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パッシブハウスで後悔した5つの理由は?後悔しないためのチェックポイントを徹底解説!

パッシブハウスで後悔する理由と後悔を防ぐためのポイントを解説します
これから家を建てようと考えている方のなかには、パッシブハウスに興味を持っている方もいるのではないでしょうか。しかし興味は持ちつつも、本当に自分たちに合うのか、後悔しないだろうかと不安を感じている方もいるでしょう。

本記事では、パッシブハウスの基本から後悔した具体的な理由、後悔を防ぐためのチェックポイントを解説します。成功と失敗の両面を知れば、自分たちに合った住まい選びができるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。

パッシブハウスとは

パッシブハウスとはどのような住宅でしょうか
パッシブハウスとはどのような住宅でしょうか

「パッシブハウス」とは、少ないエネルギーで一年中快適に過ごせる住宅を指します。欧州を中心に広まり、近年日本でも徐々に注目が高まっている超高性能住宅です。この住宅は冷暖房に頼らず、自然のエネルギーを最大限に活用し、快適さと省エネを両立できる点が期待されています。本章では、パッシブハウスの特徴と、一般的な住宅との違いを見ていきましょう。

パッシブハウスの特徴

パッシブハウスの特徴は、「省エネ」と「快適性」を高度な次元で両立している点です。単なる高断熱住宅とは異なり、建物そのものがエネルギー効率を最大化するように設計・施工されています。南向きに大きな窓を設けて冬の日射を取り込み、庇(ひさし)を利用して夏の日差しを遮る設計などは、自然の力を最大限に活かす「パッシブデザイン」の基本です。

さらに、建物全体を高断熱・高気密仕様にすると、外気の影響を受けにくくし、室内の温度を一定に保てるでしょう。その結果、冬は暖かく、夏は涼しい環境が維持され、冷暖房機器の使用頻度を減らしつつ快適に過ごせるようになります。空気の流れも重視されており、熱交換型の24時間換気システムを採用して、新鮮な空気を取り入れながらも、室内の温度を一定に保ちます。

また、パッシブハウスでは「一次エネルギー消費量」や「年間冷暖房負荷」など、明確な性能基準が設けられており、これらをクリアした住宅だけが認定を受けられます。つまり、快適さは単なる体感ではなく、数値で裏付けられた性能によって保証され、光熱費を抑えつつ、身体にも負荷の少ない居住環境を実現できるでしょう。

一般的な住宅との違い

パッシブハウスは、従来の一般的な住宅と比べて、3つの点で明確な違いがあります。

住宅の性能を数値で管理している

パッシブハウスと一般的な住宅の1つ目の大きな違いは、住宅の性能を数値で管理している点です。一般的な住宅では「快適さ」や「省エネ」などの要素が曖昧になる場合があります。一方、パッシブハウスでは「年間冷暖房負荷:それぞれ15kWh/平方メートル以下」「気密性能(50パスカル加圧・減圧時に漏気回数)0.6回」など、厳格な基準をクリアしなければなりません。

断熱性能に優れている

一般的な住宅との2つ目の違いは、断熱性能が格段に高い点です。壁や床、天井に厚い断熱材を使用し、さらに熱が逃げやすい窓部分には、高性能なトリプルガラスサッシを採用します。そのため、外気の影響を最小限に抑え、室内温度の安定化が図れます。

一方、一般的な住宅ではここまで高い断熱・気密性能を持てるのは稀で、冬は寒く、夏は暑いなどの室内環境のムラが発生しやすい傾向があります。

機密性が高い

3つ目は気密性で、パッシブハウスでは建物の隙間を極力なくしている点が一般的な住宅との違いです。冷暖房効率を高めると同時に、外気の湿気や花粉、PM2.5などの有害物質の侵入も防げるでしょう。

ただし、このような性能を実現するためには、設計や施工に高い専門性が必要になるため、対応できる建築会社が多くありません。また、建築コストも一般的な住宅より高めになる傾向があります。つまり、性能は高い一方で、コストや施工体制に関するハードルも存在するため、取り入れるには、十分な理解と準備が不可欠です。

