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土地購入にかかる諸費用はいくら?諸費用のシミュレーションから抑える方法まで解説!

土地の購入時にかかる諸費用を解説します
マイホームを建てるにあたり、住み慣れたエリアや憧れのエリアに建てたいと思う方は多いでしょう。土地を購入する際には、土地価格以外にもさまざまな費用がかかります。しかし、何にどれくらいかかるのか、想像が付かない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、土地の購入時にかかる諸費用を解説します。

また、1,000万円と2,000万円の土地を購入した際の諸費用のシミュレーションもおこないます。諸費用は原則として現金で支払うことなるため、余裕を持って準備しておかなければなりません。必要な時に慌てることのないよう、事前に押さえておきましょう。

土地の購入時にかかる諸費用の内訳

土地の購入時には手付金や仲介手数料などさまざまな費用がかかります
土地の購入時には手付金や仲介手数料などさまざまな費用がかかります

まず、土地の購入時にかかる諸費用には、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。

手付金

手付金とは、土地の売買契約を結ぶ際に、買主が売主に支払うお金のことです。買主が売主に対して、購入の意思を示すためのものととらえるとわかりやすいでしょう。契約を履行した場合、手付金は売買代金に充てられます。もし売主が契約を解除したい場合は、買主は手付金の2倍の金額を受け取れます。一般的に、手付金は土地価格の10%程度。なお、不動産会社が売主の場合、宅地建物取引業法により、手付金の上限額は土地価格の20%と定められています。

仲介手数料

仲介手数料は、売買の仲介をおこなった不動産会社に対して、サービスの対価として支払うものです。宅地建物取引業法により、手数料の上限は次のように定められています。

売買価格 仲介手数料の上限額
200万円以下 売買価格×5%+消費税
200万円超〜
400万円以下
(売買価格×4%+2万円)+消費税
400万円超 (売買価格×3%+6万円)+消費税

あくまで上限であるため、範囲内であれば不動産会社が自由に設定できます。なお、仲介手数料は2回に分けて支払うことが一般的。1回目は売買契約時、2回目は引き渡し日に支払います。ただし、不動産会社が所有する土地を購入した場合や、仲介を依頼していない場合は仲介手数料がかかりません。

印紙税

印紙税とは、売買契約書などの文書に貼付することで納める税金です。印紙税の金額は、契約金額に応じて次のように定められています。
なお、2027年3月31日までは、軽減措置が取られています。

契約金額 本則 軽減税率
(2027年3月31日まで)
500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超え5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超え1億円以下 6万円 3万円
1億円超え5億円以下 10万円 6万円
5億円超え10億円以下 20万円 16万円
10億円超え50億円以下 40万円 32万円
50億円超え 60万円 48万円

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

登記費用

登記費用には、登録免許税と登記を依頼する司法書士への報酬料が含まれます。登録免許税とは、土地の所有権を公に証明する手続きをおこなう際に支払う税金です。売主から買主に土地の所有権が移転した際、所有権の移転の登記をおこないます。計算式は次のとおり。

土地の所有権移転登記における登録免許税 = 固定資産税評価額 × 2.0%

なお、2024年の税制改正により、こちらも2026年3月31日まで軽減措置が適用されており、税率は1.5%となります。司法書士への報酬料は、司法書士によっても異なりますが、1件あたり3〜5万円が相場となります。

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物などの不動産を取得した際に、不動産が所在する都道府県に納める税金です。計算式は次のとおり。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 ×4%

なお、こちらも軽減措置が適用されており、2027年3月31日までは3%です。また、土地を先に取得し、3年以内に住宅を新築して一定の条件を満たす場合、一定額を軽減できます。

固定資産税・都市計画税

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や住宅などの固定資産を所有している方に課される税金です。都市計画税は、固定資産が市街化区域内にある場合に課されます。それぞれの計算式は次のとおりです。

固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4 %
都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3 %

なお、固定資産税の税率1.4%は標準税率であり、地方自治体によっては異なる場合があります。都市計画税は0.3%が上限とされており、地方自治体によっては低く設定されている可能性もあります。

また、土地の売買を年の途中でおこなった場合、固定資産税・都市計画税は日割りで精算します。

土地の購入時に必要になる可能性がある諸費用

購入する土地によっては測量費用や地盤改良の工事費用などが必要になります
購入する土地によっては測量費用や地盤改良の工事費用などが必要になります

土地を購入する際にかかる費用を見てきました。しかし、場合によっては別の費用がかかることもあります。本章では、土地の購入時に必要になる可能性がある諸費用を解説します。

