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【実例】小上がり和室は後悔する?メリット・デメリットとおしゃれな建築事例を紹介

【実例】小上がり和室は後悔する?メリット・デメリットとおしゃれな建築事例を紹介
段差を設けて床を一段高くした「小上がり和室」は、収納スペースの確保や空間にメリハリをつけられることから、注文住宅やリノベーションで人気のスタイルです。リビングの一角に取り入れやすく、実用性とデザイン性を兼ね備えているのが魅力といえるでしょう。

一方で、「掃除がしにくい」「思ったより活用できなかった」など、実際に暮らしてから後悔する声もあります。本記事では、小上がり和室のメリット・デメリットを整理し、おしゃれな建築実例とあわせてご紹介します。設計や間取りに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

小上がり和室とは?

小上がり和室は多目的に活用できる人気の高いスペースです
小上がり和室は多目的に活用できる人気の高いスペースです

小上がり和室とは、床面より一段高く設けた畳スペースを指し、リビングの一角に取り入れられることが一般的です。基本的には畳のほか、収納引き出しや掘りごたつなどを備える場合もあり、多目的に活用できます。

段差による空間のゾーニングや奥行き感の演出に優れており、くつろぐ空間や子どもの遊び場、来客時の客間など、柔軟な使い方ができるのが魅力です。リフォームや新築のどちらにも対応しやすく、人気が高まっています。

小上がり和室のメリット

小上がり和室のメリットを紹介します
小上がり和室のメリットを紹介します

小上がり和室は、段差を活かした設計により、多目的に使える便利なスペースです。ここでは、小上がり和室の主なメリットを4つ解説します。

さまざまな用途に使える

小上がり和室は、単なるリラックススペースにとどまらず、さまざまな用途に対応できる柔軟性が魅力です。リビングと程よく空間が区切られているため、在宅ワークや読書、趣味に集中したいときにも活用しやすく、家事や子どもの遊び場としても重宝します。

また、来客時には簡易的なゲストルームとして使えたり、布団を敷いて寝室代わりにできたり、使い方の幅は広いでしょう。ライフスタイルや家族構成の変化にも柔軟に対応できるところが、小上がりならではの大きなメリットといえます。

段差に座ったり寝転んでくつろげる

段差があることで座ったり寝転んだりしやすく、くつろぎ空間としての快適さが高まります。床より一段高い位置にあるため、畳の上で直接体を預けても冷たさや硬さが気になりにくく、リラックスした姿勢で過ごせます。

また、段差部分をソファ代わりに腰かける使い方も可能で、来客時には臨時の座席としても活躍します。フローリングとは違った柔らかな座り心地や温もりがあり、自然と足を運びたくなる心地よいスペースになるでしょう。

子どもの遊び場になる

小上がり和室は、子どもにとって遊び心をくすぐる魅力的な空間として活用できます。段差のあるスペースはまるで「秘密基地」のような存在になり、日常の遊びをより楽しくしてくれます。また、リビングと緩やかに区切られているため、親が家事をしている間も目が届きやすく、安心して遊ばせることができます。

さらに、床下収納を活用すれば、おもちゃや絵本の片づけもスムーズになるでしょう。育児と家事を両立したい家庭にぴったりの、多機能で頼れるスペースです。

収納スペースが増える

小上がり和室の大きな魅力のひとつが、段差を活かした床下収納です。畳の下に引き出しや収納スペースを設けることで、季節家電や来客用の布団、子どものおもちゃなどをすっきりと片づけられます。収納家具を追加せずに済むため、空間を圧迫せず、部屋全体を広く見せられるのもうれしいポイントです。

特に、収納が限られているマンションやコンパクトな住宅では、スペースを有効活用できる実用的なアイデアとして非常に人気があります。

小上がり和室のデメリット

小上がり和室のデメリットを紹介します
小上がり和室のデメリットを紹介します

小上がり和室は多機能で便利な一方、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、小上がり和室の主なデメリットを4つ解説します。

怪我のリスクがある

段差があるため、赤ちゃんや高齢者がいる家庭では、怪我のリスクに注意が必要です。特に、幼児は遊びに夢中になって後ろに転倒したり、段差につまずいてしまったりすることも。段の高さが中途半端でも意外と危険なため、安全面で考慮した設計が求められます。

