オートロックって安全?メリット・デメリットとオートロック付き賃貸物件の実情

防犯

2020年2月28日更新

オートロックって安全?メリット・デメリットとオートロック付き賃貸物件の実情

「オートロックが付いた物件はセキュリティがしっかりしているイメージだけれど、本当に安全なの?」
そういった疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。物件選びの際には、特に気になるポイントかと思います。

オートロック付きの物件は、確かにセキュリティ面が優れているといえます。しかし、他の防犯対策と同じく「100%安心」とは言い切れないのが実情です。では、オートロックはどのようなメリットや注意点があるのでしょうか?

記事の目次

  1. 「オートロック」とはどんな仕組み?絶対に安全?
  2. オートロックのメリット
  3. 知っておきたい、オートロックの注意すべきポイント
  4. オートロックの種類と特徴
  5. オートロック付き物件のよくある侵入パターンと対策
  6. 【防犯・オートロック編】物件内見時に見ておきたいポイント
  7. まとめ

「オートロック」とはどんな仕組み?絶対に安全?

オートロックとは、物件の共用部分であるエントランスに設置されている、自動的に施錠をおこなうセキュリティシステムです。オートロックを開錠しなければ、物件内に立ち入ることはできません。

開錠には、住民に内部から解除してもらうほか、鍵・暗証番号・カードキーなどを用いての開錠が可能です。こうした仕組みにより住民以外の立ち入りが難しいため、オートロック付き物件は防犯面で優れているといわれています。

オートロックのメリット

では、オートロック付き物件を選択するメリットは何なのでしょうか?主なメリットを3つご紹介していきます。

住民以外の人間が入りにくい

オートロック付き物件は、住民以外の人が入りにくい仕組みとなっています。
オートロックの開錠には住民の開錠以外だと、鍵・暗証番号・カードなどが必要なため、外部の人は簡単に侵入できません。また、エントランスの先にいるのは基本的に住民のみという環境であることから、安心感が得られます。

訪問営業や押し売りを避けやすい

オートロック付き物件は、新聞などの訪問営業や、商品の押し売りを避けやすい環境といえます。

オートロックが付いていない物件の場合は相手が玄関先まで来てしまいますが、オートロックがあればこちらが開錠しない限り、基本的に玄関先まで来ることはありません。インターホン越しの会話のみとなるため、営業の訪問などを断りやすくなります。

空き巣などに狙われにくい

オートロック付き物件は、部屋の内部に侵入するまでに、エントランス・玄関と2つの工程を突破する必要があります。その分他の物件と比べて時間を要するため、空き巣は避ける傾向にあります。

知っておきたい、オートロックの注意すべきポイント

一方で、オートロックには注意したいポイントもあります。メリット以外にも理解を深めておきましょう。

「絶対に侵入できない」というわけではない

オートロックは外部からの侵入を防ぐ役割を担い、安心感を与えてくれるものですが、絶対に侵入できない訳ではありません。
住民や宅配便の配達員などの後に続いて、空き巣などが住人を装い侵入する危険性は十分に考えられます。

比較的、家賃が高い

オートロック設備がある物件は、そうでない物件と比較して家賃が高くなる傾向があります。
躊躇する方もいるかもしれませんが、その分「安全を買う」と思えれば何にも代えがたいメリットになります。自分にとっての重要度がどのくらいのものか、改めて考えてみましょう。

鍵を忘れたり紛失すると大変

鍵を忘れて外に出てしまうと、部屋に入れず外に締め出されてしまいます。部屋に他に誰かがいれば開錠してもらえますが、そうでない場合は手続きなどに手間取る可能性もあります。
また、万が一鍵を紛失してしまった場合は、自分の部屋に入られてしまうリスクがあるばかりではなく、自分以外の入居者に対して二次被害を及ぼすケースもあります。そうした場合はオートロック全体の交換が必要となり、その費用を請求される可能性もあります。
また、オートロックの鍵を自分で勝手に複製することも原則NGとなります。忘れたり紛失しないよう、厳重に管理することが必要です。

