ワンルームマンション投資のデメリットは?事前に知りたいリスクと回避法を伝授!

本記事で紹介するのは、ワンルームマンション投資の主要なデメリットとリスクです。それらを回避するための方策も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
ワンルームマンション投資とは

ワンルームマンション投資とは、ワンルームマンションを1部屋購入し、第三者(入居者)に貸し出します。そして、入居者から得る毎月の家賃収入や、部屋を売却して差分利益を得る投資です。
ワンルームマンション投資は金融機関からお金を借りて購入する場合が一般的。そのため、ワンルームマンション投資で得る主な利益は、入居者から得た家賃収入から、不動産投資ローンの返済額を差し引いた額になります。まとめると、ワンルームマンション投資の特徴は以下のとおりです。
- 多くは金融機関から融資を受けて投資がおこなわれる
- 入居者の家賃で不動産投資ローンを返済していく
- 最終的に売却した差額が利益になる
ワンルームマンション投資のデメリットとリスク

ワンルームマンション投資のデメリットは何でしょうか。また、成功を妨げるリスクになるのはどのような点でしょうか。本章では、ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを紹介します。
購入時に想定しきれない点が多い
ワンルームマンション投資のデメリットとして、購入時に想定しきれない要素が多い点が挙げられます。多くの方が、投資を始める前に、収益シミュレーションやリスク分析をするでしょう。もちろん慎重な計画を立てているはずですが、実際には多くの不確定要素が存在するため、想定から外れてしまいます。例えば、入居者が見つからず、予想以上に空室期間が長引くケースです。原因は、立地条件や設備の充実、競合状況などさまざまな要因が影響しますが、完全なコントロールはできません。
また、入居者が見つかっても、家賃を滞納されると収益計画が崩れてしまいます。入居者の信用調査は厳格におこないますが、すべてのリスクの排除は困難です。さらに、自然災害による被害も考慮しなければなりません。地震や台風などの自然災害によって投資用物件が損傷を受けた場合、修繕費用がかさむだけでなく、入居者が退去してしまうリスクもあります。
これらのリスクは保険である程度カバーできますが、完全に防ぐことはできません。市場の景気変動も大きなリスク要因です。不動産市場は経済状況に大きく左右されるため、景気が悪化すると投資用物件の価値が下がり、売却時に損失を被るでしょう。投資家の努力だけではコントロールできない要素がある点が、デメリットです。
黒字になるまでに時間がかかる
黒字になるまでの時間が長い点も、ワンルームマンション投資のデメリットの一つです。そもそも不動産投資は一攫千金を狙うものではなく、長期的な視点で利益を得ることを目的としますが、特にワンルームマンションでは、初期投資額に対して収益が上がるまでに時間がかかります。
投資用物件の購入費用が大きく、投資用物件の状態に応じてリフォームや修繕費用も必要となるため、初期投資をすべて回収するには数年ではできません。
不動産投資ローンの返済も収益を圧迫します。多くの投資家は不動産投資ローンを利用して投資用物件を購入しますが、毎月の不動産投資ローンの返済額は家賃収入から差し引かれるため、手元に残る現金は少なくなります。金利の変動があれば、返済額が増え、黒字になるまでの期間がさらに延びるかもしれません。
運営費用や管理費、修繕費用や空室期間が発生したケースを考えれば、収益計画が大きく狂う可能性があります。これらの要因から、ワンルームマンション投資は黒字になるまでの期間が長く、初期投資を回収するまでには時間がかかる点を理解しなければなりません。
出口戦略が難しい