測量費用

測量とは、土地の面積や形状、隣地との境界線などを測ることです。土地の境界線がはっきりしないまま住宅を建ててしまうと、のちに大きなトラブルに発展してしまいます。また、住宅を建てる位置や大きさを決めるためにも、土地の正確なデータが必要です。

測量費用の目安は30〜60万円程度。売主が負担するケースが一般的ですが、買主が負担するケースもあります。測量をする必要があるのか、費用はどれくらいかかるのかなど、不動産会社へ確認しておきましょう。

地盤改良工事の費用

地盤調査をおこない、地盤改良が必要と判断された場合、工事をしなければなりません。例えば地盤が弱い場合、時間が経つにつれて地盤沈下が起こり、住宅が倒壊する可能性も。工事をすることで、地盤を頑丈にし、住宅の安全性を高められます。工法には3種類あり、それぞれの相場は下表のとおりです。

工法 坪単価
表層改良工法 1〜2万円程度
柱状改良工法 2〜3万円程度
鋼管杭工法 4〜6万円程度

軟弱な地盤が地表からどれくらいの深さまであるかによって、工法が変わります。軟弱な地盤が地表から深くまであるほど、改良工事費用も高額になります。

しかし、地盤調査をおこなってからでなければ、改良工事の必要性が判断できません。そのため、最初から予算に組み込んでおくことをおすすめします。ハウスメーカーであれば、周辺地域の地盤調査の結果が蓄積されています。事前に地盤調査が必要か聞いてみるといいでしょう。

農地転用の費用

購入を検討している土地が農地だった場合、他の用途に転用する際には、農地が所在する自治体の農業委員会を経由して都道府県知事などから許可を受けなければなりません。手続き自体には費用がかかりません。しかし、必要書類の作成を行政書士などに依頼する際に報酬料がかかります。相場は10〜20万円程度とされています。

上下水道の整備費用

購入する土地が農地だった場合や宅地でなかった場合、上下水道が整備されていない可能性があります。この場合、上下水道を引き込む工事が必要です。上下水道を引き込む場合には、「水道加入金」を地方自治体に支払わなければなりません。なお、地域によって「水道施設分担金」「受益者負担金」など名前が変わります。また、地方自治体やメーターの口径によって、金額も変化します。上下水道の整備が必要な場合は、事前に確認しておきましょう。さらに、給水管の引き込み工事をおこなう場合、30〜50万円ほどかかります。

融資の手数料・保証料

土地を購入して住宅を建てる際、つなぎ融資や土地先行融資を利用するケースがあります。通常、住宅ローンは住宅が完成し、引き渡しがおこなわれる日に融資が実行されます。そのため、土地を購入して住宅が完成するまでの間は、住宅ローンが利用できません。

しかし、土地を購入しなければ建築工事ができないため、土地の購入費用を自己資金でまかなう必要があります。自己資金を用意できない場合に利用できる融資が、つなぎ融資や土地先行融資です。つなぎ融資は無担保、土地先行融資は土地を担保にして融資を受けます。どちらも手数料や保証料がかかる場合があるため、事前に金融機関に確認しておきましょう。

土地購入時の諸費用の目安は?徹底シミュレーション

土地の購入時の諸費用がどれくらいかかるのかをシミュレーションします
土地の購入時の諸費用がどれくらいかかるのかをシミュレーションします

土地を購入する際には、さまざまな諸費用がかかります。現金で支払わなければならないものもあるため、ある程度の資金を用意しておかなければなりません。そこで本章では、土地価格が1,000万円と2,000万円の2パターンでシミュレーションをおこないます。ぜひ参考にしてみてください。

土地価格1,000万円の場合

まずは、土地価格が1,000万円の場合の諸費用をシミュレーションしてみましょう。なお、固定資産税評価額は700万円、手付金は土地価格の10%と仮定しています。また、カッコ内は軽減措置を適用した金額(2024年12月時点)です。

項目 金額
手付金 100万円
仲介手数料 39万6,000円
登録免許税 14万円
(10万5,000円)
印紙税 2万円
(1万円)
固定資産税 9万8,000円
都市計画税 2万1,000円
不動産取得税 28万円
(21万円)
合計 195万5,000円
(184万円)

最低限必要と思われる諸費用をピックアップしましたが、200万円近くとなりました。諸費用だけでも高額になることがわかります。

土地価格2,000万円の場合

次に、土地価格が2,000万円の場合の諸費用を見てみましょう。なお、固定資産税評価額は1,400万円、手付金は先ほどと同様、土地価格の10%と仮定しています。

項目 金額
手付金 200万円
仲介手数料 72万6,000円
登録免許税 28万円
(21万円)
印紙税 2万円
(1万円)
固定資産税 19万6,000円
都市計画税 4万2,000円
不動産取得税 56万円
(42万円)
合計 382万4,000円
(360万4,000円)

