マンションでも大型犬は飼える?必要な広さと物件探しのポイントを解説

広い庭のある一戸建てで飼育するのが理想的ですが、都心であればそうはいきません。では、共同住宅のマンションで大型犬を飼うことはできるのでしょうか。
結論からいえば、大型犬をマンションで飼うことは可能です。ただし、飼える環境は限られてきます。どのような環境なら大型犬を飼えるのか、大型犬を飼う前にチェックしておくべき部屋探しのポイントをご紹介します。
記事の目次
「大型犬」の基準や定義は?
そもそもどれくらいのサイズから大型犬と呼ばれるのでしょうか。
一般社団法人「ジャパンケネルクラブ」や、公益社団法人「日本犬保存会」をはじめとする畜犬団体にてスタンダートとするサイズは設けてはいるものの、犬の個体差などでも異なるため明確な定義はないようです。とはいえ、一般的に小型犬・中型犬・大型犬と呼ばれるのは以下のサイズが目安となるようです。
区分 | 体高 | 体重 | 例 |
---|---|---|---|
小型犬 | オス38cm~41cm メス35cm~38cm |
成犬で10Kg未満 | チワワ トイプードル ヨークシャー・テリア ミニチュア・ダックスフンドなど |
中型犬 | オス49cm~55cm メス46cm~52cm |
成犬で10Kg~25kg未満 | フレンチブルドッグ 柴犬 ビーグル アメリカン・コッカー・スパニエルなど |
大型犬 | オス64cm~70cm メス58cm~64cm |
成犬で25Kg以上 | シベリアンハスキー ラブラドールレトリバー ボルゾイ 秋田犬など |
大型犬にはこのほかに、ダルメシアンやセント・バーナード、シェパード、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、ドーベルマンなども挙げられます。
上記の表にそれぞれのサイズにカテゴライズされる犬種の例を記載していますが、たとえば小型犬と呼ばれるミニチュア・ダックスフンドでも、個体によっては中型犬になることもあります。実際に飼おうとしている、あるいは飼っている犬が成犬ならば、体高(四つ足を付いて立った状態での地面から背中までの高さ)や体重を測って確認してみましょう。
「ペット可」のマンションで大型犬って飼えるの?
「ペット可(ペット相談可)」のマンションでも飼ってもいいペットの種類や頭数の条件は異なります。たとえば、小型犬や猫はOKだけど大型犬はNGだったり、犬はOKだけど猫はNGだったりと条件はさまざまです。まずは、管理規約や賃貸借契約で飼育可能なペットの種類や頭数を確認しましょう。
「ペット可」の物件でも大型犬がダメな理由は?
騒音問題
マンションで犬を飼った場合の騒音といえば、やはり鳴き声や吠えることを気にする方が多いでしょう。しかし、実は足音も騒音トラブルになることがあります。
大型犬の体重はおよそ25kg以上。人間でいうと、小学校低学年の子どもと同じくらいです。部屋の中を歩いたり走ったりする足音、ソファから降りる際の着地音が下の階に大きく響いてしまうため、大型犬をNGとする物件もあるようです。たとえ大型犬が飼えるとしても、1階を選んだり防音マットを敷いたり、あらかじめ足音対策をしておくと安心でしょう。
糞尿などのにおい
一般的に、健康な犬の1日の尿量は体重1kgあたり24ml〜40mlといわれています。大型犬は体重が重い分、1回の糞尿の量も小型犬や中型犬に比べて多く、においも強く感じられます。また、室内はもちろん、マンションの敷地内や共用部分で粗相をした場合ににおいが残りやすいのでは……との懸念から、大型犬はダメだといわれる場合もあるようです。
エレベーターや廊下などで抱きかかえられない
ペット可の物件に住んでいるからといって、住民全員が動物好きとは限りません。なかには、猫は大丈夫でも犬が苦手というような方もいます。ペット可のマンションでも、エレベーターや廊下、エントランス等の共用部分を歩かせてはならないという決まりがあることは少なくありません。
この場合、共用部分の移動は抱っこする、またはキャリーバッグやバギーに入れる必要があります。物件ごとの細かい決まりについても、事前に確認しておきましょう。
近隣住民に襲いかかる恐れがある
