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30坪の家を建て替える費用の内訳は?建て替えのポイント・注意点を解説

30坪の家を建て替えるなら余裕をもった予算の確保が重要です
30坪の家を限られた予算で建て替えるなら、かかる費用の内訳と目安を知りたいところです。家の建て替えは解体から住宅を新築するまで、さまざまな費用が発生し、建て替えを開始すると想定しない費用が発生することも。そのため、ある程度余裕をもって予算を確保しましょう。

この記事では、30坪の家を建て替える際の費用の内訳と主な目安、さらに建て替えにおけるポイントと注意点を解説します。記事を読むことで、特定の坪数の家を建て替える費用がわかるようになり、具体的な計画を立てられるでしょう。近々建て替えを検討中の方はぜひ本記事を参考にしてください。

30坪の家を建て替える費用の内訳

家の建て替えにはさまざまな費用がかかります
家の建て替えにはさまざまな費用がかかります

30坪の家を建て替えるにあたって、主に発生する費用の内訳を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

解体費用

家の建て替えで最初にするべきことは、既存の建物を取り壊す解体工事です。木造住宅の場合は、一般的に坪単価3万1,000円~4万4,000円が目安であり、30坪の家であれば解体費用は93万円~132万円程度。

ただし、建材によって解体費用が変化します。鉄筋コンクリート造であれば坪単価の目安が3万5,000円~8万円に上昇するため、解体費用は105万円~240万円程度になるでしょう。

建物の構造、築年数などによっても解体費用は変動します。解体費用には廃材の分別処理・運搬などの作業で発生する費用も含まれます。また、家の周辺にある庭木・建物の外にある構造物を撤去する場合は費用が別途かかることも。

解体工事を請け負う会社によって異なりますが、解体費用は100万円以上の資金がかかりやすく、場合によっては200万円を超えることもあるでしょう。

地盤調査・地盤改良費用

家を建て替えるにあたって、安全に長く住み続けるために地盤の状態を確認する地盤調査が必要です。具体的な地盤調査の種類には、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)、ボーリング調査があります。

一般的な小規模の建築物の地盤調査では、費用が安価であるSWS試験が用いられることが多く、目安としては5万円〜10万円前後で調査可能です。調査結果で地盤が軟弱であると判明した場合は、基礎を安全に支えるために地盤改良工事が必要になります。

地盤改良工事は工法によって相場が異なるため、主な3つの工法における、一坪あたりの目安と30坪の家にかかる費用の例をまとめました。

工法の種類 一坪あたりの
費用の目安
30坪の
費用の目安
表層改良工法 2万円~3万円 60万円~90万円
柱状改良工法 3万円~5万円 90万円~150万円
鋼管杭工法 4万円~6万円 120万円~180万円

支持する地盤の深さによって適切な工事の種類が異なるため、工事にかかる費用は60万円~180万円程度と差があります。調査で問題がないと判断されれば、ほとんど費用はかかりませんが、地盤改良費用がかかると費用が大きく増加します。

建築費用

新築する住宅の建築費用は、建て替え費用のなかでも、もっとも大きな割合を占めます。国土交通省のデータでは2023年の首都圏における注文住宅の平均建築費用は5,466万円、面積は約40.3坪です。

よって、1坪あたりの建築費用は約135万円。30坪に換算すると4,050万円が建築費用の平均といえるでしょう。ただし、首都圏の平均であるため、郊外・地方で30坪の家を建設する場合は、この平均に当てはまらないかもしれません。

また、ハウスメーカーのなかでもローコストを得意とするハウスメーカーを利用することで、建築費用を削減するなどして、平均よりも下回ることも可能です。

建築する住宅の立地、設計条件によって変動しますが、建て替え費用のなかでもっとも大きな割合を占めるため、建築費用の金額によって最終的な建て替え費用の大部分が決まります。

その他の費用

家の建て替えにおいて、諸費用にあたる費用は以下のとおりです。

  • 各種申請にかかる費用
  • 不動産取得税などの税金
  • 登記のために必要となる費用
  • 火災保険などの保険料

家の建て替えにかかる諸費用は、建築費用全体の3%~7%程度になります。4,050万円を建築価格と仮定すると121.5万円~283.5万円になるでしょう。

また、建て替えでは工事期間中の住環境を確保するために、引越し費用と仮住まいの費用を用意する必要があります。仮住まい期間は、解体工事と新築工事の期間を考えると半年が目安です。