スマートキーは電池切れすることも

スマートロックに対応している物件の場合は、あらかじめ設定しておくと、オートロックの開錠や施錠がスマートフォン1台で可能になります。
ただし、便利な反面、スマートフォンの電池が切れてしまうと利用できません。電池の残量に気を配るとともに、万が一に備えて通常の鍵も持ち歩いた方が安心です。

オートロックの種類と特徴

ひとことにオートロックといっても、さまざまな種類があるのをご存知でしょうか? ここでは、主な種類を4つ紹介していきます。

集合キー式

出典:美和ロック株式会社

集合キー式は、玄関に設置されている差し込みタイプの鍵と同じもので開錠するタイプです。1つの鍵で2箇所の開錠ができるため、荷物も増えず手間もありません。オートロックの中では、最も多く広まっています。

しかし、マンション内すべての鍵に対応するつくりとなっているため、パターンさえ合致すれば開錠できてしまいます。複製のリスクもあり、オートロックの中では、セキュリティが弱いタイプといえるでしょう。

暗証番号式

出典:美和ロック株式会社

暗証番号式は、エントランスに設置されているテンキーから、番号を入力することで開錠するタイプです。鍵やカードなど別の道具が必要なく、番号さえ覚えていれば開錠できるため、持ち出しを忘れたり紛失したりして、入れなくなる心配もありません。
ただし、背後から番号を盗み見られる危険性もあるため、開錠時は周囲に注意が必要です。

カードキー式

出典:美和ロック株式会社

カードキー式は、鍵の代わりにカードを使用して開錠するタイプです。普段持ち歩く財布やスマートフォンケースの中に収納できるため、持ち運びにも便利です。主に、磁気部分を読み取る磁気カード式と、ICチップを読み取る非接触ICカード式があり、非接触ICカード式の場合は、対応するスマートフォンへアプリを使って搭載できます。

ハンズフリーキー(非接触キー)

出典:美和ロック株式会社

ハンズフリーキー(非接触キー)は、専用のICチップ付のキーやタグなどをリーダー近づける(感知させる)だけで、鍵をポケットやカバンに入れたまま開錠できるキーシステムのことです。
暗証番号式のように番号を忘れるリスクがなく、買い物帰りや子どもと一緒で両手がふさがっている場合でも開錠がスムーズです。

オートロック付き物件のよくある侵入パターンと対策

ここからは、オートロック付き物件でよくある侵入パターンと、効果的な対策を3つ紹介します。

住民の後に続いて侵入する

最も可能性が高いのは、住民に便乗して侵入するパターンです。

  • 住民が開錠したタイミングで、後に続いて侵入
  • 開錠に手間取る様子を装い、住民に先に開錠を促し後に続いて侵入

上記のような手法で、簡単に侵入されてしまいます。こういった事態を許してしまうと、建物全体のセキュリティレベルの低下につながりかねません。

対策としては、以下があげられます。

  • 見慣れない人を見かけた場合は、挨拶や声かけをする
  • 先に開錠を促された際には様子を伺ったり顔を覚えておく
  • 後に続いて侵入してきた場合は、一度離れて外に出る

他の鍵でキーが開錠されてしまう

集合キー式のオートロックの場合、他の鍵で開錠されるリスクがあります。

先述したように、集合キー式はマンション内すべての鍵に対応するために、比較的簡易的な作りになっています。そのため、パターンがわかれば、代用できる鍵の作成が容易となり、住民のように自由に出入りすることが可能です。

個人的な対策をおこなうことは難しいものの、あらかじめ管理会社としての対策やトラブル発生時の対処法を聞いておくと安心感が得られるでしょう。

暗証番号がバレてしまう

暗証番号式は集合キー式と異なり、複製されるリスクもなく安全と思われがちですが、番号が外部の人に漏れると簡単に侵入されてしまいます。
特に、推測しやすい番号が設定されている場合や、長期間同じ番号が使用されている場合は、他者に盗用される可能性が高まります。また、背後から盗み見たり、住民の子供から聞き出したりという危険性もゼロではありません。