パッシブハウスで後悔した5つの理由

パッシブハウスで後悔する理由は何でしょうか
パッシブハウスで後悔する理由は何でしょうか

快適性と省エネ性能を兼ね備えた、次世代の高性能住宅として注目されているパッシブハウスですが、実際に住んでみると、「こんなはずではなかった」と後悔する声も少なくありません。性能の高さは確かでも、それゆえの課題や予想外の出費、建て方の制限など、事前に把握しておくべきポイントが存在します。

本章では、特に多く聞かれるパッシブハウスを建てて後悔した5つの理由をピックアップし、それぞれの背景や注意点を見ていきましょう。

施工できる会社が限られる

パッシブハウスを建てようと決意した時、多くの人が最初に直面するのが、施工できる会社が大変少ない現実です。パッシブハウスは、断熱・気密・換気・日射取得など、高度な建築技術と専門的な知識が求められるため、すべてのハウスメーカーや工務店が対応できるわけではありません。

特に地方では対応可能な会社が極めて限られており、選択肢がなく、価格交渉すらできなかったり、信頼できる会社が近くになかったりと悩みが起きやすいでしょう。結果、パッシブハウスを諦めざるをえなかったり、遠方の会社に依頼して追加費用が発生したりする可能性があります。

さらに、経験が浅い施工会社を選んでしまうと、気密や断熱の性能が設計通りに発揮されず、「本来のパッシブハウスの性能を引き出せていない」と後悔するかもしれません。施工ミスが起きやすいのも、パッシブハウスの難しさです。施工会社を選ぶ際は値段やデザインで選ぶのではなく、「パッシブハウスの施工実績があるか」「設計士や職人の知識レベルは高いか」などをよく確認しましょう。

建築費用が高い

パッシブハウスでよく聞かれる後悔した理由の一つが、建築費用が想像以上に高くなってしまう点です。パッシブハウスは、その高い性能を実現するために、一般的な住宅よりも質の高い断熱材、気密性の高い窓、熱交換型の換気システムなど、特別な建材や設備を多く使用します。その分、どうしても初期費用の上昇は避けられません。

さらに、対応できる設計士や施工会社が限られているため、競争が起きにくく、価格が高止まりしている現状もあります。希望する間取りやデザイン、立地条件によって、パッシブハウス仕様に対応させるための追加費用が必要になる場合もあるでしょう。

また、「省エネ住宅だから光熱費が安く済む」と考えてしまい、トータルコストは安くなると考える方も多いですが、それを実感できるのは10年、20年と住み続けてからの話です。建てる時の費用が想定よりも高く、住宅ローンが膨らみ、家計を圧迫するケースもめずらしくありません。

そして、忘れがちなのがメンテナンス費用です。熱交換換気システムや高性能窓などの設備は、定期的なフィルターやパーツの交換が必要で、一般的な住宅よりも若干高い維持費がかかる傾向があります。設備の種類によっては、専門会社に依頼しなければメンテナンスが難しい場合もあるため、長期的な維持費も考慮しておかなければなりません。

冷暖房が完全に不要になるわけではない

パッシブハウスなら冷暖房が要らないと期待して建てたものの、実際に住んでみると、真冬の朝や真夏の午後には、やはりエアコンが必要だったと後悔する場合があります。パッシブハウスはあくまで、少ないエネルギーで快適に過ごせる住宅のため、完全に冷暖房が不要になるわけではありません。

冬の朝に、外気温が氷点下になる地域では、断熱性がどれだけ高くても室温は下がります。また、夏場の強烈な日射や湿度の高さは、冷房や除湿が必要になるでしょう。特に高気密住宅では、一度こもった熱や湿気が逃げにくいため、計画的に空調を使わなければ、快適性が損なわれる場合もあります。

エアコン1台で十分過ごせる事例はたしかに存在しますが、それも日射取得や通風計画がしっかりと設計されていることが前提です。また、立地条件によっては設計通りの性能が発揮されにくいケースもあり、実際には補助的な冷暖房の使用は欠かせません。

