整えて安心して過ごせる空間が支持されるようになりました。本章では、ウェルビーイング住宅が注目されている理由を詳しく見ていきましょう。
アフターコロナによる暮らしの変化
アフターコロナの暮らしでは、自宅が今まで以上に多機能な場所へと変化しました。外出を控える期間が続いたことで、家の重要性が以前より鮮明になり、住まいの快適性への意識や性能に対する関心が、自然と大きくなった方も多いでしょう。
また、自宅での時間が心理状態に影響することも広く認識され、心が落ち着く空間づくりが求められるようになっています。コロナ禍から、体と心のどちらにも配慮したウェルビーイング住宅が支持されるようになり、暮らし全体を整える住まいへの期待が高まったといえるでしょう。
働き方の多様化と在宅時間の増加
近年、働き方改革やリモートワークの広がりにより、自宅で過ごす時間が以前より大幅に増えました。仕事と生活の境界が曖昧になりやすい環境では、集中できる場所とリラックスする場所を適切に分ける工夫が必要になるため、住まいの設計の見直しが重要です。
例えば、静かなワークスペースの確保や、自然光の入る環境整備が作業効率に影響します。また、長時間室内にいると空気や湿度が体調に影響しやすくなるため、健康を維持しやすい環境づくりが求められるでしょう。
健康と快適さを両立しやすいウェルビーイング住宅は、働き方が多様化した今の時代に合った住まいとして注目されています。
健康志向・環境の配慮への関心の高まり
健康を大切にする価値観が以前より強まっていることから、温度差の少なさや空気の清浄度など、体調管理に貢献する住環境への関心が高まっています。
また、地球環境への配慮も同時に重視され、省エネ性能の高い住宅や自然素材を使った住まいが支持されています。近年の傾向は、ウェルビーイング住宅の理念と合致しており、暮らしの快適さと環境意識を両方満たす住まいが求められる時代に入りました。
健康と環境のどちらも大切にする流れは今後も続くと考えられ、ウェルビーイング住宅の重要性はさらに高まるでしょう。
ウェルビーイング住宅を設計するポイント

ウェルビーイング住宅の設計は、心身の負担を軽くしながら暮らしの質を底上げする工夫が求められます。基本性能に加え、光や風の取り入れ方や家族の関係がほどよく保てる間取りなど、環境と気持ちの両方に配慮する視点が欠かせません。
また、今の生活だけではなく、将来の変化にも対応しやすい柔軟性が備わっているかもポイントとなり、長期的に暮らしを支える設計が必要です。それでは、ウェルビーイング住宅を設計するポイントを解説します。
高断熱・高気密性能
高断熱・高気密の性能は、ウェルビーイング住宅の基本です。冷暖房効率が上がるため光熱費を抑えやすく、環境にも家計にもやさしい状態を維持できます。室温が安定すると体への負担が減るため、ヒートショックのリスクも下がるでしょう。
また、家の中の空気の質は疲れにくさや集中しやすさにも影響するため、暮らし全体の快適さにつながります。高気密・高断熱は、生活の満足度を左右するためにも重要なポイントです。
採光・自然との調和
自然光を適切に取り入れることは、心の落ち着きや生活リズムの安定につながります。朝日が入る寝室は目覚めがよく、やわらかい光が広がるリビングは家族がくつろぎやすい空間に。窓の位置や大きさを工夫して自然光や外の景色を取り入れることで、室内にいながら自然との距離が近くなるため、日常のストレスを和らげる効果も期待できるでしょう。採光・自然との調和を意識した設計は、心理面を安定させて暮らしの質を支えます。
将来のライフステージへの対応
ウェルビーイング住宅は、長く快適に暮らし続けるためにも将来の変化に柔軟に対応できることが重要です。家族の人数が変わったり、働き方が変化したりすると必要な部屋数や広さも変わります。例えば、可動式の間仕切りを使えば、ライフステージに応じて部屋の形を変えやすくなるでしょう。
また、歳を重ねた時の暮らしも視野に入れると安心です。段差を減らしたり、手すりの取り付けを想定した設計をすることで、使いやすい状態を維持することができます。
家族が集まりやすい空間とプライベート空間のバランス
家族が自然に顔を合わせられる空間と一人で落ち着いて過ごせる場所の両方が整っていると、暮らしの質が安定しやすくなります。リビングやダイニングは家族が集まりやすい場所に配置し、動線を工夫することで会話が生まれやすくなります。
一方で、静かに過ごせる個室やワークスペースも欠かせません。特に在宅勤務が増えた今、集中しやすい環境の確保は生活全体の満足度に関わります。家族が集まりやすい空間とプライベート空間のバランスを整えることで、家族関係も健やかに維持しやすくなるでしょう。
自然災害に備えた設計
災害への備えは、安心して暮らすために大切です。耐震性を高める構造にすることはもちろん、停電が起きても生活を続けられる設備を備えることで、暮らしの安定につながります。
例えば、太陽光発電や蓄電池の導入は、非常時の電力確保に役立ちます。また、浸水被害が想定される地域では、敷地の高さや排水計画を工夫することで安全性を高められるでしょう。
災害に強い設計は安心感を生むため、非常時にも落ち着いて行動しやすい環境を整えてくれます。自然災害に備えた設計は、長く暮らすうえで欠かせないポイントです。
ウェルビーイング住宅と今までの住宅の違い

