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【実例】犬と暮らす家づくりのアイデアまとめ!専門家による愛犬の習慣に適した間取りを解説

犬と快適に過ごせる家づくりのアイデアをご紹介
犬と快適に過ごせる家を建てたいものの、どのような間取りがいいのかわからないという方も少なくないでしょう。せっかく家を建てるなら、自分の好みだけでなく愛犬の健康や安全、ストレス軽減など、快適に暮らせるように配慮してあげたいですよね。この記事では、犬と暮らす家づくりのアイデアや、犬に適した間取りを実例付きでご紹介します。家づくりを考える上で役立つ犬の習性や特徴も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

犬を飼うのに注文住宅がおすすめの理由

犬を飼うのに注文住宅がおすすめの理由とは?
犬を飼うのに注文住宅がおすすめの理由とは?

犬と暮らすなら、人も犬も快適に過ごせる仕様にできるのが注文住宅の魅力です。以下で注文住宅がおすすめの理由を具体的にご紹介します。

大型犬が飼える

注文住宅であれば、小型犬だけでなく中型犬や大型犬とも暮らすことができるうえ、多頭飼いもしやすいのが特徴です。昨今は賃貸や分譲マンションでもペット可の物件も増えてきましたが、多くのマンションでは体重10kg以下や小型犬のみなど、管理規約で犬のサイズが定められています。そのため、なかなか中型犬や大型犬と暮らすことはできません。たとえ大型犬の飼育を認めてもらえたとしても、エレベーターやエントランスなどの共用部分は抱っこやキャリーなどの使用を求められ、実際の暮らしは難しいでしょう。

そのため、小型犬よりも大きなサイズの犬と暮らしたい場合は、一戸建て住宅のほうが適しています。そして、吠え度合いや運動量等、愛犬の習性や性格などを踏まえ、愛犬との暮らしに合わせられる注文住宅なら、さらに暮らしやすくなるでしょう。

多頭飼いができる

犬種に制限がないだけでなく、多頭飼いができるのも注文住宅のメリットです。注文住宅は、自分の「持ち家」であることから、賃貸物件に必ずあるペット飼育に関する管理規約に縛られることはありません。賃貸物件では飼育頭数を1匹や2匹までとしているところがほとんどのため、多頭飼いをしたい場合は注文住宅がよいでしょう。
特に大型犬を飼っている場合においては、玄関やリビングの広さなども自由に決められるのは注文住宅ならではのポイントです!

犬にとって安心・安全な家をつくることができる

犬と暮らすうえで注文住宅がおすすめの最大の理由は、犬にとって安心・安全な家をつくることができることです。犬の特徴や習性はもちろん、性格や健康状態に配慮した仕様にできるのは、注文住宅ならではのメリットでしょう。

犬のための家を作る前に……犬の習性を理解しよう

犬にはどのような習性があるのでしょうか
犬にはどのような習性があるのでしょうか

犬のための家をつくるためには、犬の「本能的な習性」を理解してあげることが大切です。人にとって快適な空間でも、犬にとってはストレスの原因になることもあります。ここからは、犬の習性について解説します。

運動・遊びが好き

犬は自由に走り回ったり追いかけっこしたり、ものを取ってきたり、引っ張り合いをしたりと、狩猟本能を刺激する遊びが大好きです。特に運動量を多く必要とする柴犬やビーグル、ボーダーコリー、コーギー、ジャックラッセルテリアなどの犬種では、室内でも十分に遊べるスペースの用意が欠かせません。
運動や遊びは、ストレス軽減などのためにも重要です。適度に体を動かせる環境が整っていないとストレスが溜まってしまい、体調不良や問題行動の原因となることがあります。

穴を掘るのが好き

その昔、犬は外敵から身を守るために巣穴を掘って寝床にしたり、獲物を隠したりして暮らしていました。このことから、野生の名残で穴を掘ることが好きです。穴掘りを止めるのはストレスとなってしまうので、ガーデニングスペースとは別に、穴を掘ってもよい場所を用意してあげるといいでしょう。

狭いスペースが好き

犬はもともと巣穴で暮らしていたことから、狭いスペースのほうが落ち着く傾向にあります。リビングなどにクレートやケージなど「自分だけの居場所」を用意してあげると、犬も安心して過ごせるでしょう。

窓の外を眺めるのが好き

犬は自由に外に出ることができないため、窓の外を眺めることを好む傾向にあります。窓の高さを犬の目線に合わせてあげたり、窓際にベンチや犬用のステップを設けたりするなど、外の様子を観察できる「お気に入りの場所」を作るとよいでしょう。

