ウッドデッキに固定資産税はかかる?テラス囲いやサンルームとの比較と設置する際の注意点を解説
本記事では、ウッドデッキと固定資産税の関連性や固定資産税の概要、かかる条件、計算方法などを解説します。住宅は建ててゴールではなく、建ててからがスタートです。建てたあとにかかる費用も踏まえたうえで、計画を立てましょう。
記事の目次
ウッドデッキに固定資産税はかかる?

注文住宅でウッドデッキを採用した場合、そのウッドデッキには固定資産税がかかるのでしょうか。結論を言えばウッドデッキには固定資産税の課税対象にはなりにくいでしょう。そこで本章では、固定資産税とは何なのか、どういったものに固定資産税がかかるのかをわかりやすく解説します。
固定資産税とは
固定資産税とは、土地や家屋といった資産の所有者が、資産が所在する自治体に毎年納める税金のこと。固定資産税がかかる家屋は、地方税法の第341条で次のように定められています。
税額は、国が定めた評価基準に基づいて自治体が決めた評価額に、一定の税率をかけて求めます。適正な評価をするため、土地と家屋は3年に一度評価が見直されることを把握しておきましょう。
固定資産税がかかる3つの条件
不動産登記規則第111条では、建物の定義を次のように定めており、これを満たす建物には固定資産税が課されます。
具体的にすると、「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」の3つの要件に分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
外気分断性
外気分断性とは、屋根と周壁があり、外から遮断されて雨や風をしのげる空間が形成されていることです。そのため、屋根があり、三方向以上が壁に囲まれている構造であれば、固定資産税の課税対象となります。
土地への定着性
土地への定着性も、建物に固定資産税がかかる条件の一つです。土地への定着性とは、建物が基礎工事などで土地に固定され、永続的にその場で使用できることを指します。そのため、コンクリートブロックの上にコンテナや物置を置いただけのものは、土地への定着性が認められず、固定資産税はかかりません。しかし、同様の設置でも、電気や水道の引き込みがされており、すぐに移動できない場合は課税対象となります。
用途性
建物に固定資産税がかかる条件の一つとして、用途性も挙げられます。用途性とは、目的に応じて利用できる状態にあることです。例えば、建築途中の未完成な住宅は、人が住める状態にないため、用途性があるとはいえません。反対に、完成すれば人が住めるようになり、本来の目的を果たせる状態にあるため、用途性があるといえるでしょう。
これまでの条件を踏まえると、屋根や囲いがない一般的なウッドデッキであれば、外気分断性がないと判断されることから、固定資産税はかかりません。
固定資産税がかからないウッドデッキ

外気分断性、土地への定着性、用途性の3つの要件を満たさなければ、固定資産税はかかりません。それでは具体的にどのようなウッドデッキが、固定資産税がかからないのか、例を挙げながら見ていきましょう。
屋根のみのウッドデッキ
屋根のみがあるウッドデッキは、固定資産税がかかりません。外気分断性を判断する基準は、屋根だけでなく、三方向以上を壁で囲まれていることです。そのため、屋根のみがあるウッドデッキの場合は、固定資産税がかからないことになります。例えば、屋根と柱のみで構成されているカーポートも固定資産税はかかりません。
ブロック基礎のウッドデッキ
ウッドデッキの土台にブロックを使用し、地面の上に置いただけの状態であれば、固定資産税はかかりません。置いただけの状態は、移動や撤去が可能であり、土地への定着性がないと判断されるためです。ただし、ブロックで隙間を埋め、4カ所をボルトで固定するといった措置が取られている場合は、移動が不可能になるため、定着性があるとみなされ、固定資産税がかかります。
リノベーションであと付けされたウッドデッキ
リノベーションであとから設置されたウッドデッキは、基本的には固定資産税がかかりません。固定資産税がかかるかは、新築時の設置の有無ではなく、これまでに解説した3つの要件を満たすかで判断されます。そのため、屋根や周壁がない基本的なウッドデッキであれば、あと付けされたウッドデッキでも固定資産税はかかりません。
しかし、屋根や壁で囲われ、土地にしっかりと固定されている場合には課税対象となることがあります。また、自治体によって判断が異なる可能性もあるため、事前に確認しておくと安心でしょう。
独立したウッドデッキ
住宅に固定せず、庭に単独で設置するウッドデッキも、屋根や壁がなければ外気分断性がないとみなされ、固定資産税はかからないでしょう。また、基礎が簡易的な場合も、土地への定着性がないとみなされ、固定資産税の要件を満たしません。さらに、仮に3つの要件を満たしていても、固定資産税評価額が20万円以下であれば、固定資産税の課税対象外です。ただし、自治体によって判断が異なるため、事前に問い合わせて確認するといいでしょう。
固定資産税がかかるウッドデッキ以外の外構

