4月期
なつにとける
ラムネを飲み干して瓶を下ろした時に、からん、と瓶の中にあるビー玉が音を立てた。先程聞こえた鈴の音のことを思い出し、でもこんな音じゃなかったと思いながら自分の目線の高さにビー玉があるように瓶を持ち上げた。
すると世界が輝いた。
太陽の光にビー玉が当たったのだろう。その様子は凄く神秘的で、ああ神社だからかな、なんてことをふと思った。
きらきらと周りの景色が輝きだして、神社の境内は輝いて。ラムネの瓶の中のビー玉は、からんころんと音を立てて。どこかから鈴の音が聞こえてくる、りんりんと。風が吹いて木々が揺れた、ざわざわと音を立てて。ビー玉が、鈴が、木々が、鳴って。世界は輝いて煌めいて金光り、世界はこのようにも美しく。全部が一緒くたになって、混ざり合って、溶け合って。そして、
「あ、」
私も溶けた。
夏に、溶けた。
溶けて、世界と一つになった。
馬鹿みたいに暑い、世界が輝いていた、夏の日の午後のことだった。
なつにとける