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ペット不可賃貸でハムスターやうさぎ、小動物は飼える?賃貸借契約書を確認しよう

長引くコロナ禍で自宅時間が長くなったことを背景に、インテリアやお取り寄せグルメなど、家での楽しみにお金を使う人が増えています。その一つとして、ペットを飼い始めたという人も多いのではないでしょうか。賃貸物件に住んでいるので犬や猫は飼えないけれど、ハムスターやうさぎ、小動物であれば飼ってもよさそう。そんな風に考える人もいると思います。
実際、犬や猫はダメでも、小動物ならばOKという物件はあります。さらに小動物の中で、ハムスターやうさぎはOKでも、鳴き声がうるさい鳥はNGな場合も。ペットの飼育の可・不可は、建物の持ち主である大家さん次第です。賃貸物件でハムスターやうさぎ、インコなどを飼いたいと思ったら、まずは不動産会社に相談してみましょう。

ペットを飼っていい物件と、そうでない物件がある

賃貸物件のうち、ペット可(相談可)としている物件は全体の約10~20%。たとえば不動産ポータルサイトで東京23区の賃貸物件を調べたところ、ペット可(相談可)の条件なしなら262,269件あった物件が、ペット可(相談可)の物件で絞り込むと47,228件の約18%※になります。同様に、京都市内で調べると掲載物件数9万2,119件に対し、ペット可(相談可)の物件は9,275件。およそ10%※で、地域によっても差があることがわかるでしょう。
ペットを飼おうとする場合、まずは自分の住んでいる賃貸物件がペット可(相談可)の物件か確認してください。また、引越し先でペットを飼いたいなら、ペットの飼育可能な物件を探しましょう。

※「不動産情報サイト アットホーム」2022年8月30日調べ

なぜペットを飼ってはいけない物件があるの?

貸主である大家さんにとって、マンションやアパートは自分自身の大切な資産です。貸した部屋を丁寧に使ってもらえること、住民同士がトラブルなく住んでくれることを望んでいます。部屋でペットを飼われると、部屋の壁や床に傷がついたり、部屋全体にニオイが染みついたりして、物件そのものの価値が下がってしまうリスクがあります。また、住民間で騒音やニオイのトラブルが発生し、その対応に追われる可能性もあるでしょう。
それらのリスクを避けるため、賃貸物件ではペットの飼育をあらかじめ禁じていることが多いのです。たとえペットの飼育を認めている場合でも、その分だけ敷金・礼金をプラスで請求される場合があります。

ペット不可物件でもハムスターやうさぎなどの小動物は飼える?

交渉次第では、犬や猫はダメでも、ハムスターやうさぎであれば飼ってもOKとしてくれる場合もあります。ハムスターやうさぎなどの小動物は外へ散歩に行く必要もなく、鳴き声も小さいので、無断で飼ってもバレないのでは? と思うかもしれません。しかし、買い物やゴミなどからバレることがありますし、うさぎが壁や柱を齧ってしまったり、ハムスターの回し車の音で騒音の苦情が入ったりする例もあるようです。おとなしい小動物であっても、賃貸物件でペットを無断で飼うことはやめ、必ず飼ってもいいかどうか大家さんに相談しましょう。

賃貸借契約書を確認しよう

賃貸借契約書は、部屋を借りるときに貸主(大家さん)と借主の間で結ぶ契約書です。建物の名称や所在地などの基本的な事項のほかに、部屋を借りるうえでの細かなルールが定めてあります。ここにペットの飼育の可・不可について記載されていることが多いです。賃貸借契約書以外に重要事項説明書の中に、ペットの飼育について書かれている場合もあります。

不動産会社、貸主に確認しよう

賃貸借契約書にペット可と書いてあっても、「小型犬のみ2匹まで可」「インコ・小動物のみ可」「ベランダには出さない」など、ペットの種類や頭数、飼育方法などに細かなルールがある場合があります。ペットを飼う予定がある人は、不動産会社や大家さんに先に伝えて確認しましょう。

