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賃貸需要の調べ方は?調べる目的や物件別での見極め方を徹底解説!

賃貸需要の調べ方を解説します
賃貸経営を始めるにあたり「賃貸需要」が重要といいます。賃貸需要が高ければ、空室になるリスクが下がるため、安定した家賃収入を期待できます。
では、実際にどのように賃貸需要を調べればよいのでしょうか。そこで本記事では、賃貸需要の調べ方や調べる際のポイント、物件別に見た賃貸需要の見極め方を解説します。多角的な視点から賃貸需要を調べ、後悔のない物件選びをおこないましょう。

賃貸需要とは

賃貸需要とはどれくらい物件を借りたい人がいるかを表したものです
賃貸需要とはどれくらい物件を借りたい人がいるかを表したものです

賃貸需要とは、「その物件を借りたい人がどれくらいがいるか」を表したものです。需要が高ければ、入居者が集まりやすく安定した家賃収入が見込めます。反対に需要が低ければ、空室期間が長引いたり、家賃を下げなければ入居しなかったりと、家賃収入が不安定になるでしょう。本章では、賃貸物件における空室率や賃貸需要を調べる目的などを解説します。

賃貸住宅の空室率

空室率とは、全体の部屋数に対してどれくらいの空室があるかを表すものです。空室率が低ければ、多くの部屋に入居者がいることを意味し、賃貸需要が高いと判断できます。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)結果」によると、総住宅数に占める空き家の割合は13.8%となっています。そして、空き家900万戸のうち、賃貸用の空き家は443万戸。つまり、空き家のうちの約49%が賃貸用の住宅ということです。これを見ると、需要を見極めたうえで賃貸物件を購入しなければ、入居者がなかなか決まらず、空室となる可能性があることがわかります。

賃貸需要を調べるメリット

賃貸需要の高い賃貸物件を購入すれば、安定した家賃収入が期待できます。しかし、それ以外にも賃貸需要を調べるメリットを3つ解説します。

土地の活用方法を選定しやすくなる

賃貸需要を調べると、土地の活用方法を選定しやすくなります。土地の活用方法は、賃貸物件の経営だけではありません。駐車場やコインランドリーの経営など、さまざまな活用方法があります。例えば、交通量が多いエリアであれば、駐車場経営が適しているでしょう。単身者が多いエリアでは、コインランドリーの経営が適しているかもしれません。賃貸需要を調べることで、その土地にあった活用方法を決めやすくなります。

建設計画が立てやすくなる

賃貸需要を調べると、賃貸物件を建設する場合にも計画が立てやすくなります。なぜなら、エリアや周辺環境によって、入居者のターゲットやニーズが異なるからです。例えば、保育施設や小中学校、公園が集まっているエリアであれば、単身者よりもファミリー層をターゲットにしたほうがいいでしょう。もし専門学校や大学が多いエリアであれば、学生をターゲットにした賃貸物件の建設が考えられます。賃貸需要を調べることで、ターゲットやニーズに合った賃貸物件を建設しやすくなるでしょう。

出口戦略を立てやすくなる

現在の賃貸需要だけではなく将来的な需要に変化がみられるのか、予測をしておきましょう。賃貸物件は建てて終わりではありません。現在、日本では少子高齢化が進んでおり、都市部では人口が集中する一方、地方では減少している地域もあり、二極化が進んでいます。将来的な賃貸需要を見越したうえで、賃貸物件を最終的にどうするのかを考えなければ、赤字になってしまう可能性もあります。いつまで賃貸経営を続けるのか、賃貸物件を売却するのか、解体して更地にするのかなど、どうすれば収益を最大化して経営を終えられるのかを考えておきましょう。

賃貸需要に影響を与える要素

賃貸需要に影響を与える要素を3つ解説します
賃貸需要に影響を与える要素を3つ解説します

賃貸需要の高低はどのようにして決まるのでしょうか。本章では、賃貸需要に影響を与える要素を3つ解説します。

人口動態

人口動態は、賃貸需要を左右する重要な要素の一つです。人口が増加している地域は、その分賃貸物件の需要も高まります。また人口だけではなく、世帯数も確認しておきましょう。なぜなら、世帯数が増えれば必要となる住宅の数も増えるためです。総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント」によると、一世帯の平均構成人員は2.05人(前年比ー0.03人)と1968年以降、毎年減少。一方、世帯数は6,077万9,141世帯(前年比51万2,823世帯)となっており、1968年以降、毎年増加しています。

また、年齢構成比も確認しておきましょう。例えば、若年層やファミリー層の流入が見込まれるエリアは、賃貸物件の需要が伸びやすい傾向にあります。単身者が増加しているエリアでは、ワンルームマンションのニーズが高まるでしょう。世帯数や年齢構成比などが賃貸需要に影響を与えるため、よく確認しておきましょう。

