フェレットの飼い方は?初心者向け基礎知識と注意点を解説

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かわいらしいフェレット、性格や入手方法は?
人になつくコンパニオンアニマルとして人気のフェレット。飼育の歴史は古く、昔からペットとして人気です。ペットショップでもよく見かけますよね。とってもかわいらしいフェレットの、性格や種類などについてご紹介します。
フェレットとは
フェレットはイタチ科の動物。イタチを家畜として改良した品種なので、基本的に野生のものはいません。イタチ科の動物にはイタチやラッコなどがいますが、ペットとして完全に人になつくのはフェレットだけといわれています。
家畜としての歴史は古く、2000年以上前から人とともに生活をしていたという記録が残っています。体型はメスの方が小さく、体重は約700g〜1kg、体長約30〜35cm。オスは体重約1kg〜1.5kg、体長約35〜40cmです(マーシャルフェレットの場合)。同じイタチ科の動物のスカンクと同じく、身の危険を感じると激しい臭いを分泌する「臭腺」があります。
とはいえ、日本のペットショップで販売されているフェレットは、臭腺の除去手術をしているものがほとんどです。除去されていても臭腺の臭いがまったくしなくなるわけではなく、多少の動物臭はあります。なお、鳴き声はほとんどありません。
フェレットの種類
フェレットに固定された品種はありませんが、カラーバリエーションと毛足の長さ、出身のファーム(養殖場)によってさまざまな呼称があります。ここでは、日本で入手しやすい4種類についてご紹介します。
まず「マーシャルフェレット」は、日本に初めて輸入されたフェレット。温厚で噛み癖も少なく、初心者にも育てやすいフェレットです。「パスバレーフェレット」はマーシャルフェレットと同じく体長約30〜40cm、体重約1〜2kgと小柄。好奇心旺盛な性格で、噛み癖がある個体もいます。
「マウンテンビューフェレット」はマーシャルフェレットと体型・性格ともに似ており、人懐っこい個体が多いです。「DRFフェレット」は、日本のファームで品種改良を意図して繁殖された日本産のフェレット。個人での繁殖は禁止されていますが、避妊・去勢手術はしていない状態で販売されます。そのため、生後8カ月目に生殖腺除去手術を受けることを約束してお迎えします。少しがっちりとした体型をしていて、性格はやんちゃです。
フェレットの性格
フェレットはフレンドリーな性格で人との接触を好み、コミュニケーションを楽しめます。ただし、いつもべったりというわけではなく、基本的には一人で自由に過ごします。そのため、飼い主とフェレットがお互いのペースで生活しやすいでしょう。分離不安になるほど人間に依存しないので、一人暮らしでも飼いやすいペットです。他のペットに対しての攻撃性もほとんど見られず、犬や猫と一緒に飼うこともできます。
フェレットの購入・入手方法
フェレットの購入方法は、主に2通りです。
ペットショップで購入する
人気のペットなので、大型のペットショップに行けば出合えるでしょう。その他小動物専門や、フェレットを専門にしたショップもあります。ペットショップで販売されているフェレットは、ほとんどが去勢・避妊の手術済みです。臭腺除去の手術をしてある個体もあり、特有のニオイがかなり軽減されます。
里親になる
ペットの里親を募集するサイトや掲示板で、フェレットを探すという方法もあります。人に一定の期間飼育されていたフェレットなので、個体の性格を知ることができます。
フェレットの入手に関しては、一点だけ注意があります。北海道の「北海道動物の愛護及び管理に関する条例」では「プレーリードッグ」と「フェレット」 を特定移入動物に指定して、飼養する場合は知事へ届出することが定められています。ペットとして飼われていても、逃げて野生化した場合は従来生息している貴重な野生動物を補食し、生態系を破壊するなどの問題を起こす可能性があるからです。
初めてフェレットを飼う時の注意点
ここからは、初めてフェレットを飼う際に気を付けたいポイントをご紹介します。
エサやりに気を付ける
フェレットは、獲物を巣穴に持ち帰って少しずつ食べる習性を持っています。食べる量も自分でコントロールできるため、いつでも食べられるようエサ入れにフードを入れておきましょう。フェレット専用フードには、フェレットの生育に必要な栄養素がバランスよく入っているので安心です。フードを隠す習性もあり、気づいたら部屋の隅に大量のカビの生えたフードが見つかるなどということもあるようです。エサをどこかに運んでいる様子に気づいたら、注意深く見守ってください。