環境省によると、犬による咬傷事故件数は2019年時点で年間約4,200件。そのほとんどが飼い犬による事故です。大型犬は力が強いため、軽く飛び付いただけでも大きな事故につながる恐れがあります。リードをつけて、正しくしつけをしていれば事故が起こる可能性は低いでしょう。しかし、体格の大きさから知らない人や小さなお子さんにとっては恐怖の対象になるため、敬遠される場合があります。
大型犬と暮らす賃貸物件探しのポイント

マンション住まいで大型犬を飼おうとするなら、一番大変なのは部屋探しかもしれません。
まず、大型犬を飼育できる物件はあまり多いとはいえません。飼育可能な場合は、家具や家電を置いても適切なリビングの広さが確保できるか確認してください。
また内覧時には部屋以外の共用部分、そして周辺環境までチェックしておくことが大切です。小型犬や中型犬を飼うよりも確認すべき点が多いと考えておきましょう。
大型犬可の物件を探す
首都圏を中心に、最近では「ペット可(ペット相談可)」の新築マンションが増えています。しかし、すべてのペットが可能ということではなく、大きさや頭数に制限を設けているケースが多い傾向にあります。そのため、たとえペット可物件でも大型犬の飼育が可能なのかは事前の確認が必要です。
「不動産情報サイト アットホーム」では、こだわり条件から「大型犬相談」を選択することができます。スムーズに検索できますので、利用してみてくださいね。
飼育スペースを確保できる間取りか確認する
犬がストレスにならたないためにも飼育スペースを確保しなければいけません。犬のトイレスペースは、犬の体の1.5倍以上が理想といわれており大型犬の場合、畳1帖分ほどのスペースが必要となるためある程度広い部屋でないと飼育は難しいでしょう。
お留守番や寝る時に必要なサークルやケージは必需品です。少なくとも体の向きをスムーズに変えられる広さ、サークルの場合は飛び出さないだけの高さが求められます。ケージ内にトイレを置くのであれば、ケージの広さの目安は畳4帖分ほどといわれています。遊ぶための空間も必要なため、1LDKであれば10畳以上の広々としたリビングが理想的です。また、部屋数が多ければ、人と犬の住空間を分けることもできます。
お風呂場が広い物件を選ぶ
汚れやにおいを除去することはもちろん、皮膚炎や感染症予防のために1〜2カ月に1回はシャンプーしましょう。散歩から帰った際に足を洗ったりするためにも、広いお風呂場があると安心です。
コンロにロック機能が付いている物件を選ぶ
大型犬が立ちあがるとコンロまで前足が届いてしまいます。そのため、稀にタッチパネルやボタンを押して、点火させてしまうことがあるので注意してください。万一の事故を防ぐために、コンロのロック機能の有無を確認しておきましょう。
ペット共生型マンションもおすすめ
なかなかいい条件の物件が見つからないのであれば、ペット共生型マンションを探すのもひとつの方法です。
ペット共生型マンションはどのようなマンションなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
ペット可物件との違いは?
ペット共生型マンションとペット可物件との大きな違いは、物件を建てる時の目的です。
ペット可物件は、オーナーによってペットの飼育を許可されている物件となります。これに対してペット共生マンションは、もともと人とペットが一緒に暮らすことを目的に建てられたものです。そのため、ペットにとっても人にとっても暮らしやすいよう、さまざまな配慮がされています。ペット共生型マンションは、ペットを飼っている方や動物が好きな方の入居率が高いという点でも安心でしょう。
ペット共生型マンションのメリット
ペット共生型マンションには共用部分に足洗い場が設置されていたり、適当な場所にリードフックがあったりと、ペットと飼い主にとって便利な設備が整っています。
たとえば散歩で持ち帰った汚物を捨てられる汚物ダストの付いている物件などは、エレベーター内や廊下でのニオイに気を遣うことがありません。ドッグランやグルーミングルームが備え付けられているマンションは犬にとっても快適です。
また、室内に目を向けると、床に滑りにくく、汚れにくい床材を使われていたり、空気清浄機能が付いているなどさまざまな工夫が施されています。犬にとっては足腰に負担がかからず、飼い主にとっても掃除が楽になるのもポイントです!
