一人暮らしの初期費用、どのくらいかかる?安く抑える方法とフリーレントについて

費用・お金

2020年2月28日更新

一人暮らしの初期費用、どのくらいかかる?安く抑える方法とフリーレントについて

はじめての一人暮らし、どのくらいお金が必要なのかイメージがつかず不安な方も多いのではないでしょうか? また、「できる限り費用を抑えたい」というのが本音だと思います。
そこでこの記事では、賃貸契約の初期費用にはどんな項目があるのか、どうしたら初期費用が抑えられるのかという疑問に答えていきます。

記事の目次

  1. 賃貸物件の契約にかかる「初期費用」ってなに?
  2. 賃貸契約にかかる初期費用の内訳
  3. 一緒にチェック!場合によって発生する費用
  4. 一人暮らしの初期費用、どのくらいかかる?初期費用の相場
  5. 初期費用を抑えるためにはどうすればいい?
  6. 「フリーレント」ってどんな物件?
  7. 初期費用の値引き交渉ってアリ?
  8. まとめ

賃貸物件の契約にかかる「初期費用」ってなに?

そもそも「初期費用」とは、賃貸物件を借りるための契約時に必要な費用全般を指します。敷金・礼金・仲介手数料・最初の1~2カ月分の家賃などは、賃貸借契約を結ぶ段階で支払う必要があります。これらをまとめて「初期費用」と呼びます。

初期費用は、物件によっては敷金や礼金がゼロであったり、仲介手数料が無料だったり、また地域によって相場が変わる場合もあります。初期費用を抑えるためには、そうした条件があることを前提に物件選びをするのも一つの方法です。

賃貸契約にかかる初期費用の内訳

次に、賃貸契約にかかる初期費用について、それぞれどんなものかを解説します。

敷金

敷金とは、退去時に部屋をクリーニングしたり修繕したりする「原状回復」に充てられるもので、物件の契約時にあらかじめ貸主(部屋を貸している人)に預ける費用となります。退去時には、原状回復にかかった費用が差し引かれ、返金されます。また、原状回復以外に担保としても扱われる費用であり、万が一家賃を滞納した場合は敷金から充填される形となります。
地域によっては「保証金」と呼ばれる場合もあり、多くの賃貸物件の契約で発生する費用です。

礼金

礼金は、その名の通り契約の際に貸主にお礼として支払う費用です。こちらは退去時に返金されません。最近は礼金がない物件も増えており、もともと礼金というシステムがない地域もあります。

仲介手数料

仲介手数料は、物件の紹介・契約を仲介している不動産会社に対して支払う費用です。不動産会社が受け取ることができる仲介手数料の上限は法律で、

  • 借主が支払う額:家賃の0.5カ月分以内
  • 貸主が支払う額:家賃の0.5カ月分以内

とされています。ただし、依頼者(借主と貸主)の承諾がある場合は、不動産会社はいずれか一方から家賃の1カ月分以内を受け取ることも可能です。なお、仲介手数料には別途消費税がかかります。不動産会社が自社で直接管理している物件の場合など、借りる物件や契約時期によっては発生しない場合もあります。

家賃(前家賃・日割家賃)

家賃は、契約月分と翌月分を契約時に支払う必要があります。契約月分は、毎月1日付での契約を除き日割りで計算されます。1日付での契約の場合は1カ月分のみの支払いで済む場合もあるなど、契約によって対応は異なります。

鍵交換費用

前の住民が使用していた鍵から新たな鍵へ付け替える際に必要な費用です。交換するかどうかは借主(部屋を借りる人)の意志で判断できる場合もありますが、前の住民に合鍵を作られていた場合、不法侵入のリスクが考えられるため、交換が推奨されます。
一般的に使用されているディスクシリンダー錠の場合、費用の相場は20,000円前後ですが、鍵の種類によって費用が変動します。