ネギ類、イカやタコ、エビやカニなどの甲殻類・貝類、乳製品、食物繊維の多い野菜や果物、チョコレートなど、フェレットには与えてはいけない食べ物がたくさんあります。下痢や消化不良、中毒症状を引き起こすことがあり、最悪の場合は命を落とす危険性もあるので注意してください。人間が食べているものに興味を持ったとしても、決して与えないようにしましょう。
におい対策をする
かわいらしいフェレットですが、犬や猫に比べるとニオイが強いといわれています。ニオイの元は臭腺という器官にあり、威嚇するとき、強いストレスを感じたとき、マーキングするときなどに強烈なニオイを発します。ペットショップでは臭腺の除去手術をおこない、威嚇などで出す強烈なニオイを軽減して販売している個体がほとんどですが、臭腺の臭いがまったくしなくなるわけではありません。
また、犬や猫と同様にフェレットも肉食系動物のため、排泄物のニオイも強い傾向にあります。そのため、こまめなケージの掃除やトイレ掃除が必要です。その他、空気清浄機を設置するのもひとつの方法です。
定期的にお手入れをする
定期的なお手入れは、フェレットの体臭と病気を防ぎます。基本のお手入れは、全身のシャンプー、耳掃除、歯磨き、ブラッシング、爪切りの5点。ひとつずつチェックしていきましょう。
シャンプー
フェレットの体臭の原因は、全身から出る皮脂。放っておくとニオイが強くなります。1カ月に1回程度、フェレット専用のシャンプーで全身を丁寧に洗ってあげましょう。ただし、ニオイが気になるからといって洗い過ぎは禁物。体の乾燥を防ごうとして、余計に皮脂を分泌してしまいます。
耳掃除
耳にはとくに汚れが溜まりやすいので、1週間〜10日に一度は専用のイヤークリーナーで耳掃除してあげましょう。放っておくとニオイの原因になるだけではなく、耳ダニが発生したり、中耳炎や外耳炎にかかったりするリスクがあります。
歯磨き
フェレットにも人間と同じように歯石がたまったり、歯周病にかかったりといった口腔内トラブルがあります。若いうちから歯ブラシで歯磨きするなど、意識的なケアをおこないましょう。人間用の柔らかいものや小型犬・小動物用の歯ブラシを使う、ガーゼを指に巻いてこするなどの方法があります。歯磨き粉を使う場合、人間用はフェレットにとって有害なものが含まれていることがあるので避け、ペット用を使うようにしましょう。
ブラッシング
フェレットの毛は3層構造です。猫と同じように舐めて毛づくろいをするので、舐めた毛が体内に入り、体内で大きな毛玉となる毛球症という病気になることがあります。予防のためにも、目の細かいコームやブラシでやさしくなでるようにブラッシングしましょう。
爪切り
爪を伸びっぱなしにしておくと、布やケージに引っかかって折れてしまうことがあり、最悪の場合は指を骨折する危険があります。1週間に1回程度、ペット専用のハサミで爪を切ってあげてください。人間用の爪切りは嫌がることが多いので、ハサミタイプの使用がおすすめです。
噛み癖や穴掘り癖に注意する
フェレットの魅力の一つが、好奇心旺盛で遊び好きな性格。胴長短足、くねくねと柔軟な体で狭い隙間に入っていきます。驚くような狭い隙間にも入ってしまうので、フェレットを室内に放して遊ぶ(放牧する)際には、手の届かない隙間を埋めるなどの予防策が大切です。棚と壁の隙間に挟まれて出てこられない、排水溝に入って戻ってこられないなどの事故で、フェレットを失うことのないよう注意しましょう。
また、フェレットはゴムやシリコンなど、噛みごたえのある素材が大好き。家具や文房具の裏についた滑り止めの小さなゴムなどを、齧って誤飲する場合があるので要注意です。家電のコードを噛んで感電や漏電を起こすこともあるので、極力隠して放牧中は目を離さないようにしましょう。
なお、穴を掘って暮らすアナウサギの狩りにフェレットが使われていたこともあり、潜れるような狭い隙間が大好きです。掘って潜ろうとしてソファの隅をボロボロにしたり、壁に穴をあけてしまったり、床をガリガリと引っかいたりして傷をつけてしまう個体もいます。
病気に気を付ける
