【実例】スタディスペースとは?メリット・デメリットと設置する際のポイントをご紹介
そこで今回は、スタディスペースのメリット・デメリットをはじめ、より有効な設置方法や活用パターンなどをご紹介。おしゃれな設置事例なども含めて解説していきます。
記事の目次
スタディスペースとは

スタディスペースとは、建築上の明確な定義はありませんが、デスクを中心とした小さな作業場所を指します。おもに子どもが勉強する目的で設置する場合が多く、スタディスペースと呼ばれています。スタディスペースの特徴は、リビング・ダイニングやキッチンなど、家族で共有する空間の一部として併設する点。独立した個室ではなく、周りから見えやすいオープンな空間として設けられるケースが一般的です。あえて開放的な空間にしておくことで、家族でコミュニケーションを取りながら勉強ができる環境を整えられます。
また他の居住空間に併設されるスペースでもあるため、広さは1.5畳~2畳、広くても3畳程度となるのが基本。ちなみによくある学習机の大きさが、奥行き60cm程度・幅100cm~120cm前後なので、こうしたデスクのサイズ感に合わせた広さを確保しておくのが通常です。
ワークスペースや子ども部屋との違いは
まずワークスペースは、スタディスペースと同じような空間となりますが、使用目的に大きな違いがあります。ワークスペースもスタディスペースと同様に、デスクを中心とした作業場所ですが、大人の在宅勤務やテレワークなどの仕事用で使うのが基本です。スタディスペースは子どもが勉強する場所として活用される一方、ワークスペースはどちらかといえば、大人の書斎のようなイメージでしょう。
また子ども部屋は、完全に独立した個室を指し、スタディスペースのようにオープンな空間ではない部分が異なります。子ども部屋の場合は、子どもが一人で過ごせる個室として設置するのが一般的です。
スタディスペースのメリット

生活上のさまざまな効果から、高く注目されているスタディスペースを取り入れることで、実際にどのようなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
子どもの勉強を見守れる
家族での共有空間に子どもが勉強できるスタディスペースを設けることで、親の目が行き届きやすくなり、宿題などをきちんと終わらせているか見守りやすくなります。子ども側としても家族がそばにいる空間にスタディスペースがあることで、何かわからないことがあっても気軽に聞きやすく、勉強が進みやすくなるメリットがあります。
勉強の習慣化ができる
特に年齢の低いうちは、まだ勉強に集中するのが難しく、親の目が届きにくい個室だと、勉強が捗らない可能性もあるでしょう。また、自分から個室にこもって学習する姿勢にもなりづらい時期です。そこでリビングなど、日常を過ごす時間が長い場所にあえてスタディスペースを設けることで、日々の生活習慣の一つとして勉強を組み込みやすくなります。家族が家事や仕事などの作業をしている姿を見ながら、勉強ができるスタディスペースにより、周囲につられて「自分も何かしてみよう」という意欲も生まれやすくなる効果が見込めます。
比較的費用が安い
独立した個室よりも、比較的シンプルな構造の空間となるため、施工費用が大きくかからないのも利点です。また勉強する空間を省く分、子ども部屋の省スペース化ができ、各個室の面積を省略できる一面も。子ども部屋の面積を少し小さめにして、他の居住スペースを設けたり、部屋数を増やせたりする可能性もあります。限られた予算や敷地内で、有効に空間を使いやすいのもメリットです。
ダイニングテーブルを食事専用にできる
わざわざスタディスペースを設けなくても、家族のいる場で勉強をする意味では、ダイニングテーブルを使う方法も考えられます。もちろん一つの手段ではありますが、ダイニングテーブルを使ってしまうと、食事のタイミングでは勉強道具を片付ける必要が出てきます。一方でスタディスペースがあれば、食事時のギリギリまで勉強道具を広げていても問題なく、いちいち片付けなくてもいい利便性や、食事をする場所としての清潔感を保ちやすいメリットがあります。
幅広い活用方法がある
スタディスペースは、コンパクトな作業場所となるからこそ、デッドスペースの活用術としても適しています。中途半端に使いづらい空間ができてしまう場合、そこにスタディスペースを設けることで、ムダにならない効果が見込めます。さらに子どもたちが使用しないタイミングには、大人が使うのにも便利。例えば細々とした家事や手続きなどをしたい時にも、スタディスペースのようなデスクがある空間があると、作業がしやすくなるのも利点です。子どもの勉強に限らず、さまざまな作業場所としての活用方法も考えられます。
スタディスペースのデメリット