掃除の手間が増える

段差がある小上がり和室は、掃除の手間が増えます。特に、お掃除ロボットを活用している場合は段差を超えられないため、小上がり部分だけはご自身での掃除が必要です。リビングと一体で掃除ができないため、掃除の手間を感じることもあるでしょう。

バリアフリーに不向き

段差が魅力の小上がり和室ですが、その段差が将来的な暮らしの妨げになる可能性があります。足腰が弱くなったときや介護が必要になった場合、昇り降りが負担となり、安全性に課題が残ります。車いすや歩行器の使用にも対応しづらく、バリアフリーな住まいづくりを考えている方には不向きです。

圧迫感がある

段差によって空間に変化を生み出せる一方で、部屋全体が狭く見えてしまうこともあります。特に、リビングの広さや天井の高さに余裕がない場合、圧迫感を抱きやすくなるでしょう。マンションなど限られた空間では、小上がり部分が視覚的に空間を分断し、開放感を損ねてしまいます。設計前に、部屋全体のバランスや家具の配置の入念なシミュレーションが必要です。

【実例4選】おしゃれな小上がり和室のある注文住宅

小上がり和室は、実用性とデザイン性を兼ね備えた人気のスペースです。段差による空間の変化や、畳のやさしい質感を取り入れることで、暮らしに心地よさをプラスします。ここでは、おしゃれで実用的な小上がり和室を取り入れた、注文住宅の実例を紹介します。間取りやテイストの工夫も合わせて、理想の住まいづくりの参考にしてみてください。

多目的に使える小上がり和室

多目的に使える小上がり和室
勾配天井で広い空間を演出する、アメリカンスタイルな平屋/出典:(株)コスモホーム

小上がり和室は、キッズスペースやくつろぎ空間、家事や作業スペースとしても活躍する多目的空間です。室内ジャングルジムを置けば、子どもにとって安心・安全な遊び場に早変わり。段差下には引き出し収納が設けられており、おもちゃや日用品をすっきりとできるのも便利なポイントです。さらに、奥の窓からは自然光が差し込み、明るく開放的な雰囲気に。ライフスタイルや家族構成に合わせて、柔軟に使えるのが小上がりの魅力です。

カウンター付きの小上がり和室

カウンター付きの小上がり和室
北欧風×小上がり和室プラン/出典:ワウハウス(株)

ナチュラルな木目と淡いグリーンがやさしい印象の小上がり和室。カウンターが設置されており、在宅ワークやリモート学習、家事スペースとしても活用できる実用性の高いつくりです。奥には収納棚と飾り棚があり、書類や小物、本などを機能的に整理できるだけでなく、インテリアとしても映えるデザイン。コンパクトながらも、書斎のような落ち着きを感じさせる空間です。

約3畳の小上がり和室

リビングの一角に設けられた約3畳の小上がり和室は、空間に自然と溶け込むような心地よさが魅力です。畳の上に腰かけてお茶を楽しんだり、ちょっと横になったりするにもぴったりな高さで、ソファ代わりのベンチのようにも使えます。木の風合いを活かした内装が、空間全体にぬくもりを与えており、下部にはしっかりとした収納スペースも確保。リビングと緩やかにつながりながらも、ほどよく独立したスペースです。

ゆるやかなカーブを描く小上がり和室

やわらかなカーブを描く小上がり和室が、空間に優しいアクセントを加え、全体に落ち着いた雰囲気を与えています。窓辺に面した配置は自然光をたっぷり取り込めるため、穏やかな時間を過ごすのにぴったり。床や天井の素材感が活かされたシンプルな内装に観葉植物が映え、心地よい癒しの空間を演出しています。ホッとひと息つける静かな畳スペースとして、暮らしにやさしく寄り添っています。

後悔しない小上がり和室をつくるためのポイント

小上がり和室をつくるためのポイントを紹介します
小上がり和室をつくるためのポイントを紹介します

小上がり和室はおしゃれで便利な一方で、「使いづらかった」「圧迫感がある」と後悔の声も少なくありません。そうした失敗を避けるためには、ライフスタイルや家族構成に合った設計が重要です。ここでは、後悔しないための具体的なポイントを解説します。