フェレットは病気などのトラブルがあっても、表面に出にくい生き物です。成長のスピードも早いため、定期的な健康診断を受けておくと安心です。また、フェレットがとくに気を付けたいのは犬ジステンパーウイルスへの感染。犬ジステンパーウイルス沫により感染する伝染性の疾患で、感染すると2カ月から半年で死亡する率が高い恐ろしい病気です。生後1〜2カ月頃までに一度ファームで予防接種をされていますが、1回では不十分です。生後半年くらいまでの間に3回の予防接種を受け、生後1年を超えたら年1回程度のワクチン接種を受けておくと安心です。
なお、フェレットは犬や猫と違い、人間の風邪やインフルエンザに感染する場合があります。うつさないように注意し、うつってしまった場合は動物病院で診てもらいましょう。
フェレットを飼うために必要なもの
ここでは、フェレットを飼うために必要な基本の飼育用品の種類とその選び方、およその費用についてご紹介します。
飼育ケージ
フェレットは基本的に地面で生活し、横に移動することが多い動物です。高さの感覚はあまりなく、落下事故を起こす危険もあります。そのため、床面積が広く、高さは低めのケージを選びましょう。狭い隙間でも通り抜けるので、ケージの網目が細かいものにしておくと安心です。また、網に弾力性のある素材を使っているものを選べば、激しく遊んでぶつかっても衝撃を吸収してくれるので、不慮の怪我を防ぎます。
飼育ケージの価格帯は10,000円〜20,000円程度です。ケージをそのまま使用すると滑りやすいので、床に爪がひっかかりにくく、洗いやすい綿素材の敷き布を敷いてあげるといいでしょう。ケージが汚れにくいだけでなく、フェレットの体の皮脂分も拭い取ってくれるのでおすすめです。
トイレ/トイレ砂
トイレはなるべく奥行きがあり、側面の高さがある四角いものがおすすめ。三角形のトイレを四角に変えるだけで、正しい場所でトイレができるようになるフェレットもいるようです。フェレットは隅っこでトイレをする習性があるので、囲まれていると安心します。
トイレに敷く砂は、固まるものはNG。間違って食べた場合、お腹で詰まってしまいます。砂を掘る習性があるので、あまり深く敷き詰めず、掘っても飛び散らないように粒が重めのものを選びましょう。価格の目安はトイレが1,000円〜2,000円程度、トイレの砂は1リットル100円〜200円程度です。
ハンモック

フェレットはくるりと丸まって眠るのが好きなので、ケージにハンモックを吊るして寝床にします。かじる子もいるので、丈夫なものを選びましょう。季節に合わせて素材の違うものが販売されているので、夏は暑さ対策のため通気性の高いものを選ぶとよいでしょう。2,000円前後のものが人気です。
フード入れ
プラスチック製のものは、噛んで破壊することがあります。陶器製のように噛んでも壊れず、重さがあって、ひっくり返せないものがおすすめです。フチに返しがついていると、こぼさずに食べられるでしょう。1,000円前後で購入できます。
給水器
フェレットは水が大好き。1日に何度も飲むので、いつも新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。お皿だとこぼしてしまうこともあり、飲んだ量をチェックしにくいので給水ボトルがおすすめで。1,000円前後で購入できます。
フェレットを飼うための費用
フェレットをお迎えするために準備が必要な初期費用と、月々にかかる費用についてご紹介します。
初期費用
初期費用として必要になるのは、フェレットの購入費、飼育ケージなどの生育環境を整える飼育用品、病気を予防するためのワクチン費用、避妊・去勢手術費などです。
フェレット個体の価格
種類 | 相場価格 |
---|---|
マーシャルフェレット | 5万円〜10万円前後 |
パスバレーフェレット | 3万円〜6万5,000円程度 |
マウンテンビューフェレット | 6万円〜12万円程度 |
DRFフェレット | オス13万8,000円〜、メス8万8,000円〜 |
飼育用品の価格
飼育ケージ | 10,000円〜20,000円程度 |
---|---|
ハンモック | 2,000円前後 |
給水器 | 1,000円前後 |
フード入れ | 1,000円前後 |
トイレ | 1,000円〜2,000円程度 (トイレの砂は1リットル100円〜200円程度) |
床材(フローリングマット) | 2,000円〜3,000円程度 |
おもちゃ | トンネル1,000〜3,000円程度 |
キャリーケース | 4,000円~10,000円程度 |
その他 | ハーネス2,000円〜3,000円程度 |
動物病院などお出かけ時や、災害時の避難用にキャリーケースやハーネスも用意しておくと安心です。

病気の予防や診療にかかる費用
ワクチン接種 (フェレットジステンパーワクチン) |
5,000円〜8,000円程度 (動物病院によって金額は異なります) |
---|---|
フィラリア予防 | 1回あたり500円〜1,000円 (年に7回ほど必要) |
避妊・去勢手術 (ノーマルフェレット)※ |
去勢手術30,000円〜50,000円程度 避妊手術40,000〜60,000円程度 |
病院代 ※ケガや病気をした場合 |
インスリノーマ手術10万円以上 副腎腫瘍手術10万円以上 リンパ腫手術30万円前後 |
※DRFフェレットは血統管理のため個人での繁殖が許されていません。最初の発情を終えた生後8カ月目に生殖腺除去手術が必要となります。
感染症予防のワクチンや、万が一の通院や手術にも備えておくとよいでしょう。
月々にかかる費用
次に月々にかかる主な費用についてご紹介します。
フード(餌) | 2,500円〜3,000円程度 |
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トイレ砂 | 1,000円〜1,500円程度 |
保険代 ※保険に入る場合 |
2,500円〜4,000円程度 |
フェレットを飼育するには、1年におよそ10万円程度の費用がかかると考えておいてよいでしょう。暑い時期や寒い時期は24時間エアコンのフル稼働が必要になりますので、その費用も含んでいます。1泊2日くらいの留守番は問題ありませんが、2泊以上になる場合はペットホテルを利用しましょう。ペットホテルの1泊料金は、1匹につき3,000円程度です。
賃貸物件でもフェレットは飼える?
ペット可(相談可)のマンションであれば、賃貸物件でもフェレットを飼えるかもしれません。ただし、ペット可と書かれていても、飼育できるペットの種類や数は限られていることがあります。そのため、フェレットを飼ってもよいかどうか、事前に必ず大家さん(貸主)または管理会社に確認しましょう。
なお、ペット不可の物件であっても、大きな声で鳴くことなく基本ケージの中で生活するフェレットであれば許可を得られる場合もあります。気に入った物件があれば、事前に不動産会社を通して相談してみてください。
ただし、その場合は敷金が割増になる場合もあります。また、退去時の原状回復で多額な費用が発生することもあるでしょう。とはいえ、黙って飼育していてバレると、契約違反となり強制退去になる可能性もあるので絶対にやめてください。
ここからは、フェレットが飼える物件が見つかった際にチェックしておきたいポイントについてご紹介します。
物件・間取り選びのポイント
基本的にはケージで飼育し、遊ばせるときだけ外に出してあげます。そのため、広い部屋でなくても飼育が可能です。ただし、フェレットは狭い隙間が大好き。ワンルームだと排水溝に潜り込んだり、大型家電の裏にはさまったりして抜け出せないといった恐れがあります。誤飲や背の高い家具から落ちて怪我をするなどの危険を避けるためにも、別に飼育部屋がひとつあると安心です。
フェレットを飼うのに必要な設備
フェレットの理想の生育環境は温度が15〜24度、湿度40〜60度程度。人間が快適に過ごせる温度と同じくらいです。暑さや寒さに弱いので、エアコンでの温度管理は必須になります。
家の近くにあると便利な施設
近くに小動物を診療してくれる病院があると、急な病気のときに便利です。ただ、フェレットを診てくれる病院は多くないので、少し離れていても通いやすい病院をいくつか探しておきましょう。
旅行の際などには、近所にフェレットを飼っている友人や知人がいれば預かってくれるかもしれません。難しい場合は、フェレットを預けられるペットホテルが近くにあると安心です。
まとめ
犬や猫のようになついてくれるフェレット。おもちゃで遊んでいる姿を見たり、体によじのぼってきたりすると、かわいくて仕方ありません。飼育スペースも少なくてすむフェレットは、鳴き声もうるさくないので、賃貸物件でも飼える可能性が高いペットです。
フェレットが健康で快適に過ごすためには、適した生活環境を整えることが必要になります。これから賃貸物件でフェレットをお迎えしようとしている人は、まずペット可(相談可)物件を探してみましょう。
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