雇用環境の有無

雇用環境の有無も、賃貸需要に影響を与える要素の一つです。雇用環境があれば、近くに住みたいと考える方も多くなるでしょう。例えば、病院や工場などがある場合、駅から離れた立地であっても、賃貸需要が高くなることも。都心部の場合は、公共交通機関が発達しているため、通勤に便利な駅近物件のほうが、賃貸需要が高まります。地方や郊外の場合、雇用環境を生み出す施設が周辺にあるか、確認しておきましょう。

周辺環境

物件の周辺環境も、賃貸需要に大きく影響を与えます。交通の便や商業施設の充実度、治安、自然環境など、さまざまな要素が複合的に作用し賃貸需要を左右します。例えば、スーパーマーケットや公園、小中学校などが徒歩圏内にあれば、生活を送るうえで便利なため、ファミリー層に人気があります。また、駅からの距離が近くコンビニエンスストアまで徒歩圏内の物件は、通勤や日々の生活に便利なため、単身者や若い世代からのニーズが高いでしょう。周辺環境は物件の価値を大きく左右し、賃貸需要に影響を与えます。そのため、さまざまな観点から周辺環境を評価することが大切です。

賃貸需要の5つの調べ方

賃貸需要を調べる方法を5つ解説します
賃貸需要を調べる方法を5つ解説します

賃貸需要に影響を与える要素を見てきました。それでは実際にどのように調べればいいのでしょうか。本章では、賃貸需要の調べ方を5つ解説します。

不動産情報サイトで調べる

不動産情報サイトは、賃貸需要を調べる際に、手軽で効率的に探せる手段の一つです。価格や間取り、建物の構造、駅からの徒歩での分数など、さまざまな条件で物件を検索できます。不動産情報サイトアットホームでは、市区郡別や駅別での家賃相場が検索可能。周辺物件の家賃相場を知ることで、適切な家賃設定ができるでしょう。

人口動態統計から人の流れを予測する

人口動態統計から、購入を検討している地域の人の流れを予測してみましょう。例えば、出生率が高い、転入者数が多い地域は、人口が増えるため、賃貸需要も高まる傾向にあります。また、先述したように人口の増減のみが賃貸需要に影響を与えるわけではありません。世帯数や年齢構成も確認しておきましょう。例えば、高齢者の割合が高いエリアではバリアフリー設備が整った高齢者向けの住宅の需要が高まる可能性があります。ターゲットとする入居者層に合わせて、物件のタイプや設備を検討しましょう。

再開発事業計画を確認する

賃貸需要を調べる際には、再開発事業計画も確認しておきましょう。再開発によって、新しい駅や道路が整備されることで、交通の利便性が向上。住む場所としての魅力が高まるため、賃貸需要の向上が期待できます。また、大規模な商業施設が建設されることで、生活の利便性が増すことも。例えば、現在秋葉原や渋谷などでは、高度経済成長期に建てられたビルが更新時期を迎えており、古い建物を解体し、高層ビルやタワーマンションを建設する再開発事業が進められています。再開発事業によって、将来的にエリアの価値が左右されるため、事前に調べておきましょう。

アットホームタウンライブラリーではさまざまな街の再開発についての情報を発信しています。併せてチェックしてみてください!


不動産会社に相談する

賃貸需要を調べる際に、不動産会社に相談することも一つの方法です。不動産会社は、賃貸市場に関する豊富な知識と経験を持っています。直接相談することで、不動産情報サイトや統計データでは得られない、よりリアルな情報を収集できるでしょう。

例えば、入居希望者に多い年齢層や家族構成、求めている設備などを聞いてみましょう。日頃から入居希望者とやりとりをしている不動産会社から情報を聞けば、どういった賃貸物件を購入すればいいのか、イメージしやすくなるでしょう。

【物件別】賃貸需要の高い物件の見分け方

物件別に賃貸需要の高い物件の見分け方を解説します
物件別に賃貸需要の高い物件の見分け方を解説します

これまで見てきたように、人口動態や雇用環境、周辺環境などが賃貸需要に影響を与えます。しかし、物件の種類によっても賃貸需要の高さが変化します。本章では、物件別での賃貸需要の高い物件の見分け方を解説します。

アパート

駅から近いアパートは、賃貸需要が高くなります。一般的に、駅から徒歩10分以内の物件がいいとされています。また、アパートの周辺施設も確認しておきましょう。単身者とファミリー層によって、求める周辺施設が異なります。例えば、単身者の場合、商業施設やコンビニエンスストア、飲食店が充実していると賃貸需要が高まるでしょう。一方、ファミリー層の場合、スーパーマーケット、学校や病院、公園などが近ければ入居者を集めやすくなります。

マンション

マンションはアパートと比較して家賃相場が高いため、経済的に余裕のある方が多い傾向にあります。より多様な層をターゲットにできるため、立地条件や共用施設、設備やセキュリティなど、さまざまな要素が複合的に影響します。アパートと同様、駅からのアクセス、周辺環境がいいことは前提となるでしょう。また、共用施設や設備の充実度やセキュリティ対策がされているかが、賃貸需要に影響を与えます。

一戸建て賃貸

一戸建て賃貸は、ファミリー層を中心に高い人気があります。特に子どもがいる世帯は、広々とした部屋や庭で遊ばせたいというニーズがあることから、庭付き・駐車場付きが求められる傾向にあります。周辺にアパートやマンションが多い場合は狙い目です。なぜなら一戸建て賃貸を希望する方は、住まいに関してこだわりがある方のため、ニーズを満たせる一戸建ての需要が高まります。

賃貸併用住宅

賃貸併用住宅とは、自身も住みながら一部を賃貸に出す住宅のこと。一戸建てに住みたいと考えている方が入居者のターゲットとなるでしょう。立地や周辺環境の条件に関しては、アパートやマンションと同様、駅から近くて周辺環境が整っているほうが、賃貸需要が高まります。また、住居部分と賃貸部分が明確に分かれている物件が、賃貸需要は高まるでしょう。車の所有者が多い地域は、十分な駐車スペースを確保できるようにしておきましょう。

賃貸需要を調べる際のポイント

賃貸需要を調べる際のポイントを解説します
賃貸需要を調べる際のポイントを解説します

賃貸需要の調べ方を解説しましたが、ポイントがずれてしまえば、意味のないものになってしまいます。そのまま賃貸物件を購入すると、失敗してしまうかもしれません。調べた賃貸需要を有効活用するために、ポイントを押さえておきましょう。

入居者のターゲットを絞る

賃貸需要を調べる際は、入居者のターゲットも調べましょう。ターゲットをあらかじめ絞ることで、物件選びの精度が上がり空室リスクを減らせます。また、ターゲットに合わせた広告を打ち出したり、宣伝活動をおこなうことで、効率よく入居者を獲得できるでしょう。さらに、ターゲットの収入や周辺の家賃相場を考慮した、適切な家賃設定も重要なポイントです。例えば、大学周辺にあるワンルームマンションの場合、ターゲットは学生となるでしょう。ターゲットを絞ることで、大学へのアクセスがいい、家賃が安いなど求めるニーズもわかるため空室のリスクも抑えることができます。

空室率を確認する

賃貸需要を調べる際は、空室率を確認しましょう。購入を検討している投資物件だけでなく、周辺にある物件の空室率も調べておきましょう。空室率が高い場合、地域や物件の賃貸需要が低いことが考えられます。賃貸需要が低ければ、家賃を下げざるをえなかったり、空室が長期化するリスクが高かったりと、安定した家賃収入を得ることは難しいでしょう。

具体的には、空室率5〜10%が理想とされています。しかし、地域や物件の構造によって空室率は異なります。不動産情報サイトによっては、空室率を検索できるため、調べておくとよいでしょう。

人口増加率や駅の利用者数を確認する

人口増加率や駅の利用者数は、地域の活況度や将来性を測るうえで重要な指標です。人口が増加している地域や、駅の利用者数が伸びている地域は、賃貸需要も高い可能性があります。一方、人口が少ない地域の場合、少し増えただけで人口増加率が大きくなるため、全体の人口と増加率のバランスも確認しておきましょう。また、駅の利用者数が少ない場合、車の所有者が多いため駐車場のある物件の賃貸需要が高いことが予測できます。駅の利用者数は、鉄道会社のホームページで検索できるため調べてみるとよいでしょう。

ハザードマップを確認する

賃貸需要を調べる際には、ハザードマップを確認しておきましょう。ハザードマップとは、洪水や地震、土砂災害などの自然災害が発生した時の危険箇所を示したもの。確認することで、賃貸物件の立地がどれほどのリスクを抱えているのか、視覚的に把握できます。

災害リスクが高い地域にある賃貸物件は、被災してしまう可能性も。どういったリスクがあるのかを把握しておくと、火災保険や地震保険などの保険に加入し、万が一の際に備えることもできます。ハザードマップは地方自治体のホームページで公開されているため、調べておきましょう。

物件の周辺環境を確認する

繰り返しになりますが、投資物件の周辺環境は、賃貸需要に大きく影響する重要な要素です。周辺環境が良好な物件は、入居者から高い人気が集まり安定した家賃収入が見込めます。インターネットからの情報だけではなく、実際に足を運び、ご自身の目で確認するといいでしょう。

日中だけではなく、早朝や夜間など、時間帯を変えて足を運ぶことをおすすめします。時間帯を変えることで、治安が心配になったり、周辺施設の営業時間が短かったりすることがわかるかもしれません。ご自身が入居者の立場になった時、どう感じるのかを大切にしながら調べてみましょう。

まとめ

今回は、賃貸需要に影響を与える要素や調べ方を解説しました。安定した賃貸経営をおこなうためにも、賃貸需要の高い物件を選ぶことが大切です。駅から近い、周辺環境が充実している地域にある物件は、賃貸需要が高い傾向にあります。不動産情報サイトで得た情報だけでなく実際に現地に足を運び、自分の目で周辺環境や物件の状態を確かめに行きましょう。また、現在だけでなく、人口動態統計などから将来的な人口の動きを予測することも大切です。賃貸経営は数十年にわたっておこなうものであるため、長期的な視点を忘れないようにしましょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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