ペット可物件であっても、飼うことは必ず申告しよう

ペット可物件であっても、飼育する際は必ず不動産会社や大家さんに申告しましょう。飼いたいペットの種類や大きさ、頭数などの詳細を伝えます。口頭での申請だけではなく、写真を撮って提出するよう求められる場合もあるでしょう。
また、ペットを飼育する場合は、たとえそれが小動物であっても、通常の敷金にプラス料金を請求される可能性があります。この点についても、ペットを飼う予定があれば契約前にしっかりと確認しておきましょう。

ペット不可物件だった…どうしても飼いたいときは交渉しよう

気に入った物件がペット不可物件だったり、いま住んでいる物件がペット不可だったり。そんな場合でも、飼いたいペットがハムスターやうさぎ、小鳥などの小動物なら、「1匹・1羽だけ」などの条件付きで大家さんが許可してくれることがあります。どうしても飼いたいなら、まずは不動産会社や大家さんに交渉してみましょう。交渉するときのコツや飼育時のポイントは下記記事で詳しく紹介しているので、そちらもあわせて参考にしてみてくださいね。

賃貸でハムスターやうさぎを飼う際の注意点

ここからは、ハムスターやうさぎを飼う時の注意点をご紹介します。大切な家族としてお迎えするにあたって、いずれも大切なことです。よく読んで、本当に責任を持って最後まで飼えるかどうかチェックしてみてくださいね。

ハムスターを飼う際の注意点

手でエサを持ってもぐもぐと食事したり、手のひらに乗っておやつを食べたりするハムスター。かわいらしい姿は、見ているだけで癒されます。適切な広さがあればケージの中だけで飼うことができ、ハムスターはとても飼いやすいペット。しかし、賃貸物件で飼う場合には少し注意が必要です。

回し車の音に注意

ハムスターは基本的に夜行性の動物です。夜になったら活動しだしたり、家中の電気が消えてから動き出したり。運動量が多く、小さな体で1日9〜20kmも走るといわれています。そのため、ケージの中で暮らすハムスターには回し車が必需品。この回し車のカタカタという音は、夜間に意外と響きます。気になり出したら、寝付けなくなるかもしれません。隣人との騒音トラブルにつながる可能性もありますので、静音タイプのものを選ぶ、ケージの置き場所を隣の部屋の壁に近づけないなど対策しておきましょう。

ストレスに注意

小さなハムスターは、ストレスに弱い生き物です。飼い始めてすぐ、慣れない間に触ろうとするとストレスを感じてしまいます。そのほかに温度や音、光、ニオイなどにも敏感。生育に適正な温度は20〜26度です。暑すぎると熱中症に、寒すぎると冬眠に近い状態になり、体調が悪くなる可能性も。

また、ハムスターは聴覚に優れ、かすかな音でも聞き逃しません。そのため、テレビの音やドアの開け閉めの音などはストレスになります。なるべく静かな場所にケージを設置しましょう。さらに、ハムスターの生活リズムは夜行性のため、明るい部屋では活動できません。決まった時間にケージにカバーをかけるなどして、ハムスターの生活リズムを整えてください。

なお、ハムスターは嗅覚にも優れていて、ニオイを感じるときに働く嗅細胞の数は人間の40倍といわれています。そのため、人間にとってはいい香りに感じる香水や芳香剤、柔軟剤などの人工的な香りがストレスになることも。香りのあるものは極力使わないようにしたほうがいいですね。

繫殖力に注意

ハムスターの種類によっても違いますが、1回の妊娠で生まれる数は平均3〜7匹。年中繁殖が可能で、1カ月から1歳半くらいまでの間のメスは、最短で2週間に一度のペースで出産します。細則により飼える頭数の上限が決まっている場合もあるので、ハムスターを飼う時は1匹だけにしておいたほうが無難でしょう。そのほうが飼い主にもなつきやすくなります。

うさぎを飼う際の注意点

ふわふわのしっぽ、両足を揃えて跳ねる姿、もぐもぐとエサを食べる口元。見ているだけで癒されるうさぎは、慣れると飼い主の後をついてきます。部屋の中でお散歩(へやんぽ)ができたり、抱っこさせてくれたりと、人にかなりなついてくれる賢い動物です。キレイ好きでニオイもほとんどなく、鳴き声も大きくないうさぎは、飼いやすいペットといえるでしょう。しかし、以下のような点には十分な注意が必要です。