さらに、引越し費用は既存の住宅から仮住まい、仮住まいから建て替え先の新居の2回発生します。建て替えでは解体費用・建築費用に該当しない、その他の出費が多く発生するため、余裕をもった予算計画を立てましょう。

平均値から建て替えにかかる費用を計算

30坪の家を建て替えるためにはさまざまな費用がかかりますが、合計でかかる費用の目安は建て替え費用の平均から計算できます。国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」では、建て替えにかかる資金の平均が5,745万円、建て替え後の住宅の平均面積が約36.6坪と発表されています。

よって、36.6坪の家の建て替えにかかる資金が5,745万円と仮定すると、30坪あたりの建て替えにかかる資金は約4,709万円です。平均的な水準の30坪の家を建て替えるのであれば、目安になる数値といえるでしょう。

30坪の家を建て替えるポイント

30坪の家を建て替えるポイントを紹介します
30坪の家を建て替えるポイントを紹介します

30坪の家を建て替えるためのポイントを以下にまとめました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

複数の会社で相見積もりを取る

家の建て替えでは、解体から新築までの複数の工程について、それぞれの工事に対して見積もりを取得することが重要です。複数のハウスメーカーや工務店から見積もりを取ることで、サービス内容・価格を比較して最適な内容を選択できます。

無駄な費用や不必要なサービスに対する出費を抑えられるため、一社の見積もりで判断しないようにしましょう。複数社の見積もり比較を通じて、もっともコストパフォーマンスが高く、希望に沿った提案をしてくれる会社を選ぶことで、建て替えが成功しやすくなります。

解体と新築を同じ会社に任せる

建て替えでは解体工事と建設工事を同じ会社に依頼すれば、工事をスムーズに進められます。プロジェクト全体で統一した品質管理がおこなわれるため、工事ごとに個別に会社を選定する場合に比べて、工程間のトラブルが発生しにくいでしょう。

また、解体・建設を一括で依頼する場合は、契約条件・金銭面で優遇を受けやすいため、結果的に質の高い住環境を安い費用で実現できる可能性が高まります。会社を一括で選ぶ場合は、評判や過去の施工事例から、信頼できるかどうかを判断することが重要です。解体と新築を同じ会社に任せる場合も、複数社で相見積もりを取りましょう。

費用は余裕をもって確保する

家の建て替えでは、さまざまな追加費用や予期せぬ出費が発生する可能性があります。予算の設定では、見積もった金額に加えて余裕資金を確保しておくようにしましょう。余裕資金は最低限、半年分の生活費に加えて、まとまった資金を用意すると安心です。

ただし、自己資金だけでは余裕をもって建て替えの費用を用意することは難しいかもしれません。そのため、後述する住宅ローンを活用して、確保できる現金を増やすことが重要です。

住宅ローンを活用する

30坪の家の建て替えでは数千万円以上の資金を必要とするため、自己資金で賄うことは難しいでしょう。家の建て替えを自己資金で十分に賄えない場合は、金融機関から融資を受けることで余裕のある資金計画を実現できます。

住宅ローンは、通常のローンと比較して、利用目的が定められていることから金利が安く、30年以上の返済期間を設定して長期にわたって返済できるローンです。家の建て替えで発生する初期費用を大きく抑えて、借入金を少しずつ返済できることから、家計も安定しやすくなります。

また、建て替えで住宅ローンを組む場合は、建て替え前の住宅ローンの残債と合わせて返済できる建て替えローンも利用可能。ローンも工事の見積もりと同様に、複数の金融機関で金利などを比較して選ぶことが重要です。

引越しの時期を考慮する

建て替えでは、現住居から仮住まい、そして新居へと2回のタイミングで引越しが発生します。引越し費用は時期によって変動することから、新生活が始まる春先など繁忙期を避けるようにしましょう。

可能であれば5月や11月、1月など一般的に閑散期といわれる時期に、引越しのタイミングを合わせたいところです。引越し費用を削減できれば、建て替えにおける全体の費用の節約につながります。

