7月期
テーマ:お隣さん
小さい隣人
一歩一歩。慎重に私はその世界の中を歩んでいく。
その時、どこかで声がした。咆哮のような、私には意味が全くつかめない声だ。
その瞬間、大きな影が私を包み込み、思わず見上げる。私の視界いっぱいに巨大な女の子の顔があった。
嬉しそうに私を見下ろしている。先ほどの声はこの女の子のものらしい。
無邪気な笑顔で少女は再び何かを言う。もちろん私にその言葉は理解できない。
しかし、私も人の親だ。何となくではあるが、この子の言わんとしていることは想像がつく。
きっと彼女はこう言っているに違いない。
「ママー?小人さんがいるよ。」
小さい隣人