パッシブハウスを検討する際は、冷暖房がまったく不要になると期待するのでなく、必要最小限の冷暖房で快適に過ごせると考えるようにしましょう。

食品が傷みやすいケースがある

パッシブハウスに住んでから、野菜やパンがすぐに傷んでしまう可能性があります。これは高気密・高断熱がゆえに、室内の温度と湿度が一定に保たれていることが一因です。常に20~25度前後の快適な温度環境が保たれると、食品が傷みやすい環境になってしまうかもしれません。

特にパンや生鮮食品は、涼しく乾燥した環境での保管が推奨されていますが、家の中の温度や湿度が一定に保たれやすいパッシブハウスの特性上、食材を保管するのに最適な冷暗所が少ない点には注意が必要です。食品の保管場所を工夫したり、冷蔵庫を大型にしたりといった対応が必要になるでしょう。

立地や間取りの自由を制限される

パッシブハウスは性能を最大限に発揮するために、設計や立地条件に多くの制約が課されます。そのため、「理想の土地に建てられなかった」、「希望の間取りを実現できなかった」などの後悔の声もあるのが現状です。

例えば、パッシブハウスは太陽光を活用して熱エネルギーを取得する設計が基本のため、南向きの土地で、周囲に高い建物がない状態が理想になります。しかし、都市部や狭小地などでは、南面の確保が難しく、日射取得量が不足してしまい、本来の性能を引き出せないかもしれません。

また、開口部や庇(ひさし)などの設計も綿密に調整する必要があるため、自由な間取り設計が難しくなる場合もあるでしょう。特に、「吹き抜けを作りたい」、「窓を多く取りたい」などの希望は、断熱・気密性とのトレードオフになる可能性があり、制限がかかります。

さらに、老後の生活を見据えた間取りにしたいと考えても、設計の自由度が低いため、理想通りのプランにできない可能性もあるでしょう。バリアフリーや将来的な介護を見据えた住まいにしたい方は、性能とのバランスを見極めながら計画を立てる必要があります。

設計の自由度や立地条件を妥協せざるをえないケースがある点を理解して、自分たちのライフプランに合うかを慎重に検討しましょう。

パッシブハウスのメリット

パッシブハウスにはどのようなメリットがあるでしょうか
パッシブハウスにはどのようなメリットがあるでしょうか

パッシブハウスの魅力は、住んでみて実感する快適さにあります。四季のある日本でも、冷暖房機器に頼りすぎず快適な室内環境を保てるパッシブハウスは、家族の健康や光熱費の節約、そして将来的な資産価値など、たくさんのメリットがあります。

本章では、パッシブハウスの具体的なメリットを5つご紹介します。

一年中快適な温度と湿度を維持できる

パッシブハウスのメリットは、一年を通して室内の温度と湿度が安定し、快適に過ごせるよう設計されている点です。高性能な断熱材と気密施工、そして計算された日射取得で、外気の影響を最小限に抑えながら、自然の力で室内の快適さを維持します。

例えば、夏は直射日光を庇(ひさし)や遮蔽設計でカットし、冬は低い角度の太陽光を室内に取り込んで暖かさを確保できるでしょう。さらに、熱交換型の24時間換気システムにより、外気を取り込みつつも室温や湿度、空気の質を良好に保ちます。

一般的な住宅では、部屋ごとの温度差が激しく、冷暖房を使っても寒暖差が大きくなる可能性がありますが、パッシブハウスでは家中どこにいても温度のムラが少ない点が特徴。

湿度も40〜60%の快適ゾーンを維持しやすく、夏のムシムシ感や冬の乾燥による肌荒れ・喉の不快感が生じるリスクが低減されるのも魅力です。

冷暖房費が大幅に削減できる

パッシブハウスの大きな魅力の一つが、冷暖房にかかる光熱費を大幅に削減できる点です。高断熱・高気密の構造により、外気の影響をほとんど受けずに室温を一定に保てるため、冷暖房機器をほとんど使用しなくても快適に過ごせるでしょう。