保険料

保険料には、火災保険や地震保険などの種類があります。
火災保険は、賃貸物件へ入居する際に加入が必須のため、多くの場合は賃貸借契約と同時に手続きが行われます。不動産会社が指定する保険へ加入するケースが多く、個人での加入が認められている場合は後々加入証明書の提出が求められます。

ここで注意すべき点は、火災保険はあくまで火災が原因の被害に対して有効だという点です。地震が原因の被害に対しては補償対象外となるため、注意しましょう。地震に備えるためには別途地震保険に加入する必要がありますが、火災保険に付帯する保険のため、地震保険のみに加入することは不可能です。保険料は、火災保険料の30~50%が目安となります。

保証会社の費用

連帯保証人が立てられない場合や利用が必須とされている場合は、保証会社の利用料金がかかります。金額は保証会社によりさまざまですが、おおよそ家賃の0.5~1カ月分が目安です。

一緒にチェック!場合によって発生する費用

不動産会社に支払う費用以外にも、引越し時にはさまざまな出費が予想されます。ここでは契約以外で発生する可能性がある費用を3つ紹介します。

引越し費用

実家や前の家の家具・家電を引き続き使用する場合は新居へ運搬する必要があるため、引越し費用が発生します。
金額は、距離や荷物量、曜日・時間帯、時期、引越し会社によって異なるため、あらかじめ何社か見積もりを取ったうえで決めるのが良いでしょう。

その他有料サービス

多くの引越し会社は、エアコンの移設工事、不用品の処分などの有料サービスを提供しています。自分で対応が難しいものは、通常の引越し作業とあわせて依頼しておくとラクです。

家具や家電を揃える場合はさらにかかることも

実家の家具家電はそのまま残したい、新しい部屋にあわせたものを買い揃えたいという場合は、当然その分の費用が発生します。
「一度にすべてを買い揃えるのは負担が大きい」という方は、入居前に揃えるべきもの、すぐに揃えなくてもいいものを分けて、少しずつ買い足していく方法もあります。

一人暮らしの初期費用、どのくらいかかる?初期費用の相場

ここまで、一人暮らしの引越しにはどんな初期費用がかかるかを紹介してきましたが、トータルすると、初期費用は家賃の4~5カ月分が相場です。たとえば家賃6万円で保証会社を利用する場合、以下のようなイメージとなります。

敷金 60,000円
礼金 60,000円
仲介手数料 66,000円
前家賃 60,000円
鍵交換 20,000円
火災保険料 15,000円
保証会社利用料 30,000円
合計 311,000円

敷金、礼金、仲介手数料は賃料の1カ月分だった場合で算出しています。

上記はあくまでも契約において一般的に必要とされる各項目の標準的な金額であり、場合によっては必要のない項目がある場合や、より低い金額での契約が可能な場合もあります。また、先述したように引越し費用や家具家電を買い揃える費用は別途必要となります。

初期費用を抑えるためにはどうすればいい?

初期費用を抑えるためには、引越しシーズンといわれる1月~3月を避けるのがひとつのポイントです。この時期は不動産会社や引越し会社にとって一番の繁忙期で、ほかの時期に比べて価格が高く設定されています。さらに、家賃や敷金、礼金を値下げしなくても契約者が集まりやすい時期でもあります。

一方、敷金、礼金や仲介手数料が低く設定されているかどうかを物件探しの条件にするのも一つの方法ですが、たとえお目当ての物件に高めの敷金・礼金が設定されている場合でも、クレジットカードの取り扱いがある不動産会社では、カードのポイント還元が受けられて現金払いよりもお得になるケースもあります。

また、直接的に費用を抑えるためには「フリーレント物件」を探すのも一つの方法です。

「フリーレント」ってどんな物件?

