Room02  

2012.5.25

自分らしく生きたいとがんばる“GIRL”たちの住まい

“デキる女”聖子の部屋

美術監督 黒瀧きみえ

女性が直面する一大事──ファッション、恋愛、仕事、結婚、etc…。 ワーキング・ガール4人の生き方を、ユーモラスに、そして切実に描いた『ガール』。『60歳のラブレター』『神様のカルテ』を手掛けた深川栄洋監督の最新作です。見どころの一つが、ライフスタイルを反映させたそれぞれの部屋のつくり込み。リアリティがありつつも“生活感”からは距離を置いた絶妙な〈浮き具合〉を視覚化した、美術監督の黒瀧きみえさんにお話をお聞きしました。

第一線で活躍するキャリアガール・聖子の部屋

麻生久美子さん演じるバリバリ仕事をしていて、ダンナよりも稼ぎがいい聖子の部屋の撮影は、劇中の設定同様、青山の高級マンションを使用しました。気を遣ったのは、聖子が持っているかわいらしさを伝えること。”生意気な女の家”にはしたくなかった。”かわいさ”の表現をカーテンなどのファブリックに頼ると幼くなると考えて、動物のモチーフを持ってきました。しかも額絵ではなく、壁に動物の絵をバンと描くことで、聖子の強さとやさしさを重ねたんです。
また、ダンナはオーディオ愛好家という設定で、その部屋づくりはリラクゼーションを意識しました。床のカーペットとクッションを中心に全体的に重心を低くして、色合いは大地のイメージのアースカラーに。これは、ダンナが一人で趣味に浸るのではなく、“妻をいたわるために音楽を聴かせてリラックスさせる夫”というニュアンスを空間に盛り込みたかったからです。二人が洗面台に立つシーンで使用したのは、本来寝室である部屋に手を加えたものです。「夜景が窓に映り込むアングルから撮影しよう」という監督のアイデアで、バルコニーから撮りました。壁面はこの撮影のためにしつらえたもので、ここにはカバを描きました(笑)。
聖子夫婦の住まいは同じマンション二戸の空間を組み合わせて撮影された。いずれもメゾネットタイプ(二フロアからなる物件)。
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#76(2012年6月号 4月18日発売)
『ガール』の美術コンセプトを語る黒瀧さんのインタビューを掲載中
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プロフィール

黒瀧きみえ

kurotaki kimie
神奈川県生まれ。劇団四季の美術部を経て、フリーの舞台美術家へ。やがて活動フィールドを拡げ、現在は映画界でも美術監督として活躍。おもな作品に『60歳のラブレター』(09・深川栄洋監督)、『曲がれ!スプーン』(09・本広克行監督)がある。
ムービー

『ガール』

監督/深川栄洋 原作/奥田英朗 脚本/篠崎絵里子 主題歌/西野カナ 出演/香里奈 麻生久美子 吉瀬美智子 板谷由夏 上地雄輔 要潤 林遣都 波瑠 加藤ローサ 向井理 檀れい 配給/東宝 (12/日本/124min)
29歳にして「女の子はいくつになってもお姫様」と信じてやまない由紀子(香里奈)。大手不動産会社に勤務する“デキる女”、聖子(麻生)。おしゃれも恋愛も面倒くさくなってきた、容子(吉瀬)。6歳の息子を持つシングルマザー、孝子(板谷)。生きづらさを感じながらも「自分らしく生きたい」とがんばる“GIRL”たちの言い分を、フェアに、活き活きと描く群像劇。5/26~全国東宝系で公開
©2012 “GIRL”Movie Project
『ガール』公式HP
https://twitter.com/girl_movie
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