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マイホームはいつ買う?
消費税増税のメリット、デメリット

2019年10月に消費税8%から10%への引き上げが予定されています。住宅購入を検討している人にとっては、負担がどのぐらい増えるのか気になるところです。住宅取得のタイミングはいつ?抑えるべきポイントは?経過措置や消費税増税の支援制度はあるの?不動産コンサルタントの岡本郁雄氏に、消費税との賢い付き合い方を聞きました。

第2回 「住宅ローン控除」を上手く活用しよう

日本銀行による金融緩和によって、住宅ローン金利は低水準で推移しています。また、前回の消費税8%への引上げ(2014年4月1日)の際に「住宅ローン控除」が拡充されました。低金利の住宅ローンと住宅ローン控除を上手く活用できれば、家計の支払い負担を軽減できます。今回は、「住宅ローン控除」について紹介します。

「住宅ローン控除」とは?

住宅ローンを利用して、自宅用の住宅取得や増改築などを行う場合、一定の要件のもとで所得税から控除できるという、「住宅ローン控除」が利用できます。控除できる額は、住宅ローンの年末残高の合計額を基とした額になり、居住を開始した年から利用できます(2021年12月31日まで)。
「住宅ローン控除」の主な要件をまとめましたので、ご参照ください。

「住宅ローン控除」の要件(中古住宅を除く)

  • 新築又は取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける住宅に毎年12月31日まで引き続いて住むこと(一つの住宅に限る)
  • 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が居住用であること(床面積は、登記簿に表示されている床面積)
  • 10年以上にわたって分割して返済する住宅ローンであること(親族・知人からの借入金は対象外)
  • 居住を開始した年とその前後の2年、計5年間に居住用財産を譲渡した場合の課税特例(例えば長期譲渡所得のなど)適用を受けていないこと。
  • 特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。

さらに中古住宅の場合は、次の要件が付加!

中古住宅の場合は、生計を共にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと。贈与による取得でないこと。また建築後、使用された中古住宅であることが必要となります。
さらに、次の条件を一つ満たすことが義務付けられます。

中古住宅の「住宅ローン控除」の要件

  • 家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年以下。
    マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年以下。
  • 新耐震基準に適合する建物であること
    (耐震基準適合証明がされた住宅など)。
  • 2014年4月1日以後に取得した中古住宅で、取得の日までに耐震改修を申請し、居住開始までに耐震基準に適合することが証明されること。
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不動産コンサルタントのワンポイント
「住宅ローン控除」は家計の負担を軽減できます。
住宅の登記床面積50㎡以上など要件があるので事前によく確認しましょう!

住宅ローン控除額はどう計算するの?

控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額を基に計算します。住宅の種別、居住を開始した年(居住の用に供した年)によって控除期間や控除額の計算、控除額の上限が異なります。例えば、認定住宅は一般住宅と比べて控除額の上限が引き上げられています。
認定住宅の一つに、認定長期優良住宅があります。長期にわたり良好な状態で使用できるように構造や設備、一定の面積などを確保しているもので、定められた基準による認定を受けているものです。
また、認定低炭素住宅といって、二酸化炭素の排出の抑制に資する建築物も控除額の上限が引きあげられています。詳しく知りたい方は、所管行政庁(都道府県、市又は区)にご確認ください。
低金利の今、住宅ローン控除を上手く活用すれば、当初10年間は、金利負担がほとんどなく借入れすることも可能です。
「住宅ローン控除」を夫婦それぞれが活用することもできます。「住宅ローン控除」は、控除限度額以上は受けられないので、共働き夫婦でそれぞれ一定の所得があるならば、夫婦別々にローンを組むペアローンも検討しましょう。

住宅ローンの計算方法

 

※中古住宅の場合は、売主が個人の場合は控除の上限額が年額20万円になります(売主が不動産会社の場合は一般住宅と同様)。

※認定住宅の新築等について認定住宅新築等特別税額控除の適用を受ける場合には、その認定住宅の新築等について住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

 

例えば、一般住宅の場合に年末の借入残高が4,000万円の場合は、4,000万円×1%=40万円が控除額になります。年間の所得税額が40万に満たない場合は、所得税で控除しきれなかった額を住民税(一部)から控除できます。控除額が満たない場合もあるため「すまい給付金」が導入されています(詳しくは第3回でご紹介しています)。

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不動産コンサルタントのワンポイント
認定長期優良住宅などは、住宅ローン控除が拡充されます。
共働き夫婦の場合、ペアローンなら夫婦で「住宅ローン控除」を活用することもできます。

「住宅ローン控除」の留意点はここ!

「住宅ローン控除」を受けるには、税務署への確定申告が必要です。必要事項を記載した確定申告書に書類を添付し、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出します。なお適用を受ける1年目に確定申告をしたサラリーマンは、2年目からは税務署から送られてくる書面に記入し、金融機関の残高証明書とともに勤務先に提出するだけになります。年末調整で控除の適用を受けることができます。
繰り上げ返済をする場合は、返済期間の合計が10年未満になってしまうと、以降の「住宅ローン控除」が受けられなくなります。また借り換えをした際に、借り換えした住宅ローンが10年未満の返済であると、「住宅ローン控除」の要件を満たさず、以降は適用されなくなります。
繰り上げ返済や金利の低い住宅ローンへの借り換えは、負担の軽減につながります。「住宅ローン控除」の効果と比較しながら、プランを立てることが大切です。
平成31年度与党税制改正大綱において、消費税率10%への引上げ後の住宅購入等を支援するため、平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間に入居した場合を対象に、住宅ローン減税の控除期間を3年間延長(建物購入価格の消費税2%分の範囲で減税)することとされました。今後の国会で関連税制法案が成立することが前提となります。

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不動産コンサルタントのワンポイント
「住宅ローン控除」期間は10年間(2021年12月31日まで)。
その期間で、ある程度元本の返済もしくは貯蓄が出来ればライフプランが組み立てやすくなります。

さまざまな施策で魅力的な2019年の住まいの購入環境。
この機を活かして理想のマイホームを見つけてください。

岡本郁雄(おかもといくお)

不動産コンサルタント プロフィール

岡本郁雄(おかもといくお)
ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士。不動産領域のコンサルタントとして、マーケティング業務、コンサルティング業務、住まいの選び方などに関する講演や執筆、メディア出演など幅広く活躍中。延べ3,000件超のマンションのモデルルームや現地を見学するなど不動産市場の動向に詳しい。神戸大学工学部卒。岡山県倉敷市生まれ。
※2019年1月4日時点の情報です。上記内容は変更になる場合がございます。