ウッドデッキ以外にも、外構にはさまざまな種類があります。本章では、固定資産税がかかる外構を見ていきましょう。
サンルーム
サンルームとは、屋根や壁をガラス張りにし、日光を効率よく取り入れられる部屋のことです。洗濯物を干したり、セカンドリビングにしたりと、さまざまな目的で設置されます。サンルームには屋根があり、壁も三方向以上囲まれているため、雨風から完全に遮断されている空間です。
また、住宅と同じ基礎で固定されることから容易に移動できません。さらに、特定の目的に使用できる状態にあることから、家屋の3つの要件を満たすため、固定資産税がかかります。
テラス囲い
テラス囲いとは、屋根を付けて周りをパネルやサッシ窓で囲った空間のことです。ガラスを使用するサンルームと違い、テラス囲いはポリカーボネートという建材を使用。また、サンルームは住宅の基礎と同じですが、テラス囲いは柱で屋根を支えます。簡易的ではあるものの、地面に固定されており、屋根や壁があることから、固定資産税がかかる可能性があります。自治体によって判断が異なるため、事前に問い合わせると安心でしょう。
ガレージ
車を停めるガレージも、固定資産税の対象となる外構の一つです。屋根と三方向以上の壁またはシャッターで囲まれた構造であれば、外気分断性があると判断されます。また、基礎工事で土地に固定されていて、簡単に移動できない状態であれば、土地への定着性もあるとみなされるでしょう。最後に、車を停めるという明確な目的があるため、用途性の要件も満たします。
3つの要件を満たすことから、固定資産税がかかります。一方で、屋根と柱のみで構成されるカーポートは壁がないことから、外気分断性がなく、固定資産税の対象とはなりません。
ウッドデッキの固定資産税はいくら?

基本的に固定資産税がかからないケースが多いウッドデッキですが、構造によっては課税対象になります。ウッドデッキに固定資産税がかかる場合、実際にはいくらかかるのかが気になるところではないでしょうか。ここでは基本の計算式を確認し、シミュレーションしてみましょう。固定資産税の計算式は次のとおりです。
- 固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%
1.4%は標準の税率であり、自治体によって異なります。また、固定資産税評価額とは、自治体が対象となる固定資産をいくらで評価したのかを示した金額です。ウッドデッキの場合、工事費用の半分が目安とされています。それでは、ウッドデッキの工事費用が50万円だった場合の固定資産税を計算してみましょう。
(50万円 × 50%)× 1.4% = 3,500円
今回の場合、固定資産税額は3,500円となりました。計算すると微々たるものですが、所有する限りは毎年発生するものであるため、忘れないようにしましょう。
ウッドデッキを設置する際の注意点

ウッドデッキを設置する際には、いくつかの注意点があります。あとから「こんなはずではなかった……」と後悔しないためにも、ポイントを押さえておきましょう。
1階と2階で扱われ方が異なる
ウッドデッキと聞くと、1階にある庭と面する場所に設置するというイメージを持つ方が多いと思いますが、2階にウッドデッキを設置することも可能です。1階に設置する場合は、構造によって固定資産税が非課税になることも。
しかし、2階に設置する場合は、バルコニーと同じ扱いになることがあり、建築面積に含まれます。建築面積に含まれるということは、家屋とみなされるため、固定資産税がかかります。ウッドデッキでも、1階と2階のどちらに設置するかによっても固定資産税の有無が変わるため、設計段階からよく検討しましょう。
建ぺい率に含まれるかどうか確認する
ウッドデッキを設置する際は、建ぺい率に含まれるかを自治体によく確認しましょう。建ぺい率とは、敷地面積に対して建物が占める面積の割合のこと。例えば、30坪の土地の場合、建ぺい率が60%であれば、建てられる建物の面積は18坪です。特に、屋根や壁を備えたウッドデッキは、建ぺい率に含まれる可能性があります。
ウッドデッキが建築面積に含まれるにも関わらず、建ぺい率をオーバーした状態でウッドデッキを設置すれば、違法建築に該当し、ペナルティを科されるおそれも。自治体によって判断が異なるため、事前に確認しましょう。
近隣住民へ配慮する
ウッドデッキを設置する際には近隣住民への配慮が必要です。民法の235条では、次のように定められています。
つまり、ウッドデッキを隣の家から1m未満の位置に設置する場合、フェンスなどの目隠しを付けなければなりません。たとえ1m以上離れていたとしても、ウッドデッキから隣の家を覗き込めるようになっていれば、トラブルの原因になることも。事前に話をして了承を得ておくことで、今後も良好な関係を築けられるでしょう。
まとめ
本記事では、ウッドデッキの固定資産税について解説しました。固定資産税がかかるかは、外気分断性、土地への定着性、用途性の3つの要件を満たしているかで変わります。自治体によっても判断が異なるため、問い合わせたほうが確実でしょう。
また、サンルームやテラス囲いなど、屋根や周壁があるケースは、固定資産税がかかります。固定資産税は毎年発生するため、納め忘れのないように注意しましょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ


