ミッドセンチュリーインテリアとは?特徴や部屋づくりのポイント、実例も紹介

今回は、そんな現代アートのような雰囲気も持つミッドセンチュリーインテリアを取り入れた、おしゃれな部屋づくりを徹底解説!個性派な空間にしたい時には、ぜひ参考にしてみてくださいね。
記事の目次
ミッドセンチュリーインテリアとは?
「ミッドセンチュリー」とは、和訳して「1世紀の中盤」という意味があり、主にインテリアでは1940~1960年代を示しています。このことから、「ミッドセンチュリーインテリア」は戦後あたりに誕生した、近未来的なデザイン要素を持つ家具などを指す言葉です。
ミッドセンチュリーインテリアでは、ユニークながらも派手な装飾は省いたデザイン性になっていて、産業技術が多用されているのも大きな特徴。合理的な機能性も個性的な見た目も共存しており、「ミッドセンチュリーモダン」や「レトロフューチャー」などと表現されることもあります。
ミッドセンチュリーの発祥
ミッドセンチュリーインテリアの歴史は、第二次世界大戦終了後からはじまりました。主に当時のアメリカで発祥したインテリアスタイルで、帰還兵による住宅需要の高まりから急速に広がったとされています。また戦勝国であったアメリカは特に経済復興が早く、戦時中に開発された軍事技術を活かした産業が発達。家具の製造にも大きな影響を与え、これまでになかったデザイン性が生まれるようになり、ミッドセンチュリーインテリアとして確立されていきました。
代表的なデザイナー
ミッドセンチュリーインテリアが盛り上がった背景には、複数の有名デザイナーの存在があります。なかでも代表的なのは、次のデザイナーたちです。
チャールズ&レイ・イームズ
1960年~1970年代をけん引した、インテリア以外にもさまざまな芸術作品を世に送り出したアーティスト夫妻です。特にインテリアでは、背と座面が一体化した、プラスチック製のサイドシェルチェアを開発したことでも知られています。

エーロ・サーリネン
世界的家具ブランド・Knoll(ノル)の代表的スタイルを確立したデザイナーで、シェル形状が特徴的なチューリップチェアを生み出した人物でもあります。建築家としての実績も非常に高く、アメリカ・ニューヨークのCBSビルディングを手がけたことでも有名です。
ハリー・ベルトイア
主に金属彫刻で知られるイタリア出身の芸術家です。ダイヤモンドチェアをはじめとした、ワイヤー家具を生み出した人物としても知られています。また先ほども出てきたイームズ夫妻やエーロ・サーリネンの作品にも、ハリー・ベルトイアによる金属加工が大きく影響しました。
ジョージ・ネルソン
世界を代表するミッドセンチュリーインテリアブランド・ハーマンミラー社にて、デザインディレクターとして同社を飛躍させた重要人物です。プラットフォームベンチなどの代表作を残すほか、イームズ夫妻をはじめとした、数々の有名デザイナーも起用しました。
アレキサンダー・ジラード
主にファブリック製品のミッドセンチュリーインテリアデザインを確立した人物です。幾何学模様のユニークな柄やビビットな色使いを取り入れたデザインを生み出し、またハーマンミラー社のテキスタイル部門も立ち上げました。
イサム・ノグチ
日系アメリカ人の彫刻家で、北海道のモエレ沼公園なども手がけた、さまざまな芸術活動に取り組んでいた人物です。前述のジョージ・ネルソンの誘いから、ハーマンミラー社でも活躍しました。特にインテリア業界では、照明のデザインで知られています。

ミッドセンチュリーインテリアの特徴
ではミッドセンチュリーインテリアを使った部屋づくりに向けて、取り入れたい家具や小物などの特徴を見ていきましょう。
カラフルで曲線的なデザイン
軍事技術によって、今までにはなかった木材の合板加工やプラスチックが家具に取り入れられるようになったのも、ミッドセンチュリーインテリアの特徴です。直線以外のデザインも製造できるようになり、貝を模したようなシェル形状が多用されるようになりました。こうした曲線的なデザインに加え、戦後復興の時代背景から明るくポップな色使いが人気を集めるようになり、当時のインテリアにも大きく影響。ミッドセンチュリーインテリアの個性的なイメージにつながっています。
自由で斬新な雰囲気
前述のようにデザインの幅が大きく広がったことから、家具やファブリックのフォルムや模様は、どんどんユニークになっていきました。例えば先ほどのジョージ・ネルソンの代表作には、マシュマロソファという、円形のクッションを複数組み合わせたアーティスティックな家具もあります。前例にとらわれないデザインができるようになり、シンプルながらもインパクトのあるアイテムが生まれたのも、ミッドセンチュリーインテリアの特徴です。
壁にも装飾

斬新かつ軽快なイメージのあるミッドセンチュリーインテリアでは、壁にも模様やオブジェなどを取り入れて部屋のアクセントにします。例えば壁の一部だけビビットカラーにするなど、当時の時代背景を表す活気にあふれた華やかなイメージにすると、よりレトロ感のあるミッドセンチュリーインテリアにできます。
ミッドセンチュリーインテリアをつくる5つのポイント
ミッドセンチュリーインテリアは個性的なイメージが強いですが、都会派のモダンな一面もあるので、基本的には全体を重めのトーンでまとめるのがコツです。スタイリッシュなテイストのなかに、ユニークなアイテムを取り入れていくと、ミッドセンチュリー感が出やすくなります。
床はオークやチーク材
ミッドセンチュリーインテリアでは、家具や壁などに個性派なデザインを取り入れていくため、床材は少し落ち着いた雰囲気にするとバランスが取れます。重厚感のあるダークブラウン系も合いますが、オークやチークといった、淡色系のシンプルな床材にしたほうがスッキリとまとまりやすくて無難です。
ビビッドなカラーでポップな色使い
ベースは淡色系やモノトーンといった落ち着いた色合いにしつつも、差し色になるアクセントカラーを決めて取り入れていくと、よりハイセンスな印象にできます。一般的なインテリアでは、ある程度の統一感を持たせるのが基本ですが、ミッドセンチュリーインテリアでは2~3色程度ポイントカラーを入れるのもテクニックです。スタイリッシュなカラーリングのなかで、明るい原色を持ってくることで、コントラスト感が出ます。
デザイナーズ家具を取り入れる
ミッドセンチュリーインテリアといえば、今までにも出てきているように、自由なデザイン性の家具です。特にミッドセンチュリーインテリアっぽさを出しやすいのが、チェア・ソファ・サイドボード・照明など。曲線的だったり、あまり見かけない形状だったりするアイテムが見つかりやすいですよ。
レザーと布素材を取り入れる
例えばソファ・クッション・カーテン・ラグといったレザーや布製品を使うと、ミッドセンチュリーインテリア感のあるアイテムが取り入れやすくなります。例えばソファはシックでシンプルな革製にして、クッションをインパクトのある柄物などでアクセントを付けていくと、モダンと個性派の雰囲気がうまく両立します。
レトロな雑貨を置く
例えばプラスチックの小物入れやブリキ看板など、レトロな印象のある雑貨を使っていくのもミッドセンチュリーインテリアにしやすいポイントです。その他にも、ポスターや絵画といったアート作品なども取り入れていくと、よりハイセンスなイメージにできます。

賃貸でミッドセンチュリーインテリアを取り入れるコツ
購入したマイホームなら、自分の好きなスタイルに合わせて、床材や壁紙などをリフォームしながら自由にインテリアを楽しめるでしょう。一方で賃貸の場合、部屋を出る際の原状回復義務があり、大きく内装を変えることはできません。とはいえ、ちょっとした工夫をすれば、賃貸でも自分なりのアレンジをすることは可能です。では実際に、部屋を好みのテイストに変えていく技をご紹介していきます。
リメイクシートを活用する

最近ではDIYが流行っていることもあり、既存の壁に貼って剥がせる、デザイン性の高いリメイクシートが数多く市販されています。例えばリビングの一部やキッチンなど、リメイクシートを使って部分的に壁紙を変えるだけでも、部屋の印象をガラッと変えることが可能。ミッドセンチュリーインテリアなら、ストライプやビビットカラーなどを取り入れるのもいいですね。
ただし商品によって貼る強度は異なるため、場合によってはキレイに剥がせずに糊が残ってしまうケースも。リメイクシートを利用する際には、事前に口コミまで見る・目立たない場所で一度試すなど、あらかじめチェックしておいたほうが無難です。
クッションフロアを敷く
あまり床材が好みでない時には、クッションフロアを使ってアレンジする方法もあります。クッションフロアも、既存のフローリングの上から敷いて使用できるDIYグッズで、使い方は商品によってさまざま。例えばマスキングテープと両面テープによって貼り付けたり、接地面が吸着素材になっていてそのまま敷いたりする種類などがあります。
2×4(ツーバイフォー)材でラックをつくる

均一サイズのパーツを枠組みのように組み立てていく2×4材を使えば、壁を傷付けずにウォールラックを設置できます。大きめのウォールラックを立てておけば、手軽に壁かけの収納や装飾を楽しむことが可能。小物やアート作品などを飾ってインテリアの雰囲気を出したい場合におすすめです。
穴が目立たないピンやフックを使用する
例えば時計や写真など、ミッドセンチュリーインテリアに合ったアイテムを飾りたい場合、穴が目立たないピンやフックを使うのも1つの方法です。基本的には壁に刺す針が細くなっていて、取った跡をこすると穴がふさがるような仕組みになっています。ただしこれも商品ごとに差はあるので、一度目立たない場所などで試しておくとベターです。
ミッドセンチュリーインテリアで失敗しないためのコツ
ミッドセンチュリーインテリアで部屋づくりをする場合、次のような点に気を付けておかないと、あまりまとまりのない印象になってしまうので要注意。より垢抜けたイメージにするためにも、以下のポイントも覚えておくとよいでしょう。
多くの色を使い過ぎない
ミッドセンチュリーインテリアでは、カラフルにするのも1つのテクニックですが、あまり色使いがバラバラになってしまうとデザインがボヤけてしまいます。特に大きめの家具で色を使いすぎてしまうと、ごちゃごちゃと見えやすいので要注意。もしカラフルにしたい場合には、小物で取り入れたほうがまとまりやすいでしょう。
無機質素材をうまく調和させる
ミッドセンチュリーインテリアは、温かみのあるナチュラルさよりも、産業的なデザイン性の強いスタイルです。家具もプラスチック・アイアン・ガラスなど、人工的な素材を使ったアイテムが使われやすい特徴があります。こうした硬い印象のある無機質素材をバランスよく入れていくと、近未来的な雰囲気も出やすく、ウッド調の家具とうまく調和させながら使っていくのがおすすめです。
直線的でシャープなものより丸みを意識
ミッドセンチュリーインテリアでは、四角形よりも円形を意識して家具を取り入れていくと雰囲気が出やすくなります。余計な装飾がなく機能的で、かつ曲線を使ったフォルムのアイテムをチョイスしていくのがおすすめです。
照明にこだわる
照明はさまざまな形状を作りやすく、前述のような曲線のデザインになりやすいアイテムです。例えばペンダントライトやアームライトを取り入れていくと、よりミッドセンチュリーインテリア感も出やすくなります。またシックな雰囲気を演出するなら、照明の明るさ自体も落ち着いたものにするなど、照度にもこだわるとベストでしょう。
ミッドセンチュリーインテリアの事例を紹介!
おしゃれでこだわりのある部屋作りを紹介する『こだわり部屋FILE』から、「ミッドセンチュリーインテリア」の実例を紹介いたします。実際のお部屋づくりの参考にしてみてくださいね。
こだわりのミッドセンチュリー部屋

こちらの部屋は、カラフルなイームズチェアと色鮮やかなグリーンのカリモク60Kチェアが印象的な、まさに王道のミッドセンチュリーインテリアです。いずれもミッドセンチュリーインテリアの代表的なブランドで、ビビットな色使いがしっかりとリラックス空間のアクセントになっています。
ミッドセンチュリーインテリアとDIYで作る癒やしのカラフル部屋

こちらはポップさにあふれたミッドセンチュリーインテリアになっていて、大胆な柄物のカーテンやラグからおしゃれな雰囲気が漂っている部屋です。その他、パステルイエローの壁紙やアレンジの利いた照明なども、ミッドセンチュリーインテリアらしい個性派な印象に仕上げています。
棚やキッチンをプチDIYしたアンティーク部屋

こちらの部屋では、曲線的なテーブルやチェアをうまく活用したミッドセンチュリーインテリアになっています。印象に残りやすいユニークな壁かけ時計をはじめ、カラフルな小物や靴を置いたラックなども、おしゃれな雰囲気につながっています。
憧れの家具を集めたミッドセンチュリー部屋

こちらの部屋では、物件のレトロ感とミッドセンチュリー系の家具が調和した、落ち着きのあるインテリアに仕上がっています。全体をダークブラウンでまとめつつも、赤色のチェアでアクセントを付けることで、よりセンスのある印象になっています。
ミッドセンチュリーモダンな団地ふたり暮らし

こちらは、ウッド調とアイアン系の家具がバランスよくレイアウトされた、ミッドセンチュリーインテリアの雰囲気が漂う部屋です。明るいピンクのチェアや壁装飾をうまく取り入れることで、スタイリッシュながらも、個性的な印象もあるミッドセンチュリーインテリアになっています。
自然光が差し込む二人のミッドセンチュリー空間

こちらの部屋では、カラフルな壁装飾と観葉植物でアクセントを付けた、開放的な印象のミッドセンチュリーインテリアになっています。おしゃれなフォルムのローテーブルやワインレッドのソファ、柄物のファブリックもバランスよく配置されており、落ち着いた大人な空間を演出しています。
まとめ
いかがでしたか?
一見取り入れるのが難しそうなミッドセンチュリーインテリアですが、今回ご紹介したようなポイントを押さえていけば、かなり垢抜けた印象にできるスタイルです。また取り入れるアイテム次第で、ポップにもスタイリッシュにもでき、個性を出しやすいインテリアでもあります。賃貸物件の場合でも、家具や小物をそろえていくことで雰囲気がつくりやすいので、一味違ったこだわりの部屋にしたい場合には特におすすめです。ぜひ本記事を参考に、自分らしいおしゃれな部屋にしていきましょう。
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