テーマ:二次創作 / 白雪姫

森のおうちでお姫さまごっこしよう

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「ブドウの口車には、乗らない」
「ねえってば。リンドウがいないんですけど」
再びムササビが聞くと、みんなはやっと聞く耳を持ちました。
「王子様にでも連れて行かれたんじゃないかな?白雪姫だから」
クリが冷静に解説すると、ハトもうんうんとうなずきました。
「あきらめな、ムササビ。白雪姫っていうのはいずれ森のおうちを巣立って行く者なんだからさ」
「オレ、さがしてくる」
ムササビが立ちあがったので、カキがムササビのシャツを引っ張ってとめました。
「やめなよ、外はもう暗いよ」
「そうだよ、せめてリンドウがなべに作り置いて行ったカレーを食べてから行けば。カレー、オワカレー、お別れ、ははーん、なるほどな」
「いや、カレーは偶然だと思うぞ」
トンビはブドウにツッコミを入れつつも顔をくもらせました。
「今度は、カキが白雪姫か。嫌な予感がする」
結局、ムササビはおいしくカレーを頂き、翌朝、一晩寝かせたカレーをもりもり食べてから、リンドウを探しに出て行ってしまいました。七人の小人たちは五人になりました。
「ちょっと、白雪姫。指でつつーっとしたら、ほら、まだこんなに汚れてるよ。まったくグズなんだから」
「はい、すみません小人様」
「おーい白雪姫、ぼくのパンツはどこだい。ノーパンじゃあ舞踏会に行けないよ」
「はい、すみません小人様。って、ハトもブドウもやめてよね。ぼくはシンデレラじゃなくて白雪姫だよ」
「あははは、ごめん、ごめん。じゃあ、白雪姫、ぼくらは仕事に行ってくるからね。ちゃんとひとりでおるすばんできるかい?」
ブドウがカキのほっぺたを指でつつくと、カキは真面目にうなずきました。
「できるさ……じゃなくて、はい、できますわよーだ」
「それもなんか違う気がするけど、かわいいから許す」
「クリはカキに甘いねえ」
にやにやしながらハトが挑発するのを無視して、クリはカキの目をのぞきこんで注意しました。
「白雪姫、くれぐれも言っておきますが、悪い魔法使いがやってきてもついて行ってはいけませんよ。あいつは金目当ての詐欺師ですからね」
四人の小人たちが森のおうちへ帰って来ると、案の定白雪姫はいなくなっていました。
「ああー、やっぱり馬鹿にるすばんは無理だったか」
トンビは天井を仰ぎました。
テーブルの上には手紙が置いてあります。
「森のおうちの小人さんたちへ。小さい白雪姫は預かった。返してほしければ金を持って城まで来い。悪い魔法使いより」
クリは手紙、もとい脅迫状を読むと、有り金全部リュックにつめて血相を変えて出て行ってしまいました。

森のおうちでお姫さまごっこしよう

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