今までの住宅は、断熱性や耐震性などの性能を中心に評価されることが多い傾向にありました。一方、ウェルビーイング住宅では、性能に加えて暮らしの体験や気持ちの安定まで視野に入れた総合的な価値が求められます。
家で過ごす時間が増えた今、リラックスのしやすさや家族との距離感の取り方など暮らしの質を重視する動きが強まり、住宅の価値基準が一つ上の段階へ移行しつつあります。本章では、ウェルビーイング住宅と今までの住宅の違いを見ていきましょう。
性能だけでなく心地よさもポイントになる
従来の住宅では、断熱性能や耐震性、設備機器のスペックなどが重視される傾向がありました。もちろん住宅の性能は暮らしの土台に欠かせませんが、ウェルビーイング住宅では「心地よさ」や「心理的な安定」などの視点が加わります。
例えば、同じ断熱性能を備えていても、自然光の入り方や風の通り方で暮らしの質は大きく変わります。また、家族が無理なくコミュニケーションを取りやすい配置になっているか、仕事と休息のメリハリをつけられる空間があるかなど、生活のしやすさも評価の対象です。
数値化しにくい部分も含め、総合的に住みやすい住宅を目指すことがポイントとなります。今後ますます「構造や設備で選ぶ場所」から「自分に合った暮らし方を実現する場所」になっていくと予想されるため、住まいへの期待の形も大きく変わっていくでしょう。
今後のライフスタイルの変化にも対応できる
今後の住宅選びは、健康や快適性に加えて「自分らしい暮らしを続けられるかどうか」が重要な指標になるでしょう。高い性能だけではなく、生活リズムに合った間取りや心が落ち着く環境づくりが評価の軸になります。
また、家族構成の変化や働き方の移り変わりにも柔軟に対応できるかも大切です。自分が心地よく過ごせる住まいを選ぶ方が増えることを踏まえると、ウェルビーイング住宅の需要はさらに広がっていくと考えられます。
ウェルビーイング住宅がもたらすメリット

ウェルビーイング住宅がもたらすメリットは、健康面の向上から暮らしの安定など幅広くあります。また、丁寧に設計された住まいは劣化しにくく、資産価値を保ちやすい点も魅力です。本章では、ウェルビーイング住宅がもたらすメリットを解説します。
快適さを実現できる
ウェルビーイング住宅の魅力は、住むだけで快適な生活を送りやすくなる点です。高断熱・高気密により一年中安定した室温を保てるため、冷えや暑さによる体の負担が軽減されます。計画換気によって空気が常に入れ替わるため、室内の空気がよどみにくく、頭が重く感じることも減るでしょう。
また、自然光が適度に入る空間は気持ちが前向きになりやすく、作業効率や睡眠の質にもよい影響を与えます。心理的にも落ち着ける環境が整うことで、家全体が心身のケアとなるでしょう。
不動産価値や資産価値を維持できる
省エネ性能や耐震性の高さは評価されやすく、丁寧に設計された住宅は時間が経っても価値が落ちにくい傾向にあります。
また、ウェルビーイングの視点で設計された住宅は、居住者の満足度が高いため、長期間きれいに使われるケースが多く、結果的に建物そのものが良好な状態を保ちやすくなります。
長く安心して暮らせる住まいは、生活の場としてだけではなく、将来の資産としても信頼できる存在になると考えられるでしょう。
長く住み続けられる
ウェルビーイング住宅は、長期的に快適さを保てるよう計画されています。可変性のある間取りや設備を追加しやすい構造は、家族構成の変化に対応しやすく暮らしの不便を減らします。また、劣化しにくい素材や適切なメンテナンス計画により、建物が長持ちしやすくなる点もメリットです。
段差を減らす設計や手すりを取り付けやすい下地を用意しておくなど、住む方が年齢を重ねても無理なく生活を続けられることは、住宅にとって大きな価値となります。
環境負荷が低減・持続される
ウェルビーイング住宅は、暮らしの質を守るだけではなく、環境への配慮も重視しています。例えば、高い断熱性能により冷暖房の使用量を抑えられるため、CO2排出量の削減に貢献できます。また、太陽光発電や蓄電池を備えれば、自家発電によってエネルギーを循環させる生活も実現しやすくなるでしょう。
個人の快適さと地球環境を両立する住まいは、今後の時代に求められる選択肢として存在感を増していくと予想されます。
ウェルビーイング住宅を実現する際の注意点