ひとりぼっちが苦手

犬は群れで暮らしていたことから、ひとりぼっちが苦手な傾向にあります。リビングや寝室など、家族がいる時間の長い場所に犬が安心して過ごせる場所を用意してあげましょう。

暑さが苦手

犬は汗をかける汗腺が肉球と鼻先にしかないため、体内に熱がこもりやすく、暑さが苦手です。梅雨時期や夏場などは熱中症のリスクが高まるため、室内の温度管理が重要になります。特に、子犬やシニア犬は体温調整がうまくできないことから、暑さ対策には十分に配慮してあげてください。

犬にとって危険なものを知ろう

犬にとって危険なものとは?
犬にとって危険なものとは?

犬と暮らすうえで、安全面には十分に配慮してあげる必要があります。安全と思える室内でも、犬にとって危険なものは少なくありません。目が届かない留守番時や就寝中などに、事故が起きないようにしましょう。ここからは、日常生活のなかで犬にとって危険なものを解説します。

電気コード類

犬は好奇心旺盛なため、電気コードを噛んでしまうことがあります。また、子犬は歯の生え変わりで口の中に不快感を覚えますが、物を噛むことで不快感が和らぐため、何でも噛んでしまいます。電気コードなどを噛むと感電や火災のリスクがあるため、コードはカバーで覆うか、犬の届かない場所に配置しましょう。

刺激の強いアロマオイル

犬にとって禁忌とされるアロマオイルは、主に以下の通りです。

アニス / オレガノ / ウィンターグリーン / ウォームシード / カラマス / カンファー / カシア / クローブ / サッサフラス / サンタリナ / ジュニパー / セイボリー / タイム / タンジー / バーチ / ビター・アーモンド / ヒソップ / マグワート / マスタード / ラベンダーストエカス / ルー / ワームウッド / ヤロー

体調不良のリスクや肝機能へ負担をかける恐れがあるため、これらのアロマオイルは使用しないようにしてください。
ただ、これらのアロマオイルは人間でも刺激が強く、一般的ではありません。また、犬に使用できるアロマオイルであっても、原液を舐められてしまうのは危険なため、アロマオイルの管理にも十分に注意してください。

有害となる観葉植物

インテリアとして人気の観葉植物ですが、犬によって有害となる観葉植物もあります。特に危険な観葉植物は、以下の通りです。

アイビー(ヘデラ)、ポトス、ポインセチア、アロエ、ユリ科

これらは口にしてしまうと中毒症状を起こす可能性もあるため、観葉植物を飾る場合は犬の届かない場所に置いてください。

有害となる食べ物

犬にとって有害となる食べ物の一例には、以下の食材があります。

ねぎ類、チョコレート、ココア、ぶどう、レーズン、キシリトール、アボカド等

これらの食材は命にかかわることもあり、誤って口にしてしまったときは早急に動物病院を受診してください。

また、生ゴミを漁って食べられてしまったということもめずらしくありません。生ごみの処理に注意するのはもちろん、キッチンに自由に入ってこられないよう、ゲートなどで仕切りましょう。

犬にとって快適な家をつくるポイント

犬にとって快適な家をつくるには?
犬にとって快適な家をつくるには?

ここからは、犬と暮らす家をつくるうえで重要となる、犬にとって快適な間取りや設備などのポイントをご紹介します。

回遊動線を意識する

犬は室内でもよく歩き回ります。LDKや廊下、玄関などが回遊できる動線になっていると、犬の運動不足の軽減にも役立つでしょう。

犬の居場所を作る

階段下のデッドスペースを活用した犬小屋や、リビングの一角にサークルやケージなど、愛犬専用のスペースを用意してあげることで安心して過ごせます。

滑りにくく掃除がしやすい床材を選ぶ

フローリングなどの滑りやすい床は、犬の足腰に負担をかけてしまいます。滑りにくいクッションフロアやコルク材、タイルカーペットを検討するとよいでしょう。近年はペットの滑りに配慮したフローリングなどもあり、掃除のしやすさも考えられています。