先述のとおり、パッシブハウスは「年間冷暖房負荷15kWh/平方メートル以下」という厳しい基準を満たすための設計が施されます。これにより、エアコン1台で家全体をまかなえるレベルの省エネ性能が実現できるでしょう。

例えば、冬場の暖房費が月に数千円程度で済むケースもあり、一般的な住宅と比べて年間数万円単位の節約が可能になります。光熱費の高騰が続くなか、このメリットは家計に対して大きな影響を与えるでしょう。

さらに、冷暖房機器の使用時間が減ると、機器の寿命も延び、買い替えや修理のコストも削減できるでしょう。初期費用は高めでも、長い目で見れば安く住める家になるのがパッシブハウスの魅力です。

結露・カビの悩みから解放される

結露やカビは、多くの家庭が抱える住まいの悩みの一つです。特に冬場、窓ガラスや壁の表面に結露が発生し、そこからカビが繁殖してしまうことは珍しくありません。健康被害の原因にもなり、見た目も衛生的にも気になる問題です。

しかし、パッシブハウスは結露がほとんど発生しない設計がされており、カビのリスクも大幅に軽減されるでしょう。その理由は、住宅全体が高断熱・高気密仕様で、室内と外気の温度差による表面結露が起きにくい構造になっているためです。

さらに、トリプルガラスや断熱枠を採用した高性能窓、そして熱交換型換気システムの導入により、窓辺や壁際でも快適な温度が保たれ、湿気がこもりにくくなります。常に空気が循環しているため、水回りや押し入れなどの湿気がこもりやすい場所でも、カビが発生しにくくなるでしょう。

結果、掃除の手間の削減、建材の劣化の防止などのメンテナンス面でもメリットがあり、長く清潔に暮らし続けられます。

健康的な生活環境を実現できる

パッシブハウスは、住人の健康を守るための環境が整っている点も大きなメリットです。

まず、24時間稼働する熱交換型換気システムが、外からの新鮮な空気を取り込みつつ、室温をほぼ変えずに排気・給気をおこなってくれるため、常にきれいな空気が循環する状態が保たれます。花粉やPM2.5、黄砂などを取り除くフィルターも備わっており、外気汚染が気になる地域でも安心できるでしょう。

また、家の中の温度差が少ないため、ヒートショックのリスクが大幅に軽減されます。特に冬場、脱衣所やトイレなどが極端に寒くならないため、高齢者や小さな子どもがいる家庭には大きな安心をもたらすでしょう。

温度や湿度が安定していることも、健康的な生活を送れる理由の一つです。乾燥による肌荒れや喉の不快感、湿気によるカビやダニの発生などを抑えられるため、アレルギー体質の方にも適した住環境です。さらに、自然光を効率よく取り入れる設計で、明るく開放感のある室内になるため、心身ともにリラックスした暮らしが期待できます。

資産価値が下がりにくい

家を建てる際に忘れてはならないのが、住宅が将来的に価値を維持できるかという視点です。パッシブハウスは、国内外で高い基準に基づいた性能を持つ住宅であり、将来的にも資産価値が落ちにくい家として注目されています。

特に日本では、築年数が経過するほど建物の価値は低下します。一方で、パッシブハウスのような省エネ性や耐久性、快適性が高い家は、中古市場でも一定の需要があります。高性能な住宅でブランド力があるため、築年数が経ってもある程度価値を維持できるでしょう。

さらに、今後のカーボンニュートラル社会の進展や、住宅の省エネ基準の強化で、エネルギー効率の悪い住宅は市場価値が下がるかもしれません。その点、パッシブハウスは未来を見据えた住宅で、時代のニーズに合った住まいになるでしょう。

また、光熱費の削減や設備機器の寿命延長など、トータルコストで見ればお得な家と考えられます。初期費用が高くても、20〜30年住み続けると経済的なメリットは十分に感じられるでしょう。将来的な売却や相続を考えた時にも安心できる点が、パッシブハウスの魅力です。