スタディスペースの設置により、多くのメリットがある一方で、あらかじめ十分に検討しておきたい注意点もあります。次のようなデメリットが想定される点も、頭に入れておきましょう。
子どもが窮屈に感じる可能性がある
一般的なスタディスペースは、基本的にはデスクとちょっとした収納のみで構成される、かなりコンパクトな空間です。通常の子ども部屋ほど広々としていないため、子どもにとっては、窮屈に思えてしまう場合も。スタディスペースを設置する場所にもよりますが、あまり閉鎖的なデッドスペースなどに取り入れてしまうと、子どもが心地よく過ごしづらくなる点も十分に考慮しておきましょう。また、物理的な窮屈さだけでなく、周囲からの視線があることで精神的な窮屈さや不快感を抱いてしまう可能性も。導入を検討する際には、子どもとよく話し合いをしましょう。
有効活用できない可能性がある
場所自体はあっても、結局のところは、子ども自身がそこで勉強する気にならないと意味がありません。なかなかスタディスペースの空間そのものを気に入ってくれなかったり、学習用の場所として設けていても、自ら勉強しようとしなかったりする可能性も想定されます。きちんとスタディスペースとして有効活用できるように、その空間で勉強をするのがおもしろい・心地いいと思ってもらえるような工夫も必要。一緒に勉強を楽しめる方法を考えたり、子どもが快適に過ごしやすい空間を整えたりなど、有効活用ができるアイデアを検討してみるのも大切です。
家族の配慮が必要になる
きちんと集中して学習できるように、物音には気を付けるなどの配慮も必要。例えばテレビの音や話し声などは、勉強の妨げになりやすく、周りの生活音のせいでかえって子どもにとって過ごしにくい環境になってしまうケースもあります。オープンにしつつも、できるだけ勉強がしやすい空間にできるように、スタディスペースの位置や仕切り方など工夫しておくのも重要です。
ある程度の広さが必要になる
スタディスペースは、基本的にはどこかしらの居住空間に併設するため、その分の面積を確保できる場所が必要となります。例えばLDKに併設しようと思っても、その空間自体が狭いと、スタディスペースを設けるほどの余裕を作れない可能性もあります。スタディスペースの面積を確保できるように、あらかじめ間取りも十分に検討しておきましょう。
散らかったままになると生活感が見えやすい
家族で共有する空間にあるスタディスペースでは、例えば勉強道具が広がったままなどの散らかった状態になると、雑然とした生活感が見えやすくなってしまいます。特にLDKに併設する場合には、スタディスペースが片付いていないと、急な来客などで慌ててしまうことも。いつでもすっきりした印象にするために、整理整とんがしやすい収納に工夫しておく必要があります。
スタディスペースを作るのにおすすめの場所

スタディスペースのように、勉強などの作業への集中力を高めたい場合には、気が散りにくい環境を整えることも大切。一般的に落ち着いて何かに取り組みたい時には、次のような場所の条件を揃えておくのがよいとされています。
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・部屋の出口が視野に入りやすい・自分の背中や頭部からの視線や気配を感じにくい
スタディスペースを取り入れる際には、上記の部分も考慮したうえで、設置場所を検討してみるのがベストです。またスタディスペースを併設するのにおすすめの場所としては、以下のような例が挙げられます。
リビング・ダイニング
スタディスペースの代表的な場所となるのが、リビング・ダイニングです。家族が集まりやすいうえに、リビング・ダイニングはキッチンにも近いため、家事をしながら子どもを見守りやすい利点があります。ただしリビング・ダイニングの場合は、家族の気配が気になりやすい一面もあり、設置する場所には要注意。背後からの視線が入らないように、例えばリビングのソファとスタディスペースは背中合わせにする、キッチンとの対面や横付けにする、簡単な仕切りを設けるなどの工夫が必要です。
スキップフロア
スキップフロアは、段差を使って部屋の一部に区切りを持たせる間取りで、完全に独立した個室にはせず仕切りのある空間を設けたい時に取り入れられます。スキップフロアもオープンな空間となるため、スタディスペースの他、子どもの遊び場でもよく使われやすい間取りです。ちょっとした小上がりや半地下などのスキップフロアを、勉強する場所としてゾーニングし、スタディスペースにするパターンも見られます。またスキップフロアの場合も、リビング・ダイニングの近くに設けるケースが多く、家族の気配を感じにくいように工夫しましょう。
階段ホール(踊り場)
特に吹き抜けの住宅では、階段ホールにスタディスペースを設けるケースも多くあります。オープンな吹き抜けであれば、子どもの様子も伺いやすく、またリビング・ダイニングなどの共有空間と区切りやすいのも利点です。ただし階段ホールにスタディスペースを設置する場合には、ある程度の面積が取れるように、あらかじめ設計・施工段階から広さを考慮しておく必要があります。
ヌック
ヌックとは、壁などの仕切りを設けないフリースペースとなる、2畳前後の小さな個別空間を指します。基本的に段差で区切る点では、スキップフロアにも似ていますが、よりコンパクトなスペースとして使われやすいのがヌックとなります。例えば大きめの出窓や階段下、高めのスキップフロアの下部などで取り入れられるパターンも。こうしたヌックを使って、スタディスペースと兼用する方法もあります。デッドスペースを活用する場合も多いので、もしスタディスペースにするのであれば、あまりに窮屈な空間になりすぎないように注意しましょう。
和室
リビング横に設ける和室であれば、子どもの様子も伺いやすく、スタディスペースを併設するのにもおすすめ。ほどよく家族の気配を感じづらく、きちんと集中できるスタディスペースとして設置しやすいメリットがあります。とはいえリビング・ダイニングに近くなりやすい分、生活音が気になりやすい部分もあり、子どもが勉強で使う際には十分な配慮が必要です。
スタディスペースを作る時のポイント