消臭効果のある壁材を選ぶ

犬の体臭やトイレのニオイ対策として、消臭・調湿効果のある壁材を取り入れてみてもよいでしょう。特に多頭飼いの場合にもおすすめです。

犬の目線に合わせた窓を設ける

犬の目線に合わせた低めの窓を設けてあげることで、外の景色を眺められる快適な居場所ができるでしょう。

換気と室温の管理をする

熱中症のリスク軽減や体の負担を軽減するためにも、適切な温度・湿度を保つための換気システムや空調設備の配置も重要です。

玄関付近に足洗場を設ける

基本的に、犬は毎日の散歩が必要です。散歩後に足を洗えるスペースを玄関や勝手口付近に設けると、家の中を清潔に保つことができるでしょう。

犬用の収納スペースを設ける

リードやおもちゃ、ケア用品など犬用品は意外と多いものです。愛犬専用の収納スペースがあると整理整頓しやすく、暮らしが快適になるでしょう。

階段の傾斜は低くする

シニア犬や小型犬にとって、急な階段は足腰への大きな負担となります。緩やかな傾斜の階段やスロープの設置を検討しましょう。

ソファやベッドは高さの低い物を選ぶ

ソファやベッドに飛び乗る・飛び降りる動作は、犬の関節に負担をかけてしまうほか、ケガの原因になります。低めのソファやベッドを選んだり、犬用ステップを活用したりするとよいでしょう。

【実例】犬が快適に暮らせる住まいを紹介

ここでは、実際に犬と快適に暮らせるように工夫された住まいをご紹介します。

階段下のデッドスペースを活かした愛犬専用ルーム

階段下のデッドスペースを活かした愛犬専用ルーム
愛犬と暮らす 白×グレーの家(出典:(株)アーキテックプランニング

階段下の空間に愛犬専用の小部屋を設けることで、落ち着ける「自分だけの居場所」が完成します。通気性はもちろん、犬が何をしているか確認しやすいよう考慮されています。

足腰の負担を考えた専用スロープ

足腰の負担を考えた専用スロープ
愛犬と暮らす家(出典:(株)大原建設 本店

安心して移動できるように、段差のないスロープを設置しています。足腰への負担が軽減されるだけでなく、移動時のケガ防止にもなります。

庭にドッグランスペースを併設

庭にドッグランスペースを併設
愛犬が駆け回れるドックランのある平屋(出典:(株)カスケホーム カスケの家

庭にドッグランを設置し、いつでも自由に走り回れる環境になっています。大型犬や運動量の多い犬種にもおすすめです。

愛犬のいたずら防止にも役立つカップボード

愛犬のいたずら防止にも役立つカップボード
床暖房+大空間で実現、大型犬との快適な日々(出典:(株)一条工務店

犬のいたずら防止のため、開き戸ではなく引き出し式のカップボードを採用しています。カップボードにすることで、誤飲・誤食の防止になります。

外の景色がたっぷり臨める大きな掃き出し窓

外の景色がたっぷり臨める大きな掃き出し窓
【2階建て 6LDK】住み繋ぐ居室充実の家(出典:(株)アーキテックプランニング

大きな掃き出し窓を設け、愛犬がお気に入りの場所で外を眺めることができます。暖かい日は日光浴もでき、健康維持に役立ちます。

愛犬の散歩は玄関を通らずにデッキから出入り

愛犬の散歩は玄関を通らずにデッキから出入り
【日本庭園付き】築33年の一戸建てリノベーション事例「子どももペットも遊べて食事も楽しめるウッドデッキを実現

玄関を通らずにウッドデッキから出入りできる動線設計なので、雨の日の玄関の汚れも最小限に抑えることができます。

玄関には飛び出し禁止の柵を設置

玄関には飛び出し禁止の柵を設置
ドッグラン付きペットショップを併設した住まい(出典:リンクワークス(株)

玄関の出入り口にゲートを設置することで、犬の飛び出し事故を防止できます。来客時に人に飛びついたりすることもないため安心です。

まとめ

犬と快適に暮らす家づくりには、犬の習性や安全性を考慮した細やかな設計が欠かせません。注文住宅であれば、犬のサイズや性格、ライフスタイルに合わせた間取りを自由に実現できまるでしょう。これから家づくりを検討する方は、本記事でご紹介したアイデアや実例を参考に、愛犬と人がともに心地よく過ごせる住まいを作ってみてください。

望月紗貴

執筆者

望月紗貴

一般社団法人愛玩動物健康管理協会 代表理事、日本UI動物医療リゾート株式会社 取締役副社長。ペット用品やペットフードの受託開発、受託栄養設計、法人向け社内セミナー等の事業をおこないながら、自社の売上で譲渡しない動物保護シェルターを運営。愛玩動物救命士、犬猫行動アナリスト、犬の管理栄養士を中心に14種類以上のペット関連資格を保有。愛犬5頭、愛猫3匹と暮らしています。

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