諸費用だけで380万円を超え、土地価格と合わせると2,400万円弱かかることがわかります。また、土地価格が高くなるほど、諸費用も増えることがよくわかるでしょう。

土地の購入時にかかる諸費用を抑える方法

土地の購入時にかかる諸費用を抑える方法を解説します
土地の購入時にかかる諸費用を抑える方法を解説します

土地の購入時にはさまざまな諸費用がかかり、シミュレーションすると何百万円と高額になることがわかりました。しかし、諸費用を抑える方法はいくつかあります。本章では、土地の購入時にかかる諸費用を抑える方法を解説します。

市街化調整区域の土地を選ぶ

市街化調整区域の土地を選ぶと、諸費用を抑えられます。市街化調整区域とは、無秩序な市街化を防止するために指定された地域のこと。すでに市街化されていたり、これから市街化を計画的に進める市街化区域と比較して、土地価格が低い傾向にあります。土地価格が低ければ課税評価額も低いため、結果として諸費用を抑えられます。また、都市計画税もかかりません。

ただし、建物を建てる際には許可を得る必要があります。場所によっては、水道やガスなどのインフラが整っていないことも。そのため、市街化調整区域の土地を購入する際には、許可が得られるか、地方自治体や行政書士などの専門家に確認をしましょう。

不整形地を選ぶ

不整形地を選ぶことで、諸費用を抑えられます。不整形地とは三角形や台形など、形状が複雑な土地のこと。不整形地は建物を建てる際に設計の工夫が必要となり、扱いにくいため、形が整っている土地よりも価格が低く設定されているケースが多いです。

また、土地価格の評価をする際にも、形状が複雑であることを理由に、低く評価される傾向にあります。そのため、土地価格が抑えられ、結果として諸費用も抑えられるでしょう。しかし、建物の設計に工夫が必要になったり、一部のスペースが有効活用できなかったりなど、デメリットもあります。不整形地を選ぶメリット・デメリットを比較し、自分に合った土地を選びましょう。

不動産会社が売主の土地を選ぶ

土地の購入時にかかる諸費用を抑える方法として、不動産会社が売主の土地を選ぶ方法もあります。不動産会社を通して土地を購入する場合、仲介サービスに対する対価として、仲介手数料が発生します。そのため、不動産会社が所有している土地を購入する場合は、仲介手数料がかかりません。シミュレーションでも見たように、土地価格が1,000万円の場合は仲介手数料として39万6,000円かかるため、諸費用を大幅に抑えられるでしょう。

なお、分譲地であれば、仲介手数料はかかりません。分譲地とは不動産会社が土地を買い取って、住宅を建てられるように区割りして販売する土地のことです。土地の広さが決まっているため、購入した分譲地の範囲内で設計をしなければなりません。しかし、すぐに住宅を建てられるよう、電気やガス、水道などのインフラが整っている点がメリットです。分譲地がないか、不動産会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

古家付きの土地を選ぶ

古家付きの土地を選ぶことも、諸費用を抑える方法の一つです。古家を解体しなければならないため、更地よりも土地価格が低く設定されている傾向にあります。また、売主にとっては固定資産税などの税負担がかかることから、早く売却したいと考え、値引き交渉に応じてくれる可能性も。土地価格を低く抑えられれば、それに応じて諸費用も安くできます。しかし、解体費用がかかり、古家の状態によっては高額になることも。そのため、解体費用を考慮して、メリットがあるかを判断しましょう。

建築条件付きの土地を選ぶ

諸費用を抑える方法の一つとして、建築条件付きの土地を選ぶことも挙げられます。建築条件付きの土地とは、特定の建築会社で住宅を建てることを条件として販売されている土地のこと。建築条件付きの土地は、一般的な土地よりも価格が低く設定されています。それは、建築会社は住宅の建築によって利益を得られるため、その分土地の価格を抑えているからです。

また、土地の所有者が建築会社の場合、仲介手数料はかかりません。ただし、建築会社が指定されるため、間取りやデザインなど、希望どおりにいかない可能性もあります。メリット・デメリットを踏まえたうえで、よく検討しましょう。

まとめ

本記事では、土地の購入時にかかる諸費用を解説しました。土地を購入する際には、手付金や仲介手数料、税金など、さまざまな費用がかかります。現金で支払わなければならないものもあるため、余裕を持って用意しましょう。また、不整形地や古家付きの土地などは、土地価格が低いことから、諸費用を抑えられる可能性があります。しかし、それぞれデメリットもあるため、よく検討したうえで購入しましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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