暗証番号が個別に設定できる場合は、下記の対策をおこないましょう。

  • 定期的に番号を変更する
  • 自分や家族の誕生日や電話番号、同じ番号の羅列など、推測されやすい番号は避ける

【防犯・オートロック編】物件内見時に見ておきたいポイント

物件内見の際はつい部屋の間取りに集中しがちですが、防犯面を考えると共用部分のチェックは欠かせません。内見時に見ておきたいポイントを5つ紹介していきます。

オートロックの種類や構造

先述したオートロックの種類を確認するだけでなく、構造について理解することで、セキュリティレベルの判断が可能です。
設置されているオートロックによっては、自動ドアの隙間から内側に薄い紙を差し込み、自動ドアのセンサーを誤作動させるような手段も報告されています

内見の際には、過去にそのような事例がないか、誤作動の対策がおこなわれているオートロックシステムかを確認しておきましょう。

侵入経路の確認

物件への侵入経路はエントランスだけではありません。たとえば、物件を囲む塀が乗り越えられる高さの場合、簡単に侵入されてしまいます。

そのため、エントランスを経由しなくても物件内部に侵入できる経路がないか尋ねると共に、自分の目でも確認しておくと良いでしょう。

勝手口や非常口の施錠状態の確認

エントランスにオートロックが設置されていても、無施錠の勝手口や非常口があれば、セキュリティレベルは一気に低下してしまいます。

施錠の状態によって、その建物の住民の防犯意識を判断できるため、併せて確認しておきましょう。

マーキングサインがないかチェックしよう

部屋の住民の属性を表すものです。訪問販売員から派生し、今では空き巣も使用しているケースがあるため、物件のセキュリティレベルを見極める一つの材料となります。

マークの一例は以下です。

  • S:一人暮らし
  • F:家族
  • R/ル:留守
  • 金(金シール):お金をもっている

ポスト・表札・ガスメーターなどに書かれることが多いため、内見時には何か所か確認しておきましょう。

鍵の種類をチェックしよう

物件の共用部分だけでなく、専有部分(住戸部分)の鍵についても合わせてチェックしておきましょう。
玄関を開錠するのに多く使われているのは、シリンダー錠といわれる鍵です。
シリンダー錠にも、いくつか種類があり、それぞれセキュリティレベルが異なります。

ディスクシリンダー錠、ピンタンブラー錠

以前から広く普及されているものが、鍵の側面にギザギザの刻みが施されているディスクシリンダー錠・ピンタンブラー錠などです。ディスクシリンダー錠は両側面に刻みがあり、ピンタンブラー錠は片方のみです。これらはピッキングしやすく、防犯性は低いといわれています。

ロータリーディスクタンブラー錠

上記を改良し、ピッキング対策を施したものがロータリーディスクタンブラー錠です。ピッキングの感触が分かりにくくなり、上記と比較して防犯性が高くなっています。

ディンプルシリンダー錠

近年普及が広まっているのが、鍵の面に多数のくぼみがある形状のディンプルシリンダー錠です。従来の鍵と比較し鍵穴内部のピン数が多く、上下左右斜めに設置されているため、構造が複雑化しています。ピッキング対策に特に効果を発揮するタイプです。

まとめ

オートロック付き物件はさまざまなメリットがあり、防犯対策にも効果を発揮します。
現在の住まいで防犯に対する不安がある方は、オートロック付き物件への引越しを検討するのも一つの手です。

しかし、オートロック付き物件にこだわりすぎるあまり、ほかの条件がおざなりになってしまうのは考えもの。オートロックはあくまでも要素の一つとして捉え、幅広い視点で柔軟な物件探しをすることをおすすめします。

アットホームでは、防犯や安全に配慮した物件をまとめてご紹介しております。ぜひ下記リンクよりご覧ください。