かじり癖に注意

とくに賃貸住宅でうさぎを飼うときに気をつけたいのが、かじり癖。うさぎの歯は成長し続けていて、1週間で約2㎜伸びます。そのため、歯ぎしりをしたり硬いものに噛み付いたりして、歯の長さを調整しようとします。もし、部屋の柱や壁紙をかじってしまったら、原状回復の修繕費用が高額になるかもしれません。うさぎ自身が電化製品のコードを噛んで感電し、火傷や怪我を負ってしまう危険性もあります。ケージから出すときは、目を離さないようにしましょう。建物の損傷や事故を防ぐため、あらかじめ壁や柱を養生しておく、噛みつき防止の配線カバーをしておくなど対策をとっておくのも一つの方法です。

骨折に注意

うさぎの骨は犬や猫などに比べると軽く、薄くて繊細です。骨折して動物病院に運ばれるうさぎは多く、飼育には注意が必要。たとえば、抱っこしようとして嫌がって落ちたり、ソファーから飛び降りたりした場合などはもちろん、カーペットに爪をひっかけて骨折するなどの場合もあります。抱っこするときは床に座る、ケージから出したときは間違って踏まないように気を付けるなど、細心の注意をはかりましょう。

エサ忘れに注意

うさぎがエサを食べないのは、病気のサイン。24時間食べない状態は、かなりの危険信号です。また、飼い主がエサを与えるのを忘れて1日放置してしまうのも、命に関わります。エサ(ペレット)を入れっぱなしにしておくと、ずっと食べているので肥満が気になるという方もいるかもしれません。そうした場合は、せめてチモシー(乾燥牧草)を常にたっぷり置いておくようにしましょう。

ハムスターやうさぎなどの小動物を飼うための物件探しのポイント

では、実際にハムスターやうさぎなどの小動物を賃貸で飼うには、どのような物件を探せばよいでしょうか?物件探しのポイントをお伝えします。

ペット可(相談可)の物件を探す

ハムスターやうさぎなど小動物を飼うなら、ペット可(相談可)の物件から探し始めましょう。ペット可(相談可)と書いてあって、ハムスターやうさぎは禁止ということはほぼありません。また、ペット可(相談可)と書かれていなかったり、ペット不可と書かれていたりする場合でも、小動物1匹だけであれば許可してもらえる可能性も低くありません。一度、不動産会社や大家さんに相談してみてください。

飼育する部屋にエアコンがついている

飼育温度の適温はハムスターで20〜26度、うさぎは18〜24度といわれています。とくに夏場はうさぎの熱中症に気をつけてください。うさぎは、部屋の中が高温多湿になると体温があがり、自分では体温調整ができなくなります。エアコンなどで温度調整をしていても、床の近くと天井の近く、あるいは風が直接当たる場所とそれ以外では温度がことなるもの。ケージに温・湿度計をつけて、快適な温度になるようにしてあげましょう。

周辺に診療可能な動物病院がある

動物病院の多くは、犬・猫を専門にしているところが多いでしょう。動物病院のある場所をチェックするだけではなく、その動物病院がうさぎやハムスターを診察してくれるかどうか、いざというときに慌てないようにチェックしておきましょう。

まとめ

ハムスターやうさぎなどの小動物は、賃貸物件での一人暮らしでも比較的飼いやすいペットです。だからといって、無断で飼うことは避けましょう。必ず、ペットを飼いたい旨を不動産会社や大家さんに伝え、許可を得てから飼い始めてください。
また、おとなしくて手軽に飼えるからといって、衝動的に飼うのもやめましょう。小さくても命があり、飼い主はその命に責任を持たなければいけません。ペットの特徴をよく知って、そのうえで最後まで責任を持って飼えるか。また、自分と一緒に住んでペットが快適に生活できるかどうか、よく考えてから迎えてあげてください。

執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。ベタ慣れインコのぺぽちゃんと楽しく生活中。

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