ウェルビーイング住宅を実現する際は、快適さや健康に配慮するだけではなく、長期的な視点でバランスを考えることが重要です。また、家族の暮らし方は年月とともに変わるため、今だけで判断せずに長く満足できる住まいを目指しましょう。ここからは、ウェルビーイング住宅を実現する際の注意点を解説します。
初期コストと性能のバランスに注意する
ウェルビーイング住宅は、断熱材や換気システム、自然素材など快適性に直結する要素を取り入れるために初期費用が高くなる場合があります。ただし、費用だけで判断すると、本来得られる快適さや省エネ性能を失ってしまうこともあるため、長期的な視点で見極めることが大切です。
例えば、高断熱の住宅は建築費が上がっても冷暖房費を抑えられ、結果的に生活コストが下がることもあります。また、自然素材を使うことでメンテナンスがしやすくなり、長い目で見ると修繕費の削減につながるケースも珍しくありません。
自分たちの暮らしにとって本当に必要なのかを整理し、優先順位を明確にしながらコストと性能のバランスを取るように意識しましょう。
家族構成やライフスタイルの変化を見据える
家は長く使うものだからこそ、将来どのような暮らし方になるかを見越して計画することが重要です。子どもが成長するにつれて部屋数が必要になることもあれば、独立後は空き部屋が増えることも考えられます。また、在宅勤務の定着により、ワークスペースの需要が今後も続く可能性があるでしょう。
暮らしの変化に柔軟に対応できる間取りであれば、無理なく暮らしを続けやすくなります。家族全員が快適に過ごせる環境を保つためにも、今の生活だけではなく、未来の姿も視野に入れて設計をおこなうことが大切です。
地域の気候・環境に合った設計をおこなう
住む地域によって気候条件が異なるため、土地に合った住宅設計が必要になります。寒冷地では断熱と気密をより強化する必要があり、温暖な地域では風通しを優先する設計が向いているケースも多いでしょう。また、降雨量が多い土地では外装材や排水計画を強化し、豪雪地帯では屋根形状や雪の落とし方に配慮が求められます。
気候と環境に合わせて設計することで、住宅の快適性だけではなく長寿命化にもつながります。ウェルビーイング住宅の質を高めるためにも、気候と環境に合った住まいを意識しましょう。
将来のメンテナンスを考慮する
住宅は建てて終わりではなく、長く使うほどメンテナンスの重要性が増していきます。ウェルビーイング住宅も同様で、快適さを保つためには適切な点検と修繕が欠かせません。外壁や屋根は定期的に補修をおこなうことで劣化を防ぎ、換気システムや給湯設備は部品交換を含めながら長く性能を維持することを意識しましょう。
将来のメンテナンスを見据えて設計しておくと、費用と手間を抑えながら住まいをきれいにキープできます。無理なくメンテナンスできる設計をすることで、長期的な満足につながるでしょう。
まとめ
ウェルビーイング住宅は、性能だけで家を選ぶ時代から、暮らしの質そのものに目を向ける時代へ進むなかで注目を集めています。
健康に配慮した温熱環境や自然とのつながり、家族それぞれが落ち着いて過ごせる間取りなど、日々の生活を支える多くの要素が組み込まれています。また、長期的な資産価値の維持や環境負荷の低減など、社会全体を見ても意味のある価値を持つ住宅です。
住まいは人生の大きな土台であり、土台が整うことで心身のゆとりも育まれます。自分の暮らしに本当に必要なことを見極めながら、より豊かで安心できる毎日を形にしていきましょう。
注文住宅を建てる

執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ




