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猫の抜け毛対策は?抜け毛の主な理由や有効な掃除方法もご紹介

猫の抜け毛対策!主な理由と掃除法をご紹介
猫の抜け毛の理由は、自然現象である日々の毛の生え変わり、換毛期、病気、栄養不足、精神的なストレスなどさまざまです。この記事では猫の抜け毛対策について、主な理由や抜け毛対策、掃除方法について紹介します。

猫の抜け毛の主な理由は?

猫の抜け毛の理由は主に4つです
猫の抜け毛の理由は主に4つです

猫の抜け毛の主な理由は、換毛期による抜け毛、皮膚病を中心とした何かしらの病気、栄養不足、ストレスの4つです。ここでは、それぞれの理由について詳しく解説していきます。

換毛期

猫の抜け毛は、毛の生え変わりで日常的に自然と起こりますが、換毛期には抜け毛の量が非常に多くなります。特に日本のような四季のある国では、季節ごとの温度変化に個体の体を適用させるため自然の原理で、猫は換毛期に大量の毛が抜けるメカニズムになっています。

一般的には年2回、春と秋に換毛期が訪れるといわれています。しかし、最近では気象異常などにより、換毛期の時期がズレることがあるようです。また、猫それぞれの個体によっても換毛期の時期が若干異なります。

猫の毛が大量に抜ける換毛期は、日照量や気温変化によって生じます。そのため、完全室内飼育か否か、部屋の温度がどの程度か、猫の生活空間に日光がどの程度あたるか、居住地域等によって時期が異なります。室内飼育の猫よりも室外に出す猫の方が日照量や気温変化が大きいため、抜け毛の量が多かったり換毛期の期間が延びたりする傾向にあるでしょう。

病気

病気によって抜け毛が発生している可能性もあります。以下の症状が出ている場合は、動物病院で診てもらいましょう。

【抜け毛の症状が出る病気の例】

病名 症状
アレルギー性皮膚炎 皮膚炎による抜け毛や皮膚の赤み、その他目やにやくしゃみなど
膿皮症 痒みによって掻きむしることで抜け毛が生じる、円形に毛が抜ける脱毛班など(猫では稀だが短毛種に多い)
外部寄生虫感染症
(疥癬(かいせん))
耳や耳周辺部の抜け毛、炎症、赤み、フケ、皮膚の痒みなど
外部寄生虫感染症
(ノミ)
抜け毛、炎症、発疹等
皮膚糸状菌症 抜け毛(主に円形状脱毛)、フケ、炎症による赤み、極端な皮膚の乾燥など
自己免疫疾患
(天疱瘡(てんぽうそう))
頭部、耳、顔部分の抜け毛(多くが左右対称性脱毛)、炎症による赤み、かさぶたなど
猫対称性脱毛症 重度の痒み、炎症による赤み、抜け毛、皮膚菲薄化(皮膚が薄くなる症状)など
皮下腫瘍 皮膚上のしこり、抜け毛、皮膚の炎症、発疹など

栄養不足

猫は肉食のため、タンパク質量が多い食事や皮膚の健康に関連するビタミンA、Eを中心とするビタミン類、ミネラル類、脂質などの栄養バランスが整った食事が必要です。これら栄養素が不足すると、抜け毛が生じることがあります。ただし、健康体の猫なら総合栄養食と十分な水を与えていれば、栄養不足が原因で抜け毛が生じるケースは極めて少ないのが特徴です。

もともと皮膚が弱くて抜け毛が生じやすい猫の場合は、高タンパクの総合栄養食やオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が添加されているキャットフードを選ぶと、抜け毛対策や被毛の健康維持に有効です。

ストレス

猫は環境の変化に弱いため、ストレスによる抜け毛には特に注意が必要です。引越しによる居住場所の変化はもちろん、同居猫、その他の同居動物が増えた場合、飼育環境が変わった場合、家族が増えた場合は、特にストレスによる抜け毛が生じやすいので、ストレス対策が重要になります。その他、怒ってばかりいる、飼主との関係性が悪い、猫が休みたい時に構いすぎている、触れられたくない時に触れるなど、ストレス要因を作らないように気をつけましょう。

また、普段よりグルーミング頻度が多い(過剰に毛を舐めている)様子が見られる場合は、ストレスを感じている可能性があります。その他、狭い場所から出てこない場合も、精神的なストレスや病気を疑う必要があります。

猫の抜け毛を放置するとどうなる?

猫の抜け毛は放置しないようにしましょう
猫の抜け毛は放置しないようにしましょう

猫の抜け毛、または死毛を放置してしまうと、毛球症や皮膚病の発症リスク、外部寄生虫によって引き起こされる病気の原因になりやすいので注意が必要です。

猫の病気発症リスクが上がる

猫の抜け毛を放置してしまうと、毛球症(もうきゅうしょう)の原因になります。毛球症は、猫がグルーミングをすることで毛玉が猫の体内に蓄積し、胃腸を中心とする消化器管内に大量の毛玉が留まってしまうことで引き起こされます。毛球症を発症してしまうと、食欲の低下や便秘、嘔吐等さまざまな症状を引き起こすリスクがあり、自然に体内から排泄できなくなってしまうことがあるので十分注意が必要です。

その他、抜け毛を放置してしまうと、被毛の中が外部寄生虫の住処になりやすくなります。皮膚病や感染症になる原因となるため、換毛期に限らず日頃からブラッシングをしてあげるとよいでしょう。

部屋や服が汚れる

猫の抜け毛は早めに対策しないと、猫だけでなく飼主の生活にも影響を与えます。布製のソファーやカーペット、衣類を中心に毛が付着するので、小まめな抜け毛対策が重要です。また、外に出る猫や犬と一緒に生活している猫の場合は、外部寄生虫の住処にならないよう、猫はもちろん生活空間を清潔にしておく必要があります。

猫に毛玉を吐き出させる方法

猫に毛玉を吐かせる方法として、毛玉対策フードを与える、猫草を与える、水分摂取を多くさせる方法があります。最近では、毛玉を便と一緒に出すための猫用サプリメントもあります。ただし、苦しそうにしていたり便秘が長引いていたり、あるいは食欲が低下しているような重度の場合は、必ず動物病院で処置をお願いしましょう。

毛玉対策フードを食べさせる

猫の毛玉対策として日々簡単に行うことができるのが、毛玉対策フードを与えることです。キャットフードに毛玉ではなく「ヘアボール」と表記されているケースもありますが、いずれの場合も食物繊維量を多く設計してあることから、排泄を促す働きが期待できます。

猫草を食べさせる

猫草は毛玉対策に便利です。抜け毛による毛玉対策以外にも、ストレスや便秘対策にもなります。猫草の栽培セットも販売されています。

水分摂取量を増やす

嘔吐や便での排泄をスムーズにおこなわせる際には、水分が役立ちます。あまり水を飲まない猫の場合は、キャットフードに人肌温度の水分をフードが被る程度加えて与えるとよいでしょう。

猫の抜け毛対策は?

猫の抜け毛対策を3つご紹介
猫の抜け毛対策を3つご紹介

毛玉対策の根本的な対処法は、何より日々の愛猫の抜け毛対策をおこなうことです。抜け毛を事前に対策する方法としては、こまめなブラッシングや必要に応じたシャンプーが有効でしょう。

こまめにブラッシングをする

こまめなブラッシングをすることが、一番の抜け毛対策になります。長毛種の猫の場合は、可能であれば1日1回、最低でも1週間に3回はおこなうとよいでしょう。短毛種の猫なら、1週間に2〜3回が目安になります。

また、短毛種の猫はもちろんですが、長毛種の猫に関しても先端部に丸い玉が付いている玉付きピンブラシを使用してください。短毛種の猫の場合は、より皮膚が傷つきやすいためやわらかい獣毛ブラシを選んでもよいでしょう。

ブラッシングは子猫の時から慣らすことが大切ですが、慣れていない成猫、老猫の場合は、一日短時間から慣らしてあげてください。ブラッシングが嫌いにならないように、最初は5分未満での練習をおすすめします。

シャンプーをする

猫はグルーミングをするため、犬のように定期的なシャンプーは必要ありません。しかし、皮膚病を繰り返している猫は獣医師の指示に従って、処方されたシャンプー剤でシャンプーしてあげましょう。

また、室外に出る猫の場合は、汚れや臭いが気になった時にシャンプーをしてあげてください。猫はシャンプーに対してストレスを感じるケースが多いので、どうしてもシャンプーをしたい場合は、数カ月に一度にしましょう。

ボディータオルを活用する

ペット用のボディータオルを使用して拭いてあげるだけでも、抜け毛対策や被毛の健康維持に役立ちます。舐めても安全な猫用ボディータオルや、洗い流さないシャンプーも活用できます。特にボディータオルは、猫とのコミュニケーションの一環としてもよいでしょう。

部屋や服の汚れを防ぐための対策は?

部屋や服が汚れを防ぐための対策をご紹介
部屋や服が汚れを防ぐための対策をご紹介

猫と生活していると、部屋や服が毛まみれになってしまうことがあります。そうならないよう、以下のような対策をおこないましょう。

抜け毛が舞い上がらないようにする

猫の抜け毛が舞い上がらないようにするためには、猫に安心して使用できるウェットタイプのお掃除シートを活用するとよいでしょう。

洗濯もの置き場やクローゼットを工夫する

衣類や毛布は猫の抜け毛がつきやすいので、閉鎖された洗濯もの置き場の空間づくりや扉付きのクローゼット、引き出し付きの衣類入れチェストを活用するとよいでしょう。

ペット用の毛とり粘着クリーナーを活用する

粘着シートがついたクリーナーは、衣類やソファーに付着した猫の抜け毛を取り除くのに活用できます。

こまめに掃除をする

部屋や服の汚れをこまめに掃除することで、部屋中が毛まみれになることを防げます。その他、時間がなくてなかなかお掃除がこまめにできない方は、ロボット掃除機の活用もおすすめです。

猫の抜け毛に有効な掃除方法は?

猫の抜け毛に有効な掃除のコツもおさえておきましょう
猫の抜け毛に有効な掃除のコツもおさえておきましょう

猫の抜け毛対策に有効なお掃除方法を以下で紹介します。

上から下に掃除する

猫の抜け毛は舞いやすいので、基本的には上から下に向けて掃除をおこないます。モップやお掃除シートを使う場合も、上から下に押すような感覚で掃除すると抜け毛対策に有効です。

フローリングワイパーやモップを使用する

いきなり掃除機をかけてしまうと、逆に猫の抜け毛が空中に舞い上がってしまったり吸いきれなかったりする場合があります。特に汚れをかき取る羽付きのロボット掃除機に関しては、抜け毛が舞いやすいので注意が必要です。

フローリングの場合は、ワイパーやモップであらかじめ掃除をしてから掃除機をかけると、毛が舞いにくくなるでしょう。

ゴム手袋を使用する

ゴム手袋で一カ所に猫の抜け毛をまとめたあと、掃除機をかけるのも効果的です。最近では、粘着タイプのクリーナー以外にも、エコを意識した粘着シートの必要ないポリエステルなどを使用した静電気吸着式のクリーナーも販売されています。日々の愛猫との生活で必須となる、抜け毛掃除対策に活用してみてください。

空気清浄機を併用する

空気清浄機といっても種類は豊富ですが、猫を中心としたペットに特化したハウスダストや被毛、ホコリを吸ってくれる空気清浄機も増えてきました。ペットに特化していない商品だと、抜け毛に配慮していないため壊れやすかったり、空気清浄機自体の小まめな掃除が大変だったりするかもしれません。そのため、猫などのペットに特化した商品を選ぶことが重要です。

抜け毛が多い猫の種類をご紹介

猫のなかでも、以下の種類は特に抜け毛が多くなります。

イメージ 特徴
アメリカンショートヘア 短毛種の猫ですが、外側のオーバーコートと呼ばれる被毛と内側のアンダーコート両方が生えているダブルコートの猫です。
名称:アメリカンショートヘア
スコティッシュフォールド 短毛と長毛の2種類の被毛タイプが存在するダブルコートの猫で、抜け毛も多く発生します。
名称:スコティッシュフォールド
ソマリ 一般的には4色の毛色があり、被毛の長さはセミロングです。ソマリもダブルコートタイプの猫ですので、抜け毛が多く生じます。特に首周辺部分の被毛が長いので毛だまりなりやすい猫種です。
名称:ソマリ
ヒマラヤン 触るとやわらかな被毛ですが、1本1本の厚みがある被毛です。ダブルコートの猫種で、茶色のポイントカラーが入った猫が多いのが特徴です。
名称:ヒマラヤン
ロシアンブルー グレー色の被毛が特徴のロシアンブルー。短毛種ですが、ダブルコートで意外に抜け毛が多いのが特徴です。
名称:ロシアンブルー

ダブルコートの猫は、全般的に抜け毛が多いのが特徴です。アンダーコートがないシングルコートの猫で、比較的抜け毛が少ない猫には、コーニッシュレックスやシャムなどが挙げられます。

猫の抜け毛対策に関するまとめ

猫の抜け毛対策に一番効果的なのは、日々のブラッシングです。ただし、要因によって対処法も異なるので、以下に覚えておきたい内容をまとめました。

猫の抜け毛の要因は?

猫の抜け毛の主な理由は、自然の現象で起こる抜け毛、皮膚病等の病気、栄養不足、ストレスの4つです。

猫の抜け毛を放置するとどうなる?

猫の抜け毛対策をおこなわず放置してしまうと、毛玉だけでなく病気の原因にもなりえます。

猫の抜け毛対策方法は?

根本的な対処法として、ブラッシングを愛猫との生活に取り入れましょう。ボディータオルやペット用空気洗浄機、ロボット掃除機の活用もおすすめです。

猫の抜け毛対策について、主な抜け毛の原因や有効な掃除方法、抜け毛が多い猫や猫との生活での抜け毛対策についてご紹介しました。皮膚病が疑われる過剰な抜け毛が発生している場合は、早めに動物病院の受診が必要です。ただし、病気が疑われない場合は、日々の愛猫とのコミュニケ
ーションの一環として、ブラッシングの時間を確保してあげるとよいでしょう。本記事の内容を参考に猫との快適な暮らしを送ってください。

望月紗貴

執筆者

望月紗貴

一般社団法人愛玩動物健康管理協会 代表理事。猫や犬との生活を豊かにするペット用品受託開発やペットフードの受託栄養設計、企業様向け教育セミナー等実施しております。これら営利事業の収益で、譲渡しない動物保護団体の運営を行っております。猫健康管理士、愛玩動物救命士、ペットセラピストを中心に14種類以上のペット関連資格を保有。

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