パッシブハウスで後悔しないための3つのチェックポイント

パッシブハウスで後悔しないためにどのようにすればよいでしょうか
パッシブハウスで後悔しないためにどのようにすればよいでしょうか

パッシブハウスに住んで後悔したケースの多くは、建てる前の準備や情報不足によるミスマッチが原因です。パッシブハウスは快適で省エネな暮らしを実現できる理想的な住宅ですが、その性能を十分に発揮するためには、いくつかのポイントを押さえなければなりません。

本章では、パッシブハウスで後悔しないために知っておくべき3つのチェックポイントを解説します。これから建てようと考えている方は、ぜひ確認してください。

対応できるハウスメーカーや工務店の選び方

パッシブハウスの成功の鍵を握るのは、どの会社に依頼するかです。高気密・高断熱な家づくりには、専門的な知識と技術、そして経験が欠かせません。下表にパッシブハウスを建てる際の施工会社を選ぶポイントをまとめました。

確認事項
・パッシブハウス認定住宅を建築した実績があるか
・「パッシブハウス・ジャパン」や「国際パッシブハウス認定機関」の登録事業者か
・設計段階から密にやり取りできる体制があるか
・営業・施工担当者との相性は合うか
・気密性に関して、「C値(隙間相当面積)」を数値で提出してくれるか

まずチェックするポイントは、依頼予定の会社がパッシブハウス認定住宅の建築実績を持っているかです。認定制度は厳しい基準があり、過去に対応した経験があるかで、信頼性は大きく変わります。

また、設計士とのコミュニケーションも重視しましょう。パッシブハウスでは日射取得や庇(ひさし)の長さ、窓の配置まで緻密に計算されるため、設計段階から密にやり取りできる体制があるかを確認してください。

予算の立て方と補助金の活用

パッシブハウスを建築する際に大きなハードルとなるのが、費用をどのように準備するかです。高性能な断熱材や窓、換気システムを採用するため、一般的な住宅に比べて初期費用が高くなる傾向があります。

しかし、初期費用は高めでも、将来的には冷暖房費やメンテナンス費用を抑えられるため、長い目で見ればむしろ、経済的な家になる可能性があります。そのため、月々の光熱費やメンテナンス費用をシミュレーションして、30年スパンでの総支出を比較するようにしましょう。

次に、見逃せないのが各種補助金や助成金を活用する方法です。パッシブハウスの建設自体に補助金は出ませんが、省エネ住宅の普及促進のための支援制度はいくつかあります。主な補助金や助成金をうまく活用できるよう、確認しておきましょう。

省エネ住宅建設の主な補助金や助成金(2025年10月時点)

名称 概要
子育てグリーン住宅支援事業
・省エネ性能が高い新築住宅、断熱改修や高効率設備の導入など省エネ性を高めるリフォーム、子育てしやすい住環境への改善工事をおこなう場合に受けられる補助金制度
・補助金額は、GX志向型住宅(160万円)長期優良住宅(80万円)ZEH水準住宅(40万円)など
戸建住宅ZEH化等支援事業
・新築一戸建てのZEH化を支援する制度
・ZEH基準を満たす住宅(55万円/戸)、性能をさらに強化したZEH+住宅(90万円/戸)など

なおZEH(ゼッチ)とは、エネルギー消費を大幅に抑え、太陽光発電などで年間のエネルギー消費量を実質ゼロにする住宅です。パッシブハウスを建設するなかで、助成金の対象となる工事が含まれていれば、申請できるでしょう。もし、子育てグリーン住宅支援事業や戸建住宅ZEH化等支援事業を取得できるとすると、数十万円〜100万円以上の補助金を受けられるかもしれません。

また、地域によっては、自治体独自の補助金制度がある場合も。家を建てる前に、自分の住むエリアで利用可能な制度をしっかりリサーチしておきましょう。資金計画を立てる際には、建物本体の価格だけでなく、設計費、付帯工事、諸経費まで含めた全体予算を明確にする点が重要です。

自分のライフスタイルと合っているかを見極める

どれほど高性能な住宅でも、自分たちのライフスタイルと合っていなければ、住んでから後悔する可能性があります。パッシブハウスは快適性と省エネ性能を両立した住まいですが、それらを最大限に活かすには、暮らし方との相性が大切です。