用途に応じた設計をする

小上がり和室をつくる際は、まず「どのように使いたいのか」を明確にすることが大切です。例えば、仕事や勉強のスペースにしたい場合は、カウンターや適切な照明を設けることで作業効率があがります。

一方で、リラックスできる空間を目指すなら、座り心地や寝転びやすさに配慮した設計が求められます。用途の明確化で、必要な広さや収納、設備などの具体的な条件も見えてくるため、満足度の高い空間づくりにつながります。

設置場所を考える

小上がり和室の設置場所は、空間の使い勝手や居心地に大きな影響を与えます。例えば、庭やバルコニーに面した場所に設ければ自然の光や風を感じながらくつろげる、開放感のあるスペースになります。

ただし、段差があることで、外との動線が妨げられるケースもあるため注意が必要です。ウッドデッキと段差をうまくつなげたり、隣接するリビングや廊下との高さを調整したりと、設計段階での細やかな配慮が快適な空間づくりのポイントとなります。

段差の高さは身長や天井高を考慮にいれて決める

小上がり和室の段差の高さは、使いやすさと快適さを左右する重要なポイントです。高くしすぎると視線が上がって天井との距離が縮まって圧迫感が増し、背の高い人には窮屈に感じることもあるでしょう。一方、低すぎると床下収納の容量が減り、空間を緩やかに仕切る効果も弱まります。

目安として天井まで2m以上を確保し、昇降しやすい30〜40cm程度を基準に、子どもや高齢者の安全にも配慮しましょう。家族それぞれの身長や利用目的に合わせて微調整し、必要に応じて手すりや踏み板を設ければ、快適で実用性の高い小上がりが実現できます。

一般的な広さは3~4.5畳

小上がり和室の広さは、一般的に3~4.5畳がよいとされています。広すぎると空間を持て余してしまい、逆に狭すぎると寝転んだりくつろいだりするのが難しく、使い勝手に不満を感じることもあるためです。大人2人が並んで横になれる程度の広さがあると、休憩や作業スペースとしても重宝します。

また、リビングとつながる配置の場合は圧迫感が出ないよう、全体の間取りとのバランスや動線にも配慮して設計すると、快適な空間に仕上がります。

間仕切りの有無を考える

小上がり和室の間仕切りを設けるかは、空間の印象や使い勝手に大きく影響します。間仕切りがあると、来客時の寝室や書斎としてプライベートな使い方ができる反面、圧迫感を感じやすくなってリビングとのつながりが弱まることもあるでしょう。

一方で、オープンなつくりにすれば開放感があり、リビングとの一体感が生まれて広々とした印象が生まれます。ただし、プライバシーは確保しにくくなる点に注意してください。将来的な用途変更も想定し、ロールスクリーンやカーテンなどで後から仕切れる設計にしておくと安心です。

まとめ

小上がり和室は、リビングの一角に程よい変化を加えられる人気のスタイルです。くつろぎスペースや子どもの遊び場、在宅ワーク、来客用寝室など、さまざまな用途に対応できる柔軟さと、床下を活用した収納力が大きな魅力です。

ただし、段差による転倒リスクや掃除の手間、圧迫感など、暮らしてみて感じるデメリットもあるため注意しましょう。失敗を防ぐためには、ライフスタイルや家族構成に合った設計を心がけることが大切です。おしゃれな実例を参考に、理想の住まいをかたちにしてみてくださいね。

小上がり和室とは?

小上がり和室とは、床より一段高く設けられた畳スペースのことで、リビングの一角などに設置されることが多く、収納や空間のアクセントとしても活躍します。

小上がり和室のメリット・デメリットは?

小上がり和室のメリットは、多用途性やくつろぎ、子どもの遊び場、収納力と使い方の選択肢が多いこと。一方のデメリットは、ケガのリスク、掃除の手間、バリアフリーに不向き、圧迫感などがあげられます。

後悔しない小上がり和室をつくるポイントは?

小上がり和室の用途に応じた設計、適切な設置場所、段差や広さのバランス、間仕切りの有無などを事前に検討し、ライフスタイルに合った設計を心がけましょう。

執筆者

西嶋治美

心理教育学科を卒業後、約10年間金融機関にて従事。2016年よりライター活動を開始。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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