実際にスタディスペースを取り入れたい場合に、より快適に活用できる空間にするためのポイントを解説していきます。
お互いの邪魔にならない場所に設置する
スタディスペースを設ける際には、実際に使用する子どもが集中しやすく、なおかつ他の家族が遠慮しすぎないような設置方法を考えることも重要です。例えば食事時以外であまり使わないダイニングに併設、なるべくテレビから距離を離す、できるだけ生活・家事動線からは外すなど、少し場所を工夫するだけでも快適度は変わってきます。普段のライフスタイルをイメージしながら、お互いの過ごし方の妨げにならない設置方法を検討しましょう。
子どもが使いやすい高さにする
あらかじめ建築の造作としてデスクを設置する場合、高さも考慮しておく必要があります。ちなみに一般的な学習机の高さは、床から70cm程度。小学生の子どもが使う際には、70cmほどの高さで、椅子を調節しながら使うのが無難でしょう。なお70cmの高さがあれば、大人でも問題なく使うことが可能です。
コンセント・インターネット環境を整える
最近では、IT機器を使ったオンラインによる学習スタイルも導入されているため、電源や通信のためのコンセントとインターネット環境は必須。なおコンセントに関しては、学習用のIT機器だけでなく、手元の照明などに使う分も考慮しておく必要があります。IT機器用・照明用をはじめ、他の端末の充電用も考えるなら、少なくとも4口はコンセントがあると便利でしょう。
空調が届きやすい場所にする
しっかりと勉強に集中できる環境にするためには、心地よく過ごしやすい空間を作ることも重要。ある程度の時間を過ごすことを考えるなら、きちんと空調が効く場所に設置しないと、なかなか勉強も進まなくなってしまいます。あらかじめ空調も届きやすい場所にしておくか、もしくはスタディスペースに応じて設備を増やすか、無理なく過ごせるように検討しておきましょう。
片付けやすい収納も取り入れる
教科書や文房具など、さまざまな学習用品を使うことになるスタディスペースでは、収納面も十分に考慮しておくのがベスト。スタディスペースに片付けやすい収納があることで、学校への持ち物などもそのまま整理整とんができ、すっきりとした空間を維持しやすいでしょう。デスク下の足元や壁面棚など、スタディスペースの位置や広さに応じて工夫してみるのがおすすめです。
部屋との統一感を出す
スタディスペースは、基本的に独立した個別の空間ではなく、どこかの部屋などに併設するのが一般的です。特にリビング・ダイニングや和室のような、くつろぎの場に設置する場合には、きちんとテイストを合わせておくのも大切。スタディスペースだけ浮いたようなデザインになってしまうと、どことなく全体が雑多な印象に見えてしまいます。スタディスペースがありつつも、気の休まるような空間を保つためにも、部屋との統一感を意識しておきましょう。
成長に合わせて工夫をできるようにしておく
心身ともに成長が進めば、心地よく勉強に励める環境も少しずつ変わってきます。年齢が上がってくると、完全な個室のほうが勉強しやすくなったり、スタディスペースでは狭く感じたりする可能性も。成長に応じて、仕切りができるようにしたり、勉強場所を変えられるようにしたりなどの工夫も必要です。受験勉強など、子どもが大きくなってきた時の学習スタイルも考慮しながら、どのようにスタディスペースを設けるべきなのか検討しておきましょう。
将来の活用方法も考えておく
ゆくゆくは子どもが大人になって独立していくことも考えるなら、単純な勉強場所としてだけでなく、さまざまな使い方をイメージしておくことも欠かせません。いずれは大人が活用していくことも考えて、収納などの機能性やデザイン性まで考慮できるとベストです。では以下からは、子どもが成長したあとのスタディスペースを余分な空間にしないために、将来的な活用パターンとしてよくある例も見ていきましょう。
子どもが成長・独立した後の活用方法