ペット共生型マンションの注意点
ペット共生型マンションが日本に登場してからまだ歴史が浅く、物件数もあまり多くありません。そのため、住みたいエリアに物件がないこともありえるでしょう。また賃料は同条件の通常物件に比べて割高なことが多い傾向にあります。
一戸建てを検討するのもひとつの手
大型犬と暮らせる部屋を探す際、「一戸建て」の賃貸物件を検討するのもひとつの方法です。
マンションなどの集合住宅に比べて、飼育スペースも確保できるほか、エレベーターや廊下など気をつかう共有部分もないため、飼いやすい環境です。
また、大型犬の寿命は10〜15年といわれています。家族に転勤の可能性がなく、住みたいエリアや理想の間取りが明確にある方は、一戸建ての購入を選択肢に加えてみてはいかがでしょう。同じ賃貸物件に20年間住み続けた場合と、一戸建ての購入費を計算してみるといいかもしれません。
物件を探す際は周辺環境もチェックする

大型犬を飼育できるマンションは限られているので、希望の立地に物件を見つけたら、すぐに契約してしまおうと考えるかもしれません。
しかし、その前に周辺環境もチェックしておきましょう。実際に飼い始めてから「しまった!」ということがないように、事前に確認しておきたいチェックポイントを紹介していきます。
動物病院が近い
物件を探す際は、近くに動物病院があるかどうかをチェックしてください。小型犬や中型犬であればキャリーケースに入れて連れて行けますが、大型犬の場合は難しいでしょう。体調が悪い時だけでなく、年に1度のワクチン接種の際も、歩いて連れて行ける場所にかかりつけの動物病院があると便利です。
近所に公園やドッグランがある
大型犬は体が大きくてパワーもあるため、十分な運動量の確保が必要です。散歩の目安は1日2回、1回あたり30分~1時間程度。なかには運動欲求が高く、毎日2時間の散歩が必要なロットワイラーなどの犬種もあります。運動させないとストレスになるのはもちろん、病気の原因になることも。毎日のことなので、近くに犬と遊べる公園やドッグランがあると便利です。
これから大型犬を飼う方は知っておくべきこと
最後に、大型犬を飼うための心構えについてもお伝えします。
どのようなペットを飼う場合でも、ペットは命ある存在であり、一生面倒を見ることに責任を持つ覚悟が必要です。毎日、寝て起きて、食べて、運動して、排泄して……。その世話が、絶えることなく続きます。
これに加え、小型犬や中型犬と比べると、大型犬のほうがお世話の難易度はあがります。本当に責任を持って最期まで飼うことができるのか、大型犬を飼う前に一度確認しておきましょう。
お金がかかる
犬に必要なエネルギー要求量は、体重をもとに計算されます。体重の重い大型犬は、小型犬や中型犬に比べて食べる量が多く、食費も高くなります。どのフードを選ぶかによって変わってきますが、毎月6,000円〜15,000円ほどかかるケースが多いようです。
また医療費においても、犬の大きさによって割高になる傾向があります。食費など毎月かかる費用を10年以上払い続けられるか、医療費など高額出費に充てる備えがあるかなども、飼う前にしっかりと考えておきましょう。
大型犬が飼える環境をつくらなければならない
大型犬と一緒に安心して暮らすためには、まず大型犬を飼える物件に住んでいることが絶対条件です。犬が安心して過ごせるように、室内にケージまたはサークルで囲われた落ち着ける空間を作り、飛び散りしない大きめのトイレを設置します。フローリングの床は滑りやすいので、滑りにくいマットやシートを敷いてあげるとよいでしょう。
犬種によっては、春と秋の換毛期にかなりの毛が抜ける犬もいます。まめに掃除して、犬も人間も安心して過ごせる清潔な空間を整えることが大切です。
また、散歩コースや動物病院が近くにあるなど、周辺環境も大事なポイントとなります。そして、家族全員に動物アレルギーがないか、事前に調べておきましょう。これまで自覚がなく、検査して初めてアレルギーがあると判明するケースも少なくありません。家族の健康状態含め、万全の状態で迎え入れましょう。
毎日散歩に連れて行かなければならない
毎日の散歩は運動不足解消のほか、ストレスや病気の予防に欠かせません。大型犬の場合は歩くスピードも速い犬が多いので、一緒に早歩きするのも大変かもしれません。それでも、散歩は毎日続けるものとして覚悟しておいてください。
また、ドッグランに連れて行ってトップスピードで走らせたり、ボール遊びしたり、豊富な運動量を必要とする犬種もいます。自身のライフスタイルと照らし合わせて、こうした機会を作ることが可能なのかをよく考えましょう。
しつけをしっかりする必要がある
大型犬はその大きさゆえに、遊びでじゃれたつもりが、人や犬に怪我を負わせてしまうことがあります。あるいは、散歩中に周りの人や動物に恐怖心を抱かせてしまうことも考えられるでしょう。
散歩の際は必ずリードを離さず、「待て」「座れ」「伏せ」などの呼び戻し・静止のトレーニングなど、基本的なしつけをしっかりとしておきましょう。見た目は大きくて怖いかもしれないけれども、飼い主に従順で賢い犬だということを周りの人にわかってもらうことが大切です。
まとめ
大きくてやさしくて、きちんとしつけをすると飼い主にとっての最高のパートナーになってくれる大型犬。その賢さやかわいさゆえに、飼ってみたいと憧れる方も多いのではないでしょうか。ただし日本の住宅事情では、大型犬を飼えるマンションはそう多くありません。まずは、大型犬と一緒に最期まで心地よく過ごせるかどうか、住環境はもちろん自身の経済力や体力など15年先くらいまで考えておくことが重要です。ここでお伝えした内容を参考に、大型犬が飼える住環境を整えることからはじめてみましょう。
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