例えば、「窓を開けて風を取り入れたい」、「季節によって模様替えやインテリアを変えたいなど」、自然通風や柔軟な住まい方を好む方は、気密性や空調バランスの面で不便を感じるかもしれません。常に閉め切った空間に抵抗がある方にはストレスを感じる場合もあるでしょう。

また、家族構成や将来のライフプランも重要です。今は夫婦2人でも、将来的に子どもが増えたり、親と同居したり、ライフスタイルが変化する可能性があるなら、その変化に対応できる設計にしなければなりません。パッシブハウスは設計段階での自由度が限られる可能性があるため、将来の暮らしを事前にイメージしておくようにしましょう。

さらに、家の手入れや空調の使い方に対する意識も問われます。高気密・高断熱の住宅では、適切な換気やフィルター交換などのメンテナンスが必要です。メンテナンスに無関心なままでは、せっかくの性能を活かしきれないかもしれません。自分の暮らしに本当にフィットするのか、家族の価値観と合っているか、見極めが肝心です。

パッシブハウスに関するよくある質問

パッシブハウスに関するよくある質問をまとめました。

パッシブハウスとはどのような住宅?

パッシブハウスとは、自然のエネルギーを活かしつつ、高気密高断熱で、快適かつ省エネな暮らしを実現する高性能住宅です。南向きの窓や庇、熱交換型換気システムなどを活用し、室温や空気を安定して保てるでしょう。明確な省エネ・気密基準を満たした住宅のみが認定され、健康的で光熱費のか負担が少ない暮らしが可能です。ただし、建築には高度な技術が必要で、コストもかかるため、慎重な施工会社選びや余裕のある資金計画の立案が欠かせません。

パッシブハウスにはどのようなメリットがある?

パッシブハウスは、冷暖房機器に頼る必要が少なく、光熱費を大幅に削減できる点で優れています。また、結露やカビが発生しにくく、室内の空気が清潔に保たれるため、健康的な生活環境を実現できるでしょう。24時間換気システムで花粉やPM2.5も抑えられ、温度差が少ないことでヒートショックのリスクも軽減されます。さらに、将来的には省エネ性能が高く評価され、中古住宅市場でも資産価値が落ちにくいとされており、経済的メリットも高いです。

パッシブハウスで後悔する理由は何?

パッシブハウスで後悔する主な理由は、次の5つです。

  • 施工会社の選択肢が少ない
  • 建築費が高い
  • 冷暖房が完全不要ではない
  • 食品が傷みやすい
  • 設計や立地に制限がある

パッシブハウスは省エネで快適な暮らしを実現できる一方、実際に住んでみると後悔する方も少なくありません。

パッシブハウスで後悔しないためにはどうすればいい?

パッシブハウスで後悔しないためには、「信頼できる施工会社の選定」「予算計画と補助金活用」「ライフスタイルとの相性確認」が欠かせません。

パッシブハウスは理想的な住宅になりえますが、性能を活かすには準備が重要です。まず、パッシブハウスに対応できる実績ある施工会社を選びましょう。C値の数値提出や、設計段階での丁寧な打ち合わせができるかがポイントです。

次に、補助金や助成金の活用も忘れずにチェックしましょう。最後に、自分たちの暮らし方に合った住まいかを見極めることも大切です。事前の調査を惜しまず、後悔のない住まいづくりを実現しましょう。

まとめ

本記事では、パッシブハウスの特徴やメリットを整理し、実際に後悔する人が多い5つの理由とその対策を解説しました。実績豊富な施工会社を選び、資金計画を立て、補助金を活用し、暮らし方との相性を確認することが、後悔を防ぐ重要なポイントになります。

パッシブハウスは快適で省エネな住まいを実現できる反面、性能を活かすための事前準備が不可欠です。これから家を建てる方は、この記事を参考に、自分たちの価値観やライフスタイルに合った住まいをじっくり検討し、後悔のない家づくりに役立ててください。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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