物件探しをしているなかで「フリーレント」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。このフリーレント物件では、お得に部屋を借りることができます。

フリーレント物件とは

フリーレント物件とは、一定期間の家賃が発生しない物件を指します。通常は1~2ヵ月間で設定されているケースが多く、引越しの初期費用を抑えるのに効果的な仕組みです。
引越しの際、新居の契約日によっては現在の部屋と二重で家賃を支払わなければならない場合があります。しかしフリーレント物件であればその心配がなく、引越し作業もスケジュールに余裕をもって進めることが可能です。

「フリーレント物件」に関してはこちらでも解説しています。併せてご覧ください。
フリーレントとは|不動産用語を調べる【アットホーム】

なぜ安くなる?フリーレントの理由

賃貸物件を運営する上で貸主が一番避けたいこと。それは、空室期間が長期化することです。そこで増えてきたのがこのフリーレント物件。フリーレントにすることで物件探しをしている人の目に留まりやすく、また契約も早期に決まりやすくなるメリットがあります。

入居を促進するために毎月の家賃を下げることも貸主にとって一つの手段ではありますが、そうするとすでに入居している方から反発が起こる可能性があります。また仮に1~2カ月の無料期間を作ったとしても、長期目線で見ればその先約2年の家賃収入は確実に見込めることになるので、そうした安定性も考えてフリーレントを取り入れる貸主が増えているのです。

フリーレント物件の注意点とポイント

メリットが大きいフリーレント物件ですが、注意すべきポイントもあります。
先述したように、フリーレント物件には契約期間が設けられているため、その期間中に解約した場合は違約金が発生する場合があります。つまり、短期的な居住を考えている方にはフリーレント物件は不向きということになります。

さらに、フリーレントはあくまでも家賃が無料となる仕組みであり、敷金・礼金や管理費、共益費など、家賃以外の費用は別途請求されることが多いため、入居を検討する際は、どの範囲までがフリーレントの対象なのかを事前に確認しておきましょう。

また、増えてきたとはいえ賃貸物件全体からみたフリーレント物件の数はまだまだ少ないのが現状です。フリーレントにこだわりすぎると理想の物件に出会えない可能性もありますので、他の条件とのバランスをみて選ぶようにしましょう。

交渉次第ではフリーレントにしてもらえることも?

希望の物件がフリーレント物件でなくても、状況により対応してもらえる可能性があります。1月~3月の引越しシーズンが過ぎ、5月以降になると、不動産業界は閑散期といわれる時期に入ります。そのため、早く空室を埋めたいと考える貸主であれば交渉に応じてくれるケースもあります。

ただし、一般的に好条件といわれる物件の場合はほかにも入居希望者がいることが想定されるため、難しいかもしれません。交渉の際は、「フリーレントであればすぐに契約したい」という意志を伝えてみるのもいいでしょう。

初期費用の値引き交渉ってアリ?

初期費用の値引きはフリーレントの交渉に比べて難しいと考えておいた方がよさそうです。交渉自体は悪いことはありませんが、貸主としては、なるべく提示している金額で契約してくれる方を優先したいというのが本音。強引な交渉は不動産会社や貸主からの印象を悪くし、契約そのものが成立しなくなる可能性もあるため、あくまでも相談ベースでおこないましょう。
その際は、「周辺の相場よりも高い」「空室期間が長い」などの交渉材料があると、相談に応じてくれる可能性が高まります。

それでも難しい場合は、初期費用の値下げにこだわらず、フリーレントをつけてもらう、エアコンやウォシュレットなどを設置してもらうなど、代替策を提案するのも一つの方法です。

まとめ

一人暮らしの初期費用は、家賃の4~5カ月分が相場となり、決して安い金額ではありませんが、工夫次第では費用を抑えられる方法も多くあります。ただし、ほかの条件とのバランスは重要です。初期費用を抑えることばかりを重視して本当に大切にしたかった希望をないがしろにしてしまっては本末転倒になってしまいます。
ぜひ今回の内容を参考に、譲れないポイントと妥協できるポイントをきちんと整理しながら、よりよい物件探しをスタートしてください。