専門家に相談して総合的なアドバイスを受ける

建て替えを適切におこなうには、多くの専門知識と経験が必要です。不動産会社、ハウスメーカーの専門家から、豊富な知識と事例をもとにアドバイスを受けられます。資金計画を相談したい場合は、家計の金融の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談しましょう。

専門知識を求められる幅が広いことから、ご自身だけでは建て替えのすべてを把握することは難しいといえます。相談は複数の専門家に相談して、各分野のプロフェッショナルとの連携が重要です。

30坪の家を建て替える場合の注意点

30坪の家を建て替える場合に気をつけるべきことを紹介します
30坪の家を建て替える場合に気をつけるべきことを紹介します

30坪の家を建て替える場合の注意点をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

家の階数によって費用が変わる

同じ30坪の面積であっても、家の階数によって費用は大きく異なります。一般的に高階層であるほど、家全体の面積が広くなり、耐震補強などの構造強度を高める費用が増加します。2階建てと3階建てでは、3階建てのほうが建て替え費用が高くなることから、費用を安くするなら2階建てを選択したほうがいいでしょう。

ただし、2階建てにすると現在では部屋数が十分であっても、将来的に必要になる子どもの部屋などを確保できない場合があります。将来のライフプランを考えたうえで、必要になる部屋数を確保できる階数を選択しましょう。

平屋が安いとは限らない

家の階数が少ないほど建て替え費用を抑えられるため、平屋が一番安いと考えるかもしれません。しかし、30坪の平屋と2階建てを比較すると、平屋は建物全体の水平方向の広がりが大きいため、屋根の基礎面積が2階建ての床面積よりも大きくなることも。

そのため、施工費用が高くなり、場合によっては2階建ての住宅よりも費用が増加する可能性があります。また、平屋の天井が高い場合、断熱や日射の調整にも工夫が必要になるため、設計の自由度が制限される点にも注意しましょう。

将来にわたって快適に暮らせる構造を考える

建て替えをするなら、大規模なリノベーションを必要としない、長期にわたって快適に暮らせる構造を考えましょう。建て替えをおこなう動機はさまざま考えられますが、現在の住環境に不満があることが理由として考えられます。

短期的な住環境の充実のみを考えると、再び建て替えを検討したくなるかもしれません。その結果、再び建て替えや大規模なリノベーションが必要になり、より費用が大きく増加します。

例えば、将来的に子どもが巣立ち夫婦二人暮らしになるなど、今後予想されるライフスタイルの変化に対して、間取りや構造面を工夫して、最低限の増改築・リフォームで対応できるように設計するといいでしょう。

予算が不足している場合は床面積を縮小する

予算の関係で30坪の家を建てることが難しい場合は、床面積の縮小も検討しましょう。床面積を減少させれば、建て替え費用の一部を減らすことができます。また、大きい家ほど固定資産税がかかりやすいことから、将来的にかかる固定資産税の税負担を減少させる効果も期待できます。

ただし、狭い家と広い家を比較した際に、1坪あたりの単価は狭い家のほうが高くなる傾向にあります。なぜなら1坪当たりの坪単価は「本体工事費÷延べ床面積」となるためです。
ケースによっては、床面積を縮小させることで節約できる費用は限定的になるでしょう。

しかし、設計時点の見積もりを比較して床面積を縮小したほうが、建て替え費用の節約を期待できる場合は、30坪の面積にこだわらないことも選択肢になります。

リフォーム・リノベーションも検討する

全面的な建て替えをするよりも、部分的なリフォームやリノベーションで現状の住宅の問題を解決できる可能性があります。特に、現在の予算では建て替えが難しい場合は、コストを大幅に抑えられるリフォーム・リノベーションを検討したいところです。

現在の住宅の基礎部分を十分に利用できる場合は、必ずしも全面的な建て替えを選ぶ必要はありません。リフォーム・リノベーションで理想的な住環境を実現できるか、専門家の意見も参考に総合的に判断してみましょう。

まとめ

30坪の限られた空間でも、計画段階でさまざまな要素を十分に検討すれば、将来の変化に柔軟に対応できる理想の住環境を目指せます。単純なコストだけではなく、生活における快適性も含めて考慮すれば、コストパフォーマンスの高い住宅を建設できるでしょう。建て替えには幅広い専門知識が必要であるため、個人のみで計画を最適化することは困難です。そのため複数の専門家からアドバイスを受けましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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