出口戦略が難しい点も、ワンルームマンション投資の難易度を上げます。不動産投資では、購入だけでなく将来的にどのように売却するかの出口戦略も重要です。しかし、ワンルームマンションの場合、この出口戦略が難しくなる点に注意しなければなりません。
まず、ワンルームマンションの市場は需要と供給のバランスに影響を受けやすく、市場の動向に大きく左右されます。さらに、ワンルームマンションの物件価値は、経年劣化によって下がりやすいです。競争相手が多い点や購入時に利用した不動産投資ローンの残債も大きなハードルとなります。
以上のように、ワンルームマンション投資では、購入後の出口戦略が難しい点が大きなリスクになります。投資を検討する際には、将来的な売却計画も含めて慎重にリサーチし、リスクを十分に理解するべきです。
保険代わりにするには不十分である
多くの投資家が将来の経済的な安心を求めて不動産投資を考えますが、ワンルームマンション投資は保険代わりとしてはリスクが高く、安定性に欠ける面があります。
投資用物件を購入する場合に不動産投資ローンを組むと、多くの場合で団体信用生命保険(以降、団信)に加入します。団信は、契約者が病気や事故で、不動産投資ローンを返済できなくなった場合に備え、死亡時や高度障害状態の際に残りの不動産投資ローンを完済してくれる保険です。団信があるため、投資用物件が生命保険の代わりになります。団信のお陰で、残された家族は不動産投資ローンの返済負担から解放され、借り入れがない状態で不動産相続が可能です。さらに、団信には、ガンや生活習慣病の長期入院にも対応したタイプがあります。保険が適用されたあとは、不動産そのものが資産として家族に残るため、家族にとって心強いでしょう。
ただし、団信だけでは、家族の保障は十分ではありません。団信はあくまで不動産投資ローンに関連する保険なので、不動産投資ローンが完済すれば効力を失います。万が一のことが起きた場合の保障も、不動産投資ローンに関する費用だけなので、遺族の生活費保障などはできません。このように、団信は生命保険の代わりとして一定のメリットを提供しますが、保障は限定的になります。家族の経済的な安定を確保するには、適切な保険商品を選ぶべきで、ワンルームマンション投資は保険としては不十分です。
節税効果が小さい
不動産投資には、所得税や住民税の節税効果を期待して参入する投資家も多いですが、ワンルームマンションの場合、効果は限定的です。まず、ワンルームマンション投資で節税効果が発揮されるのは、課税所得が900万円以上の人からになります。900万円を超えると、所得税・住民税率は約33%となり、譲渡税率よりも高くなるからです。不動産投資の節税効果は、譲渡税率との差で判断しますが、このラインを超えると差が大きくではじめ、不動産投資で節税に効果がでるようになります。
そして、効果を最大限に発揮するには、減価償却費が大きく取れる投資用物件を購入する必要があります。例えば、1億円する一棟マンションを所有したり、ワンルームマンションでも複数件を所有するなど。投資用物件の購入価格がそれほど高くならなければ、減価償却費として計上できる額も小さくなってしまいます。減価償却費は、物件の購入価格を耐用年数にわたって分割して計上し、所得税を軽減する経費。しかし、ワンルームマンションの購入価格が低ければ、その分、経費として計上できる額も減少。結果として、節税効果は限定的になってしまいます。
ワンルームマンション投資では、不動産投資ローンの利子も経費として計上できます。しかし、不動産投資ローンの返済が進むにつれて利子部分が減少していくため、経費として計上できる額は年が経過するほど減っていきます。初年度はある程度の節税効果が見込めるかもしれませんが、年数が経つと効果は薄れていくでしょう。以上のように、課税所得が900万円より少なかったり、物件の購入価格が高くない方にとって、ワンルームマンション投資は節税効果が小さいため、税金対策としてはあまり適していません。
ワンルームマンション投資のデメリットやリスクを回避するには?