子どもが成長・独立して、いずれ勉強場所として使用しなくなった場合には、次のような活用方法も考えられます。
ワークスペースにする
デスクを活用する例としては、やはりパソコン操作などの細かな作業をするワークスペースにする方法が想定されます。例えば周りの収納を可動式にしておけば、子どもの学習用品だけでなく、仕事用の道具や周辺機器なども置きやすいでしょう。また大人が使うワークスペースにするのであれば、長時間でも快適に過ごしやすい広さなども、あらかじめ考慮に入れておくことをおすすめします。
趣味のスペースにする
例えば、ミシンを使ったお裁縫をはじめとしたハンドメイドやイラスト制作、オンラインゲームなど、さまざまな趣味にもスタディスペースを活用できます。手先を使うような趣味だと、スタディスペースのように、ちょうどいいデスクがあったほうが心地よく楽しめるケースも多くあります。もしくは資格の勉強など、趣味としての大人の学習場所に使うのもよいでしょう。
飾り棚や収納にする
デスクを使ってコレクションをきれいに整列させたり、そのまま細々としたアイテムや本を並べたりなど、ディスプレイスペースにしてしまうのも一つの方法です。もしくはデスクの天板を取り外して、スタディスペースを丸ごと収納にするのもよいでしょう。椅子を片付けてしまえば、収納としても柔軟に活用できるので、困った時には一時的な物置やシーズン物の装飾などフリースペース的に使ってみるのもおすすめです。
スタディスペースの建築実例
ここからは、実際にスタディスペースを取り入れているマイホームの実例をいくつかピックアップしてご紹介。便利でおしゃれなスタディスペースにしたい場合には、ぜひ参考にしてみてください。
親の目が届く安心のスタディスペース

こちらは、キッチン横に並行するようにスタディスペースを設置している事例です。家事をしながら子どもを見守れる間取りながらも、キッチンとの仕切りや少し奥まった配置により、周りの目を気にせず集中しやすいスタディスペースを実現。またデスクのみのシンプルな構造から、幅広い用途で使いやすい空間となっています。
窓の光が差し込む明るいスタディスペース

こちらは、リビング横に対して水平方向に配置されたスタディスペースです。両サイドに大きめの収納を取り入れることで、さまざまな用品も片付けられるスタディスペースになっています。またスタディスペースの背後には両開きの引き戸を設けており、オープンな空間ながらも、必要に応じて個室化できるように工夫されています。
タラップのある秘密基地みたいなスタディスペース

こちらは、リビングのスキップフロアにスタディスペースを設けている事例です。壁の中にあるような配置により、オープンでありつつも集中しやすいスタディスペースを実現。またキッチンと水平方向になる間取りから、子どもの様子も見守りやすいスタイルになっています。
シンプルで洗練されたスタディスペース

こちらは、キッチンとダイニングの隣に、水平方向になるように設置されたスタディスペースです。子どもの学習空間に活用できる、家族の目が届きやすい配置ながら、リビング・ダイニングとテイストを合わせたデザイン性で生活感を抑えたおしゃれな空間にもなっているのが特徴です。
ダイニング横の多目的なスタディスペース

こちらは、キッチン横にあるダイニングの背後にスタディスペースを設置した事例です。人が集まりやすいリビングから少しずらした位置に設けることで、家族の気配をほどよく感じつつも、勉強がしやすいスタディスペースを実現。また天井側の頭上に収納を取り付けることで、縦の空間を有効活用した大きめの収納を確保しています。
まとめ
スタディスペースは、家族が集まりやすい空間に取り入れることで、親子で一緒に勉強の習慣を身につけやすいなどのさまざまな効果から注目されている間取りです。また細かい作業がはかどりやすいスペースでもあり、子どもはもちろん、大人も含めて幅広く用途で使いやすい魅力もあります。家族にとって、より過ごしやすいマイホームの実現に向けて、ぜひ本記事も参考にスタディスペースの活用を検討してみてください。
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