これまで見てきたように、ワンルームマンション投資にはデメリットやリスクがあります。では、デメリットやリスクを回避してワンルームマンション投資をおこなうためにはどのようにすればいいのでしょうか。本章では、ワンルームマンション投資を検討する時に、デメリットやリスクを避ける方法を紹介していきます。
投資の選択肢を再検討する
ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを回避する方法として、まずは投資の選択肢を十分に検討する点が大切です。ワンルームマンション投資は魅力的ですが、必ずしもすべての投資家に適している訳ではありません。
なぜワンルームマンション投資なのか、理由を明確にすることが重要です。例えば、安定した家賃収入を得たいのか、長期的な資産形成を目指しているのか、それとも節税効果を期待しているのかなど。投資する目的によって、適した投資先は異なります。投資商品なら、株式、債券、投資信託、REIT(不動産投資信託)など、現物不動産投資以外もあります。自分のリスク許容度や投資期間に応じて最適な選択をしましょう。以上のように、ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを回避するためには、なぜワンルームマンション投資を選ぶのか、自分の投資目的と照らし合わせてよく考える点が重要です。
十分な資金がある状態で投資を始める
ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを回避する方法として、十分な資金を確保した状態で投資を始めることが重要です。資金が十分あるなら、ワンルームマンション投資で起こるさまざまなリスクをカバーできます。
例えば、空室リスク、家賃滞納リスク、自然災害による損害リスクが考えられますが、家賃収入に頼らなくても資金が十分にあるなら、これらを恐れる必要はありません。ワンルームマンション経営が始まると、リフォーム費用、修繕費用、管理費、税金など、さまざまな費用が発生します。しかし、これらの費用をカバーできるだけの資金があれば、大きな問題にはならないでしょう。
一方で、家賃収入がなければすぐ資金計画が崩れてしまうような状態では、投資はおすすめできません。ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを回避するためには、まずはリスクをよく理解し、十分な資金を確保したうえで投資を始める点が重要です。
入念にシミュレーションして投資を検討する
投資を始める前に入念なシミュレーションをおこなっておく点も重要です。事前にリスクをシミュレーションし、それに対する対策を立てて、リスクを最小限に抑えなければなりません。
まず、不動産投資ローンの返済負担ですが、毎月の不動産投資ローンの返済額が家賃収入を上回らないようにするのはもちろん、金利の変動や返済期間の影響も考慮しましょう。黒字になるまでの期間のシミュレーションも必要です。不動産投資は短期的に利益を得るのは難しく、黒字になるまでに長い時間がかかります。投資用物件は年々老朽化するため、維持管理費用が増加する点も考慮に入れなければなりません。
空室リスクを減らすために、需要の高い立地条件を選んだり、入居者募集を積極的におこなったり、景気変動による影響を受けにくい安定したエリアを選ぶ点も有効です。投資を始める段階で、出口戦略を立てておく点も忘れてはなりません。以上のように、ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを回避するためには、投資を始める前に詳細なシミュレーションをおこない慎重に検討する点が不可欠です。
保険は別に用意する
購入したワンルームマンションを保険の代わりとするのでなく、目的に応じて保険を別に用意しておく事も欠かせません。なぜなら投資には常にリスクがともない、安定的に保険の役割を担えるとは限らないためです。例えば不動産投資をすすめられた時、「不動産投資をすると、毎月入る家賃収入が将来的に公的年金の代わりのように使用できる」、「退職後に売却して退職金のように使用できる」などと言われるかもしれません。
しかし、実際には毎月得られる家賃収入がすべて手元に残るわけではありません。管理費や修繕費、大規模な修繕などで収入が減るケースも考えられます。退職時に売却して退職金のように使用する計画も、売却までに長い時間がかかり、想定通りには進まないこともあります。
購入した投資用物件を何十年後かに売却すれば、市場価値はかなり下がっていると容易に想像できます。以上のように、投資不動産の目的はあくまで投資のため、保険の役割を大きく期待するには不向きです。万が一の事態に確実に備えるためにも、保険は別で用意しましょう。
過度に節税効果を期待しない
節税効果を過度に期待しない点も重要です。投資家が不動産投資に魅力を感じる理由の一つに、節税効果がありますが、小規模なワンルームマンション投資では、効果は限定的。節税効果は一つの要素としてとらえつつ、総合的な収益性やリスク管理の観点から投資判断をおこなうことが大切です。
もし、節税効果を狙うなら、他の投資商品や手法を検討すべきでしょう。例えば、法人を設立して法人税の軽減を図ったり、NISAやiDeCoを活用する方法もあります。投資規模や投資の目的をよく考えて判断しましょう。
以上のように、ワンルームマンション投資のデメリットとリスクを回避するために大切なのは、節税効果を過度に期待せず、現実的な視点で投資判断をおこなう点です。
ワンルームマンション投資のデメリットに関するよくある質問
本章では、ワンルームマンション投資 デメリットに関するよくある質問を紹介します。
ワンルームマンション投資とは?
ワンルームマンション投資とは、ワンルームマンションの一部屋を購入し、入居者に貸し出して家賃収入を得たり、最終的に売却して利益を得る投資方法。多くの場合、金融機関から融資を受けて購入し、入居者からの家賃収入で不動産投資ローンを返済します。そのため、主な利益は、家賃収入から不動産投資ローンの返済額を差し引いた額。最終的には、部屋を売却した際の売却差額が利益になります。
ワンルームマンション投資のデメリットとリスクは?
ワンルームマンション投資には多くのデメリットやリスクが存在します。まず、購入時に想定しきれない要素が多く、空室や家賃滞納、自然災害、市場景気変動などにより計画から外れる可能性がある点です。次に、黒字になるまでに長い時間がかかり、初期投資額や不動産投資ローンの返済、維持管理費用が収益を圧迫します。さらに、出口戦略が難しく、物件の老朽化や市場の動向によって売却が困難になる点もデメリット。また、保険代わりとしては不十分で、安定した収入を期待できない点も挙げられます。節税効果も限定的で、特に課税所得が900万円未満の人にとっては大きな節税効果は見込めません。
以上のように、ワンルームマンション投資にはさまざまなリスクがともなうため、慎重な検討が必要です。
ワンルームマンション投資のデメリットやリスクを回避するには?
ワンルームマンション投資にはデメリットやリスクがともないます。これらを回避するためには、まず投資の選択肢を再検討し、投資目的に合った適切な選択をする点が重要です。次に、起こりえるリスクをしっかりと理解し、十分な資金を確保してから投資を始めましょう。また、入念なシミュレーションをし、不動産投資ローンの返済や老朽化、空室リスクを考慮した計画を立てる事が重要です。さらに、保険は別に用意し、節税効果を過度に期待せず、現実的な視点で投資判断をするようにしましょう。
まとめ
本記事では、ワンルームマンション投資に関わる主要なデメリットとリスクを紹介し、それらを回避するための方策を伝授しました。これからワンルームマンション投資を検討している方や、すでに投資を始めた方にも役立つ情報なので、リスク管理の重要性を再認識していただければ幸いです。

執筆者
長谷川 賢努
AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士
大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